桂文枝が小学校時代を過ごした大阪市大正区で開催!『参地直笑 祭 in大正区』
平成29年11月22日、大阪市は市民サービスの向上及び地域の一層の活性化を目的として、吉本興業と包括連携協定を締結。この包括連携協定による「地域活性化プロジェクト」の一環として、桂文枝が大阪市24区の特色を盛り込んだ創作落語を作り、『参地直笑 祭』と題したイベントで披露することになりました。第1回は3月17日に大阪市住之江区で開催。そして5月19日(土)には第2回となる『参地直笑 祭 in大正区』が大正区民ホールにて行われました。
まずは大正区住みます芸人のZUMAが前説で登場しました。ジョギング大会や「泉北カーニバル」、工場見学に参加など、大正区で行われているイベントにも参加しているZUMA。会場にも彼らを知っているというお客様がちらほらといらっしゃり、大正区住みます芸人としての存在感も定着しつつあるようです。「文枝師匠は小学生の頃、大正区に住んでいらっしゃったそうなので、大阪市24区の中でも一番の落語になると思います!」とZUMA、会場を盛り上げました。
続いて、文枝がご挨拶を。「大正区に来ることを楽しみにしていました。今日の落語を作るために5回訪れました。大正区の落語に力を入れて作りたいと思ったのは、小学校時代に大正区で過ごしていたからなんです。新千歳のあたりですが、北恩加島小学校に通っていました。今は移転しているので昔の北恩加島小学校がどこにあったのか分からないのですが...」と話しながら、小学校時代の写真をスライドで披露。1年生の時の集合写真では一人だけ下駄を履いていること、母とふたり、製材所に住み込みで暮らしていたころ、ジェーン台風に襲われ辺り一帯が水没してしまったことなど、昔話を繰り広げます。会場に集まった大正区民の皆さんも時折、大きくうなずくなど、思い出を共有しました。
ステージは大阪府住みます芸人でも活躍しているspan!の漫才から始まりました。コンビを組んで14年、街中で声をかけられたいという水本は「出番が終わったら大正区をうろうろしますから!」と声をかけてほしいとアピール。また、漫才はコンビネーションが大事と、卓球のダブルスのシミュレーションで息が合っているかどうかを確かめるなど、動きのあるネタで沸かせました。
続いて桂三金が古典落語の定番「寿限無」を披露。人気の噺だけに、冒頭から「知っている!」という声も会場から上がり、期待感も募ります。学校や家庭が物語の舞台となっている「寿限無」ですが、三金は相撲取りになった寿限無の土俵上での一幕を披露。土俵上で呼び出しや行司、場内アナウンスに名前を呼ばれる場面、そして支度部屋に至るまで、「寿限無寿限無...」と長い名前を繰り返し、汗だくで熱演しました。
いよいよ桂文枝の登場です。大正区の特色を盛り込んだ創作落語のタイトルは「しあわせの護り神(まもりがみ)」です。マクラでは大正区も高齢化が進んでいると文枝。高齢の夫婦の病院でのやり取りなど、会場の皆さんにとっても他人事ではないのか、「わかるわかる」といった様子で頷く方が多く、どっと笑いが起こります。
そして「年はとりたくありませんが、仕方がない。子どもや孫の時代になっていくんです」と本ネタに入りました。噺は、大正区に住むおじいさん同士のやり取りから始まります。おじいさんたちが間に入り、孫同士が出会い、結婚することに。その話題で盛り上がりつつ、大正区に沖縄の人が多い理由や平尾商店街、泉尾商店街など大正区にお住いの方々にとっては馴染みのある地名や固有名詞が次々と飛び出し、噺への親しみがぐっと増しました。また、文枝と同級生という琉球古典音楽の先生、金城さんの名前も登場。大正区を振り返る場面では、小学校の頃はまだ焼け跡が多かったこと、市電のレールがあったこと、小学校5・6年生の時の担任が交通事故で早折してしまったことなど、文枝の中にある色あせない思い出も噺に深みを与えました。
両家顔合わせの舞台となったのは大正区の名物居酒屋「うるま御殿」です。夫となる人物が新大阪駅からうるま御殿へ行くまでは、タクシーの車窓から次々と大正区の風景が流れていき、まるで一緒に移動しているかのような臨場感も楽しめました。また沖縄の方言を指す「うちなー口」も次々と飛び出し、会場を沸かせました。そして噺のクライマックスではハメモノとして金城さんの三線と歌も入り、沖縄色たっぷりの展開となりました。
落語の後には、吉田康人大正区長と文枝との対談もありました。「文枝師匠をはじめ、吉本の皆様のご協力で素晴らしいステージになりました。会場も超満員で、こんなに区民の皆さんが集まったのは成人式以来。こんなに笑ったのは久しぶりでした」と吉田区長。大正区の落語は作りやすかったですか?と文枝にお尋ねになると、「稽古をしていくうちにどんどん長くなったんです」と文枝。「大正区を知ろうと(大正区を通る)バスに乗ったんですけど、車内アナウンスの停留所のイントネーションが大阪弁ではなかったので、大阪弁にしてほしいのと、大正橋を渡るバスを増やしてほしいですね」との文枝からのリクエストもありました。大正区落語を創作するために何度も足を運び、千島の渡し船にも乗った文枝。訪れた場所の名前が飛び出すたびに、会場から「あ~」と声が上がりました。
司会の三金が吉田区長に大正区をどんな街にしたいですか?と質問をすると、「スウェーデンのような街にしたい」と吉田区長。子どもからお年寄りまで、みんなが住みやすいのんびりした街づくりを目指しているそうです。また、大正区で育った若者がいずれは日本を支えるような、人づくり、夢づくりをしたいとのビジョンも語られました。文枝も「ぜひ、泉尾商店街の再活性化を!」とリクエスト、会場からの大きな拍手に包まれて、幕を閉じました。
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