本日スタート! 舞台「『火花』~ Ghost of the Novelist ~」公開ゲネプロレポート
3月30日(金)、東京・紀伊國屋ホールにて、舞台「『火花』~ Ghost of the Novelist ~」の公開ゲネプロが行われました。
2015年に第153回芥川賞を受賞し、翌16年にドラマ化、昨年17年には映画化もされた「火花」。満を持しての舞台化となった今作では、これまでの映画やドラマにはなかった"アナザーストーリー"が追加され、物語は2本仕立てのストーリーで展開。原作者・又吉役を又吉が、観月ありささんが女優・観月ありさ役を演じるのも話題となっています。
まずは冒頭、ステージに立ち、語り始めた原作者・又吉。本人役なので、あたりまえと言えばあたりまえなのですが、又吉直樹本人としか思えない素の佇まいで、いつもの淡々とした語り口調で話し始めます。そこに女優・観月ありささんが突然現れたかと思うと、「好き!」と言い放ち、又吉を抱きしめーー。戸惑いながらも「むっちゃいいにおい」とうっとりする又吉でした。
そんなコミカルなやりとりから始まりを告げた物語ですが、又吉を愛しているという観月さんは、その愛と引き換えに「『火花』を私にください!」と懇願。かくしてまんまと『火花』の作者となった(?)観月さんによって小説『火花』の物語は始まります。
スパークス・徳永(植田圭輔)は祭りの営業で出会ったあほんだら・神谷(NON STYLE・石田明)に心酔し、弟子入りを志願。行動を共にする中で、神谷が転がり込んでいる家で一人の女性・真樹に出会うのですが、その真樹を演じているのはーー。
物語は、徳永と神谷の物語と原作者・又吉と女優・観月の物語を交互に描き出し、さらに2つの物語が交錯する瞬間もあるというパラレルワールドのような展開を見せながら、原作世界の核心をあぶり出していきます。
今回、漫才師である神谷を本物の漫才師であるNON STYLE・石田が演じていることにも注目が集まっていますが、同じ漫才師でも石田と神谷は全くタイプが異なるため、石田がいつもとはまったく違う、荒々しいタイプの漫才を披露するシーンも新鮮! しかし、神谷が漫才師としての持論を語るシーンでは、神谷を演じている石田の漫才への熱い想いもそこに込められているように感じ、観ていて思わず胸が熱くなります。
また、スパークスが10年の活動に終止符を打ち、最後の漫才を披露するシーンでは、植田さんと、相方役の井下好井・好井の渾身の漫才に笑いながらも思わず涙する人も。
ときおり映像で物語が綴られ、さらにパラレルワールド感が増したり、ときには物語の登場人物、またあるときは小説を朗読する女優と、自在に物語世界の中と外を行き来する女優・観月ありさに魅せられたりしているうちに、小説の世界と「作者」の世界は、同時にクライマックスを迎えるのでした。
ゲネプロ終了後、又吉に感想を聞きました。
「稽古で長い時間かけてやってきたことがようやく形になったので、緊張感はあるんですけど、今は楽しみです」と、このあと行われる初回公演が楽しみだと語る又吉。
ゲネプロについては「僕だけが特に緊張してたゲネになったかなとは思います(笑)」と話しますが、「でもみんなの芝居を見ていていい意味で引っ張られるというか、『なるほど、こういう話なんや』っていうのがさっきのゲネプロでわかりましたね。稽古で何回も通してやってきたんですけど、なんか『あぁ~......!』みたいな。いろいろ、つながりました」と、原作者にもかかわらず本番直前ギリギリに本作を掴めたと言い、隣で話を聞いていた観月さんに「えぇ~っ、今(笑)!?」とツッコまれていました。
舞台については、「やっぱり舞台は1回1回違いますし、日によっても全然違いますから、その時しか見れないものなんで、ぜひ。特にそういう、舞台の『その場でしか見られへん』っていうものと、今回のお芝居のお話自体がすごく相性いいと思うんで、ぜひ足を運んでいただきたいなと思います。火花を読んだことない方も、読まれた方にも楽しんでいただけると思います。よろしくお願いします」と話してくれました。
以前、「今回の舞台がもしかしたら一番斬新で、『火花』に新しい光を当ててくれるんじゃないかと思う」と語っていた又吉。その言葉通り、まったく新しい切り口で原作世界の核心をあぶり出す本作品を、ぜひ劇場で体感してください!
【ピース】【又吉直樹】【NON STYLE】【石田明】【井下好井】【好井まさお】
「『火花』~Ghost of the Novelist~」
原作:又吉直樹(ピース)
脚本・演出:小松純也
出演:観月ありさ、植田圭輔、NON STYLE・石田明、ピース・又吉直樹、井下好井・好井まさお、 宮下雄也ほか
<東京公演>
日程:3月30日(金)~4月15日(日)
会場:紀伊國屋ホール
<大阪公演>
日程:5月9日(水)~5月12日(土)
会場:松下IMPホール
チケット料金:一般8000円 、学生5000円(平日公演のみ)※全席指定
※舞台「火花」紀伊國屋ホール公演記念トークイベント、スパークス漫才アフターライブなどのイベントも開催決定!
詳しくは公式HP(http://hibana-stage.com)まで。