清水啓之が初座長となってお届けした『吉本新喜劇2026』
6月9日、なんばグランド花月で『清水啓之の吉本新喜劇2026』が開かれました。この『吉本新喜劇2026』は、2016年1月から始まった若手座員を中心にした新シリーズ。10年後の吉本新喜劇を担う人材を育成すべく、若手に活躍の場を与える舞台でもあります。座長は持ち回り制、これまで信濃岳夫、太田芳伸、新名徹郎、吉田裕、安井まさじ、佐藤太一郎が座長を務めてきました。決められたセットで物語を考えるのも当シリーズの特徴。6月は旅館のセットで、まずは9日に清水啓之座長の回が上演されました。
清水啓之の新喜劇は、花月旅館を舞台にした"スパイもの"。花月旅館に自分達の旅館を潰されたと思い込んだ兄弟が当旅館にアルバイトとして侵入し、顧客リストを盗もうと企むのですが...。
花月旅館を営むのは徹郎(新名徹郎)と早苗(金原早苗)の兄妹。オープニングは客の信行(滝見信行)と安世(井上安世)カップルの来館シーンから。旅館の名物"花月の滝"を案内された二人と徹郎・早苗兄妹のやり取りで笑いを誘います。
そこへやってきたのが、兄・岳夫(信濃岳夫)と弟・啓之(清水啓之)。ふたりは他人を装ってアルバイトの面接に来たのです。この日の座長の登場に沸く会場。そんな啓之はスーツ姿、舞台に出たばかりなのに汗だくで、徹郎たちに「汗だくや」といじられっぱなし。タジタジの啓之、さらに汗が噴き出ていました。アルバイトの面接で落とされた啓之は武田鉄矢さんのモノマネで不服申し立て。必死の懇願で働けることになり、早速旅館のハッピを羽織るのですが、カッターシャツの上からにも関わらず、汗がじんわりにじんでおり、ここでもまた汗いじりが止まりません。
岳夫もアルバイトの面接に受かり、働くことに。そこで料理人の諸見里(諸見里大介)と清掃係のいちじま(いちじまだいき)を紹介してもらいます。滑舌の悪い諸見里、声が高すぎるいちじまと、個性派が揃い舞台は一層、賑やかになりました。
続いて現れたのは警官のレイ(レイチェル)とまりこ(森田まりこ)。新しく赴任したまりこを紹介するレイ。まりこは宝塚風の挨拶、レイは歌ネタを取り入れて詐欺事件発生の報せを告げるなど、ますます騒がしくなる旅館ロビー。花月旅館に侵入成功を果たした岳夫と啓之は警官に目をつけられないうちに顧客情報を盗もうと、実行に移します。そこで邪魔になるのが徹郎と早苗です。顧客情報をダウンロードしている事務所へ近づかせまいと、、あの手この手で阻止します。入れ替わり立ち代わり、舞台を横切り事務所へ入ろうとする徹郎と早苗が。直前で阻止するふたり。4人の攻防戦が続く中、スーッと舞台を通り過ぎた宿泊客のもりすけ。ステテコ姿で温泉へと無言で急ぐもりすけの出現に、「お前誰やねん!!」と啓之のツッコミが冴えわたりました。
ですが万策が尽き、徹郎にばれてしまいました。「誰や!」と犯人捜しに躍起になる徹郎。啓之が謝ろうと一歩踏み出すより先に、諸見里といちじまが謝罪。実はふたりも兄弟、借金の返済にあてる目的で個人情報を盗み出そうと花月旅館に侵入していたのでした。
そんな騒動も落ち着いたところ、今度はテレビのクルーがやってきます。旅番組ディレクターの佐藤(佐藤太一郎)、カメラマンの安井(安井まさじ)、音声の今別府(今別府直之)が世界的な美食家で知られる海原雄子先生を旅人役に見立て、全国放送で花月旅館を紹介するというのです。そしてやってきたのが酒井藍扮する海原先生。着物姿で貫録たっぷりです。その姿にはどよめきが起こるほどでした。酒井は登場するなり啓之とコンビを組んでのノリツッコミで沸かせました。また、今別府、安井との"乳首ギャグ"も引き出す啓之。汗だくになりながらも、やがては「へぇ!」と持ち前の高音を発していました。
第三幕は、お客さんで賑わう花月旅館からスタート。鮫島幸恵、平田健太、吉岡友見、もじゃ吉田、服部秀子、音羽一憲たちが楽しそうに過ごしています。さきの旅番組が功を奏し、お客さんが増加したという嬉しい状況に。そこに現れたのが啓之。日々の努力が認められ、番頭に出世したのでした。
番頭姿も板につきはじめたその頃、太田(太田芳伸)が「お邪魔死にます!」と旅館に飛び込んできました。そして松浦(松浦真也)、吉田(吉田裕)と3人で借金の取り立てに旅館へやってたのでした。岳夫・啓之兄弟には、父親が残した借金があったのです。借金取りに追われる身でありながら、啓之らは吉田の「マキバオー」いじりに余念がありません。続いて太田が松浦のギターに乗せて借金の経緯を語るのですが、雰囲気の異なるBGMばかり弾く松浦。自在に楽器を繰る様に、お客様も感心した様子でした。
太田らの登場により、兄弟の父親が亡くなった本当の理由も判明。意外な事実に啓之が「............へー!!」と少し遅れてビックリ! 借金も徹郎が肩代わりしてくれることとなり、物語は大団円...と思いきや、岳夫と早苗の淡い恋模様も意外な結末に。ですが、最後はみんな笑顔で幕を閉じました。
エンディングでは「たくさんのお客様が入ってくれて嬉しい限りです。また会いましょう!」と啓之、そうそうと幕を閉じようとする姿に「なんで?」とツッコミを入れる座員たち。最後は「もっと緊張するかと思いましたが、楽しくできました!」と満足げな表情を浮かべて、「じゃ、帰りますか!」と初の座長公演を終えました。
次回は、7月6日(水)19時より『森田展義の吉本新喜劇2026』が、7月7日(木)19時より『松浦真也の吉本新喜劇2026』を開催! どんな新喜劇を見せてくれるか、こちらもお楽しみに!!
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