久馬歩作・演出の朗読劇『Love Later』を藤崎マーケット・田崎、百花が熱演!
6月22日(金)~24日(日)、ポストよしもとにて朗読劇『Love Later』が行われました。22日(金)は劇団壱劇屋の西分綾香さんとアインシュタイン・河井、23日(土)は吉本新喜劇・福本愛菜と劇団Patchの三好大貴さん、24日(日)昼公演では南海キャンディーズ・しずちゃんと劇団Patchの井上拓哉さん、同日夜公演では百花と藤崎マーケット・田崎が登場。そのうち、百花&藤崎マーケット・田崎が出演し、完売となった公演をレポートします。
新しい部屋に越してきた男(田崎)が、前の住人が置き去りにした段ボールの中から1冊の日記を見つけ、読み上げます。それは、ある春の日、この部屋で同棲を始めた男女が始めた交換日記でした。田崎が読み上げている間に、日記の持ち主であるアリサ役の百花が舞台に静かに登場し、やがて二人の声が重なります。そしてアリサが心を躍らせながら同棲生活を楽しんでいる様を再現していきました。
淡々と読み進める男。そのうち、アリサの交際相手がヤマトという名前で役者を目指していること、アリサも以前はアイドル志望だったことなど、二人の素性が明らかになっていきます。季節の移ろいとともに変化を見せる二人の関係。日記はいつしかアリサの独白の場になっていくのですが、その相手も徐々に変わっていきます。ですが、それはいずれもアリサにとって大切な人ばかりでした。
日記に綴る内容を感情豊かに表現する百花。淡々と読み進めながらも、観客の気持ちを代弁するかのようなツッコミも欠かさない田崎。また、日記に出てくる人物になり切る一面もあり、特にアリサのお父さんが登場する場面では貫禄たっぷり、本当にパパになっていました。会話を交わすように交換日記を読み進めるシーンでは、日記を綴る百花の動きとページをめくる田崎の動きがシンクロ。それぞれ異なる時空にいたはずが、同じ時、同じ場所に存在しているかのように、どんどんと二人の間の密度が濃くなっていきます。それは、舞台と客席の距離も同様で、次の日記ではどんな展開を見せるのか、徐々に前のめりになっていくように会場の意識が集中していきました。
前半はほのぼのした交換日記でしたが、後半に進むにつれ怪しくなる雲行き。そして、二人はやがて誰も想像もしていなかった未来に立っていました。加えて、物語はややサスペンスめいた流れにもなり、固唾を飲んで行方を見守る場面も。思いもよらない事実が判明したラストシーン。感情の起伏をそれほど見せず、ただただ朗読する田崎でしたが、その落ち着いた声色がなおさら様々な感情を駆り立て、涙をぬぐう人の姿もありました。
エンディングでは作者の久馬歩も舞台に登場。田崎は開口一番に「泣きそうでした!」と照れ笑い。久馬によると、初日に出演し、田崎と同じ役をしたアインシュタイン・河井が「田崎は泣くことないと思いますよ」と言っていたそうですが、田崎の中ではこみ上げるものがあったようです。百花も「稽古の段階で泣いていました」と振り返りました。また、衣装は百花の私服、公演に合わせて選んだそうです。「こんな作品、どうしたら書けるんですか⁉」と田崎、わずか1時間の間に高低差の激しい世界をグラデーションのように展開した久馬に参りましたと言わんばかりでした。男女の交換日記がメインだった『Love Later』ですが、「次回はぜひ、田崎くんの相方のトキくんが綴った『NEM盗られ日記』の舞台化で...」と久馬、最後はしっかり笑いを誘いました。
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