「第二回上方漫才協会大賞」大賞は吉田たち!新人賞はマユリカ!エンディングでは若手芸人たちが中田カウス・ボタンの50周年をサプライズでお祝い
1月9日(月・祝)、なんばグランド花月にて「第二回上方漫才協会大賞」が開催されました。
「よしもと漫才劇場」オープンと同時に、大阪のお笑い芸能文化の継承と発展のため、その核となる漫才師を育成・サポートしていくことを目的として発足した「上方漫才協会」が主催するこの賞。劇場・番組など各分野のプロデューサーが2016年に活躍した芸人を推薦・決定した大賞ノミネート33組の中から選ばれる大賞のほか、芸歴 6 年目以下の中から決定される新人賞や、話題賞、文芸部門賞、トータルコーディネイト部門といった各賞が、今夜ここで発表されます。
オープニングは、よしもと漫才劇場の公演でオープニングを飾るSPアクトから、「ものまね芸人」が集結。アニメや映画など4つのジャンルから得意のものまねをクロスオーバーさせ、会場の空気を温めます。
同賞の紹介を行うVTRに続き、司会・進行のハイヒール・リンゴ、そして上方漫才協会会長・中田カウスが舞台へ。カウスは「この1年ずっと見てきましたが、若手の活躍がすごい。成人の日、えべっさんの今日、めでたい日にこの賞を開催できることは非常にうれしい」と挨拶します。
一方、2階席では、大賞にノミネートされた33組が、発表の瞬間を今か今かと待ちわびています。その熱気と興奮をレポートするのが、先輩芸人のスーパーマラドーナ。舞台上のビジョンを使った生中継で、リアルな声を伝えました。
ここから早くも各賞の発表がスタート。まずは、各メディアを中心に話題となり、上方漫才の発展に貢献した芸人に贈られる話題賞です。受賞者は、尼神インターとミキの2組!
「尼神インターは若い女の子たちが共感する部分があるネタ。だから女の子からの支持が大きかったのでは。ミキは兄弟としての呼吸もぴったり、漫才の呼吸もぴったり」とカウス。2組がそれぞれ舞台でネタを披露した後、トロフィーが授与されました。喜びの声を伝えるインタビューでは、ミキ・昴生の"女癖"疑惑などが飛び出し、感動というより爆笑のひとときに!?
続いては、新人賞の発表です。よしもと漫才劇場で毎月開催されている「翔GP」の結果をもとに候補者をノミネート。これから行われるネタバトルにより、1組が選ばれます。まずはネタ順の抽選から。その結果、1番手はマユリカ、続いて蛙亭、ネイビーズアフロ、霜降り明星、アキレスと亀、からし蓮根となりました。
新人賞の審査を担当するのは、上方漫才協会副会長・中田ボタン、漫才作家の大池晶さん、片山良文さん、金山敏治さん、なんばグランド花月支配人・新田敦生の5名。ネタ時間は4分で、全組のネタが終了した後、審査員による審議が行われます。
ここから6組が渾身のネタで熱い勝負を展開。
全組のネタを見終わったカウスは、「レベル高いですね。新人とは思えないテクニック。あれだけしゃべり込めるのはなかなかですよ」と感心しきり。審査員たちも、悩ましい表情で審査員室へと向かいました。
新人賞の結果を待つ間にも、さらなる賞の発表が。舞台衣装やヘアスタイル、所作など舞台でのコーディネイトに関わる部分に優れていた芸人に贈られるトータルコーディネイト賞は、審査会により既に3組の受賞者が決定。舞台上のレッドカーペットをランウェイに見立て、ウォーキングしながら登場という趣向で発表されます。
1組目の受賞者はプリマ旦那。さらに、いなかのくるま、コマンダンテもウォーキングと決めゼリフで笑わせ、大きな拍手を浴びます。
講評は、上方漫才協会トータルコーディネイト部長の筒井雅裕さんから。「プリマ旦那さんは、昨年、衣装を変えられたが、漫才の内容だけでなく、印象に残るお揃いのコーディネイトで、さらに勢いを増したのでは。いなかのくるまさんは、男女コンビなのでふたりの差がしっかり見えるコーディネイトがいい。コマンダンテさんは、スーツが体に合っているのもポイント」と、それぞれの受賞理由を説明しました。
コメントを求められたプリマ旦那・野村は、涙ながらに「同じ時期にあれだけ張り切って衣装を替えたラフ次元さんが取ってないのが...」と話し、2階席の先輩コンビをいじるボケを。いなかのくるま・ちろるは「古着屋で揃えてるんです」と告白し、その値段の安さでカウスを驚かせます。コマンダンテの衣装はオーダーメイドで、「銀シャリさんと同じお店でオーダーして作った」(石井)とのことでした。
ネタの台本や表現方法など、文芸部の視点で特に優れている芸人に贈られる文芸賞は、見取り図、デルマパンゲ、てんしとあくま、トットの4組に。カウスは、「プロの作家の先生が感心するようなネタを作っている。きちんと内容があり、それをやりきっているのも素晴らしい。笑いは裏切りの連続。その裏切りが、みんな上手いんです」と、実力を讃えました。
受賞芸人たちのネタ披露が終わると、上方漫才協会文芸部長・大池晶さんも登壇し、各組の選考ポイントについて解説。「作家が考えられないような、意外性があることが基準」と大池さん。見取り図については「フリとボケがしっかりしている。一番評価したのは、盛山くんのツッコミ。いろんなパターンを入れて言葉に工夫をされている」、デルマパンゲについては「ムチャなことを言っているが、それをずっと引っ張って理屈をつけていくネタ。漫才として非常に評価できる」、てんしとあくまについては「輪唱のネタはいろんな人がやってきたが、これはメロディでボケている。非常にいいネタ」、トットについては「反抗期のネタなのに暴言を吐かせないのが新しい。ひとつの新しい漫才の形ではないか」と、それぞれコメントしました。
観客の皆さんが選ぶ賞も用意されているのが、同賞の面白いところ。よしもと漫才劇場の来場者による投票によって決まる「男前&ブサイク芸人ランキング」がそれ。この部門ではMCをスーパーマラドーナにバトンタッチし、賑やかにベスト50を発表していきます。
2階席に陣取る芸人たちも、結果発表に大盛り上がり。50位から男前とブサイクのランキングが発表されるたび、どよめきと爆笑が起こります。女性ながら男前ランキング13位に食い込んだ尼神インター・渚や、双子なのに何故か順位に差が出る吉田たちなど、気になるポイントを挙げて盛り上げるスーパーマラドーナ。そして、ついに明らかになった男前1位はコマンダンテ・石井、ブサイク1位はアインシュタイン・稲田でした!
両部門の1位が舞台に上がると、客席からは大きな拍手と歓声が。今年、東京進出を発表した石井は、この賞をきっかけに「そういう仕事もとっていければ」と意気込みを。
稲田は、今年初めて設けられたブサイク部門で頂点に立ちましたが、「(ブサイクランキングが)あると聞いた時から『勝ったな』と思っていました」と、早々に勝利を確信していたことを明かしていました。
授賞式も終盤、いよいよ新人賞の発表です。審査委員長の新田支配人から名前を呼ばれたのは、マユリカ! 新田支配人は、「実はむちゃくちゃ悩みまして。最終的に、トップバッターであれだけ笑いを取ったというのが評価された」と講評を。昨年、新人賞を受賞したミキが大活躍したことに触れ、「そういう期待感を持たせてくれるのがマユリカだった。せっかく賞を取ったので、(なんばグランド花月出演の)チャンスもなるべくあげようと思っています」と約束、ふたりを喜ばせました。
ついに大賞発表...の前に、昨年の受賞者であるアインシュタインが呼び込まれ、昨年を振り返るミニインタビュー。河井は「賞をいただいてから、本当にたくさんお仕事をいただいた」と改めて感謝。稲田も「漫才師としての背骨がピシッと通った気がします」と、しみじみ話します。そんなふたりに、カウスは「軸は漫才やから、漫才を忘れず磨きをかけて」とハッパをかけました。
さあ、改めて大賞の発表です。まずは33組のノミネート芸人から、厳正なる選考によって選ばれた最終ノミネート8組が明らかに。その顔ぶれは、尼神インター、祇園、コマンダンテ、トット、プリマ旦那、ミキ、ゆりやんレトリィバァ、吉田たちという、いずれ劣らぬ強者揃い。しかし、大賞に選ばれるのはたった1組です。
カウスから発表された「第2回上方漫才協会大賞」受賞者は、吉田たち!
思わず「え!?」と驚くふたりに、プレゼンターの上方漫才協会名誉会長・吉野伊佐男からトロフィーが授与されます。カウスは「双子なのに、双子に頼らずネタづくりをしてきた。去年、文芸部門賞を受賞したネタにも感心したが、この1年、また頑張って大賞にこぎつけた」と祝福。こうへいは、「ビックリしすぎて、いま自分がゆうへいかこうへいかわからない」と、ボケを交えて喜びを表現していました。
さらに、ノミネートの中からもう1組、特別賞も発表されました。選ばれたのはコマンダンテ! カウスからトロフィーを授与され、喜びいっぱいのふたり。カウスは「癒し系漫才というのか...一時期流行った草食系男子で、戦わない感じやねんけど、ちゃんと賞を獲ってしまう。賞レースで緊張していても、それがお客さまに伝わらない。持ち味なんですかねえ」と、その独特な魅力を分析。「今のまんまの雰囲気でやればいい」(カウス)との言葉を受け、安田も「東京に行っても笑いと癒しを届けたいと思います」と決意を語っていました。
大賞、特別賞を受賞した2組は、舞台でネタを披露。コマンダンテ、吉田たち、それぞれが持ち味を生かした漫才で、客席を爆笑の渦に巻き込みました。吉田たちは、なんと副賞(?)として新しいスーツをプレゼントされ、それをまとっての登場。いつもと違うスタイルでも注目を集めました。
吉田たちの漫才終わりには、金の紙吹雪が打ち上げられ、華やかなエンディングに。
舞台上には、各賞の受賞者が勢揃い。カウスが「漫才がこれから発展していくためにも、若手の力が大事。みんな非常にレベルが高いので、来年もこういう機会を設けてみたいと思います」とコメントし、リンゴが式を締めようとしたところで、もうひとつ、思わぬサプライズが...!?
どこからか「ちょっと待った!」という声が響き、アインシュタインのふたりが再び舞台へ。「もうひとつおめでたいことがあるんです!」と示した先のビジョンには、「祝!デビュー50周年 中田カウス・ボタン師匠」の文字が!
事前に何も知らされていなかったカウス・ボタンは驚きながらも、「ありがとうございます!」(ボタン)、「若い人たちのひとつのお手本になれば」(カウス)と挨拶。さらに「僭越ですが、我々若手芸人から日頃の感謝を込め、 記念のトロフィーをお贈りしたいと思います!」と告げられると、「えー! うれしいなあ! これは重いなあ...ありがとう!」と満面の笑顔。続けて「漫才に終わりはありません。80歳になったら80歳のネタが待っている。息の続く限り頑張りたいと思います」(カウス)、「頑張り続けます!」(ボタン)と力強く宣言し、華やいだ雰囲気に包まれる中、「第二回上方漫才協会大賞」は幕となりました。
終演後は、大賞を受賞した吉田たち、カウス・ボタンらが出席し、囲み会見を実施。カウスは今年の各賞を振り返り、「若い人たちがどんどん入ってくるのは非常にうれしいし、レベルも上がってきている。みんなちゃんとネタを作っていて、師匠につかず独学ながら、漫才に対する情熱みたいなものを感じる」と手応えを感じている様子。「僕たち個人は、少しでもキャリアというところで役に立てれば。みんなが僕らを踏み台にしてくれたら(笑)と思っています」と話し、今後も若手を全力でバックアップしていくことを誓いました。リンゴは、「なんばグランド花月、漫才劇場には、まだまだたくさんの芸人が出ております。皆さん足を運んで」と呼びかけも。
受賞者たちも改めて喜びのコメント。「2016年は納得いく結果が出ずだったんですが、こうやって賞をいただいて、見てくれている人がいるんだなというのがすごくうれしかったです」というのは、吉田たち・ゆうへい。こうへいは、「本当にビックリしています。もし来年、二連覇をしていいのなら、したいと思います!」と早くも来年を見据えての目標を掲げます。
新人賞を受賞したマユリカ・中谷は、「今まで賞レースとは無縁だったので、自分たちが一番ビックリする結果。去年、新人賞を獲ったミキさんが活躍されているように、僕たちも活躍できたらいいなと思います」。阪本も「トップを引いた時と名前を呼ばれた時、同じぐらいビックリした」と話していました。
設立当初から、「毎年は開催しないかもしれない」と明言してきたカウスですが、果たして来年は?という質問には「毎年、誰かに渡さないとアカン賞は、いずれ意味がなくなると思うので、休む年もあるかもしれないが、来年は...今日見ていると、いけそうです」とキッパリ。ボタンも若手たちに目をやりながら、「いてますね。はい(笑)」と答えます。
また、吉田たちは改めて今年の抱負をきかれ、「二連覇を狙うためには、これからの1年、しっかりと頑張らないと。まだいろんな賞レースに出られるので、それらを全部獲って、もう1回、この大賞を獲ります」(ゆうへい)と回答。こうへいは「あと、男前ランキングの順位をそろそろ揃えたいです」と添えて、笑いを誘っていました。
なお、この模様は1月24日(火)24:59〜25:59、MBSにて放送予定です。どうぞお楽しみに!(※関西ローカル)
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