板尾創路「映画にする思いを受け止めてくれた」と原作者である又吉に感謝! 映画『火花』が本日より公開!!
11月23日(木・祝)、東京・TOHOシネマズ スカラ座にて、映画『火花』の初日舞台挨拶が開催され、菅田将暉さん、桐谷健太さん、2丁拳銃・川谷修士、三浦誠己さん、板尾創路監督、原作者のピース・又吉直樹が登壇しました。
本作は、ピース・又吉直樹が初めて執筆した純文学作品にして、第153回芥川賞を受賞した同名小説を映画化したもの。漫才の世界に身を投じながらもなかなか思うような結果が出せずにもがいている徳永が、強い信念を持って自らの笑いを貫く神谷と出会って師匠と崇めながら、さまざまな葛藤や少しの喜びを体感していく青春物語です。
最初の一言挨拶から、菅田さんと桐谷さんを中心にボケツッコミの応酬が。お客様が掲げるうちわについてやりとりを繰り広げる中、又吉が「僕も1つあったと思ったんですけど、ピース......してくださいでした」と呟くと、菅田さんと桐谷さんは大笑いします。
「現場はこんな感じで楽しかった」と話すのは、徳永を演じた菅田さん。「大好きな芸人さんもたくさんいて、徳永を演じた日々は忘れたくない時間。和気あいあいとハッピーな意味でメモリアルな日々でした」と話すと、神谷を演じた桐谷さんがその言葉を受け継いで「ハッピーでメモリアルでした」と挨拶。菅田さんは「オレ、そんなダサい言葉、使いました?」とツッコみ、桐谷さんに「今度、歌詞に使おうかな。ハッピーで~メモリアルなぁ~♪」と返されると、「もうあかん!」と笑います。
一緒に笑いながら、桐谷さんが「公開するのは嬉しいですけど、こんなふうに集まることもないんやなっていう淋しさがある」と話すと、「それ、訳すとハッピーでメモリアルってことでしょ?」と菅田さん。「そうやけど! 始まりがあれば終わりもあるんやけど、寂しいなと思える作品でした」と続けます。
徳永の相方・山下を演じた修士は「素晴らしい作品に出られて嬉しいです。今日から当分、スパークスに戻れます。2丁拳銃には戻りたくない!」とコメント。神谷の相方・大林を演じた三浦さんは、「元芸人なので、思い入れのある作品」と断言。「手前味噌で申し訳ないですが」と前置きしながら「この作品が(出演)映画100本目でした。人生の思い出になりました」と感謝すると、全員から祝福の拍手が起こります。
板尾監督は「すごい原作で、漫才師の話なので、俳優と芸人がコラボして本物のコンビをつくることができれば、この作品は成功すると思ってました。その結果、スパークスとあほんだらという漫才師が誕生した」と、菅田さんと桐谷さんのなりきり振りを賞賛。「そういう映画を撮らせていただいて、大満足です」と胸を張りつつ、原作者である又吉には「後輩である又吉が原作のもので映画を撮るということは、又吉のネタをやっているような感じでなんと言うたらええんやら......。互いに気を遣っていたとも思いますけど、映画にする思いを受け止めてくれた又吉には感謝します」と声をかけます。
映画化について、「嬉しかった」と語った又吉。「鑑賞する側にまわってきて、改めて共感を強く持ったというか。僕、小説を書いてから読み返してなかったんですけど、観終わってから読み返して、"このシーンは原作にあったかな。頼むから、このシーンはあってくれ"と思っていた」と話すと、板尾から「又吉、オレは10回読んだぞ」との声が。「あっ! 僕より読んでますね」と返しつつ、「僕が描きたいことを理解してくださっていると感じました」と感謝します。
そんな又吉が最も印象的なシーンとして挙げたのは、スパークス最後の漫才シーン。菅田さんは「板尾さんの演出がすごかった。その日だけは修士さんと楽屋も別々で、本番で初めて顔を合わせて。で、人前を漫才をやるので勇気を持とうと毎日思ってたんですけど、板尾さんが『すべての芸人を代表するつもりでやってこい』と言ってくれた」と回想。「あと、もしアドリブを入れるなら、山下(修士)が泣いてた時だけ。相方に対して全部反対のことを言うシーンだったので、『何笑うてんねんってツッコんであげて』って言われて、監督っていうのはただ指示を出すだけではないんやなと改めて思いました」と真面目に語りつつ、「......ハッピーでメモリアルでした」と笑いで締めました。
本日が「いい兄さんの日」とあって、MCのコトブキツカサさんから「理想の兄は?」と訊かれた面々。主演の2人は「自分の兄」(桐谷)「小栗旬さんとか山田孝之さんとかあの辺の役者の兄さん方」(菅田)と返します。
「誰かがどこかで観てくれるってよう言いますけど、ウソやと思っていた」と切り出したのは、修士。「でも、板尾さんが『火花』で山下に選んでくれて、『ずっと漫才観てたから。お前のツッコミも観てたから、お前にしたわ』って言うてくれた。観てくれてた人おるやん!って実感した」と話すと、板尾は「2丁拳銃はデビューした頃から知っていたけど、東京に出て来てから苦戦してきた。『M-1グランプリ』にも挑戦して結果が出なかったのは残念でしたけど、ずっと漫才を続けてきた。ちょっとの掛け違いや運のなさで伸び悩んでたけど、2丁拳銃の漫才はすごいと思うんです。修士、漫才やって何年やっけ?」と質問。「25年です」との言葉に、「25年やっている修士を、(この映画を撮るとなった時に)誰よりも先に出てもらおうと決めた。修士がキーマンとしてくれたから(スパークスは)コンビになれた。力になってもらってよかった」と感謝の言葉を綴ると、感極まった修士は「ありがとうございます」という言葉をなんとか絞り出しつつ、俯いて熱いものがこみ上げるのに耐えている素振りを見せました。
三浦さんは「ずっとお世話になっている千原兄弟のジュニアさん」と返答。桐谷さんが醸す雰囲気がジュニアと似ていたこともあって「投影しながら演じていた」と話すと、「ジュニアは(劇中の神谷のように)マッチとライターでタバコ吸うてたもんなぁ」と板尾。「はい、そうです」と懐かしそうに返した三浦さんは「一緒に漫才をやっていくうちに、(桐谷さんを)兄さんやと思っていた。だから、今の僕の兄さんは桐谷くんですね」と話します。
「めちゃ嬉しい!」と顔を緩ませた桐谷さんですが、実は三浦さんの初対面の印象は最悪だったそう。「感じ悪かったよなぁ。僕がアホやったんです。あの時はほんまにすみませんでした」と謝る三浦さん。尖った態度に「なんや、あいつ!」と当時思ったという桐谷さんですが、「今回、あいつが相方や!と最初は思ったけど、僕が漫才の練習をやりたいって言うたら30分しかないのに来てくれたり、いろいろとあって大好きになった」とすっかり打ち解けたことを明かしました。
板尾監督にとっての"いい兄さん"は、よしもとの先輩である坂田利夫。今作の打ち上げのためだけに、はるばる大阪から来てくれたそうで「大阪からのぞみに乗って、アホな顔して来た。いや、これはご本人が言うてたんですよ?『板尾、アホな顔して来たわぁ』って。で、アホのマーチで出て来て、また大阪へ帰っていった。それだけのために大阪と東京を往復してくれる、ありがたい兄さん。僕にとっては神様です」と心を込めて話します。
又吉は「修士さんも板尾さんも三浦さんも、いい兄さん」とコメント。「修士さんにはデビューしたての頃、MCでお世話になった。僕は何も言えないんですけど、ただ立っているだけで『自分、暗いなぁ』ってツッコんでくれて。何も返せなかったら『いや、なんでなんも言わへんねん』って。で、笑いが起きてるなぁと思いながら笑ってたら『何笑うてんねん』って、全部ツッコんで笑いにしてくれた。先輩ってすごいなぁと思った」と当時のエピソードを話すと、菅田さんは大爆笑。
また、「三浦さんとはジュニアさんのご自宅で鍋をする時とかにお世話になっていた」そうで、「なんでもできる三浦さんはみんなに"鬼軍曹"って呼ばれるくらい厳しかったけど、優しくもあって。なんにもできない僕が怒られないように、ちょっとした仕事を与えてくれたんです。例えば、『又吉、箸配って』とか」と話すと、三浦さんも「見るからに何もできなさそうやったから、簡単なことを任してた」と振り返りました。
最後に、「漫才師の話ですが、ものづくりをしている人達の気持ちが描かれている作品です。熱い思いが伝わればいいなと思います」と語った菅田さん。桐谷さんは「最低3回は大ヒット記念舞台挨拶をしたい。3回もやることなんてなかなかないでしょう? こうやってみんなでまた壇上に上がれたらと思っています」と多くの方の映画館来場を呼びかけました。
【板尾創路】【川谷修士】【2丁拳銃】【又吉直樹】【ピース】
映画『火花』
原作:又吉直樹(文春文庫 刊)
監督:板尾創路
脚本:板尾創路、豊田利晃
出演:菅田将暉、桐谷健太
木村文乃、川谷修士、三浦誠己、加藤諒、高橋努、ほか
配給:東宝
公式サイト: http://hibana-movie.com
(c)『火花』製作委員会