いよいよ11月1日開演! 東京コミコンコラボ公演 劇団アメコミリーグVol.1『アメコミリーグ ビギンズ』修士×なだぎ×竹若×ますもとたくや座談会
11月1日(木)~4日(日)まで神保町花月にて上演される、劇団アメコミリーグの旗揚げ公演、『アメコミリーグ ビギンズ』。これまでトークイベントを中心に行ってきた、アメコミ好き芸人ユニット「アメコミリーグ」の彼らが、今なぜ劇団を立ち上げることになったのでしょうか? おもしろ佐藤がフィリピンに行っていていまだ不在の中、修士、なだぎ、竹若の3名と、脚本・演出を手がけるますもと氏に、稽古前の貴重な時間にお邪魔し、お話を伺ってきました!
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(左より、竹若元博、ますもとたくや、川谷修士、なだぎ武)
ーーもともとアメコミ好き芸人のユニット・アメコミリーグとして、2014年からトークイベントなどをされていたと思うのですが、今回、「アメコミリーグ芝居」という新たなコンテンツを立ち上げられたのはなぜですか?
修士 もともと、アメコミリーグというイベントに、ますもとさんにレギュラーゲストみたいな感じで出ていただいてたんです。
ますもと 一度マーベル(アメコミ出版社のマーベル・コミック)でお仕事させていただいたのがきっかけでイベントに呼んでいただきまして。
修士 僕は昔、ますもとさんの劇団のお芝居に出たりもしていたので「いつかお芝居したいなぁ」ということは言っていて。
ーーじゃあ、なんとなく「そのうちお芝居を......」というのは以前から考えていた?
竹若 できたらいいなぁというのは思ってました。ただ、ますもとさんがベシャリが立つんで、普通にイベントでおしゃべり要員として活躍されてたんですよね。しゃべれへんかったらもっと早く「書いてもらおうか」ってなってたと思うんですけど。なんやったら「この人、書ける人やったんや」っていうのを忘れてました(笑)。
全員(笑)。
ますもと でも結構みなさんも舞台やられてたんで、これはできるんやないかなというのは僕も思ってました。
ーーアメリカのコミックを日本で芝居にするというのが少しイメージしづらいんですが、ズバリ、アメコミのお芝居とはどんなものなのでしょうか?
ますもと これ、いい機会やと思うんで言いたいんですけど、僕、以前に「アメコミシアター」っていう自分の劇団をやってた時も悩んでて。結局アメコミーーマーベルとかDCコミックのマニアックなネタをぶっ込んでも、観客は"シーン"なんです。だからやっぱり、アメコミテイストというか、イメージをうまく使って「こういうモチーフよくあるよね」っていうのを使うのがいちばん正しいやり方だなっていうのを2014年にやらせていただいた舞台で思ったんですよね。マニアックなことはいつも「アメコミリーグ」でお話しさせてもらってるんで、とりあえずとっつきやすいとこからというか。
竹若 詳しくない人も持ってるイメージですよね。いいヒーローがいたり、悪い敵がいたり。そういうところはしっかり押さえているので、あまり知らない人でも大丈夫ですよね。
ますもと だから、詳しくないと見れないなんてことは全然ないです。
ーーじゃあ、お芝居から興味を持つ、というのもあり?
なだぎ それはありがたいですね。そもそも、ふだんのアメコミリーグのイベントの感じもそうなんです。持ってる知識を出すとかじゃなくて、とにかく笑えるようにアメコミを紹介して、ちょっとでも興味を持った人が「じゃあ映画を観てみようかな」とか「原作読んでみよう」みたいなことを思ってくれたらいいな、みたいな感じのイベントなんですよ。だから、今回のお芝居もそんなテイストになればいいかなって。
ーー全然マニアックなものではないんですね。
竹若 全然。むしろ、マニアックさはできるだけ排除しようと思ってますし、僕らもマニアっていうよりはただ「アメコミが好き」っていうポジションなので。
なだぎ マニアな人はいっぱいいて、マニアックなイベントもその人たちがやってるんですよ。だから、我々の方はとにかく笑える感じが基本にあって、その中で興味を持ってくれたらいいな、というコンセプトですね。
竹若 "アメコミ新喜劇"やと思ってます。
修士 (笑)。いいですね。いろんな新喜劇ありますやん、ラグビー新喜劇とか。
なだぎ そんなん知らんて、誰も。NSCで一回やっただけやん、それ。......だから、のちのちロバート・ダウニーJr.が出てくれたらいいな、みたいな。
一同 (爆笑)。
ますもと 僕、毎回アメコミリーグ出てて楽しいんですよ。「アメコミをイジってもいいんだ」っていうのが楽しくて。
なだぎ そうですね。そういうコンセプトが反映されたお芝居になれば。でも本当に笑えるお芝居になってると思います。
ーーアメコミといえば「コスプレをする人が多い」イメージがあるんですけど、今回のお芝居も衣装にはこだわっているのでしょうか?
ますもと そうですね。実は「アメコミリーグ」という架空のヒーローのコスチュームがありまして、それをみなさん着ることになると思います。
ーーみなさん、同じ衣装なんですか?
ますもと カラーが分かれてまして、この人はこういう能力、この人はこういう能力と、『X-MEN』的な感じのものを考えてます。
修士 チラシにもちょっと書かれてるんですけど(と、左上に書かれたイラストを指差し)僕は赤なんです。
なだぎ ただおもしろ佐藤に関しては、これ全然違います(と、チラシ左下に書かれたおもしろ佐藤を指差す)。
ーーえ!? これおもしろ佐藤さんですか?......色黒すぎません(笑)?
なだぎ でも今フィリピンに行ってるので、もしかしたらこれより黒くなって帰ってくるかもしれないです。(注*現在は帰国しています)
ーーじゃあ、日焼けを見越しての......(笑)。それにしても佐藤さん、稽古にはいつから参加されるんですか?
竹若 そうなんですよ! 本番だけ空いてるんです。
なだぎ だから、本番一発ぐらいです、こいつに関しては。
ーーということは、出番的にはそんなにない感じ?
なだぎ いや、ずっと出てもらいます。
全員 (爆笑)。
修士 困らしてやろうと思ってます。
竹若 一応台本は送って「覚えとかなしばくぞ」とは言ってるんですけど、本番では(台本と)全然違うことをやるかもしれません。
なだぎ でも、練習させへん方がもしかしたら跳ねるかもわからないです。変に練習するよりも。
ーーそんなの、ドッキリじゃないですか(笑)。じゃあ、練習の時は代役の方が?
竹若 そうですね。代役の方が今面白くてね。出来上がってきてます。あんまり達者なんでね。
なだぎ 今、パソコンいじってる彼(とスタッフを指差し)にも別の人の代役をやってもらってるんですけど、あの子がね、ビックリするぐらい棒読みなんですよ。でも逆にその棒読み感がクセになってきて。昨日の稽古にはいなかったんですけど、だいぶ寂しかったです(笑)。本役(演じる本人)は役者なんでバリバリ芝居するんですけど、なんか、全然面白くない......(笑)。普通なんですよ。一個超えてきてほしいんですよね~、いろんな意味で。
修士 うまいんですけどね。
なだぎ でも、うまいやつなんていっぱいいるんで。あれほど棒読みなんはあいつだけやと思うんです。むちゃくちゃ面白いんですよ。ラスボスおまえかい、みたいな。それこそ新喜劇のノリですよね。
ーー(笑)。とにかく佐藤さんに関しては、どうなるか、本番までのお楽しみ......!?
なだぎ 英語勉強して帰ってくるんで、もしかしたら、台本は日本語で書いてますけど「オレ、全部英語で言いたい」とか言うかもわかんないし。そうなったら全部英語でやらせます。もしかしたら我が強くなって帰ってくるかもしれないんで。
ーー色が黒くなるだけでなく......(笑)。
なだぎ 我も強くなって(笑)。
修士 でも、ちょっとでも偉そうなこと言ったらしばき回しますけど。
なだぎ 気が大きくなって帰ってくるかもわからないので、こっちが身構えとかんと。
ますもと なんかでも、将来的にこのお芝居の一部分をコントにしたやつを英訳版とかにしてみんなで海外でやれたらいいですね。まずは佐藤さんの知り合いを呼んでもらって、フィリピン公演でもいいですし。
ーーそういえば、今作は東京コミコン(日米の映画・コミック・アニメ・ゲームなどのポップカルチャーを扱ったイベント)とコラボしているそうですが、将来的にはコミコンの会場でも何かやれると面白そうですね。
竹若 ねぇ。コミコンの舞台で上演できたらいいですね。
なだぎ 最高やな。
修士 あと、コミコンにはコスプレイヤーの方も多くて、すごいんですよ。クオリティも高いし、その人たちのファンもいたりして。その人たちともいつかコラボできたらいいですね。
竹若 最高峰の人たちが来てる感じするもんね、あそこに。
修士 だから、その場合は"コスプレ新喜劇"ですよね。
なだぎ 自前の衣装を持って来てもらったら、衣装代もかからんしね。だってもう、衣装が映画さながらの仕上がりなんですよ、こだわって作ってはるから。
ーー今回旗揚げ公演ですけど、どんどんクロスオーバーしていくといいですね。
竹若 コミコンはアメリカにもインドネシアにも......世界中にあるんで、実際、ちょっと前に「インドネシアのコミコンに行きたいな」みたいなことも言ってたんですけど、これ(『アメコミリーグ ビギンズ』)が仕上がったら、これを英語に直したりとか。
ーー海外で「アメコミ新喜劇」を上演できたら、同時に日本のお笑いも紹介できますし、いいですね!
なだぎ ぜひ挑戦してみたいです。ただ1時間半ずっとスベってるかもわかりませんけど。
全員 (爆笑)。
竹若 変な顔とか動きした時だけウケるとか。
ーー稽古場の雰囲気は現在どんな感じですか?
ますもと 深夜に稽古することが多いので、その稽古でめちゃくちゃ笑ったなと思って家に帰って、起きると何もかも忘れてる時あります。「何がおもろいんやったっけ?」って。
修士 深夜のノリでね。
なだぎ もう、作ってる側も演じてる側もだいぶ老化が入ってるんで。
全員 (笑)。
なだぎ 2時3時過ぎたらもう何やってるかわからへん、自分で(笑)。ただ僕、ビックリしたのが、初回の本読みの時、台本が1/3しかできてなかったんですよ。それが10月の半ばなんですよ? だいぶ心配したんですけど、稽古が始まったらテンポよくできてきたんで、すごく安心しました。でも稽古したのに、次の日また変わってるんですよ(笑)。
修士 どんどんアイデアが出る方なんで。
竹若 稽古を見て、思いついたことをまた次に活かすみたいな。
なだぎ アップデートアップデートなんですよね。
修士 ただ、見てすぐ飽きるんですよ(笑)。
なだぎ 昨日も青木(俊輔)くんに「声を高くしろ」って言って、3回ぐらい見てもう飽きて、「おまえいつまでやってんねん」て言うてましたよ。
修士 (笑)。僕、怖いのが、本番の前日に台本がめっちゃ増えてたらどうしようって......。
なだぎ あるみたいなんです、この人は。
ますもと (笑)。じゃあ、逆にもう稽古せんときましょうか。
ーーますもとさんはいろんな作品を手がけていらっしゃいますが、「アメコミリーグ」だからということで気をつけられた点などはありますか?
ますもと いや、でもホントに自由にさせてもらって、すごく楽しいです、僕自身は。もう、普段はストレスフルな仕事ばっかりで......。
修士 (笑)。いや、そんなことないでしょ。
ますもと (脚本に)書いた通りのイメージかそれ以上にみなさんやってくれるので楽しいですね、やりがいがあるというか。
ーー今作の見どころを教えてください。
修士 今回、二葉兄弟という双子のイケメンに出てもらってるんですけど、すごい好青年で。
ますもと 僕、以前お兄ちゃんの方と一緒にお芝居したんですけど、関西人ということもあって、芸人さんとの芝居のカンがすごくいいなと思って。「これは絶対ハマるぞ」ということで今回お願いしました。
なだぎ 今回この舞台の主題歌も歌ってもらってるんですけど、カッコいいんですよ、この曲が。
ーー双子ということを活かした役柄、ということですよね?
修士 あっ! ありがとうございます。
なだぎ それはそうですね。逆に活かしてない方が......(笑)。全然活かしてへんやん!ってなるから。今回はガッツリ活かさせていただいてます。
ますもと 築田(行子)ちゃんも天然なキャラなんですけど、結構面白い方なんで。
修士 だから、芸人芸人してる舞台ではないですよね。
竹若 全員の見せ場というか、特徴がすごく出てるシーンがたっぷりあるっていうのはいいですね。なんか、この4人だけが目立ってる舞台では絶対ないし、みんながそれぞれ刺激を受けあっていい味出し合っている舞台なので。
修士 どこを切り取っても楽しいと思います。
ーー築田さんはいわゆるヒロイン役なのでしょうか?
竹若 ヒロイン、というのではないかなぁ。アメコミリーグメンバーが、もう愛だ恋だという年齢じゃないんでね......(笑)。
なだぎ クソジジイばっかりですから。お父さん世代というか。
竹若 見てて無理が出てくるんで、ますもとさんも「これ、ちょっと恋人関係とか無理やな......」って思わはったと思うんで(笑)。
ますもと いやいや......。
修士 だってこんなん、恋とかしたらただの『黄昏流星群』ですやん!
全員 (爆笑)。
なだぎ 中年の恋物語なんて、誰もたぶん見たくないと思いますんで。それがイケメンやったらいいですけど、クソみたいな顔ばっかりなんで。
ーーそんな(笑)。でも舞台のお芝居って、わりと何歳にでもなれるじゃないですか。
竹若 そこまでの演技力がないんで......。
全員 (笑)。
ますもと よかれと思って言うてくれてはんのに(笑)。
ーーでは最後に、読者にメッセージをお願いします!
修士 今作はいろんな人に見てもらって、ああだこうだ言っていただきたいので、ひとりで来られる方ももちろんありがたいんですけど、それについて友達と話したいはずなので、絶対友達を誘ってほしいなと。この記事を読んでる最中に、すぐに友達にラインを送ってください。
なだぎ 今年もあと2カ月で終わるくらいの時期になってきてるんで、「ちょっと一発面白そうなの見に行こか」みたいな。「アメコミそんなに知らんけど、どんな感じなんやろ?」って興味のある方はぜひとも見にきていただいて、どんどんSNSで拡散していただいて、『カメラを止めるな』ぐらいまで広がったらいいなと思ってます。
竹若 いろんな要素が、ちょっと詰め込みすぎちゃうの?っていうぐらい詰め込まれてて、アメコミをあまり知らない方でも楽しめると思いますし、楽しいと感じる部分が人それぞれあると思うので、みなさんの反応でアメコミリーグはその人気ある方に向かって行くと思います。実際に観にきていただいて、「あそこの部分が楽しかった」とか言うてもらえれば、すぐそっちの方になびいていきますので、みなさんに準ずる劇団として、今後もいろんなところでやっていきたいなと思ってるんで、将来を見越して観ていただければと思います。
ますもと 今回、"少年心"というのがテーマになってまして、みなさんが一回忘れてるんじゃないかな?っていう、大人になって、日々を過ごすうちに忘れているものを取り戻せるようなお芝居になってると思いますので、お楽しみに。