なだぎ武のある興味から公演が実現!『"あかりけした"presents「手をつなぐには近すぎる」』作・演出家&出演者インタビュー!
6月7日(木)から10日(日)まで、東京・神保町花月にて『"あかりけした"presents「手をつなぐには近すぎる」』が上演されます。
ロボットのハナコと2人暮らしのソフの元へ、娘・ハハとその娘・ムスメが帰ってくるところから始まる物語。血のつながりのない微妙な関係性で始まる同居生活から、家族が生まれるハートフルストーリーです。
今回は作・演出を担当するこゆび侍・成島秀和さん、なだぎ武、演劇集団キャラメルボックス・渡邊安理さん、虚構の劇団・小野川晶さんへインタビュー。なぜこの4人が集結し、1つの舞台を企画したのか。成り立ちから関係性まで、和気あいあいと語ってもらいました。
(向かって左から:成島秀和さん、渡邊安理さん、なだぎ武、小野川晶さん)
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――まず、今回このメンバーが集まった理由を教えていただけますか?
成島 お三方とはまだ一度もお芝居を一緒にやったことはないんですけど、一方的に観て知ってはいて。渡邊さんと昨年くらいに、たまたま知り合いになったんです。
渡邊 久しぶりにできた友達だって言ってくれましたよね?
成島 そう、35歳を超えて久しぶりにできた友達で(笑)。遊びに行ったりしている中でこの4人で会う機会があったんです。
なだぎ 僕はジョジョが好きなんですけど、『ジョジョの奇妙な冒険』のリアル脱出ゲームがあると聞いて、楽しめるかもしれないなと思って行った時に集まったメンバーなんですよ。リアル脱出ゲームには、このメンバーでそれまでに何回か行ったことはあったの?
小野川 いえ。私もあの時、初めて成島さんにお会いしました。
なだぎ 僕は渡邊さんと晶ちゃんとは別々に共演したことがあったんですけど、成島さんとは初めてだったんです。ゲームをクリアしたあと、ご飯を食べている時にいろいろと喋ったんですけど、成島さんが自分の劇団を持ってお芝居も書いているというのを聞いて。こういう物腰が柔らかい方がどういうお芝居を作るのかというところに興味が湧いたというか、僕みたいな暴走機関車がね?(笑)成島さんの作品に出たらどうなるんだろうということを渡邊さんにお話したら、「じゃあ、私が言ってみます!」って言ってくれたんです。
渡邊 そうそう。で、すぐ成島さんにお話ししたら......。
成島 僕としては「願ってもない機会です」と答えました。
――なだぎさんが抱いた1つの思いから実現したものだったんですね。
なだぎ そうなんです。コメディがやりたかったので「成島さんはコメディも書くの?」って聞いたら、渡邊さんが「好きみたいですよ」って。じゃあ、晶ちゃんもできるなと。『私のホストちゃん』っていう舞台で一緒になった時に、アンサンブル的にいろんな役をやっているのを観て器用な人だなと思っていたので誘ったんです。
渡邊 私も晶ちゃんとはプライベートで遊んではいたんですけど、共演したことがなかったので一緒にやれて嬉しいです。
小野川 コメディはずっとやりたくて。年々、コメディ欲が増しているところだったので、このメンバーで叶うならば最高だなと思いました。
成島 こういう話って、普通は「やりたいね」って盛り上がりはするけどやらないことが多いですよね。でも、今回はみんな、絶対にものにしてやろうっていう気持ちがあったよね?
なだぎ そうですね。成島さんは沸々とした強い思いを持っている人だなと、リアル脱出ゲームの時に感じたんですけど、その通りでした(笑)。最後に解けない問題があったんですけど、後ろから粘り強くヒントを出してくれたことでそのあとすぐ脱出できてね?
渡邊 ご飯を食べてる時には「1つ前の問題が解けているようで解けてない」って言い出して(笑)。
なだぎ そうそう。ずっと1人で問題に立ち向かってたんですよ。
渡邊 その姿勢に、なだぎさんは好感を持ったんですよね?
なだぎ 不思議な人だなと興味を持ちました。
――本作はコメディということですけれど、家族のお話にしたのは何か理由はあるんでしょうか。
成島 題材に関しては二転三転してはいるんですけど、友達というか遊びから始まっている関係性なので恋愛物語だけは嫌だなというのがあったのと、縁というものの不思議さや大切さみたいなものを意識したかったので、血はつながってない家族の話がいいかなと思ったんです。
なだぎ あぁ、そうなんですね。いや、実は密かに恋愛ものを期待してたんですよ。僕と晶ちゃんが恋愛する『マーマレード・ボーイ』みたいな話を。
渡邊 え? そんな甘酸っぱい話!?(笑)
なだぎ そうそう。ほんなら、安定のじいちゃん役っていうね。ふははは! 個人的に山田洋次さんの世界観が好きなので、人情ものっていいなと思いました。
渡邊 タイトルもすごく素敵ですよね。プロットを読んだ時、ちょっと涙しつつも笑ってしまいました。お客さんにもこの感情を届けられたらいいんですけど。
小野川 私はプロットをいただいて読んだ時、衝撃を受けました。
成島 その衝撃っていうのは、もっと楽な感じをイメージしてたっていうこと?
小野川 というより、もっとポップなのかなって思ってたら、グッとしたりハッとしたりしたので驚いたという感じで。それと普段を知っている分、役者としてみなさんがどうするのかが想像できないというのもありました。
渡邊 確かに、この4人で演劇をやることにまだ実感がないよね。特に、晶ちゃんと私は普段の関係性より踏み込む役どころだから、どうなるんだろうって考えちゃいますね。
――今、脚本を書いている最中だという成島さんは、どんなことを感じていらっしゃいますか?(註:鼎談は4月上旬に敢行)
成島 今まで踏み外すことが前提にあるというか、脚本から広げてもらうことを前提で書くことがなかったんですけど、なだぎさんがどれくらい......暴走、っていうんですか?
なだぎ ふはは! いやいや、台本通りにしかやらない男ですよ、僕は。
渡邊&小野川 ウソつけっ!(笑)
成島 そういうことを想定しながら書くのは楽しいですよ。渡邊さんと小野川さんはなだぎさんをやらせっぱなしにする訳ではなく、食らいついて1つの世界観をつくってくれるメンバーだと思っているので、なだぎさんにはどこまでも暴走して欲しいなと思ってます。今まで観させていただいた感じだと、どの作品でも設定に乗っている中で踏み外してるなと感じたというか。ちゃんと計算できているなと思ったので、その辺りは信頼していますし。
渡邊 成島さん、そういうところには結構厳しいですよね? お友達になってから、いろんな作品を観たあとに話すんですけど、その時に鋭い視点を持っているなと感じます。
成島 渡邊さんもそうですよね。だからこそ、気を抜けないなと。今回初めてご一緒するからこそ、真剣にやらないと思っているし、稽古場では友達っていうのも一切なくして......。
小野川 えっ、突然に!?
渡邊 怖いよ!
なだぎ 確かに「稽古だけはガッチリやりたいですね」って言うてましたね。ちょっとビクビクしてしまいますけれど頑張ります。
渡邊 せっかく友達同士で立ち上がった舞台なのに、公演が終わる頃には、Twitterとかのフォローも一切外したりするくらい仲が悪くなってるなんてのは、嫌だから(笑)、真剣に挑もうと思います。
成島 そうですね。仕事!って感じとはまたちょっと違うんだけど、真剣にやりたいですね。
――友達だからこそ真剣にやりたいっていいですね。この関係性をすごく大切にしているんだなというのが伝わります。
なだぎ そうですね。それぞれの劇団のファンの方々も"なんだろう? この組み合わせは"って思いながら、ふわふわした気持ちで観に来てくれるんだと思うんですけど。
渡邊 私、「コントなんですか?」って聞かれました。
なだぎ 僕がおるからそう思われるかもしれないですけど、緊張と緩和のちょうどいい中間のものを見せたいですよね。
成島 うん、そこは狙っていきたい。観てくださる方がどう受け取ってくれるかはまだわからないですけど、稽古は100%とか120%でぶつかるところから始めたいなと。様子見しながらじゃなく、全力でぶつかっていきたいなと思っているので、よろしくお願いしますね。
なだぎ おぉ、そうなんですね。僕、基本はスロースターターなんですけど(苦笑)。
渡邊 私もなんだよなぁ。どうしよう!
なだぎ 渡邊さんも晶ちゃんも自分の中で腑に落ちる部分が見えて来ると、ぶわーっと(世界観に)入っていける人なのできっと大丈夫ですよ。
小野川 安理さんは高校の先輩なんですけど、似ているものを感じていて。周りから「真っ直ぐな感じが似てるね」って言われたこともあるんですけど。
渡邊 うそ! やったー! 嬉しい!
なだぎ うん、問題のないお2人ですよ。で、僕は自由にやって、怒られながら進めていきたいなと思ってます。
成島 お三方のモチベーションをどう上げていくかは、僕なりに考えたいなと思います。
――では、最後によしもとニュースセンターを読んでくださっているみなさまへ、メッセージをお願いいたします。
渡邊 今回、主催はよしもとさんですし、劇場である神保町花月は成島さんが演出などをいろいろとやられているところじゃないですか。そこへ出させていただくという気持ちが強いので、みなさんのお邪魔をせずに、でも何かを残せたらいいなと思ってます。真摯に演じますので、よろしくお願いします。
小野川 今作を観て"演劇って気軽に観られるものなんだな"と感じて、違う劇場にも足を運んでもらえたら嬉しいですね。お笑いと演劇って同じようでも、観に来てくださる客層は異なると思うんですけど、両方が繋がるような作品にできればと思っています。劇場へ足を運んでいただけたら嬉しいです。
なだぎ 晶ちゃんの言うとおりですね。お笑いと演劇って似て非なるものと言いますか、演劇のお芝居に出させてもらった時、僕のお芝居を観た人からお手紙だとかSNSのメッセージで「ああいう空気になるんですね」っていう感想をいただくことが多いんですよ。今回、僕とみなさんが一緒になることで、その不協和音がいい働きをするはずです。"こういうお芝居って今までなかったな"とか"何、この感覚!"って楽しんでもらえるように頑張ろうと思います。
成島 神保町花月さんではいろいろと演出などをやらせてもらっていて、この劇場に育ててもらったという気持ちもあるので、神保町花月でここまでの作品が作れるんだって思ってもらえるようなものにしたいなと思ってます。普段、足を運んでくださっているみなさんはもちろん、最近はちょっと......という方も、ちょっと興味あるなという方も足を運んで、驚いてもらえたらいいですね。
小野川 で、第2作もまたやれたらいいですよね?
渡邊 うん、やりたい!
なだぎ 次こそ『マーマレード・ボーイ』をね!
【なだぎ武】
舞台『"あかりけした"presents 「手をつなぐには近すぎる」』
脚本:成島秀和(こゆび侍)、セリザワケイコ
演出:成島秀和(こゆび侍)
出演:なだぎ武、渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス)、小野川晶(虚構の劇団)、伊藤修子、ランパンプス、兵藤天貴(天龍)
会場:神保町花月
チケット: 前売3500円/当日4000円
<日程>
6月7日(木)19時開演
6月8日(金)19時開演
6月9日(土)14時開演/18時開演
6月10日(日)14時開演
チケットよしもと( http://yoshimoto.funity.jp)にて発売中!