感謝の気持ちを込めた公演がスタート! 「芸能生活50周年記念公演 月亭八方 落語誘笑会」
月亭八方の芸能生活50周年を迎える記念公演「芸能生活50周年記念公演 月亭八方 落語誘笑会」。皮切りとなる初公演が8月18日(土)、名古屋能楽堂にて開かれました。
大きな拍手に迎えられて登場した主役の月亭八方は、「ようこそお越しいただいて、ありがとうございます。芸能生活50周年の公演に多数の方にお越しいただき、本当にありがとうございます」とご挨拶。
「名古屋と言いますと、少し私も縁がございまして。私の母親が名古屋に近い京都の生まれ」と切り出すと、会場からは早くも笑いが。「そして父親も名古屋と縁の深い和歌山の生まれ。そんな関係で、名古屋は私にとって第2の故郷のような気持ちがするんですけれども」と沸かせます。
続けて「師匠の月亭可朝に弟子入りして50年。師匠は今年の3月に亡くなりましたが、『飲む・打つ・買うができんと、落語家や芸人は大成せんのや』と教えられました」と、入門時を回想します。「有名になりたい、お金持ちになりたいとは思っていませんでした。でも、落語家・月亭八方のままで一生を終えたいなぁとは考えていたんです。今、70歳。もう転職はできそうにないので、その夢は叶いそうです」と、おどけながらも入門時に抱いていた夢について語りました。
そして、事前の会見で必ず披露すると約束していた定番の楽屋噺へ。数ある楽屋噺のなかでも「忘れられないヒット作品」と自信を持つエピソードに会場は笑いに包まれます。
笑いの余韻が残るなかで披露されたのが古典落語の「親子酒」。口調、ふら~りと体を揺らせる酔っぱらいの細やかな描写で、親子揃って大酒のみの二人を演じました。
次に登場したのが弟子の月亭八光。「それにしても今日の会場は、噂に聞いてましたが出てくる時の渡り廊下が長いですね。ただ、万が一、落語でしくじったら帰りの方がもっと長く感じるんでしょうね」と、名古屋能楽堂ならではの渡り廊下について触れて、会場を盛り上げます。月亭八光にとって大師匠にあたる月亭可朝のエピソード、今年の夏の猛暑、さらに話は宇宙船へと飛躍。壮大なテーマに身近な話題を盛り込みながら会場を引き付けると、落語「幽霊の辻」を披露します。
話は、大阪から堀越村へと向かう主人公の男性が途中、茶屋に立ち寄り村への道を尋ねるというところから始まります。すると、茶屋のおばあさんは村へと続く道中にまつわる怖い話を聞かせます。おばあさんの話を思い出しながら、提灯片手に道中を行く場面では、月亭八光の動き、顔の表情までを会場が固唾をのんで見守ることに。夏らしいスリルと笑いに満ちた「幽霊の辻」となりました。
3人目に登場したのが、同じく弟子の月亭方正。「師匠について10年。月亭方正に改名して5年。今年で自分も50歳ですが、顔の可愛さなら誰にも負けない」と話して、会場を沸かせます。さらに、顔写真から年齢を判別する携帯電話用アプリを使ったエピソードで爆笑を取ると手ごたえを感じたのか小さくガッツポーズ。「今日はありがとうございました」と枕を終えたところで切り上げようとして、さらに笑いを誘います。
披露したのは上方落語の「大安売」。あらすじは、上方の相撲取りが江戸で行われる相撲の本場所に出場したというもの。なかなか勝てない相撲取り、本場所での勝敗を聞きたいとせがむ町の若い衆をテンポよく演じました。
仲入後は、再び月亭八方の出番。自身の50周年を祝う記念公演で最後の一席として選んだのが上方落語の「算段の平兵衛」です。「学生の頃、師匠が演じているのを聞いて、面白いという思い以上に、カッコいいなと思った」という「算段の平兵衛」は、段取りの上手い平兵衛が、次々に村人からの依頼を受けて難題を解決し、その見返りに依頼主からお金を得ていくというもの。
博打好きで機転の利く平兵衛、女性の艶っぽさを見せるお花、嫉妬にあたる悋気が強い庄屋の妻を巧みに演じ分ける月亭八方。話の重要なシーンである盆踊りの場面では、笛や太鼓に合わせた手の所作で、盆踊りの輪の中にいるような臨場感を会場へと伝えます。
落語家により、様々なオチが用いられる「算段の平兵衛」を50周年記念公演ならではのオチで締めてみせた月亭八方に会場からは温かく、大きな拍手が贈られました。
公演はこの後、9月1日(土)東京・三越劇場、9月15日(土)徳島・鳴門市文化会館、10月6日(土)兵庫・さよう情報文化センター、10月26日(金)なんばグランド花月にて行われます。
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