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2017年5月14日 (日)

桂文枝が徳島で独演会を開催! 創作落語「鳴門第九物語〜ラーゲルに響く交響曲〜」を初披露!!

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100回を超える創作落語の会を開くなど、以前から創作落語に並々ならぬ情熱を傾けている桂文枝が、5月14日(日)、鳴門市文化会館で独演会を開催。新たな創作落語「鳴門第九物語〜ラーゲルに響く交響曲〜」を披露しました。

この作品は、第一次大戦中、鳴門市にあった板東俘虜収容所を舞台に、収容所の所長を始めとする日本人とドイツ人捕虜たちの触れ合い、そして彼らがアジアで初めてベートベンの第九を演奏したというエピソードをテーマに、今回作られたもの。2018年には当時の演奏からちょうど100年を迎えるということで、文枝は今年3月「なると第九マスター」にも任命され、やる気十分でこの独演会を迎えています。


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鳴門市市制施行70周年記念事業として行われた今回の独演会。当日の会場には約1,200名の観客が詰めかけました。まずは泉理彦鳴門市長のあいさつから。「昨年、文枝師匠に創作落語をお願いしたところ快くOKをいただいた」と話し、それから「何度も足を運んでもらい、勉強もしていただいた」というエピソードを披露します。そして273作目となるこの作品については「代表作になると思う」と太鼓判。「今日の創作落語、演奏会を十分にお楽しみください」とアピールし、大きな拍手を浴びました。


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市長のあいさつのあとは、笛と太鼓、三味線の音が満員の会場に響き始めます。緞帳が上がり、まず舞台に現れたのは文枝の弟子、桂三金です。「名前の三は三枝から、金は...鳴門金時の金です」というつかみに客席から笑いが。ぽっちゃりした自分の体型の話を枕に会場を温めたあと、始めたのは「爆笑!!!青菜」。飲むこと、食べることが大好きな植木屋が、知り合いの旦那の青菜にまつわる粋なやり取りを聞き、自分もやってみたいと思案。家に帰ってからマネをしようとするものの...というストーリーに、会場は大いに盛り上がりました。


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続いてはバッハに扮したMCが登場。100年前に板東俘虜収容所で演奏されたベートーベンの第九が日本初の第九演奏になったこと、そして本日の指揮者・平井秀明氏、管弦楽・徳島交響楽団楽団、合唱・鳴門「第九」を歌う会についても紹介。「最後までごゆっくり」とあいさつしたあと、いよいよ文枝の登場です。


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ステージに現れた文枝は会場に一礼。大きな拍手が起こります。「お忙しいなか、お見えいただきありがとうございます」のあと「本当に忙しい人は来てないと思います」と笑いを誘います。そして出演しているテレビ番組やドラマ、新喜劇のベテラン・池乃めだかのエピソードなどを話したあと、自身の母親が97歳ということから今日の落語は100年前にあった話であることを解説。ドイツ人の方が出て来ることで、「名前を途中で間違えるかも...」と話す不安そうな顔に、会場から笑いが起こります。


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そして、いよいよ本編のスタート。まず第一次世界大戦のおおまかな流れから、鳴門の板東俘虜収容所に1,000人のドイツ人捕虜がやってきたことが語られます。そこで行なわれるのが松江豊寿所長と通訳のクルト・マイスナーのやりとり。2人のトークをメインにストーリーが進んでいきます。

実在の人物のほかに架空の人物も登場、外国人と日本人のやりとりの妙などを織り交ぜつつ、笑いをどんどん重ねていく文枝。途中の阿波弁が連発する場面では、会場も大盛り上がり。ほかにも「動物園」のくだりを挟む、登場人物たちが「100年後にこの話が落語になる」という会話をするなど、文枝の作り出す創作落語の世界に、詰めかけた観客もすっかり引き込まれていました。


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中入り後はオーケストラと合唱団の登場です。迫力ある演奏と歌声に、会場は大きな拍手に包まれました。そして、再び文枝がステージへ。さらに大きな拍手が起こります。「(演奏が)もっと長いかと思ってラーメン食べてた」と話す文枝に会場は爆笑。「今日の落語は事実もあるし、自分で作ったところもある」と語り、「いずれにせよ音楽は素晴らしいと思った」と笑顔。さらに、落語の中には入れられなかったこととして、収容所の近くの人にも第九が響いて感動していたということや、ベートーベンが第九を演奏したときは初演から大好評だったというエピソードなども披露。「そういう思いを詰め込もうと思ったら長くなった」と、約1時間に及んだ今回の新作について語りました。


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そして今回が初演だったことについては「初演はとても緊張する」と告白。稽古するたびに変わっていくと話し、これからもまたやっていきたいと今後の抱負を語りました。ほかにも、登場人物のモデルになった知人に電話をかけた裏話なども披露したあと、大きな花束を受け取り、「鳴門の皆さん、お世話になりました。ありがとうございました!」とあいさつ。公演は終了しました。


終演後には囲み取材も行なわれました。登場人物のクルト・マイスナーが80歳まで日本にいたということが話作りの大きな手がかりになったそうで、「これでおもしろくなる」と感じたとのこと。そして、なぜ自分がこの話しを作るのか、何かつながりを作りたいという思いで、当時四代目文枝が枝三郎時代だったことから作中に入れたこと、さらに自身の海外公演での体験を織り交ぜたという裏話も語ってくれました。

今日の出来栄えについては「なかなか満点とはいかない、60点くらい」と自己分析。そして「ネタおろしだから、これから何回も何回もやって、この落語と日本で初めて第九が演奏されたのが鳴門ということを広めていけたら。そして、うず潮の世界遺産にもつながればいい」と期待を込めました。


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100年前、実際に起こった日本とドイツの感動秘話をベースにした今回の創作落語。これから何度も演じられることによって、さらに完成度を高めていくことは間違いありません。そして、274作目となる次作以降の創作落語にも要注目です!


【桂文枝】【桂三金】