最新ニュースインタビューライブレポート

インタビュー

2014年6月17日 (火)

「理想は帰りのエレベーターで…」 東京での単独ライブを控えた天竺鼠インタビュー!

東京・ルミネtheよしもとでの単独ライブ『単独のタイトルはみなさんにおまかせします』の開催が、6月22日(日)と迫ってきた天竺鼠。
そこで、単独ライブへ臨むスタンスや珍妙なタイトルへのこだわり(?)や、地元・鹿児島での単独ライブの様子、さらには昨年と今年の『キングオブコント』についても話を伺いました。

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※左から、川原克己(かわはらかつみ)、瀬下豊(せしたゆたか)


――去る5月17日には、お二人の地元である鹿児島で、初の単独ライブを開催されましたね。

瀬下 はい。鹿児島って僕も含めてですけど、お笑いライブを観に行くっていう感覚があまりない県なんですよ。どういった反応があるのかなって思ってたんですが、鹿児島の人ってすごいお笑い好きなんだなっていうのも感じれましたね。最初、鹿児島弁で挨拶したら返しがあるっていうのがうれしかったです。
川原 友達とか両親も来ました。テレビとかはやりたいことやっても、特に僕なんかは全部カットされるんで、舞台はそんなことないんで、本当にやりたいことはこういうことなんだっていうのは見せれました。もちろん、両親はキョトンとしてましたけど。
瀬下 してたなあ(笑)。
川原 基本、好きなこと10割やって、笑える人は笑ってくださいみたいなやり方をずっとやってきて、それを見た親がキョトンとして、心配になったと思います(笑)。
瀬下 僕の親も観に来てたんですけど、それまで見てきた漫才とは全然違うことをやってるわけです。だから、まわりが笑ってるから合わせて、笑ってる感じの時もありましたね(笑)。

――お笑いで、故郷に錦を飾った感は?

川原 劇場があるわけじゃないし、お笑いが身近じゃないところなので、それに関しては、お笑いという文化をポンッと鹿児島に入れれたんかなあと思いますね。偉そうな感じになりますけど、また鹿児島から面白い人が出てきて一緒にやれたらなと。

――そして、ルミネtheよしもとでの単独ライブが、6月22日(日)と迫ってきました。まず、『単独のタイトルはみなさんにおまかせします』というタイトルに触れざるえないのですが……。

瀬下 そうですよね(笑)。
川原 毎回、僕が付けさせてもらってるんですけど、今までも単独名をお客さんが楽しみにしていて、『交通手段バイクの人限定ライヴ』や『便秘のお客さん限定ライブ』、『満員御礼ゲリラライブ』とかつけてたんですが、正直面倒臭くなりました。もう自分たちで考えてくれっていうことです。
瀬下 そうやったんかい(笑)。

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――ハードル上げ過ぎちゃった感もありますね(笑)。

川原 今回まではいいですけど、次は何にしようかなって、今から悩んでるんですよね(笑)。
瀬下 僕は、ツイッターとかでタイトルを知ることもありますから、楽しみにしているところはありますね。お客さんから、『バイクの人』行きますとか言われて、「それ、何?」ってなることも(笑)。問い合わせもありますよ。『カリスマ美容師の人限定ライブ』の時は「私、美容師じゃないんですけど、いいんですか?」とかツイッターで訊かれたり(笑)。真面目な方、素直な方もいらっしゃいますんでね。

――内容とタイトルはリンクしないんですよね?

川原 そうですね。このタイトルだからこそということはひとつもしません。僕が目指してるというか理想なのは、ライブを見終えて、「何の時間だったんだろう」「何を見せられたんだろう」って思ってもらえたら成功。大爆笑というよりも、「何だったんだろう」って言いながら、ニヤニヤして帰ってもらうのが理想ですね。

――ルミネのエレベーターで、みんなでニヤニヤしながら帰って欲しいと。

川原 そうですね。首、こうひねりながら。
瀬下 満員のエレベーターのなか、全員がね(笑)。

――東京だとファン歴の浅い方や初めて見るお客さんも多いと思いますが、その辺は考慮しますか?

川原 しないです。どこも、自分が好きなことをぶつけてきて、それで離れていった人もいっぱいいるでしょうし、でもそれで深く入ってくれた人はなかなか抜けないんで、大阪で今来てくれてる方は、昔からの根強いお客さんが多いですね。好き嫌いは、僕らの場合はあると思います。

――男性客の割合も比較的、多いそうで。

川原 多いですね。いかつい兄ちゃんが出待ちしてくれたり。
瀬下 自分らが、男性のお笑いが好きで見てきたわけじゃないですか。そういうことですから、男性ファンの存在はうれしいですよね。

――ネタはもちろん、衣装、小道具へのこだわりも強く感じますね。

川原 よう出てくるのは、グラサンに革ジャンに短パンの奴。10年間、いろんな恰好したんですけど、あいつが一番腹立つんですよ。いいこと言っても腹立つし、間をたっぷり使うのも腹立つし、そのへんは新しいのも見つけたいなとは思うんですけどね。

――「腹立つ」という客観性は、稽古をビデオで撮影してるとか?

川原 演じていたり、鏡に向かってボソボソと言ってみて、「こいつ、腹立つな」って感じるところですね。
瀬下 僕は本人じゃないんで、客観的にしか見れませんけど、イライラしますね(笑)。「何こいつ言うてんねん」「何やってんねん」って笑ってしまいますね。

――前回の東京公演では、VTRで東野幸治さんが出演したり、豪華でしたね。その辺は今回も期待してよいですか?

川原 僕らの単独を観に来てくれる人はわかると思うんですけど、VTRが結構長いんですよ。着替えるまでの時間稼ぎではなく、ネタと同じくらい力を入れてますので、期待してください。でも、ゲストという面では、この前の大阪で、初めて舞台にゲストを呼んでコーナーをやったんで、そうなるかもしれませんね。
瀬下 大阪では、ダイアンの津田さんに来ていただいたんですけど、はちゃめちゃなことに付きあわせてしまいました。先輩には申し訳ないんですけど、第三者として見たらものすごく楽しかったです(笑)。

――例えば、最近もきゃりーぱみゅぱみゅさんが、天竺鼠ファンをツイッターで公言したりもしてますが。

川原 何年か前から言ってくれていて、ありがたいですね。無理でしょうけど、VTRで適当に使いたいなと。
瀬下 適当に(笑)。
川原 浅野忠信さんと個人的に連絡を取り合ってるんですが、エキストラで浅野忠信さんを使ったら面白いっていう話もしたんです。そういうのもいつかは実現できたらいいですね。

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――楽しみにしています(笑)。天竺鼠さんと言えば、『キングオブコント』での活躍を見て、単独ライブに足を運ぶお客さんもいると思いますが、特に去年の寿司ネタの反響は大きかったんじゃないですか?

川原 そうなんですよ。僕らのことを知らない小さいお子さんから年配の方まで、結構幅広い層の人が「あれ見たよ」って言ってくれて。あれこそ「何の時間やねん」っていうネタで、首ひねりながらニヤニヤできたネタかなって思いますね。

――お寿司屋さんなどからCMのオファーがあったりは?

川原 そういう方向もあったんですが……使いやすくはないでしょ。
瀬下 アハハハ!
川原 心配の方が強いですよね。ヒカリモノの団体から「あれからヒカリモノの出荷、減った」とか抗議されてもね。
瀬下 サバの会社もあるでしょうからね(笑)。
川原 マネージャーと真剣にそういう話も出たんです。回転寿司のCMで、サバを出さずに玉子だけ踊る……みたいな話をしていて、「これ、なんなんだろう?」って。
瀬下 (笑)。
川原 今のところは、お寿司がらみのクイズの出題で呼ばれたくらいですね。

――『キングオブコント2014』にはすでにエントリーし、優勝公約もメディア向けに発表されてますね。瀬下さんは、「ファンの方に賞金で祝勝会を奢ります。先着100名様です」とのこと。

瀬下 僕がそれだけのお金をもらったら何かに使わんと、申し訳ないなという気持ちでして、本気ですよ。どういう基準かわからないですけど、ファンを集めて、みんなで乾杯したい。すごい豪華じゃなくても、庶民的なところを貸し切りで、みんなで仲良く飲みたいですね。

――500万円が瀬下さんに渡るとして、ひとり5万円分とは、かなり豪勢ですね。

瀬下 全部は使わないですよ(笑)。

――あ、そうでしたか(笑)。では最後に、よしもとニュースセンターの読者へメッセージをお願いします。

川原 この前、大阪でやったネタをリニューアルするのもありますが、今回は東京ならではのネタも作ろうかなと思ってます。今はまったく、思い浮かびません。ゼロの状態です。
瀬下 ゼロ(笑)。こういう時は、「いろんな方を誘って観に来てください」って言うべきなんでしょうけど、あまりそういうことも言えないので(笑)。ホンマに見たいと思って、来てくれる方を求めてます。東京ならではのネタも、ファンと一緒くらいに僕も楽しみにしてますので、一緒に笑いましょう!

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天竺鼠単独ライブ「単独のタイトルはみなさんにおまかせします」
◯出演:天竺鼠
◯日時:2014年6月22日(日)
◯場所:ルミネtheよしもと
◯時間:19:00開場・19:30〜21:00
◯料金:前売2300円・当日2500円(全席指定)
◯Yコード:999-050
◯発売日:発売中
◯チケットよしもと 予約・お問合せ
http://ticket.yoshimoto.co.jp
・TEL:0570-550-100
(お問合せは 10:00〜19:00)
◯チケットぴあ
TEL:0570‐02‐9999
http://t.pia.jp/
Pコード:597-721
◯ローソンチケット
http://l-tike.com/
TEL:0570-000-407
Lコード:35212
◯イープラス
http://eplus.jp/



●「なすびのたべれないフィギュア」発売!

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発売日:6月22日(日) ※数量限定発売
販売場所:よしもとテレビ通り なんばグランド花月店/よしもとテレビ通り 新宿店/よしもとプレミアムショップ
http://yoshimotoclub.jp/
販売価格:1,200円(本体価格1,111円)

6/22(日)天竺鼠単独ライブ​​「単独のタイトルはみなさんにおまかせします」公演終了後に「発売記念なすびとの撮影会」を行います。(21:30頃からを予定しております)
当日、よしもとテレビ通り新宿店において「なすびのたべれないフィギュア」をお買い求めのお客様に「整理券」を配布いたします。
※先着名様に達しましたら締め切らせて頂きますのでご了承ください。
※フィギュアを複数ご購入頂いた場合も、整理券はお1人様1枚とさせていただきますのでご了承ください。


【天竺鼠】【川原克己】【瀬下豊】

2014年6月 4日 (水)

桂文枝が若手落語家に焦点を当てる落語会をプロデュース! 第一弾のナビゲーター桂三度に直撃インタビュー

落語家・桂文枝が、若手落語家育成の一環として行う「神保町花月~桂文枝 プロデュース~戀する落語会」が6月8日(日)に開催。「落語を聴けばきっと人生が楽しくなる。きっと人間が好きになる。そして誰かを好きになる。だから落語を聴けば必ず戀が芽生えます❤」をコンセプトに、毎回1人の若手落語家に焦点をあてるこの落語会。その第一弾公演は、サブタイトルを「三度は3度“笑(しょう)ぶ”する」として桂三度をフィーチャリング。そんな桂三度に、今回の公演のこと落語の魅力について語ってもらいました。

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――今回は、文枝師匠プロデュースなんですよね。三度さんはどのような立ち位置なんですか?

よくある、たっぷり最後に師匠が落語をする落語会、とはちょっと異なり、落語がありつつトークもあったりします。その中ではナビゲーターみたいな役割ですね。フィーチャーというよりもご機嫌をうかがうみたいな感じですよ。しかし、ペーペーの僕を師匠はどんだけ緊張させるんやろ?って思ってますね。プレッシャーが半端ないです。


――「戀する落語会」という名前は文枝師匠がつけられたんですよね。どういう思いが込められているんですか?

落語には、愛すべきキャラクターが出てきたり、その人のカワイイ生活感が出てきたりするんですよ。なので、聴いてみると人生や人間に戀できる、という意味なんだと思います。恋愛の“戀”とはまた違いますね(笑)。師匠の落語は創作なんですが、人間性や生活感といった普遍性のものがあるように作ってらっしゃいます。そういう世界を垣間見ていただければ。逆に、僕にはそういうところがないと注意されているんですよ。まだまだですね。


――といっても三度さんも落語を披露されるんですよね。どういう噺をされるんですか?

まだどうなるか分かりませんが、僕は自作の落語になると思います。今回は、僕だけではなく、文枝師匠をはじめ一門の若手も出ますので、色んな落語を楽しんでいただきたいです。また、今回はトークもあります。内容は見てのお楽しみですが、堅苦しくならないために、吉本のNo.1、2のやわらか芸人のたむらけんじくんとミサイルマン西代くんに来ていただくんで、会場を和ましていただけたらありがたいですね。公園にもブランコだけだと刺激がないので、すべり台や砂場といった色んな遊具を楽しんでいただけたら。しかし、このトークはいつもの僕とは違う一面になるはずなんですよ。袖に師匠の姿がチラチラ見えると思うんで…。かなんなぁ~という気持ちを隠しながらトークしている姿を見てもらえるとありがたいです。


――落語って一見ハードルが高いものと思われがちですが、今回はそのイメージを三度さんをはじめみなさんで払拭する感じでしょうか?

先ほど僕がナビゲーターって言いましたが、落語の“とっつきにくい”イメージを和ます潤滑油的な存在になるはずなんで、従来のイメージとはまた違ったものになると思います。この落語会をきっかけに、江戸・上方問わず落語を好きになっていただけたらいいですね。そんな存在の会を目指しています。この会で、落語ってこういうものだったのね、そんなにとっつきにくいものじゃないんだ、ということを分かってもらってから、次に寄席で落語を楽しんでもらえたら。そしてそっちには本来の楽しさもあると思うんでこの公演と同じように楽しめるはずです。今まで落語を見たことがない方にとってはものすごくいい機会なんじゃないですかね。オススメです。


――もともとコンビを組んでいた三度さんですが、落語家になろうと思ったのはなぜだったんですか?

恥ずかしながら僕はコンビを2回解散をしているんですが、1回目に相方から「別れよ」って言われたとき、自分を俯瞰的に見たんですよ。実は僕って自分のこと、芸人としてそんなに好きじゃなかったんですね。それでいい芸人になるためにはどうすればいいか?と考えたときに浮かんだのが、“放送作家”と“落語家”の2つ。では好きになるためにどちらかの道に進みたいと思い、その時は色んな理由で作家の道を選みましたが、そのときにすでに落語に対しては興味や思いは強くあったんですよ。そしてその後も色々やらさせていただいたんですが、やっぱり芸人としての自分を好きになれず…。そんなこんなしているうちにまた解散することになってしまい、やっぱりあの時の「落語家になりたい」という気持ちに正直にならんとダメかなと思い、入門しました。

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――もともと落語に興味はあったんですか?

落語をやりたいと思う前は、好きじゃなかったです。で、落語をやりたいと思うようになってからは、聞き出したら絶対に好きになり、やりたくてたまらなくなってしまうから、ずっと避けていました。それこそテレビに映ったらすぐ消すみたいな(笑)。見始めたら止まらなくなると思っていましたね。色々あったけど、入門したことは本当に良かったと思っています。落語のことも本当に好きですし。ただ、入ってからは「エライことになってしまったなぁ~」って思っています。入る前から落語は難しいとは思っていましたが、その8倍難しかったんで、「しもたっ!!!」って(笑)。僕って、落語をやるまで好き勝手やってたんでヘンなクセがついてしまっているんですよ。それを直すところから始まって…。「こんなにヘタかねぇ~」と日々思っています。落語はやればやるほど、聞けば聞くほど、落語が上手い人のことを尊敬しますね。


――そう思える人の代表格が文枝師匠なんですよね。

もちろんです。なんていうのか、師匠しかできない技というものがあるんですよ。芸人って色んな笑いの取り方をする人がいると思うんです。刀を持ってバッサバッサ笑いを取っていくという人が多い中、師匠は弓をゆっくり引いて的を絞ってパッと軽く手を離すだけでドカーンっていうタイプ。ホンマカッコいいですよ。映画『ロード・オブ・ザ・リング』の弓使いのレゴラスもカッコよかったですし。弓使いはカッコいいんですよ。さすが元祖ハンサム。本当に、その笑いの取り方はほかの人にはできないですね。この年齢、実績、地位と名誉とすべてを持っているのに、いまだにイスからコケてるって…本当にすごいと思いますよ。


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――そんな師匠がプロデュースする今回の会。どんな人に見に来ていただきたいですか?

師匠は、自分が今までいろんな人にお世話になってきたことをお返しする番だと考えているんだと思います。上方落語協会会長でもあるけれども、上方だけにとらわれず落語界を盛り上げていきたいという気持ちの一環だと思います。そして、落語に持たれている“とっつきにくい”というイメージを、「実はそんなことない」とみんなに伝えるための会なのではないかな?と。思いますね。今回はお昼なので来やすいはずです。若い人ももちろんですが、もう少し年配で落語に興味はあるけど腰が重くなっている方たちに気軽に来ていただきたいです。落語の楽しさに触れていただければありがたいですね。


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「神保町花月 ~桂文枝プロデュース~ 戀する落語会
 パートⅠ『三度は3度“笑ぶ”する」

会場:神保町花月
日時:6月8日(日) 開場13:30/開演14:00
料金:前売3000円/当日3200円
出演:桂文枝/桂三度/桂三若/桂三四郎/桂三輝
ゲスト:たむらけんじ/ミサイルマン西代

2014年4月23日 (水)

NSCを主席で卒業し、プロ1カ月目のフルフロンタル! 初の単独ライブについて直撃インタビュー!!

NSC東京19期生で、この3月に首席で卒業したフルフロンタル。そんな彼らのファースト単独ライブ「フルフロンタルの丸裸」が4月29日(火・祝)に神保町花月で開催決定!プロになって初めてインタビューを受けた彼らが、自分たちのこと、将来のこと、ライブのことを語ってくれました。

 

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――そもそもお2人は知り合いだったんですよね。

 

岡田 幼稚園からずっと一緒です。僕は生まれが兵庫なだけで5歳の頃に埼玉なんですよ。で、幼稚園で出会ってそれから…。相方はまったく変わらないです。昔は髪が少し短かったような気もするけど…。

黒田 僕も全然覚えていないけど、今のような感じではなかったはず。

岡田 高校以外の小・中・大と同じで。サッカーのクラブチームも部活も…。もう20年近く一緒にいますね。

 

 

――なぜお笑いを目指そうと思ったのですか?

 

岡田 有名になりたい!という気持ちが強かったです。初めはサッカー選手を目指していたんですよ。川島永嗣選手が卒業したサッカーの強い浦和東高校に通っていて、本格的にやっていて。とはいえプロになれるわけでもなく。で、サッカー選手になることを諦めた時に、人の前に出ることが好きだったので、お笑い芸人っていいなぁ~って。

黒田 でも大学生までは、本気でサッカー選手になりたいって言っていましたね。21歳くらい。まぁまぁ大人なのに現実を見てない…。コイツ本当にヤバいなと思いましたよ。

岡田 それは別にいいでしょ。

黒田 僕は、小さいころからテレビに出る人になりたかったから。親にもガンガン言っていましたね。バラエティ番組を見ていて、漠然とだけど楽しそうなぁ~と。「めちゃ×2イケてるッ!」や「みなさんのおかげでした」とか好きでしたね。でも、相方に「芸人になろう!」とすぐに言い出せなかったですね。

岡田 僕は言われたら即答だったんですけどね。ただ、「さぁなろう!」と思ったときに、まずお金で悩みました。NSCに入るのに40万近くいるんで。なんで、所属しないで頑張っていこうか、と。でもまったくやる気がなくて…。

黒田 ハハハ。

岡田 貫禄があるくせにやる気はないという…。1年たってもネタは2本しかできなくて。そのうえ、オーディションを受けたときにはネタを飛ばすし…。これでは無理だなと。追い詰められなければやらないタイプなんで、残りの時間でお金を貯めて、NSCに入学しましたね。

 

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――NSCにした理由はあったんですか?

 

岡田 やっぱ先輩方がすごいので。

黒田 いや、ミーハーってだけですよ。アメリカに行くといえばニューヨークへ行くみたいな男ですよ。

岡田 憧れが強いんだよ。やっぱりお笑いといえば吉本かな?と。

黒田 で行ったのはよかったんですけど、結構大変でしたね。在学中はいろんな大会があるんですが、NSC大ライブだけですよ優勝したの。大阪NSCと東京NSCが戦う対抗戦というのがあるんですがそれもボロ負けし、東の陣と称して東京に大阪NSCの芸人を呼んだ大会でも負け…。そして大ライブで主席取った後、人力舎の方とネタ対抗戦もやったんですけど5-0で負け。

岡田 これぞ完敗。

黒田 勝ったことがないんですよ。弱いんですよ。授業中にクラスで面白い奴を決めようとやったときも1回戦で負けましたから。

岡田 ハハハ。

 

 

――とはいえ首席で卒業。記念として、4月の1カ月間はスケジュールを仕事で埋めるという誰もが羨むプレゼントが…。仕事をしていてプロになったという実感は沸いてきましたか?

 

岡田 まったくないですね。でも、先輩方と会うとちょっとピリッとします。今はそんな緊張感と毎日戦っている気がしますね。仕事は、よしログに出させていただいたり、ライブにエキストラに出させていただいたり…と普通では経験できないことばかり。本当に緊張感があります。NSCのころは考えが甘かったなぁ~とつくづく思いますね。

 

 

――そしてそのプレゼントの一環として今回の単独ライブが開催されますね。

 

黒田 こんな早くに単独ができるなんて嬉しいです。

岡田 なので、やりたいことだけをやろうとしていますね。僕たちのネタはなんとなく似ていることが多いので、見ていて飽きさせないようにしなきゃと考えています。ちなみに内容はコントと漫才の両方やります。優勝したときも漫才だったんで、僕は漫才の方が好きですね。「はいっど~も~」って始まるのがいい。今年は「THE MANZAI」とかで頑張っていきたいと思っています。

黒田 あと、大阪NSCの主席のサンパウロにも出てもらいます、彼らは本当に面白いんで。あっ、彼らの方が本当に面白いんで。

岡田 それは頑張ろうよ! でも彼らは結成してすぐ大ライブで優勝した実力派。見ていて損はないですよ。

 

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――ちなみに“フルフロンタル”というコンビ名はどうやって付けたんですか?

岡田 最初は変わった名前がいいねぇ~という話になり、単語と単語を繋ぎ合わせたりしてたんですが、まぁ面白くなくって…。そしたら、隣にいた友達が「フルフロンタルってどう?」と言ってくれて。語呂がすごくよくって、すぐに「それでいこう!」となりましたね。で、意味を調べたら“全裸”っていう意味があって。語呂も意味もいい!となりました。

黒田 ちなみにこの名前になる前、こいつがずっと押していたのが「ハイビジョン」だったんですよ。マジでダセェんで、それ以外ならなんでもいいかな…と。

岡田 ちょっと、今ここで言わなくても…。今はダサいって分かっているから。

黒田 ただひとつ難点が。音がポイントだったんですけど、実際に言うとなるとかなり噛むという…。

岡田 先輩がライブで呼んでくださった時も必ず噛むんですよ。言いにくい。

黒田 「フ」の後にまた「フ」がくるからメンドクサイんですね。

岡田 そのうち、みんなが慣れてスッと呼んでくれるようになればと思いますね。

 

 

――デビューしてまだ1カ月。遠い将来、どういうことをやっていたいですか?

 

黒田 映画に出たいですね。ジャンルは何でもいいですけど。う~ん、恋愛でも別にかまわないですよ…。

岡田 ニヤニヤして気持ち悪い!

黒田 まぁ、キレイな人と共演したいです。森山未来さんが出ていた「モテキ」みたいなのがいいですね。

岡田 ムリだよ! その姿で主演とか無理だからな。で、僕は「電波少年」みたいな感じのバラエティに出たいですね。海外の無法地帯に飛ばされたい。

黒田 それってオレの映画のスケジュールはどうなるの?

岡田 それはごめんだけど。一緒に海外で撮影するとかさ。

黒田 ニューヨーク?

岡田 まぁ、アメリカといえばだからな。ってか、映画はムリだよ!!

 

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――そんな夢広がるお2人ですが、趣味を教えてください!

 

岡田 う~ん。意外と物事を深く追求したことないんですよね。なんだろうな?

黒田 僕もないな…。小学校の頃、ずっと梅干を食べていた時期はあったけど。

岡田 でも小学校以来食べてないんでしょ?

黒田 そん時、一生分くらい食べたから。

岡田 それは趣味じゃないから。僕はサッカーですかね。かなり真剣にやっていたので。

黒田 僕は、指でボールを回すのはうまいですよ。なかでもサッカーボールが回しやすい。ボールを持ち歩いてもいいんですけど…。

岡田 それはジャマでしょ。……あとは、大食いがあるかも。めちゃめちゃ食うんで。無限に食べられますよ。

黒田 大阪でライブをした時、みんなで飯を食いに行ってそのあと飲みに行ったんですが、その間の道中とかにめちゃくちゃタコ焼き屋さんに寄るんですよ。それも5回くらい。

岡田 口に何かを入れたいと思って。

黒田 やりすぎだよ。

 

 

――では最後に、ライブに来られる方に向けてここを見てほしいというところを教えてください。

 

岡田 くだらなさですかね。よくネタ見せで起こられるんですが、僕たちのネタって深みがないんですよ。日常のふわっとした表面のことをネタにしているんで。

黒田 だから大会で勝てない。浅瀬でずっとやっているから。

岡田 共感してもらえると思うんですけどね。そのあたりを楽しんでいただければ。

黒田 あとは、登場ですね。

岡田 スタートで笑わす?

黒田 笑わせるかどうか分からないけど頑張る!という感じですね。とりあえず、一度見に来てください!!



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「フルフロンタルの丸裸」

会場:神保町花月

日時:4月29日(火・祝)開場12:45/開演13:00

料金:前売・当日500円

ゲスト:サンパウロ(NSC大阪36期首席)

2014年4月20日 (日)

「いろんな人に愛されて、支えてもらった10年」と感謝! 活動休止目前の少年少女が大いに語る!

4月13日(日)、少年少女の活動休止が発表されました。同月29日(火)に東京・神保町花月で開催される『少年少女 春の祭典SP』がコンビとしての最後のライブ。坂口は「少年少女 坂口真弓」という芸名で活動、阿部は清掃業へ、それぞれの道を進むこともリリースされました。

このインタビューは、活動休止発表後に行われたもの。解散、活動休止の場合、公式としてコメントをリリースすることはあっても、インタビューするのはきわめて稀です。が、少年少女の2人の「活動休止したら、こういう場を設けないといけないと思っていたんです。だから、会社に“きちんと話します”と言ったんですけど……」という誤解から、こういう場が設けられたことが判明!
「ご足労をおかけしてすみませんでした」と平謝りの2人でしたが、ステキな勘違いから改めてこれまでの10年間の軌跡や今後について、たっぷりと話してもらうことができました。

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“活動休止”という言葉に秘められた
2人の思い

——まずは今回の決意に至った経緯を教えていただけますか。

阿部 ……なんて言ったらいいんでしょう。私から1年前に「辞めたい」というようなことを切り出しまして。30歳を超えて、ちょっと安定が欲しくなったんですかね(笑)。
坂口 そうだね。で、1年前の時点で、私は「あぁ、わかった」とすんなりと受け入れまして。
阿部 当時は2人とも辞めるつもりだったんですよ。昨年3月の段階で“あと1年やって、4月で辞めよう”っていう話になってたんですけど、昨年末もう1回話し合ったときに意見の違いが出て、こういう選択になったという感じです。

――“解散”ではなく“活動休止”と発表にしたのには、どんな意味合いが込められているんでしょう? ファンの方も困惑してる部分じゃないかなと思うんですけれど。

坂口 阿部さんは(この世界に再び)戻っては来ないと言ってるんですけど、戻って来てもいいよっていう意味というか、そういう軽いもんです。
阿部 辞めてしまうけど、清掃業の阿部さん=少年少女の阿部さんだよ、的なことだよな?
坂口 そうです。2人で一緒にいたら、喩えそれがお茶を飲んでいただけだとしても、私たちを知ってる人からすれば“少年少女”ですから。
阿部 そういう意味で、言葉として“解散”は適切ではなかったということなんだと思います。お客さんにはTwitterで「戻ってくるんですか?」ともよく訊かれます。けど、私は「戻らないです」と返してます。「お約束はできません!」って。
坂口 ドライ!(笑)

――(笑)もしも戻ってくるようなことがあったとしても、「戻らないです」って言っといて戻って来たほうが面白いですしね。

坂口 ズコーってなりますよね。
阿部 あんなに戻らないって言ってたのに、ってね。とにかく、コンビ名が残るから“活動休止”にした。それだけです。

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――この10年間は長かったですか? 短かったですか?

阿部 私はねぇ……長かった。うん、長かったです。充実してるから短く感じるっていう人もいるんでしょうけど、いろんなことをやってきたから長いと感じているというところもありました。
坂口 私はあっという間でした。普通にケータイをずーっといじってて“あ、もう夕方だ。1日早いなぁ”って思う性格なんで、それと同じ感覚でそう思ってます。
阿部 この意見の分かれ方、コンビっぽいですね。なんかいいですね。

――確かに(笑)。芸歴1~2年目の頃のお2人はあまり喋らなかったし、終始、無表情でしたよね。『needs』(伝統的に行われている芸歴4年目以下によるゲームコーナーライブ)とかに出ていても、嫌そうな顔をして前に出ていましたよね。

阿部 あはははははは!
坂口 確かにそうでした。阿部さんがマッチョ軍団の中に嫌々入れられてたりね。はははは!
阿部 だって、やりたくなかったんですもん(笑)。
坂口 (作家の)山田(ナビスコ)さんがテレビのバラエティ番組に出た時に役立つようにってやってくれてたコーナーライブで。いま思えば愛情を持ってくれてるからこそ、そういうライブをやってくれてたんですけど、当時はどうしていいかわからなかった。
阿部 前にも出てないし、喋ってなかったですね。

――でも経験を重ねるうちに、どんどん笑顔が増えて、同期や先輩、後輩たちとも打ち解けていった感じですよね。

坂口 『needs』に出てる芸人さんってやっぱり明るい人が多かったから、(心を)開いてもらったみたいな感じです。「お前、喋れよ」っていじってくれるようになってから、一緒に飲みに行くようになったりして。
阿部 2~3年目くらいから人とコミュニケーションできるように……まぁ、それでもできてなかったほうでしたけど、あの辺りから“周りの人と喋っていいんだ”って気持ちになりました。
坂口 それまでは、2人だけでいたから。やっと友だちができた感じだったよね?
阿部 そうだな。同期とかともその頃にようやく喋れるようになりました。その前は、喋りかけられれば喋りますけど、自分から話しかけることはなかったんです。あれ、なんだったんだろう? 人見知りしてたのかな。
坂口 尖ってたんじゃない?
阿部 それはある!(笑)

――尖ってたっていうのは、面白い人以外と口を聞きたくない、みたいなことですか?

坂口 30人くらいしか女子いなかったんですけど、うちらと女の子3人組のすっげぇ暗い5人と、カワイイ女の子グループに分かれてたんですよ。
阿部 だから、“暗くてもウケた!”みたいな。それまでは同期に見下されてるなって感じてたこともあって。
坂口 みんながキャッキャしてる中で、うちらはずっと隅っこで下向いてたからね。で、NSC時代って女の子がネタやるとウケないことが多いんですけど、私たちはたまたまやったネタがウケたんですよ。で、“やったぜ!”って。“ウケたもん勝ちでしょ、この世界”みたいな尖り方ですよね。
阿部 うん。ウケると同期にも話しかけられるようになって。

――同期のはんにゃ・金田さんが「NSC時代、女がお笑いやるなんてっていう偏見を持ってたけど、少年少女はネタが面白かったから認めざるを得なかった」みたいなことを以前言ってましたよね?

坂口 だってあいつ、私たちの悪口言ってたもんね? 違うクラスだったんですけど、合同授業のときに「なんだ、あの猫娘とヘルメット頭は」って言われた。私がヘルメット頭で、阿部さんが猫娘(笑)。
阿部 あぁ、言われた! あいつ、華やかだから目立ってたんですけど、「あんなヤツにバカにされてる」っていう気持ちになったのを覚えてます。……(フルーツポンチの)村上も喋ってくんなかったよね。
坂口 ムラケンはめっちゃ尖ってたから。当時はピン芸人で。
阿部 あの頃、あるタレントさんが好きで、品川のファミリーマートにいたときに立ち読みしてたんで「その人、好きなんだ」って話しかけたんですよ。けど、シカトされました。その後、『needs』とか『JET GIG』(註:芸歴4年目以下の新ネタライブ)とかで一緒になるようになって、本社で一緒にネタを書くようになったり、喋るようになったんです。今でもやってると思うんですけど、あいつ、(コントの)台本、縦書きなんですよ(笑)。
坂口 ノートを横にして、縦書きにしてるんだよね(笑)。……ネタ合わせしてる授業中とか思い出すと、本当に懐かしい。
阿部 同期はいろんな思い出があるね。

――10期生は仲がいい印象ですけど、今回の活動休止についてはみなさん、どんな反応でした?

阿部 同期には(活動休止の発表)直前まで言わないでおこうと思ってたんです。けど、「“なんで言ってくれなかったんだよ”って思う人もいるから言ったほうがいいよ」って言われたので、言いました。
坂口 私は(阿部から辞めたいと)言われたほうだったから悩んじゃって。で、同期に相談したんです。まぁ、これが3~4年目の頃だったら止めてたと思うんですけど、10年もやってると“そういう人もいるか”っていう感じでしたね。
阿部 止める人はいなかったかな。

――まぁ、芸人としてのいろんな気持ちがわかってるからこそ、そういう反応だったんでしょうね。

阿部 そうですね。「もう決めたことなんでしょ」っていう人が多かったです。

――先ほど、しずるの村上さんがいたので少年少女さんの話をしたら「残念ですよね。本当に。でも、決めたことだからしょうがない」ってぶつぶつ言ってました。

坂口 ははは! 純さんもわかってくれてるんでしょうね。
阿部 純さんはわかってくれてる。報告したとき、「お前が決めたっていうんなら、もう決まったことなんだろ?」って言いましたから。私も「そうです」としか言えなかったですね。

――NSC時代でしたっけ、しずるの村上さんに「面白いね」と声をかけられたのは。

坂口 そうですね。(NSCを卒業した1期先輩の)村上さんと囲碁将棋・根建さんが、ネタ見せのアシスタントをやってた日があって。最後、先輩からの連絡事項を伝えてもらうときに、根建さんに「おい、お前ら!」って急に声をかけられたんです。「お前らが今日のMVPだ」って。
阿部 あれ、嬉しかった~~。
坂口 うん、嬉しかった。自信になりましたね。
阿部 だから、最初に褒めてくれた先輩は根建さんです。で、村上さんや作家さんの中にも言ってくれる人が現れていった感じですね。


お笑いブームでつかんだ
レギュラー番組

――同期のオリエンタルラジオがどーんと売れて、お笑いブームがやってきて。少年少女さんも徐々に、テレビのバラエティ番組に出られるようになりましたけど、どんな気持ちでした?

阿部 そうでした。あの勢い……なんだったんでしょうね?(笑) 
坂口 私たちなんて地味すぎるから「出てもいいんですか?」って恐れ多く思ってました。

――『ふくらむスクラム!!』『1ばんスクラム!!』(フジテレビ系)と、レギュラー番組も持ちました。

坂口 あの番組のメンバーには絶対に入りたかったので、緻密に作戦を練ってオーディションに挑みました。
阿部 言うんですもん、坂口が。

――なんて?

坂口 阿部は『新しい波』の存在すら知らなかったんで、全部一から説明して。「来年、『新しい波16』っていうのがあるから、それに絶対出て軌道に乗ろう」って言ったんです。
阿部 説明されて、これはほかのオーディションとちょっとだけ違うんだなと理解しました。
坂口 私は『夢で逢えたら』を観て、テレビでユニットコントがやりたいと思ってこの世界に入ったので、どうしても叶えたかったというか。そんな自分勝手な思いから、阿部さんに付いてこさせたという感じだったかもしれないですけど。
阿部 いやいや、そんなことはない。やっぱり『エンタの神様』(日本テレビ系)『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)、『~スクラム!!』の存在は大きかったから。

――転機的な意味合いも強いですよね。

阿部 全部がきっかけになっているもんね。
坂口 人とのつながりのね。
阿部 うん。それに、(劇場でやっている)ネタがそのままできるのが嬉しかった。
坂口 嬉しかったなぁ。『エンタの神様』で「OLクイズ」をやったんですけど、そのときスタッフさんに「そのままの空気を出したいから、そのままやっていいよ」って言われたのは本当に嬉しかったです。

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――坂口さんはテレビでユニットコントをやりたかったということですけど、阿部さんは芸人を目指し始めた頃、どんなビジョンを描いてたんですか?

阿部 私……なかったのかも。ちょっとやってみようというだけで入ったんで。
坂口 ふふふ。楽しそうだなっていう感じで?
阿部 というか、まだ21歳だし、みたいな。で、入ったら、面白いと言ってくれる人が出て、テレビにも出させてもらえるようになったんです。

――軽い動機から10年も続けられたなんて、ある意味すごいですね。

阿部 あんまり考えてなかったのがよかったのかな(笑)。
坂口 2人でやってるのが楽しかったんだよね。
阿部 楽しかった。
坂口 でも、そこから広がりがなかったってことでしょう。2年前にやってたラジオ番組とか、すごく楽しかったけどね。
阿部 あれは自由すぎたね。でも、テレビはそれとはちょっとちがうというか。
坂口 私たち、椅子からみんなと一緒に転けるとかができなくて。
阿部 しかも、やらないならやらないで貫けばいいのに、ちょっと転けたりするからダメだったんだよね。あれもチームプレーですから。

――それこそ『needs』での成果が活きる場面ですよね(笑)。

阿部 だから、『needs』はちゃんとやっといたほうがいいです! 前に出たくない人は、特にやったほうがいい! あと、山田さんの言うことも聞いたほうがいいです!


酒を飲んで飲まれて、
ついには著書も刊行!

――少年少女と切っても切れないのが、お酒。酒に溺れた10年間といっても過言ではないんじゃないかなと思うんですけど。

阿部 あはははははは! 確かに!
坂口 でも、私は最初、まったく飲んでなかった。引きこもり上がりでお酒を知らないから、飲む習慣がなかったんです。けど、阿部さんは当時から飲んでたよね。(当時NSCがあった)西大井から一駅で品川に着くんですけど、コンビ組んだ頃、いきなり「居酒屋に行こうよ。居酒屋! ネタ合わせ、そこでしようよ」って言われて。“そんなとこでネタ合わせなんてするわけねーだろ!”って思いながら、居酒屋に行きましたもん。居酒屋なんてほぼ初めてくらいだったから、カルチャーショックでしたよ。
阿部 ははは! 私もいまよりは飲んでなかったんですよ?
坂口 まぁ、たしなむ程度だったよね。でも、ネタ合わせ中にカラオケへ行って飲んだり。
阿部 同期で集まって飲んだり。
坂口 同期がみんな、お酒好きだからね。で、缶ビール買って飲んだりし出してから、もう……。
阿部 みんなを置き去りにしました!(笑)
坂口 ごぼう抜きだよね(笑)。
阿部 私なんて一生分、飲んだんじゃないかなって思うくらい、酒に溺れました。

――(笑)そんなお酒のおかげで、2011年に『酒と泪と少年少女』(武田ランダムハウスジャパン刊)という著書も出しましたよね。

阿部 仕事につながりました。飲んでてよかったです。
坂口 あれ、大変だったよね。酒にまつわるエピソードを10篇ずつ書くことになっていたんですけど、2人ともパソコンを持ってないから全部手書きで。私は全篇、一発オッケーだったんですけど、阿部さんはことごとくボツ。添削とかじゃなく、ボツ!
阿部 全部でした。だって覚えてないんですもん、飲んでるから! エピソードなんて書けなかったんです。

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――阿佐ヶ谷ロフトAでやった出版記念イベント後の、お2人の酔っぱらいエピソードがひどかったですよね。

阿部 あぁ、そうでした!(笑)
坂口 昼間に阿佐ヶ谷でイベントやったあと、純さんと3人で吉祥寺に行って飲んで。私は確か、途中で帰ったんだった。

――そうです。坂口さんは2人を置いて帰っちゃったんです。で、イベントのMCをやった、かたつむり・林さんを再びどこかへ呼び出したんじゃなかったでしたっけ? 林さんのTwitterかなんかに、酔っぱらって机に突っ伏してる阿部さんと村上さんの写真がアップされていた記憶があります。

阿部 そうです、そうです。吉祥寺から新宿に向かったんですよ。で、そこで林くんが合流して……来た途端、寝たんだと思います(笑)。そのあとに神保町へ行って……。

――イベントの後日、坂口さんから「あのあと、純さんにタクシーへ乗せられたのに阿部さんは家に帰らないで、神保町で降りて劇場へ向かって。“どいて! どいて!”って楽屋にいる芸人さんをかき分けて入っていって寝たらしい」と聞いたような気がします(笑)。

坂口 そうだったかも。超怖ぇえ!
阿部 あははははは! やってますねぇ。うわー、覚えてない。まぁ、神保町花月自体、稽古が多いんで酒飲む場にもなりやすいんですよ。でも、みなさんと仲よくなれるんですよ?

――いいお酒ってことですよね。最近も溺れてますか?

坂口 私は最近のほうが記憶がないです。どうやって帰って来たんだろう?みたいなことが増えました。記憶が断片的で……この前なんか、カラオケに行った記憶のあとに思い出したのは、スパイク・松浦とそばを食べたことで。で、起きたら、もう家でした。
阿部 まだいい。家に帰ってるだけ偉い! 
坂口 でも、どうやって家に帰ったのかわからないのは怖いよ。松浦も同じこと言ってた。
阿部 女芸人は、どうしてもそうなっちゃうんですよ。照れがあるというか。
坂口 早く飲んで、酒の力を借りて場になじみたいっていうのがあるからね。
阿部 活動休止しようっていう話をしてから、2人きりで飲んだ日もひどかった。渋谷で飲もうってことになって飲んだんですけど、後半、何も覚えてない。2人とも、へべれけだったよね?
坂口 うん。2人で飲んでて終電がなくなって。グランジの大さんとマキシマムパーパーサムの長澤さんが下北で飲んでるってツイートしてたから、タクシーに乗って向かったんです。私はたぶん下北で飲んで帰ったんですけど、途中、(ザ・パンチの)パンチ浜崎さんから電話があって。阿部は大さんと一緒に、ハマさんのところに行きました。
阿部 その日がそれか! で、かたつむりの中澤が合流して、途中で大さんがいなくなって、最後は中澤とハマさんと3人。気付いたら、寝てました(笑)。

――さすがです。活動休止すると、そこまでは飲めなくなりますよね。

坂口 毎日働かなきゃいけないからな。
阿部 免許も取らなきゃいけないから、飲めなくなると思います。21歳から31歳まで芸人をやれて、酒もいっぱい飲めて本当に幸せでした(笑)。


これまでの感謝、
そして今後の活動について

――坂口さんは今後もこの世界に残るわけですけど、お2人とも芸人になってよかったですか?

阿部 よかった!
坂口 うん。ファンの方も少なからずいてくれて。周りによく愛されました。
阿部 本当によかったです。みんな、芸人やったらいいんじゃない?と思います。
坂口 無駄なことが一切ないんですもん。もちろん、なくしたものはあったと思います。けど、手に入ったもののほうが多い。特に私なんて、引きこもりで人と喋れなかったのに、いまでは目を見て話せるようにもなりましたから、本当にやってよかった。
阿部 3回チャンスがあるとよく言いますけど、私たちは100回くらいもらった気もします。本当にやっていてよかったです。

――阿部さん、なぜ清掃業に?

阿部 お笑いの次に好きなことで、お笑いより安定していることをやっていくことにしました。ただ、芸人をやるなら10年は続けたほうがいいと思います。私、履歴書にも書きました。「よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属 芸人」って。

――会社の方の反応は?

阿部 面接では「なるほど。夢を諦めるんですか」と言われて。で、「厳しい世界で頑張ってこられたんですね」って言ってくれたんです。

――ステキな反応。いい会社に入られたんですね。一方、坂口さんはピンで活動していくわけですけど、どんなことをやっていく予定ですか?

坂口 いままで一度もピンでネタをやったことがないんですよ。『R-1ぐらんぷり』にエントリーしたこともないし、10年間ずっと2人だったんで…………。29日にちゃんと全てが終わって、一度、気持ちをまっさらにしたい。本当はいまから動かなきゃいけないんでしょうけど、整理してから考えたいです。やっぱり2人の、少年少女のネタが好きなので。

――いいネタばかりでしたもんね。女の子がやってることなんだけど、女の子っぽくないネタというか。OLクイズとかも女性的な設定だけど、女性的な展開にいかないし。少年少女さんのネタは、性別関係なく面白いっていう絶妙なところをついたものばかりでした。

阿部 そう言ってもらえるのは、ありがたいです。女っぽいネタはつくらなかったから。
坂口 つくらなかったよね。まぁ意識してそうしていたわけじゃないけど。
阿部 デブとかブスとか言って、自分たちをいじることはしなかったというか。それは、私たちみたいな見た目普通な2人がやっても面白くないっていうのがあったからなんですけど。
坂口 そういう共通意識はありました。最初につくったネタはマジでバカみたいな……宇宙人のネタで。黒い服着て、カチューシャに変なの付けて。でも、自信がなかったから、ネタ見せですら見せなかった。
阿部 そうだった!(笑)シュールやってます、みたいなネタで。
坂口 狙ってつくってたからサムかった。で、ネタ見せで最初にしたのはOLのネタで、鼻声が治らないみたいなヤツだった。

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――その頃から、OLを題材にはしてたんですね。

坂口 最初は「OLクイズー!」っていうフレーズしかなかったんです。2人で夜まで遊んで、蒲田のファミレスかどこかへ行って、このフレーズをネタにしようって朝までつくった気がします。
阿部 そう思うと、ネタのつくり方が当時と変わってないんだね。
坂口 ワンフレーズから無理矢理つくるっていうのを続けた10年間だよね。

――ネタは、いつも2人で話しながらつくってたんですか。

阿部 そうです。特に「OLクイズ」はそうでしたね。

――じゃあ、坂口さんは創作環境もガラッと変わりますね。

坂口 そうなんです。結構頼ってたんで、阿部さんに(笑)。これからも相談しよ。
阿部 うん。困ったときは言ってよ。

――清掃業に就くと決意している人に言うことではないと重々承知の上で言わせてもらいますけど……、阿部さんが辞めるのはやっぱりもったいないと思います。

坂口 私もそう思います。阿部さんがスベってるとこ、一度も観たことがないんですよ。平場でもどこでも、本当にない。何言ってもウケるんです。そんな人がよく辞めようと思いますよね。
阿部 いやいや、そんなことはないよ。
坂口 天才とは言わないけど、天性のものは持ってると思うよ。
阿部 そう言われるうちが華です。惜しまれながら去るくらいのほうがいいと思います。
坂口 北島三郎さんと一緒か! 惜しまれながら、昨年末で『紅白歌合戦』から引退されたからさ。
阿部 あはは。そうだね!


2人が出会ったこと自体、
すごく恵まれたことだった

――「少年少女」というコンビを組んでよかったですか?

坂口 もちろんです。阿部さんと一緒じゃなかったら、ここまで続かなかった。

――女の子30人いても全員が合わないっていう可能性もあった訳ですから、相性のいい人と出会えたこと自体、奇跡的ですよね。

阿部 本当に恵まれました。そこからもう、運がよかった。
坂口 NSC入学前の面接も一緒だったんです。
阿部 ……覚えてない(笑)。
坂口 (笑)時間通りに教室へ行って緊張しながら待ってたら、時間ギリギリにばたばたと入ってきた人が阿部さんで。「あの人、遅刻じゃん」って思ったんだよね。
阿部 ははは! 西大井があんなに遠いと思ってなかった。品川からの一駅が長いよなぁ?
坂口 まぁ、確かに長いけどさ。で、グループ面接だったんで、一緒に部屋に入って質問されて。「アピールはありますか?」って言われたら、阿部さんが「大声を出せます」って言い出したんです。
阿部 あははははは!
坂口 しかも、「大声が出せます」って言ってる声がちっちゃい! で、「あーーー!」って言って終わったんだよね(笑)。組んだあと、「もしかして、あのとき大声出した人じゃない?」って聞いたら、そうだったみたいな。はははは!
阿部 あ~~~、お恥ずかしい! 接客五大用語を言おうと思ってたんですけど、恥ずかしくなってそれで終わらせたんだと思います。……やっぱり、坂口さんとは縁があったんだな。

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――細木数子さんの占いで「2歳年上の人と相性がいい」って書いてあって、2つ年上の坂口さんに声をかけたんでしたよね?

阿部 そうです、そうです。
坂口 最初の授業で、相方探しのお見合いをすることになって。女子30人くらいが輪になって順番に話していったんです。その授業が終わって、明るい女の子たちは品川のアンナミラーズに行ったんですけど、私はどうでもよかったから帰ったんですよ。その話を組んだあとにしたら、「私も帰ったわ」って。あぁ、やっぱりって思いましたよね。
阿部 ノリが似てる……この人だと思いました。2つ年上だし、水星人プラス同士はダウンタウンさんと一緒だ! 売れる! これはいい!って思ったんですよね。出会いからも含めて、本当にいい10年間でした。
坂口 うん。ミラクルが続いた感じだったね。

――まだ、29日までに時間があるじゃないですか。やり残したことはないんですか?

阿部 『よしログ』にも出させていただけるみたいなんで、好きだったから嬉しいんですよ。……ただ、お酒の話をしているうちに、お酒のライブをやればよかったなとは思いました。29日のライブが最後だって告知しちゃったからなぁ。

――「まだやり残したことがありました」って言っても、ファンの人は許してくれると思いますよ?

坂口 そうですね。でも、5月1日から働くんだよね? 30日にやったら2日酔いで掃除することになるかもよ。
阿部 それはできない! だから、やんないかもしれないです。まぁ、やれそうだったらやります!

――ぜひやってください! 改めてお話を伺って、お笑いを嫌いになったり、コンビ仲が悪くなっての活動休止じゃなくて、正直ホッとしました。

坂口 「結婚するんだろ?」とか「妊娠したんだろ?」とか、いろんなことを言ってる人がいましたけど。
阿部 反応してくれたことは嬉しいんですけど、結婚、出産、不仲……一切ないです!
坂口 逆に、阿部さんが授かり婚したら、超面白いけどな。まぁ、清掃業もかなり面白いけどさ。

――Yahoo!トップのニューストピックスに上がったので、いろんな反応があったんですね。

阿部 あれも面白かった。芸人やっててよかったと思いましたね。
坂口 私も。記念にスクリーンショットを撮りました(笑)。

――29日が一応、コンビとして最後のライブとなります。当日券も出るようで。

坂口 はい。コントをちょっとやって、そのあとはくだらないことを……。阿部さんが二重になったとか年表で10年を振り返る予定です。
阿部 ははは! 歳を取ったら、二重になっちゃったんだよね。
坂口 (笑)楽しいライブにしようと思ってるんで、楽しみにしていてほしいです。
阿部 そうだね。楽しみにしていてください。

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●ライブ情報
少年少女 春の祭典SP
開催日:4月29日(火) 開場19時15分/開演19時30分
会場:神保町花月
チケット情報:当日券1800円

神保町花月
http://www.yoshimoto.co.jp/jimbocho/


【少年少女】

2014年3月11日 (火)

目指すは「世界の果てでバーベQ!」 著書第2弾が好評のたけだバーベキューをインタビュー

芸人イチのBBQの達人・たけだバーベキューが、単行本第2弾『モテ×ウケ!バーベキューレシピと超ラクアウトドア』(学研パブリッシング)を3月6日(木)に上梓しました。

そこで、著者のたけだバーベキューにインタビューを敢行。
バーベキュー上級インストラクターなどの資格を持ち、年間100回以上のBBQを行っているたけだだけに、公私に渡るバーベキューライフについてはもちろんのこと、“ピン芸人”としての顔にも迫りました。

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――Amazonのアウトドアクッキング部門、キャンプ部門で1位(取材時)を獲得するなど、『モテ×ウケ!バーベキューレシピと超ラクアウトドア』が好評のようですね。

ありがとうございます! たけだバーベキューとしては、関西の名も無き若手芸人の一人やのに、本だけはすごく世に出ていて、一人歩きしている感がありますね(笑)。光栄なことなので、喜ばしく思っております。

――改めて、前作『豪快バーベキューレシピ』(池田書店)との違いを踏まえて、新刊の解説していただけますか。

はい。前作はタイトル通り、豪快なのや普通はやらないようなレシピをいっぱい載せてたんですけど、今回は入門編と捉えてもらったらわかりやすいと思います。モテる要素もありながら、「こんなのがバーベキューで出てくるんかいな!」みたいな、驚きの要素も入れつつ、初心者にも作りやすいレシピを載せて、あとはアウトドアのこんな遊び方ありますよとか、こういうことをしたら楽しいですよっていうのを散りばめた一冊です。

――男性向けなんでしょうか?

そうですね。『モテ×ウケ!』と謳ってるんで、男性向けで書いてはいますが、段取り的なことは初心者向けで、レシピによってはアウトドアを結構やってる人でも楽しめるかなと。

――レシピ以外のアウトドアアイテムの紹介にもページを割いてますね。

アウトドアアイテムのことはギアと言いまして、あると便利なギアを紹介してるんですが、かっこいいとか名前で好きになったりするのもありますね。例えば、火吹き棒なんですけど、それが“ファイヤーブラスター”という名前で。火吹くしか能がないのに(笑)。

――お得意の肉料理も満載で。

ナイスバーベ! いいところ言うてくれました。例えば「魅惑のブラジリアン・シュラスコ」だと、まず肉の塊がネットとかで買えて、シェアで一人頭にしたら安いですし、何より楽しいんですよ。シュラスコって、やってみたら結構簡単なんです。肉の塊にサーベルを刺して、塩コショウして焼くだけですから。簡単なんですけど、インパクトがありますよね。オススメです。

――「スチーム・オブ・カリビアン」といった料理名のネーミングもたけださんが?

恥ずかしながら考えさせてもらいました。最初提案したのは全然普通の名前だったんですけど、せめて名前にはそういうお笑い的な要素を入れてくださいっていう要望があって、豪快さが売りなんで、豪快なネーミングにしてみました。

――それからページを開くと、調理協力・モデルとしてクレジットされている藤田裕樹さん(バンビーノ)が活躍されてますね。

そうなんですよ! 注目してもらいたいところが、著者近影ですね。前作も著者近影に藤田が写り込んでて、僕的にはやめてもらいたいんですけど、編集者と密約してるんですかね(笑)。遊びのページとかにも出てるんですけど……(P57を開き)見てください、この表情! ここぞとばかりに張り切ってますよ。

――確かに……こうして見ると、叔父の桂きん枝さんに似てますね。

似てますよね(笑)。料理の腕は確かですよ。関西の若手芸人界では、和の和牛・水田さんか、イタリアンのバンビーノ・藤田かって言われてるくらいで。調理協力として、いろいろ食材を切ってもらったり焼いてもらったりしてるんですけど、前作に関しては、僕が藤田にオファーしたんですよ。でも今回の2冊目に関しては、一切言ってないのに勝手についてきましたね。後輩なのに、図々しく(笑)。まあ、結果助かりましたけど。

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――さて、当サイトでたけだバーベキューさんへインタビューするのは、昨年5月以来(/2013/05/bbq-1f79.html)、10ヶ月ぶりとなります。この1年弱での変化をお聞かせください。

おかげさまで、お笑い以外の仕事でいろんなところから声をかけてもらうようになりましたね。去年8月には、カナダアルバータ州政府から、カナダアルバータ州バーベキュー大使に任命していただき、1週間ほどカナダへ行かせていかせていただきました。いろいろなカナダのバーベキューをふるまっていただたり、アルバータ州にあるカルガリー市の名誉市民にもなったらしいんですよ。ちなみに、その前の名誉市民を聞いたら、イギリスのウィリアム王子とケイト(キャサリン)夫人だって言うんですよ。

――すごい!

ですよね(笑)。厳かなイベントに参加させてもらったり、帰国してからもカナダ大使館のバーベキューイベントに呼ばれたりも。もともとカナダビーフの赤身が美味しくて、バーベキューで使ってたんですけど、カナダがバーベキューをできる日本人の若者を探してたみたいで、たまたまそれにマッチしたんでしょうね。大使としては、アルバータ州の農産物や畜産物ってのが、すごくバーベキューに向いてることを、広めるっていう任務がありまして、ブログなどで発信してます。

――さらに、「東洋アルミBBQアンバサダー」という肩書も増えましたね。

そうなんですよ。東洋アルミさんという大きな会社が声をかけてくださって、東洋アルミさんの製品を使って、よりよいバーベキューを提案してますね。今回の本のなかでも実際に使ってますけど、製品自体、すごくいいですね。分厚目のアルミホイルをいろんなサイズで出してて、ホイル焼きで破れて汁がこぼれたりすることもないですし。

――それから、バーベキューの達人として知られるペナルティのヒデさんとも対面したとか。

そうなんですよ。去年、よしもとニュースセンターさんに「ペナルティ・ヒデとの“BBQ対決”を熱望」と書いてもらった翌日、吉本の本社に取材で来てたら、偶然、ヒデさんもいらしてて、ご挨拶させていただきました。当時の僕の担当が「どんなお手伝いでもいいので、バーベキューの番組があったら、使ってあげてくださいよ」って言ったら、ヒデさんが、「たけだバーベキューの存在は知ってるよ」「でも、俺の番組は出さない。たけだバーベキューは、俺のお手伝いとか出るようなんじゃなく、メインとしてやってもらいたい」という、僕を後押ししてくれるようなセリフを言って去っていったんです。めっちゃええ人で、めっちゃかっこいいなあと思いましたね(笑)。その後はお会い出来てなくて、残念なんですが。あと、『「ぷっ」すま』に呼んでいただいたり、バーベキューを通じて、いろんな方とお会いできてうれしいですね。

――そんななか、2月9日、肉の日に単独ライブを行われたとか。

はい。ホントは劇場で肉を焼きたかったんですけども、5upよしもとから「それは絶対NG」だと言われまして。その代わりに、本にも載ってるんですけど、お客さんを壇上に挙げて、生クリームを入れたペットボトルを振ってもらい、バター作りをしました(笑)。他には、以前の相方が2700のツネで、ツネとたけだバーベキューを比較するというネタをやったのと、その後に組んだマスタングというコンビの相方(松尾圭司)に出てもらって、当時のネタを2本やりました。午前11時から30分間の単独ライブでしたけど、お客さんもたくさん来てくれたし、楽しかったですね。

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――それから、本を読んで思ったんですが、バーベキューやアウトドアの知識、ノウハウは震災などの災害時に役立ちそうですね。

と思います。例えば、本の中で、牛乳パックを燃やして作るホットドッグのレシピがあるんですけど、なぜ牛乳パックかというと、ロウの成分が含まれていて、じんわり燃えていくからなんですよ。なので、牛乳パックを細切りにして火をつければ、停電時でもロウソク代わりになります。あと、僕の家はワンルームで、身動き取れへんくらいアウトドアグッズであふれてるんですけど、電気やガスが使えなくても、火を起こしたり、調理したりはできますね。

――やはり、いろんな局面で役立ちそうですね。テレビでも活躍の場が増えそうですし。例えば『いきなり!黄金伝説。』とか。

めちゃくちゃ出たいんですよ! 『世界の果てまでイッテQ!』で、「世界の果てでバーベQ!」みたいな企画とか。

――すでに企画名まで考えてたんですね!(笑)では最後に、今後の抱負、そして「よしもとニュースセンター」読者へメッセージをお願いします。

はい。今年の頭に、狩猟免許と銃砲所持許可を取りましたので、自分で仕留めた獲物でバーベキューをするのがひとつの目標です。あとこの夏くらいに、アメリカのバーベキューのコンテストとかに出場して、日本のたけだバーベキューを世界的に広めたいですね。
『モテ×ウケ!バーベキューレシピと超ラクアウトドア』については、特に若い男性に読んでいただきたいです。ちょっとひと工夫加えるだけで、おしゃれな料理に仕上がるよっていうレシピが満載なので、その辺を真似していただいて、なおかつ、いやらしく出さずに、さらっと、「こんなんあるよ」って感じで料理を出してもらったら、モテ度はグッと上がると思いますよ。

――バーベキューの場に本を持参してもいいですか?

いやあ、 あんまりこの本を持っていかない方がいいと思います。1冊目の『豪快バーベキューレシピ』はいいですけど、『モテ×ウケ!』ですからね。「めっちゃ意識してるやん」っていうのがバレるんで、家でこっそり読んでください(笑)。

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●書籍情報
『モテ×ウケ!バーベキューレシピと超ラクアウトドア』
著:たけだバーベキュー
発行:学研パブリッシング
価格:1200円(税抜)

●たけだバーベキュー公式ブログ
http://takeda.citylife-new.com/

●たけだバーベキューツイッター
https://twitter.com/TAKEDA_BBQ


【たけだバーベキュー】

2014年2月10日 (月)

天竺鼠が東京で単独ライブ「大阪のことを愛してますライブ in Tokyo」を開催! 勢いに乗っている2人に直撃インタビュー!!

天竺鼠の単独ライブ「大阪のことを愛してますライブ in Tokyo」が2月23日(日)にルミネtheよしもとで開催。「キングオブコント2013」や「THE MANZAI 2013」の決勝進出、「第35回ABCお笑いグランプリ」優勝と目覚ましい活躍をみせる彼らはどのようなライブを開くのか、直撃インタビュー!!


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――今回のライブはどのような内容になっているのでしょうか?

川原 時間が1時間30分なので、2時間の映画を流そうと思っていますね。
瀬下 えっ!? 結末見れへんやん。僕らの登場は!?川原 ないかもしれない。今、話題の映画をピックアップしていて…。
瀬下 いやいや(笑)。せっかくのインタビューなんやからちょっと真面目にいこう。
川原 …はい。まぁ、単独ライブは1回きりのネタが多いんですよ。僕らは、ここでやったネタを賞レースに向けたネタにバージョンアップしていくという風には作れないタイプなので。今まで見に来てくださった方はわかっていると思うのですが、あれ以来1回もしないな~というネタがうじゃうじゃあるます。今回も、そういうネタばかりが登場しますね。8日に大阪でも単独ライブをやったんですが、あっちは新ネタばかり。けど、東京は今までやったものの中からベストなネタと新ネタを合わせる感じでやる予定です。ちなみにコーナーはやらないんで、今回もネタばかりになるか、考えすぎて本当に映画を流すか…。どちらかですね。
瀬下 それは本当にやめて。ちゃんとネタを用意してもらわないと。
川原 『永遠の0』とかどう? まだ見てないし、人気もあるし。
瀬下 自分が楽しもうとするなよ!! 
川原 でも1時間30分の舞台だとラストが見えない…。もしかしてもう見た?
瀬下 見てないから、そりゃ流してくれた映画を楽しむだろうけど、ラストが見えないなんて…。っていうより、お客さんは僕らのネタを見に来ているんだし、映画が始まる前にちょっとだけMCで登場するだけなんていうのはイヤ。絶対阻止するわ!!


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――今回のタイトルは「大阪のことを愛してますライブ in Tokyo」。先日行われた大阪の単独は「東京のことを愛してますライブ in Osaka」だったので、微妙にタイトルが違うんですね。

川原 これは大失敗。どちらのお客さんもどこか引っかかってしまうタイトルですよね。媚びを売ろうと思ってやったんですけど売ったことがないんで上手くできませんでした。
瀬下 不器用すぎるやろ。
川原 ちなみにポスターはバックが名古屋城。これも名古屋の人にも気を使っていると媚びを売ってみたんですが。
瀬下 めちゃくちゃやな。
川原 キレイに失敗しました。


――今回の舞台はルミネ。劇場の雰囲気はいかがでしょうか?

川原 ルミネは今回で3回目なんですが、やりやすいですね。
瀬下 劇場もいいですし、あんまり僕らと生で接したことがないお客さんたちなので、テンションが高くやりやすいです。
川原 大阪は毎回やっているんでどんどんハードルが上がっていて。まぁ、僕はMなのでそれはそれで受け入れているんですが、東京の方は最初からニヤニヤしながら見に来てくれているんでありがたいです。
瀬下 楽しみに来てくれている感はわかります。



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――初めて2人を見る人の前でするネタはいつもとは違うものなのですか? また、見に行く側の心構えなんてものがあったりしますか?

川原 本当はわかりやすいネタができればいいんですが、わかりやすいネタが作れなく、完全に自分の好きなことをしないと気がすまない性格なので、初めて来た方は、「笑わしてくれよ!」というではなく「がんばって笑おう!」と努力してほしいんですよ。僕らが言いたいことを上手く表現できていないところは、お客さんに汲み取ってもらって。普通の芸人さんは努力なんていらずに笑えるネタを仕上げてきていると思うのですが、僕らのライブはイスの背もたれを使わずに前のめりになって真剣に見ないと笑えないところがあると思います。そこはお客さんにがんばってもらいたいです。
瀬下 ハハハ。
川原 あと、まだ交渉していませんが、イス背もたれを全部なくそうかな?と思っています。そうすると前のめりになるんで。
瀬下 工事費すごいわ!!


――とはいっても、一見わかりにくそうなネタで瀬下さんがわかりやすくしてくださるんですよね?

瀬下 僕は単独ライブとはお客さんと一緒に笑いを汲み取っていく作業だと思っているんで。目線は完璧“客目線”です。実際に舞台に立ってても「何をやってくるんやろう?」ということが結構あるんですよ。
川原 お客さんも相方も「こいつ何してんねん!」と冷たい目線のときもあって…。そういうときはストレスで、50円ハゲではないですけど1510円ハゲというのができますね。
瀬下 ひとつ長方形のがあるやん!!
川原 でも、本当に伝わりにくいこともあるんで…。だから今回、1510円ハゲは作りたくないんで、僕も努力をしますが、お客さんも前のめりになって努力してもらえればと思います。がんばって元を取るのはあなたたちです!! 
瀬下 主導権を客に委ねるなんて…。僕はやっぱりお客さん代表なんで、理解に苦しむときは「はっ!?」って顔をしますけどね。

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――そんな何が起こるかわからないライブですが、最後に見どころを教えてください。

川原 僕の中で唯一自慢できることに、アキレス腱が切れたことがないんですよ。そこは安心して見てもらえるかなと。アキレス腱が切れたらコントどころではないんで。
瀬下 心配してないから。
川原 でも、一度切れたら切れやすくなるみたい。よかったですよ。
瀬下 そんなこと言ったら、みんなめっちゃ足元見るようになるよ。どこに注目させてるんよ。他は?
川原 あとネタにも集中してもらえれば。
瀬下 やっぱりそこが一番ですね。単独でしかやらないネタがいっぱいあるので。あと、ライブってその時しか生まれない空気もあるんですよ。それが、“THE LIVE”だと思いますね。テレビと違って時間の規制もないため、5分と想定していたネタがその場の雰囲気で10分や15分になったりするのもよくあって。
川原 今までも用意していたVTRやコントをやれずに終わってしまうってこともあります。
瀬下 舞台裏の出番表にはたいてい各ネタ7分って書いているんですが、それも大体ウソで(笑)。
川原 あれは、“7”って数字が好きやから書いてるだけ。
瀬下 それはあかん(笑)。だから舞台裏もバタバタで、裏に戻った時、僕たちのですがスタッフさんもかなり疲れています。
川原 そして、相方、お客さん、スタッフさんまでみんな冷たい目線を投げかけてくる…。
瀬下 まぁ、それを含めてのライブです。そんな“生”を楽しみに来てください!!


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天竺鼠の単独ライブ「大阪のことを愛してますライブ in Tokyo」

会場 :ルミネtheよしもと
日時 :2月23日(日) 開場19:00/開演19:30 
料金 :前売2000円/当日2500円


チケットよしもと:http://yoshimoto.pia.jp/


●天竺鼠の動画はこちら:http://ynn.jp/u/382/


【天竺鼠】

2014年2月 5日 (水)

芸人としての生き様は“幸せまでのドキュメンタリー”!? 相席スタートロングインタビュー

コンビ結成わずかながら、昨年の『THE MANZAI2013』において認定漫才師、さらにワイルドカードにも進出した男女コンビ「相席スタート」。女性ならではの“モテたい欲”溢れんばかりの心情を赤裸々に吐露する山﨑ケイと、正直すぎる男心の声をついつい口にしてしまう山添寛との掛け合いは、これまでに類を見なかった男女のしゃべくり漫才として注目を集めています。
先日行われた『彩〜irodori〜East Championship』では8位となり、3月からの新システムで「〜Member」入り。また、今週2月7日(金)にはコンビ初のトークライブ開催とますます勢いを増す相席スタートに、『彩〜irodori〜East〜』や初のトークライブ、またコンビ結成や2人の関係性について、多いに語ってもらいました!

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——1月25日に、3月からスタートする新たな『彩~irodori~East~』のランキングを決定する『彩~irodori~Championship』が開催されました。相席スタートさんは「~Member」からのスタートが決定しましたが、当日の戦いを振り返っての心境は?

山﨑:私は良かったなという感じですね。これは男と女の違いじゃないかなと思うんですけど、そこまで賞レースとか戦いに興味がないというか。男の人はわかりやすい称号みたいなものが欲しいんでしょうけど。
山添:そうですね。お笑い自体、数字では評価されにくいものじゃないですか。ああいう大会で結果を残したら努力が報われた感じが実感できるから、僕はちょっとでも上に行きたかったですけどね。
山﨑:悔しかった?
山添:自分らのネタとあの日の出来栄えを考えたら、直後は“よう(Memberまで)いけたな”って感じでしたけど、やっぱり良く考えたら悔しいですよね。
山﨑:そうなんだ。でも、一昨年は『ing!』(注:新たにできた『彩~irodori~East~』のランキングを決める決戦。2012年の年末に東京・SHIBUYA-AXにて開催した結果、ジューシーズ、シソンヌ、ジャングルポケットがTOP3に決定した)に入ってなかった訳だし。私、それこそ『ing!』に出てる同期を待ちながら、出てない後輩と飲んでたもん。
山添:みんな行っちゃうんで、寂しいですよね。僕、3人でルームシェアしてるんですけど、みんな、いいひんなって。
山﨑:ね。で、ライブ終わりの同期たちがやって来て、「この人たちがTOP3になったよ~」って話してるのを、蚊帳の外で聞きながら“私、これからどうなるんだろう”と思ってました。

――その頃、まだお2人はコンビを組んでないですもんね?

山添:僕は「山﨑と組めや」って作家さんに勧められて、どうやって丁重に断ろうかなと思ってたのが、1年前。
山﨑:私も解散したばっかりだった。いま、CMで「3年あれば人生が変わる」って言ってますけど、いや、1年でもずいぶん変わるよなって。1年前から思えば、いまの状況は考えられないから。
山添 そう思うたら、「〜Member」に入れて良かったですね。

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――TOP2に入れると思ってはなかった?

山﨑:決勝5組には入れるかも、っていうのは少しだけあったかもしれないですね。『THE MANZAI2013』もちょっとだけですけど、決勝に行けたかも、みたいなことを思った瞬間があったんですよ。結局、18位でワイルドカードもギリギリだったなぁって話になったんですけど、最初ワイルドカードだと訊いたとき、ちょっと悔しくて。
山添:来年はもっとキツくなるから、ここでこのチャンスを逃さずに決勝へ行っときたいっていうのがあったんですよね。
山﨑:だけど、1年で“悔しい”って思えるところまで来られたのがすごいよね? 前のコンビのときは思わなかったから。
山添:確かに、ケイさんはめっちゃ変わらはった。コンビを組み直すと、いちばん下(のカテゴリー)からのスタートになるじゃないですか。月2回のライブで2分ネタをやってたんですけど全部新ネタでいきたいし、ネタ合わせもしたい僕に対して、ケイさんはエンジンがかかってない感じで。やけど、結果が見え出してからのこの半年、意識が変わりましたね。
山﨑:私は遊んだり、飲みに行ったり、バイトしたり、自分の生活を充実させることがまず基本で。だから、「その日は飲みに行くから」「その日はバイトがあるから」って「そんなにネタ合わせしなくてもいいんじゃない?」って言ってたんですけど、結果が出たら楽しくなったんですよね。で、『THE MANZAI』が終わって、2人で話したのは“100組いても1位にはなれないコンビだな”っていうことで。たぶん100組いても5番くらいがマックスで、もし1000組に増えたとしても20番くらいに入れるのが現状の力なんだろうと思いましたね。
山添:いまはね。いまのところは、です。ただ弱点は見えたんで、今年は未完成の部分を完成させてレベルアップしたコンビになる……予定なんですけど(笑)。

――弱点は見えているんですね?

山添:はい。『THE MANZAI2013』と『~Championship』を経て、僕らのネタを観てみるとまだ未完成なんですよ。ワイルドカードや決勝で戦っていた先輩方はこれ以上ないっていうくらいの完成度の高いネタを持ってきはる。そんな中で未完成では勝てへんなって思ったんで、今年は完成させます!
山﨑:……ふふふ、宣言してますねぇ。

――山添さん、かなり気合い入ってますね(笑)。

山﨑:すぐ気合い入るんですよ。『~Championship』の前日も、(神保町花月であった)『囲碁OR将棋』終わりで、疲れてるのにかなりネタの練習させられました。
山添:はははは!
山﨑:誰もいなくなった神保町花月の楽屋で、「ケイさん、1回ずつ通しましょう」って。でも私もやりだしたらこだわるんで、結局1時間くらいやりました。2人ともこだわりがめちゃくちゃ強いんですよ。お互い、前のコンビでは相方がこだわりのない人で。たぶん、そういう人ってなぜこだわるのかが理解できないから「別に良くない? 言い方がちょっと違っていても」って考えると思うんです。山添のこだわりも、私のそれとは違うところもあるからイラッとはするんですけど、同じくらい強い気持ちでこだわってることは理解できる。私のこだわりを理解するには、同じくらいこだわりが強い人じゃないと無理なんです。
山添:ケイさんはボケやから、こだわりがあるほうがええんですよ。そう思うてるからこそ、めっちゃ理解しようとするんですけど、最初の頃はなかなか理解できなくて。
山﨑:そのこだわり方も、「そんなことは言いたくない」とか「気持ちが乗らない」とか女性特有の感じだからね。
山添:男コンビの、本来、相方がこだわる側やった場合の悩みとはまた別なんですよね。面白い方向に進むためのこだわりやから別にいいんですけど、相方がこういうタイプの女性の場合、どう対処したらええかが全くわからなくて。まぁ、いまでも見えてないですけど。

――前例はほとんどないですよね。

山添:そうなんです! 相方が男やったら経験がものを言うんでしょうけど、それが通用しないんでサラから勉強してる最中です。
山﨑:……だそうです。

――(笑)。

山添:観ている人は“前と、ちょっと雰囲気変わったな”くらいしか思ってない可能性ありますけど、僕としては全く違う。いちばん違うのは立場ですね。相方へ説明したり、教えたりする立場から、気ぃ使う立場になったんで。
山﨑:ただ、山添は前のコンビのときよりもかわいらしく見えてると思うんですよね。前はしっかり者みたいな感じでしたけど、普段はしっかり者でもなんでもない。結構天然ですし、結構バカなんで。

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――言われたい放題ですね。

山添:……情けないです(笑)。
山﨑:本当に普通の人なんですよ。普通の、全てがそこそこにそこそこの……ね?
山添:もうちょいええ言葉あるんじゃないですか?
山﨑:(笑)だからわかりやすいですよね。そこそこの男を捕まえて「何そこそこ楽しんでんだよ」ってイチャモンを付けながら、「所詮そこそこなんだからな」って言い続けてるっていう。
山添:そこそこにも満たへん女が?
山﨑:そうそう。そこそこに満たない女がそこそこの男を捕まえて、必死で「所詮そこそこなんだからな」って文句言うっていう。
山添:僕は僕で、そのそこそこの部分から目を背けてたから……まぁ、そんな感じの漫才です。ただ、僕ら2人に共通してるのは、ネタとトークで嘘をつきたくないっていうことで。
山﨑:前のコンビのときも、彼氏がいた時期は一度も“彼氏が欲しい”っていうネタをやったことはないんですよ。お客さんに言う訳じゃないし、本来はどうでもいいところかもしれないですけど、誰に知られていなくても嘘をつくのは嫌だっていうこだわりが元々あって。それが(コンビを組んでから)山添にもうつっていきましたね。
山添:確かに、以前はそんなことなかったというか。昔話のネタとかもそうやし、“何々をやってみたいな”“ほなやってみよう”っていうネタも自然にできてましたし。
山﨑:でも、やってみたくないじゃん。“桃太郎の話ってどんなんだったっけ?”って。いや、別にほかの人がやるのは全然いいんですけど。
山添:まぁまぁ、“人前に出てすぐにそんなこと思う?”って思い出したら、僕もほんまのことを言いたいと思うようになりましたね。たぶんですけど、僕らみたいな2人が恥じらいもなく、思ってることを言い合ってるって面白いんちゃうかなと思うんですよ。ケイさんみたいにめっちゃ美人ではないけど、ブスでもない人。で、僕も中間の男で……。
山﨑:山添は中間より、ちょっと上だよ。そこそこ、だから。
山添:え? ちょっと上?

――中の上くらいですか?

山﨑:うーん、顔だけでいうと中の上くらいなんですけど、背の高さとか清潔感とかで結局、上の下くらいのところにはいると思います。男はあんまり顔を重視されないですし。
山添:褒めてから落とすの、やめてくださいよ。
山﨑:良く見たら、そんなに大した顔じゃないんだよね(笑)。
山添:……おさらいしたら、最初から褒められてなかったです。

――はははは! 相席スタートさんは、そういう2人の関係性がものすごく面白いですよね。だからこそ、漫才の掛け合いも自然で面白いんだと思いますが。

山添:女性も男性も言われたら恥ずかしいことってありますやん。でも、せっかく芸人なんやから思いっきり言うてやろうと思いますけど。
山﨑:ただ、ターゲットは狭いです。ウケないときもありますし。
山添:ルミネとかだと、僕らの中ではちょっとベタすぎるというか、ほんまにしたいこととちょっとずれてるかなくらいのほうがウケやすかったりします。

――反省っていうか、そういうのはネタ終わりに毎回話し合うんですか?

山﨑:そうですね。ルミネのときは、私が山添に推した説があって。私、中の下の女っていう体でネタをやらせてもらってるんですけど、ルミネに来てくださるような年配の方は私のことをブスとは思わないんですよ。歳を重ねると、若いとか健康とか。
山添:元気とかね。
山﨑:っていうだけで、きれいっていうカテゴリーに入るんで、ちょうどいいブスボケが伝わらなかったことが敗因なんじゃないかなって。その日、ゆにばーすも出てたんですけど、はらはちゃんとウケてたから「はらは、ちゃんとブスなんだよ。でも、私はあの年齢層から見たら、健康的でかわいい。それが敗因だわ」って言いきって満足げに帰りました(笑)。
山添:ははは。まぁ、ウケない理由は意外とすぐ見つかるんで、凹むことなくいけますよね。そのときはそういうことにして、次に活かして。で、次ええほうに向かったら“やっぱりそうやったんかもしれないですね”ってまた話し合う感じですね。
山﨑 そういう分析が好きなんです。

――3月からの「~Member」に入ったということは、∞ホールの中心的な存在として盛り上げる立場になるということで。また、11期生までが卒業するので、お客さんがガラッと変わる可能性もあると思うんですけど、そういうのはどう分析していますか?

山添:ガラッと変わるのは、いろんなネタを試せそうなんで楽しみですね。ほかの芸人さんのネタは何回見ても笑えるんですけど、ケイさんのはその、ボケじゃなくて言いたいことを言ってるだけなんで。
山﨑:私たちの漫才って、初見がいちばん面白いと思うんですよ。
山添:2回目もまだ味あると思うんです。で、3~4回目になるとボケじゃないから、笑われへんようになるんですよ。
山﨑:新喜劇的な要素はないというか。思っていたことを喋ってるような気持ちで毎回ネタをやってるんで、極端なことを言ったら全部違うネタをやりたいくらいなんですよ。漫才って元々、出会った2人が喋ってボケてツッコんでみたいなことだから本当はそうしたいんですけど、毎日毎日卑屈に生きてるわけでもないじゃないですか。

——まぁ、そうですよね。

山﨑:それに、私たちの漫才って良くエッセイとかコラムみたいなネタって言われるんですけど、ボケも普通に生きてる人たちがなんか引っかかってることを言葉にしてるんだけなんですよね。だから、「共感できます」って言ってくれる人もいるし、「泣きました」っていう人もいるし。山添のバイト先の人みたいに共感しすぎて、噛み締める人もいるし。
山添:「どんなネタやってるの?」って訊かれて答えたら「わかる」って……ほんまに気まずかったです。でも、そのおかげでちょっと仲良くなれましたけどね。
山﨑:じゃあ、良かった(笑)。∞ホールだと若い子が多いから、私が言ってることよりも山添の「何言ってんねん」とかひえ~って引いてるところがウケるんです。でも、賞レースとかお客さんの年齢層が高くなると、私が言ってることで笑ってくれるんですよね。そういう反応の違いも面白いですよね。Twitterなりリプライでも「共感しました」って言うのが多くて。

――面白いではなく(笑)。

山添:でも、そういう反応がくることに、僕らもよしよしって思い始めてるんですよね。不思議なことに。

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――そういう意味では、2月7日(金)、東京・渋谷公園通りシアターDで開催される初のトークライブ『相席スタートトークライブ~終電逃し逃がし』の期待も高まりますね。チケットぴあでは発売初日にチケットが完売したそうで。

山﨑:でも、ぴあに置いてたのってきっと10枚くらいですよ。いっぱい手売り持ってます! だから、完売って言われるのは恥ずかしいんですけど、でも10人の人がどうしても行きたいという気持ちで、ぴあでチケットを取ってくれたっていうのはすごいことだなって。私もサッカーとか好きだったり、GLAYさんのファンクラブに入ってたんでチケット取るのがどれくらい大変かわかってるんで、そう思います。
山添:いやぁ、ほんまにうれしいですよね。
山﨑:「置きチケとかしたことないんですけど、行ってもいいですか?」って言ってくれる人も結構いて、普段とはまた違う人が観てみたいと思ってくれたこともうれしいですね。
山添:前のコンビのときより、応援してくれるお客さんの層も幅広くなりました。言ったら、大人の女性が来てくれはるのとか、うれしいですよね。男性も来てくれはるし。

――元々、トークライブはやりたいなとは思っていたんですか? お2人で話してた『よしログ』を拝見したらめちゃくちゃ面白かったので、個人的に“トークライブやってほしいな”と思ってたところでした。

山﨑:あっ、ありがとうございます(笑)。
山添:めっちゃうれしいですね。
山﨑:ずっと「トークライブやりたいね」って言ってたんですよ。
山添:さっきの話じゃないですけど、トークライブからネタが生まれる可能性もあると思いますし。
山﨑:ただ、“このトークライブ、絶対面白い”と思って来てくれるんだろうなって、みなさんの期待を感じる分、どうしようと思ってます(笑)。

――はははは!

山﨑:客観視したら、私も“なんか面白そう”と思いますもん。
山添:僕も大体想像つきますよ。なんか言うてまうんでしょ? 僕が。で、ケイさんを怒らせるんでしょうね、きっと。
山﨑:ネタの冒頭で山添はいつも、そんなこと言ったら絶対、私に怒られるってことを言っちゃうじゃないですか。2人でネタ作ってるときに、あの部分が最近、私のツボで。
山添:1年くらい経つと、お互いの役割を把握するじゃないですか。で、「僕、こういうこと言いますわ」と。ケイさんがそれならこういうって言ったことに対して、「あぁ、じゃあ、こう言います」って言うてるときに、もう絶対怒られるやん……って僕も思ってるんですよ。
山﨑:“絶対怒られるじゃん”って思いながら言ってることが面白いっていうか。それを私が言わせてるんだっていうことが、段々面白くなっちゃってます。
山添:で、僕も「こんな言い回しどうです?」って、ケイさんがより怒りやすくするように持っていってたりしますし。
山﨑:だから、トークライブでもそういうことをするんでしょうね。山添はちゃんと見事に浅いことを言うんですよ。そこそこの男、なんで。

――山添さん、さっきから結構な言われようですけど、腹立たないんですか?

山添:……ちょっともうおかしくなってるんですかね?

――(笑)プライドの高い、器の小さい男の人だったらブチ切れそうなことを言われてるかもしれないですよ?

山﨑:山添はいつも「そうっすねー!」って訊いてます。うまいこと、育てました!
山添:はははは!

――いい関係性ですね〜。山添さんは男性同士の、山﨑さんは女性同士のコンビから解散を経て、新たにコンビを組まれたわけですけど、元々お互いにいい印象は持っていたんですか?

山﨑:いい印象どころか! どっちかと言ったら、好きじゃないっていうタイプでした。
山添:僕も周りから聞いてたイメージで、絶対ひどい人やと思ってました。ひどくて、怖くて、性格が悪すぎるって。
山﨑:はははは!

――構成作家さんの勧めで、コンビを組むことになったんですよね。

山﨑:そうですね。その話がなかったら組んでないと思います。組もうなんて考え、1ミリもなかったです。私は相方が辞めるって言うんで(その作家さんに)「解散します」って報告に行ったんですよ。最初は「マジか~」って言いながらしばらく落ち込んでたんですけど、「山添と組め!」って急に明るく言い出して。「え? なんですか、その発想」って言ったら「見えたな」って言われたんですけど……なんだったんですかね? 単なる思いつきだったのか、本当に何か見えたのかは謎です。
山添:僕はその頃もう解散してて、見学に行った同期の対決ライブの打ち上げで、その作家さんに「山添、山﨑と組め」って。同期の芸人もその人が言うてるからわかったような顔してましたけど、あとで全員に「絶対やめとけ」って言われました。僕もどうやって断ろうかなと思ってたし。
山﨑:私もみんなに「絶対違うと思うよ」って言われましたね。

――でも、コンビを組む前に一度、2人で舞台に立ったんですよね?

山﨑:その作家さんに解散するって言いに行ったときに、報告の前に「(同期で昨年、芸人を辞めた)久松くんと山添とトークライブをしたい」って言ったんですよ。私としては、解散した芸人が解散秘話を喋るライブがやりたくて。
山添:ちょっとでも解散が悲しく感じないように、笑ってやーみたいなことですよね。
山﨑:そうそう。解散するとどうしてもかわいそう感が出ちゃうんで、お客さんに「どうしたらいいと思います?」って相談しながら、試しにシャッフルネタもやってもいいかなと思ったんです。で、私と山添、(ちんぺいの)ゆっちゃんと久松くんでライブしたんですけど。

――お2人でネタをしてみて、しっくり来たんですか?

山﨑:それが全然来なくって。
山添:全然来なかったですよねぇ。

――あれ、そうだったんですか(笑)。そこからなぜ組んでみようと?

山添:そのときのネタ作りの感じが良かったというか。(それまでの)イメージと違って、こんなに優しいんや。思いやりとかある人なんや。ネタのこととか、僕に訊いてくれはんねや、と思ったんですよ。ケイさん、前の相方さんとのネタ作りのとき、一言も会話しなかったんです。やから、どんだけ極悪な人なんやろうと思ってたら、意外と普通やんって。むしろ、面白くしたいっていう思いを汲み取ってくれはる人なんやなと思ったんです。
山﨑:いいギャップですね(笑)。私、前のコンビのときは1人でネタを作ってたんで、きつかったんですよ。で、山添も前のコンビでネタを作ってたほうだったから、コンビ組んだら今度こそ楽できると思ったんです。けど、そのお試しライブで一緒にネタを作ってみたら、めっちゃキツくて。当時の山添は完全にお笑い脳なんで、私のニュアンスをボケとして捉えられなくて「ちょっとわかんないですねぇ」みたいな感じで。さっきも言ったように、山添が思ってることは私にとってやりたくないことだったし、本当にキツかったんです。で、結局、誰と組んでもネタを作るのはキツいんだと絶望的な気持ちになって、すごく嫌な気持ちになりました。私がいいじゃんと思っても、山添は「でも……」って言うし。
山添:へぇ、そんなん思ってたの知らなかったです(笑)。
山﨑:あと、ちょうど日本テレビの『NexT』っていう番組に取材してもらっていたんですよ。番組からは「コンビを組んでも組まなくてもいいんで、答えを一度出してください。ここで断ってあとで組んでもかまわないから、いまの気持ちを言ってください」って言われていたんですけど、私はせっかくこういうきっかけをいただいたんだから、イエスかノーかで決めようと思っていて。まぁ、ライブに番組にって2つもこういうことが重なることはないだろうから、とりあえずやってみるかみたいな感じでした。
山添:いま思うたら、(組み立ての頃の)新ネタ作る言うて結局作れずに、距離だけが縮まって仲良うなっていく期間がめっちゃ大事やった気がします。
山﨑:それは本当にそうですね。

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——男女コンビならではの、困った点ってありますか?

山﨑:困ったというか、私たち良く「お互いを異性として見ることはないの?」って訊かれるんですよ。で、山添は一応、男じゃないですか。コンビだから楽屋とかでも近くにいるんですけど、そのときに無神経だから気にせず、平気な顔で着替えたりする訳ですよ。そういう上半身裸になってるときって敢えてどこを見たらいいんだろうっていうのが、最初はありましたよね。本人は「いや、だから~」ってネタのことを話しながら裸になってるんです。服を着てるときは意識しないんですけど、裸になられたらなんかちょっと……どこ見たらいいのかなって思っちゃって(笑)。
山添:ははははは!

――(笑)そんなこと考えてたんですか。

山﨑:だって、普通に喋っているときは肩の辺りも見てるのに、裸のときは目だけ見て敢えて見ないようにしてるんだって思われても……みたいな感じで、「あぁ、うんうん」って返事しながらチラチラ(裸を)見たり(笑)。そういう意味での“男の人”っていう意識はあったんですよ。隣りにいて、腕が触れるときも意識したり。
山添:へぇ~~~、そんな葛藤あったんすか!
山﨑:いやぁ、葛藤じゃないけど。
山添:じゃあトキメキ?
山﨑:トキメキっていうほど素敵なものでも……。あまりに無神経だから、ちょっと……みたいな気持ちがあったんです。だけど最近、マジでないです!
山添:それ、逆にショックやわ! ちなみにケイさん、僕はすんません、最初から意識してなかったです(笑)。ケイさん、先輩ですし、後輩の僕が気ぃ使ってたら余計気を使わせるんじゃないかと思いますし。

――山添さんは意識してないと言いますけど、山﨑さんがざっくりと胸元の空いた洋服を着てたら? 男の人ってそういうところに必ず目がいってしまうって言いますよね?

山添:まぁ、僕もちょこちょこは目がいきますけども……。
山﨑:はははは!
山添:やけど、ケイさんなんやって思うてまうと、気持ちがすっとね(笑)。

――(笑)あと、山﨑さんが以前『よしログ』で話してた“自分宗教”のお話も伺いたいんですけど。

山添:いやぁ、これは気持ち悪いですよ。
山﨑:山﨑教はものすごくいい宗教なんですよ。大教祖は母親だと思うんですけど、私にいくつかしつこく言っていた教えが基本になってるんです。母が言っていたのは、人の立場に立って物事を考えなさいということで。されてうれしいことが人にすればいいし、嫌なことはしていけないっていうのを、ものすごくうるさく言われたんです。
山添:いい教えですよね。

――ですね。

山﨑:でも、中学生くらいの頃、「あなたの価値観を押し付けないで!」みたいなことを言われて。そこで初めて“人間ってみんな一緒じゃないんだ”って、遅ればせながら気付いたんです。
山添:みんながみんな、そういう教えを受けている訳じゃないっていうことをですか?
山﨑:っていうより、みんな何かをされたらうれしいんだと信じて生きて来たんだけど、違ったというか。「偽善者!」みたいなことも言われて、そのときタイムリーに太宰治の『人間失格』を読んでしまったんです。で、主人公(の大庭葉蔵)が私自身なんじゃないかと思えて。私がぐちゃぐちゃ思ってることが実はみんなにばれてるんじゃないかと怖くなって、誰とも喋るのをやめようと思ったんですよ。その辺りから自分の殻に閉じこもる“暗黒時代”に入るんですけど、それは“キラキラ組とザ・シャドー”っていう漫才のネタで昇華されました(笑)。
山添:その頃、サッカーしてましたわ、僕。

――めちゃくちゃ青春を謳歌してる!

山﨑:でしょ? ダッサいんだから。なんにも考えずにボール蹴ってたんでしょ、どうせ!
山添:ははは! 鼻垂らして、寒いのに半袖でね。

――(笑)対照的ですねぇ。

山﨑:そうなんです。で、結局、自分がされてうれしいことをするしかないって思ったんですよ。自分の物差しで測るしかないんだから、されてうれしいことはしたほうがいいし、嫌なことはしない。押しつけでも偽善者でもそうしていこうっていうのが、“山﨑教”なんです。あと、母からの教えで「トイレは必ずきれいに使いなさい」っていうのがあって。「トイレットペーパーを空にしたままにする人がいるけど、ああいう見えないところこそちゃんとしなきゃいけないのよ」って言われて育ったんです。
山添:素敵なお母さんや~!
山﨑:だから私はトイレットペーパーの2つのうち1つが空になっていても、ちゃんと付け替えるようにしてます。母の教えもありますけど、美人は最悪、トイレットペーパーなんて替えなくていい。だけど、そうじゃない人は替えないとどうするんだって思うんです。
山添:そういう気遣いが大事やと。
山﨑:そう! だけど、私がトイレットペーパーを替えてることは、誰も見てくれないじゃないですか。でも、いつか絶対、何かしらで返ってくるはずだと信じて、毎日替えてるんです。
山添:さりげなくやってるところをイケメンが見て「気が付くんだね」って?
山﨑:そうそう。ただ、その現場は見てもらえないんで、“私はトイレットペーパーを替える女です”ってアピールしていくしかないけど。だから山﨑教に入ったら、必ずトイレットペーパーを替えないといけなくなります。
山添:清掃員やと思われますよ?(笑)あと、お父さんの素敵な話もありますよね?
山﨑:父と話してたんですよ。男女平等っていうのはいいこと。雇用機会均等法っていうのもすごくいいことだと。だけど、例えば会社で女の子が重い物を持っていたら持ってあげようかなと思うし、持ってあげる。で、女性っていうのは男性にはできない気遣いができるから――お父さんは別にお茶を汲んでほしいと思ってるわけではないけど――“さっきはありがとうございました。お茶どうぞ”ってさりげなく気遣ってくれる。それが平等なんじゃないかって。
山添:僕もそう思います! 僕も、ケイさんの荷物とか持ちますし。
山﨑:持ってくれますし、車道側も歩いてくれるんです。
山添:けど、そんなええもんじゃないというか。僕、ツメが甘いんで、動いたときにちょうどチャリが来てぶつかったりするからカッコ良くはならないんですけどね。
山﨑:私だからそうしてくれてる訳じゃないしね。山添は優しさが浅いんです。極端なこと言ったら、そうすりゃあいいんでしょ、みたいな感じなんですよ。
山添:ほんまに極端やなぁ!
山﨑:風邪引いたときも「大丈夫ですか? うわぁ辛そうですね」って声をかけるのが本当の優しさなのに、山添は「明日、朝起きて体調悪かったら、絶対に病院行ってくださいね」って。別に、私を女として見ろって言ってる訳じゃないんです。山添は人としての優しさが足りないと言いたいんですよ。
山添:いや、心配ですよ? ただまぁ、あのときはワイルドカードの前やったから、優しさ込みの心配が4割、“しっかりせぇよ、ワイルドカードの前なんやから”っていう心配が6割でしたけど(笑)。
山﨑:そういうところが優しくない! 山添の優しさは全部、そういう感じ。“困ってる人がいたら声をかければいいんでしょ”っていう感じに見える!
山添:そういう考え方は良くない。ケイさん、心が汚いです!

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――ふふふふ……まるで漫才ですね。いつもそういう感じで話してるんですか?

山添:そうですね。
山﨑:こんな感じだからか、テーマを決めてネタを作ろうとすると意外とできないんです。いま男女の恋愛は成立するのかみたいな議題を持ってるんですけど、なかなかできなくて。
山添:でも、ネタを作るスピード自体は上がって来てると思います。

――そして、台詞にはかなりこだわる。

山﨑:そうですね。気に入ったのができたら、「ちょっとこの台詞、良すぎるなぁ」って泣いちゃいます(笑)。あと、山添を攻めるのが楽しくて、何回やっても笑っちゃう好きな台詞が3つくらいあって。練習してても笑っちゃうんですよ。男の人のあら探しをしてあら探しをして、攻めきった!みたいな台詞を言ったときって楽しいんですよね。
山添:いままでケイさんが出会ってきた男を、僕が背負ってます。

――(笑)面白いネタをつくるためにも、山﨑さんの私生活の充実が今後も不可欠ですけど……でも、好きな人ができるとネタ合わせをサボっちゃうんですよね?

山添:そうなんですよ。まぁ、サボったらサボったで、久しぶりに会うたときにおもろい話を持って来てくれるんでいいんですけど。
山﨑:それこそ、男芸人さんは(ウーマンラッシュアワーの)村本さんくらいいかないと、遊んでるエピソードを世間に出せないじゃないですか。っていう意味でも、男芸人が10人の女の子と遊ぶより、私が真剣にした1つの恋愛の失敗のほうが絶対に面白い。だから、私、一生懸命生きていこうと思ってます。
山添:僕、相方やからまだ聞いてられますけど、第三者が聞いたら結構恥ずかしいことをいま、ケイさん言うてますよ?
山﨑:え? 私はみなさんに、幸せになるまでのドキュメンタリーをお見せしてるだけだから。人生のこととかを考えると、最終的にはいつも“幸せになりたいだけなのに……”ってところに行き着くんです。マジでそう思ってるんですよね。
山添:たまに歌手みたいなこと言うんですよね。

――山﨑さんが「幸せになりたいだけなのに……」ってつぶやいた瞬間、山添さんは隣りで洋服のホコリ取ってました(笑)。

山﨑:ははは! でも本当に私、幸せになりたいだけなんだよね。
山添:(興味なさそうに)なれるなれる。そう思ってたらなれる。だって、女芸人をやってる理由がね? 最高のお見合いやと思ってるんですよね?
山﨑:そう。テレビに出るのが、いちばんたくさんの人と一気に出会える方法だと思ってるんで。

――山﨑さんがドキュメンタリーとして幸せまでの奇跡を見せているなら、山添さんは?

山添:僕はいちばん近くで、ケイさんのドキュメンタリーが完結するまで全部見届けたいですね。だって、お笑いをあんまり知らん、お笑いよりも好きなことがあるケイさんみたいな芸人って、僕と全く違っていて面白いですもん。(『THE MANZAI2013』の生放送中のビート)たけしさんのボケにもケイさん、(全員がコケるなかで)突っ立ったまま拍手してたし(笑)。「テレビで観たことあるやつ~」って言いながらテレビに出てたんですからゾクゾクしましたけど、ワクワクもしましたからね。
山﨑:あれ、いろんな人からツッコまれました(笑)。あと、最近「きれいになったね」って良く言われるんですけど、充実が顔に出ちゃってるんですかね。

――ネタ中に、山添さんを追い詰められるし、ストレス解消できてるんじゃないですか(笑)。

山﨑:そうかもしれないですね。私はちょっとだけ若い男と喋って生き生きして、ストレス解消してきれいになって。で、山添はいろいろ吸い取られてどんどん顔が変わって……確かに昔はかわいかったよね。
山添:まぁ28歳やからっていうのもあるでしょうけど、吸い取られてる可能性はあります。できもんができたら、絶対ケイさんのせいですからね!
山﨑:はははは!
山添:そういう意味では、僕のドキュメンタリーも絶対見届けてほしいですね(笑)。


●ライブ情報
相席スタートトークライブ~終電逃し逃がし~
開催日時:2月7日(金)21時15分開場/21時30分開演
会場:渋谷公園通りシアターD
チケット料金:前売自由1000円
チケットよしもと:http://yoshimoto.pia.jp

●ヨシモト∞ホール
http://www.yoshimoto.co.jp/mugendai/


【相席スタート】

2014年1月30日 (木)

中川晃教さんとアジアン・隅田が『ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!』の魅力を語る!

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現在、なんばグランド花月で公演中の『ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!』。トニー賞を3度受賞したMr.ブロードウェイことヒントン・バトルさんが主演・演出し、本場ニューヨーク・ブロードウェイで活躍するシンガー、ダンサー、バンド、そして日本が世界に誇るタップ・ダンサーHIDEBOHを加えた豪華キャストで連日、プレミアムショーをお届けしています。

そんな『ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!』(以下、『AVB!』)を観劇したシンガーソングライターで俳優の中川晃教さんとアジアン・隅田美保。ふたりは2012年、吉本興業の100年史をつづった月替わり芝居「吉本百年物語」6月公演で共演した仲。息のあったやり取りで、『AVB!』観劇後のエキサイティングな対談を繰り広げました。

中川:見終わった直後ということでホットです!
隅田:ずっと“フー!!”って言ってたもんね!
中川:ヒントン・バトルさんの「ソフィスティケイテッド・レディ」が素晴らしかった! これ、毎日やってるんですよね!? ヒントンさんが素晴らしい! もちろんHIDEBOHさんも! これは本当に観るべき! 本来なら、日本じゃ観られない! エンターテイナーとして、ダンスも歌もタップもトークも、全部ひっくるめてお客さんを楽しませる。その中でもヒントンさんの歌声は飛び抜けて素晴らしいね。どうだった隅ちゃん? めんちょう中の隅ちゃん!
隅田:そうですね、めんちょう中の隅ちゃんは……いや、めんちょう中の隅ちゃんという紹介はいいんですよ。私は素人ですけど、観ていて本当に楽しい。ずっと前のめりで、耳も目も鼻も毛穴も…。
中川:穴という穴、全部じゃないですか。
隅田:全部しびれた! もうワクワク!
中川:中川:1幕では誰でも知っているような、聞き覚えのあるミュージカル・ナンバーがずらりと並んでいて。こういうメドレーもなかなか日本では聞けないよね。
隅田:そうですね。ミュージカルの看板の映像もいっぱい出てきて、本場で観ている感じになりました。よかった!
中川:本物だよね。当然ながら手を抜いたりとか、そういうレベルじゃなくて、ヒントンさんがエンターテイナーとしてやられてきたものがすべて詰まってる。ヒントンさんを知っている人も知らない人も、ミュージカルを観たことある人も観たことない人も、慣れている人も慣れていない人も、確実に引き込まれるのは何で?って。それは、ヒントンさんの持っているバックグラウンドにすべてあるんだよね。それが2時間半のショーの中で体感できる。日本にいながらこの本物を感じられるのは贅沢だし、ニューヨークに行かなくても、ブロードウェイの魅力が体感できるステージ。これはほかにはない! 
隅田:観られないよね。
中川:こういうことをやっているところはほかにない。何でなんばグランド花月でやってるの!?(笑)。よしもとさんのお笑いでお客様を楽しませるという精神と、ヒントンさんのエンターテイメントのコラボが、さらにガチで見せられたら面白いだろうねってさっきも隅ちゃんと話してたんです。それが観られる日がきっと来るんだろうなって思わせてくれる、エンターテイメントの聖地になりつつあるなっていうのを感じましたね。
隅田:どういうコラボになるのか、思いつかないですよね! 世界が違うじゃないですか。今日、なんばグランド花月の出番やって、観ながら「あー、私、あそこで漫才やってた…。ええー!? ブロードウェイで漫才やってたんかな?」っていう感じになって。
中川:まさにシアターで融合してるわけだよね、一日を通して観られるわけだから。同じステージの上で、歌い手さんとコラボして。
隅田:お笑いで!?
中川:隅ちゃんが踊ってる姿も目に浮かんだもん。セットもそうだけど、すごくシンプルなんだけど、この劇場ってすごくいいなって思わせてくれる発見もありました。セットはシンプルなのに、ゴージャスに変化していくんだよね。すごくショーアップされてた。
隅田:すごいね。特別な装置もないのにね。
中川:すごく考えてるよね。飽きさせないし、一つのシーンが終わっても、また次に違う世界が見えるっていう、玉手箱みたいにどんどん開いていくから。英語だから何言っているか分からないんだけど、すごく乗せようとしている。そこでうまく空気に乗っかると、これぞ音楽、これぞエンターテイメントを体感できる。そういうことを計算つくしたことよって生まれたショーにようこそ!っていう準備は整っているから、あとは僕たちがそこに飛び込むか、飛び込まないか。この一期一会な感じが毎日繰り広げられているかと思うと、すごくレベルが高いよね。同じ仕事をやってる人間から見てもレベルが高い。素晴らしいと思った。バンドもいいね! もう自由自在じゃん。それを「すごい」だけで片付けちゃうんじゃなくて、そこに乗ったらもっと未知の体験が待っている。扉はもう開かれているって感じだよね。

--では、その開かれてた扉に飛び込む一歩って何だと思いますか?
中川:めんちょうさん、何だと思いますか?
隅田:そうですね、めんちょう隅田から言いますと、いっぱい言い方があると思うんですけど、「気にするな」ですね。うまく言えないけど。私もあんまり「わーっ」てするのとかって苦手な方なんですよ。でも、周りの目が恥ずかしいとか、そういうこと関係なく、その空気に乗っかる。
中川:Have a fun!ってことだよね。ステージに上げられるお客さんもすごいノリがよくて。関西人ならではのウェルカム、楽しむぞっていう姿勢は全国で真似たいね。これ、東京でやったらすごいと思いますよ!

--各地からも見に来る価値ありですね。
中川:あると思います。1幕は割と王道。で、2幕でライブハウスになった。ショーとライブハウスの一体感。感動させられるかっていう、一番大切なものがあるんだよね、この作品は。こういうショーを続けてやっていく。続けていけば、興味がなかった人も、興味があったけど観られなかった人も、必ず「あ、また来てる、なんかすごいらしいよ」って口コミになって、「大阪でしかやらないらしいよ」ってなって、観に行こうってなると思う。そこで初めて、本物のエンターテイメントの底が上がっていくんじゃないかな。みんなが楽しめるエンターテイメントっていうところに広がっていくんだなって思う。

--その可能性を十分に感じられた?
中川:はい。ただ、これを日本人がやっていないのが惜しいですよね。ミュージカルをやっている者からしたら、ちょっと嫉妬だよね。花月でこんなすごいことをやってるんだ!って。嫉妬するよね。どう? ちょっと俺ばっかりしゃべってるから。
隅田:良かったシーン? 良かったシーン…。
中川:ずっと寝てたんですよ、横で。
隅田:寝るかアホ! 前のめりやったわ! 全部よかったんですけど、ヒントンさんとバンドの人がやり合ったり、お客さんを舞台に乗せたりするところはすごくいいなと思いました。楽しい。言葉がなくても分かるから、楽しい。私、ブロードウェイで生のステージを観たことなくて、今回の『AVB!』が初めてですけど、重みというか、深みというか…、濃い。うまく言われへんけど、観ていて自分がアメリカ人になったような感じになった。
中川:なんか分かる気がする。あのね、本物を見た時の「何やこれ」っていう、ある意味ショック状態。そのすごさが何なのか分からない。比べるものがない。ブロードウェイまんまの世界じゃないですか。たとえば2回、3回、4回と観ていくと、「同じタップでもこういうタップがあるんだな」とか、「HIDEBOHさんのタップとヒントンさんとかダンサーのタップは、同じタップでもこんなに音色が違うんだ」とか気づくと思うんです。どっちも素晴らしい。その融合がまた素晴らしい。歌も、本物はこうなんだって、お互いの魅力が分かるというか、まんま本物を観てあっけにとられるというか、圧巻される。そういうショックじゃない?
隅田:なんかね、日本でミュージカルを観ていて、体が動いたことがそんなにないんですよ。でも『AVB!』はキャストがほぼ外国人だからか、体が勝手に動くし、観ていて乗ることが恥ずかしいと思わないんです。日本人のミュージカルも素晴らしいですけど、動くのが恥ずかしいというか。そういうことを忘れて観る楽しさがある。それは大きいですね。
中川:このステージを観た人が、日本人のミュージカルとかと見比べることができるわけでしょ。ということは、俺たちも負けないものをやらなくちゃいけない。そこには嫉妬するっていう意味も含まれるわけだけど、お金を払って来てもらっている以上は、それ以上の収穫を得て帰ってもらわなくちゃいけない。それが拍手とか、お客さんのノリ、あの空気の中にすべてあるわけだよね。本当の楽しさを知ったお客さんが日本の舞台を観たときにどう思うのかっていうこととかを考えると、このクオリティの高さに負けないもの、高みを目指していくことをすごく感じた。僕たちがそう感じるからこそ、お客さも観て絶対に損しないものなんだよね。楽しめる。それがテーマだよね。ポピュラーなものをお客さんは求めると思う。…どう? うまくまとまってないよね?
隅田:まとまってますよ~、晃教さん。ありがとうございます、私の気持ちを訳していただいて。

--すごく刺激を受けられている様子が、ひしひしと感じられますね。
中川:うん、すごく。嫉妬しますよ。吉本興業さんでもっとこういうもステージを作りましょう!
隅田:ミュージカルと笑いの融合で。

--舞台に立たれる側として、中川さんは嫉妬するとおっしゃいました。隅田さんは?
隅田:「憧れる」です。私は憧れます。
中川:うまいだけじゃない、踊れるだけじゃない、何かがある。エンターテイメントはそうですよね、歌だけじゃない、芝居だけじゃない、プラスアルファで何がそこにあるか。隅ちゃんもそうじゃないですか。お笑いだけじゃない。翼をつけたり、めんちょうをつけたり。
隅田:ですよね~。
中川:そういうことをいっぱいやってるからこそ!
隅田:中川さん? …その辺にしとけよ!

●公演情報 
HINTON BATTLE’S AMERICAN VARIETY BANG!
ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!

<公演日程> 2013年12月14日(土)〜2014年2月14日(金)  
<振付・演出・出演>ヒントン・バトル
<共演>HIDEBOH
<脚本>ラリー・ビルマン
<エグゼクティヴ・プロデューサー>高平哲郎
<会場>なんばグランド花月
<チケット料金> S席(1階席・2階席前方)8000円、A席(S席以外)6000円
<お問い合わせ> キョードーインフォメーション ☎06-7732-8888(10:00〜19:00)
HP: http://www.americanvarietybang.com/

アジアン隅田の動画はこちら ⇒ http://ynn.jp/u/145

【アジアン】【隅田美保】

2014年1月28日 (火)

『しみけん、すっちーの新喜劇60 ~座長に・・・なりたいんや!~』第二弾の開催を控えた清水けんじとすっちーに直撃!

吉本新喜劇の世代交代を訴える清水けんじとすっちーが、来たる2月10日(月)、なんばグランド花月で『しみけん、すっちーの新喜劇60 ~座長に・・・なりたいんや!~』の第2弾を開催することが決定しました! 吉本新喜劇の新たなる1ページをめくるべく、座長になりたい思いを世間にアピール。オリジナリティあふれる新喜劇をお届けします。公演が間近に迫った今、未来の吉本新喜劇のカギを握るこの2人に、イベントへの思いを直撃しました!

 

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――昨年10月の第1回目の上演から、早くも第2回目の開催が決定しましたね。

 

清水 そうですね。実は、1回目のイベントをやるとき、「やりましょうか」と動き出してから1年もかかったんですよ。こういうイベントをやるならこんなことがしたいとか、僕らも希望があったんですが、社員さんといろいろ落としどころを見つけたり、折り合いをつけながら。

すっちー なかなか紆余曲折がありまして。まず「座長になりたい」というのが一番にありますけど、世間の皆さんに今、吉本新喜劇って座長がこれだけおって、座長になりたい人もいて…みたいな流れを知ってもらいたいというのもありました。今、何となく僕らも座長みたいなことをやらせてもらってるんですが、座長ではないのですごくフンワリした感じなんです。だから、明確な形で「僕ら、まだ座長とちゃうんです、なりたいんです」というのをはっきりと言えるのでいいのかな、と。

 

――このイベントをやろうと思ったきっかけは?

 

清水 小籔さんが背中を押してくださったんです。僕らも、口には出さないけどうっすら「こんなことしたい」と考えていたんですけど、小籔さんと僕とすっちゃんでメシに行ったとき、小籔さんがはっきりと「どうや? 座長目指してみいひん?」と言ってくれはって、そこでイベントをしようか、と。

すっちー 小籔さんは何かと切り開いてきた方なので、そんな方からしたら僕らのやり方や紆余曲折ぶりはすごくヌルく映るかも知れないんですけど、でも「お前らのペースで行った方がいいな」と言ってくれましたね。

 

――タイトルも、なかなかセンセーショナルなものがあります。『なりたいんや!』に心の叫びを感じました。

 

清水 これは2人で一緒に考えたな。

すっちー 「“座長”という言葉は入れたいですよね」というのはありましたね。「座長を目指す道」とかも考えたんですけど、何がいいんやろうと。で、普通に素直に「なりたいんや!」が一番いいやろう、と決めました。でも、ケンカを売ってるようにならないように「・・・」を入れて。「ちょっと控えめな気持ちもありますよ」ということで…。

清水 「・・・」は、僕らの一番謙虚な部分ですね。

すっちー 「・・・」は、回を重ねるごとに、手ごたえを感じたら数を減らしていこうと思ってるんです。次の公演で『座長に・なりたいんや!』になってたら「お?」と思っていただいて。そう思ったら次また急に『座長に・・・・・なりたいんや!』と5個に増えてるかもしれません。「・」の数で僕らのレベルが今どれぐらいか、という目安にしてもらえたら。とりあえず今回は、前回と同じ、「・」の数を増やさず、減らさずいきました。

 

――思い切った感じも出ていると思います。

 

すっちー もともと関西の人って何かをしたいとき、「○○したいんや!」って言いますしね。たぶん、競艇場におる、ギリッギリのお金で勝負をかけてるギャンブル好きのおっさんのような言葉ですね。

清水 魂の叫びやね(笑)。

すっちー そうですね(笑)。気持ちはすごく入ってますよね。

 

――第1回目の成果を受けて、第2回目に生かしたいことは?

 

すっちー 前回も悪くはなかったと思いますし、僕らもやろうと思っていたことはちゃんとできたと思います。通常の新喜劇で、僕らも1週間任せてもらえる週もあるんですが、それと同じことをやってもアカンのかな、と思っています。通常の新喜劇では、おなじみのギャグを入れつつ、安定感が求められるところなので、僕らの色が入れられるとしたら1割、2割程度なんですが、このイベントに関しては自分らの色を8割、9割出してもいいのかな、と。ちょっと攻めたことをしないとやる意味がないので、「やりすぎやで!」と言われてもいいのかと思います。

清水 「見てよ、おもしろいやろ?」というアピールですね。「2人がそろったら、こんなにおもしろいことができますよ」という。「今までの新喜劇ではこんな流れがありましたが、若手もこんな風に生かしてます。これまでなかったですよね」ということとか。そのうえで、新喜劇のルールもちゃんと守る、ということですね。コントではなく、伝統のある新喜劇のルールにのっとって、その中でこんなこともできるんです、というのを見てもらいたいです。

すっちー もちろん、通常の新喜劇のときは、ちゃんとひくところはちゃんとひいてるんですよ、と。でも、「本来は、これぐらいのことをしたいんです」みたいなことを、このイベントでお客さんに見せられるのが一番ですね。

 

――今の座長の方々から、何か言われたことは?

 

すっちー 前回は小籔さんに「どうやった?」というのは聞いてもらえましたね。世代的にも、小籔さんがいちばん近いからなのか、やっぱり相談に乗ってもらったり、アドバイスをいただいたりする機会は多いです。

清水 小籔さんは、本当にほうぼうで言うてくれてはるんです。テレビにしろ何かにしろ、「この2人が次期座長です」って絶対に言うてくれはるんで、愛情はひしひしと感じてますね。

すっちー ほかの座長の方々は、見守ってくれてはる感じですね。僕らが座長を目指すというのもありますが、吉本新喜劇全体がどう発信していくかとか、どう注目されていくのかというのも考えます。もし座長になるときはもっと注目されなあかんし、そのためにはホンマはこういうやり方がいいんちゃうか? とか。次世代の新喜劇の体制を世間に発信するときに、「インパクトがあった方がいいやろ?」というのが小籔さんの教えなので。「ポンッと世間にアピールできる方法があれば一番なんやけどな」ということはすごく言っていただいてます。でも、一筋縄でいかないというか。やっぱり、大きな歴史のある新喜劇なので。

清水 ふたりでよくしゃべるのは、今後の新喜劇のことというか。これまで譲り受けてきたものを、僕らで守っていかなアカンから、どうしていこうかな、みたいな。今いる若手と力を合わせて、若手にいろんなことをさせてみて、新鮮味を出してみたり。

すっちー ベテランさんとはこういうカラミの方がいいのかなとか、ベテランさんの定番ギャグに、新しいワンフレーズでカラミができたら、とか考えますね。一緒に作れる環境になったらいいなと思います。「永遠のマンネリ」とか、「ワンパターンがいいねん」と言われますけど、やっぱり今までも、ちょっとずつ変えつつですから。そのへんの努力はしていきたいですね。

清水 代々受け継がれてきた新喜劇の技は守りつつ。大崩しはホンマにないですし、新喜劇のお話の流れが斬新になるとか「こんなん、今までなかったやろ?」みたいなことはあんまり考えてないですね。新喜劇は新喜劇として守っていきたいです。

 

――なるほど。前回のイベントでは姉弟を演じられましたが、今回はどんなストーリーに?

 

清水 今回は夫婦です。

すっちー 基本、兄弟とか夫婦とか、関係が近いところでいろいろやっていきたいと思っているんです。今回は夫婦で、ぶつかりあったり力を合わせたり…という感じですね。

 

――前回のサブタイトルは、『なりたくて…なりたくて…』だったようですが、今回は?

 

須知 今回は、『なりとうて…なりとうて…』ですね。

 

――なりたい気持ちがひしひしと。では、最後に「見に行こうかな?」と思っている方々にメッセージを!

 

すっちー 初めて見に来られた方も1回目から続けて見に来てもらえてる方にも、楽しんでもらえる、そういう作りにしています。「初めて見に来てたけど分かれへん」っていうことはないですよ。かたや、続けて見てもらってる方には、ちょっと1回目を踏まえたものをプラスして楽しんでもらえるようなものは入れていきたいなと思ってます。もちろん3回目も考えていますから、続けて見に来てもらえると、いろいろわかってくるというか、ちょっとしたお楽しみもありますよ。

清水 形としても還元していこうと思ってるんです。2回来た人より、3回連続で見に来てくれた人にはこういうのを差し上げます、とか。そんな感じにもしたいですね。

すっちー 何より、毎回パワーアップしていくイベントなので、ぜひ見に来てもらいたいです!

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【イベント詳細】

『しみけん、すっちーの新喜劇60 ~座長に・・・なりたいんや!~』

 

日時;2014年2月10日(月)開場19:00  開演19:30

会場:なんばグランド花月

料金:前売2,000円 当日2,300円/2階席 前売り1,800円 当日2,000円

出演:清水けんじ、すっちー、他吉本新喜劇メンバー

 

 

チケットよしもと:http://yoshimoto.pia.jp/  

 

【YNN動画】

清水けんじの動画はコチラ⇒http://ynn.jp/u/1377/

 

【清水けんじ】【すっちー】

2014年1月18日 (土)

「今年は勝負の年」と意気込むDVD1万枚プロジェクト敢行中のグランジが、全国ツアーを熱く語る!

現在「DVD1万枚プロジェクト」まっただ中のグランジが、全国ツアーを敢行します!
ツアー初日となった1月5日(日)、東京・ルミネtheよしもとのライブでは、現在の売り上げ枚数が6189枚と発表され、ガッチリと固く抱き合った3人。運命の5月12日に向けていっそうの結束を高めるグランジに『第3回DVDダイレクトショッピング』終了後、ツアーやDVD1万枚達成へ向けての意気込みを熱く語ってもらいました。

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――今回のツアーでは東京を皮切りに千葉、北海道、大阪、愛知、福岡、広島でライブを行う予定となっていますよね。

五明 そうですね。僕ら全国をまわるのは今回が初めてというか。
遠山 2012年に五明の地元・千葉県柏、大の地元・秋田、僕の地元・北海道と3ヵ所だけで凱旋ツアーはやったことがあるんですけど、こんなふうに津々浦々まわるツアーは初めてなんですよね。
大 とはいえ、ライブはいつも通り、多くの笑いを取るっていう心意気で挑むだけです。とにかく、たくさんのお客さんが入ってくれたらいいなと思いますけど。
遠山 しょっぱなの幕張の集客がちょっと厳しいみたいですけど、大阪などいままでライブをほとんどやっていないところにも行くので、皆さん、来てくれるだろうと信じてます。
五明 ゲストも呼びますしね。

――ツアー初日である1月5日(日)のライブでは、漫才1本とコント4本を披露。さらに、さまざまな芸人さんとの即興コントを行なうなど、バラエティに富んだ内容でしたね。

遠山 そうですね。いつもの単独とはちょっと違う感じというか。
大 要は、ライトミドルです。

――……はい?

大 パチンコ台に喩えてみました。フルスペックではなく、遊びやすいライブというか。
遠山 (笑)お客さんが来やすいライブだったってことだよね? いつもはとは違ってコーナーをやったりしたんですけど、ほかのところはそういうものではなく、通常通り、ネタだけのライブにします。ネタの本数も(この前のライブより)もちろん増えますし、ゲストの方にもネタをやっていただくつもりです。

――ゲストはまだ発表されていないですよね?

大 まだ決まってないって言ったほうが早いんですけど、いつものライスと犬の心じゃなくて、いままでにない意外な組み合わせのゲストを考えているんですよ。もちろん、その2組がゲストになるところもあるかもしれないですけど、慣れ合いはもうやめて、先輩など刺激をもらえるような方々を呼べたらなと思っています。

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――コントと漫才、どれくらいの割合でやろうとかは既に決めているんですか?

遠山 大も言ってますけど、ツアーを進めながらいろいろと変えていこうかなと。例えば、次の幕張での反応を見て改良をたくさんしていきたいなと思ってるんですよね。
大 とにかく同じことはしません。ネタは同じだったとしても、何かしらの変化をつけて毎回違うものをやるようにします。
遠山 じゃないと、ツアーをやる意味がないですからね。もちろん、DVDを売ることも大事なんですけど。
大 そうですね。僕らは芸人なので、DVDを売るのは二の次。とにかくライブでは面白いことをとことんやっていこうと思ってます。

――五明さん、ずっと黙ってますけど、お2人の言い分に意見はありますか?
五明 …………質問なんでしたっけ?

――(笑)いや、遠山さんはライブごとでネタに手を加えていきたいと話されていましたが、五明さんもネタをつくっているお1人なので、意見を伺いたいなと。

五明 あぁ(笑)。そうですね、地方だからこそ来てくれるお客さんもいれば、一緒にツアーをまわってくれるお客さんもいるので、そういう方々全員が楽しめるような内容にできればいいかなと思ってます。で、このツアーで今年の『キングオブコント』に懸けられるコントができれば、より良いですよね。ライブを重ねるごとに、僕ら自身が大きくなっていきたいとは思いますけど。
大 昨年、『キングオブコント』『THE MANZAI』両方のファイナリストになった天竺鼠を見習っていきたいですよね。僕ら、恵まれていることにコントも漫才も両方できるトリオなので、両方行くっていう気合いを見せていきたい。バイきんぐの小峠さんが、飯行ったときに「グランジは決勝に絶対行けるよ」って言ってくれたんですよ。(NSCの同期であり、元相方である)かもめんたるの岩崎も「決勝行ける」って言ってくれた。『キングオブコント』チャンピオン2組に言われたからには、絶対行けると信じてます。

――かもめんたるさん、『キングオブコント2013』のDVD発売に向けてのニュースセンター掲載のインタビュー(/2013/12/dvd2013-b26c.html)で「グランジのDVDの売り上げも気がかりだ」(岩崎さん)「キングオブコントのDVDとあわせて、グランジの告知もすればいいんだ」(槙尾さん)って言ってましたよ。

五明 うれしいなぁ。同期でよかった!

――五明さんは? 誰かから何か言われました?

五明 ……ブログのコメントには何件かあります。同じ人が書いてくれてるだけかもしれないですけどね(笑)。
遠山 僕もお母さんに「絶対、決勝行けるよ」って言われてるんで、大丈夫だと思ってます。
大 まぁ、今年は勝負の年になりそうですよ。DVDも1万枚売らなきゃいけないし、これ以上、だらだら芸人やっててもしょうがないですからね。

――大さん! やっとやる気になったんですね!

大 ……いや、俺、外に出してないだけで、やる気はいつもありますよ。 

――本当ですか?

大 今年から、俺は自分の芸人論を語っていきます! 俺、いままでは言わなかったですけど、自分に何もないってわかってるから、ずっとがむしゃらにやってきましたから。目の前のお客さんを笑わせるためには、努力するしかないんですよ。舞台に出させてもらっている現状、僕らを指示してくれているお客さんがいる現状に対して、がむしゃらでやるしかないんだから。
五明 そう言うけど、やらかしてることも多いよね? がむしゃらにやってきたなら、絶対そんなふうにならないよ。
遠山 ははは! いま、2対1の構図が完全にできあがりましたね。

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――そのようですね。五明さんがこちらに加勢してくれました。

大 まぁ、俺は五明と比べたらダメなヤツです。でも、しゃあない! そういうキャラクターなんです! それに僕がいるから、五明が映えるんだと思いませんか? グランジが3人とも五明みたいなヤツだったら面白くないじゃないですか。
五明 ……自分でこういうことを言えるから、大ってすごいんですよね。

――ですね(笑)。

大 でも、自分で言わなかったら誰が言うんだっていう話でしょう? なんのために、口が付いてるんだってことでしょう? 俺は常に主観で生きていきたいんです。だから、精神論ですよ。

――要するに自分にそうやって言い聞かせることで、高いモチベーションを保ちたいということでいいですか?

大 そうです。マインドコントロールです。そこしか、すがるものはないですから。

――とはいえ、「DVD1万枚プロジェクト」は、ある意味すがってもいい企画なんじゃないですか? やり遂げるのはもちろん大変だとは思いますけど、正直な話、会社がここまでバックアップしていろいろと企画してくれるって、かなりすごいことですよね。

遠山 いやぁ、本当ですよ。会社にかまってもらえたのは、今回が初めてです。これまでは10年くらい後輩の社員にアゴでしゃくられながら「次、あっち移動して」ってタメ口で言われてましたけど、いまはいろんな社員さんが「どんな感じなの?」って気遣ってくれて……本当に有り難い話です。

――ツアーにしても、費用はかなりかかりますよね。グランジさんはコントをやられるので、衣装や小道具の運搬費もかかるでしょうし。

大 だから、どれくらい経費を押さえるかっていうことも大事になってくるんでしょうね。
遠山 僕らそれぞれ、何枚あるかわからないくらいの手売り分のDVDを持ってるんですけど、その手売り分から交通費を捻出するとかなんとかっていう噂も……。その売れ行き次第で、新幹線移動になるのかぎっつぎつの高速バス移動になるのかが決まるらしいんですよ。
五明 冷静に考えると、なんで交通費出ないんだろう?とも思いますけど、みんなで一生懸命やってるからいいかって。
大 そうだよ。俺らはやるしかないですから!
遠山 でも、ただ売ってもしょうがないというか。もちろん売り切るのは至上命題なんですけど、僕らは芸人なんでエンターテイメント性を出しながら売っていかないといけないとも思っているんですよ。だから、売るにあたってのプロモーションの仕方ももうちょっと詰めていかないといけないなと思っています。あと、これは誰かに訊いた話なんですけど――演歌歌手がシングル100万枚を必ず売る方法っていうのがあるらしくて。

――それはなんですか?

遠山 30年、40年かけて、全国をまわることらしいんですよね。だから、その精神とエンターテイメント性を兼ね備えて、このプロジェクトを乗り切りたいなと。
大 悲壮感だけは出したくないですからね。面白おかしくやってますってことを見せていきたいですね。

――もちろん、グランジさんの芸人人生は1万枚売り切って終わりではないですからね。どちらかといえば、1万枚売った先のことを考えないといけないわけですし。

遠山 そうなんです! “はい、1万枚売りました。お疲れさまでした!”ってなるのが、いちばん恐ろしいですよね。
大 可能性としては、60%くらいの確立でそうなりそうだけど。
遠山 だからこそ、この5ヶ月で収穫をたくさん得られる方法を模索していかなきゃいけないなと思っているんです。
大 そういう意味でも、本当はもっといろんな地方をまわりたいんですよ。大輔がラジオをやってる月曜から金曜までは無理かもしれないですけど、ほかの日のスケジュールを全部、ツアーにまわして各地の公民館とかで何かできたら、いちばんいいんですけどね。
遠山 僕らのやりたいっていう気持ちは、会社にも伝えてるんです。例えば、広島に行くならその前後で――単独ライブはさすがに無理でしょうけど――30分〜1時時間くらい、漫才やってお話ししてDVD売らしていただける機会ができればなって話していて。
大 握手して、感謝の言葉を直接伝えていきたいんです。それができたときこそ、いちばんいいプロモーションができたって言えるんじゃないかなと思ってます。
五明 沖縄にもDVDの販促へ行きたいよね? ダイレクトショッピングをやっていても、沖縄の人から注文がないんですよ。
大 俺、2人くらい受けたよ?

――絶対数が少ないっていうことですよね。電話をかけて来てくれるのは、どこの県の方が多いんですか?

大 いちばん多いのは福岡かな。
遠山 僕、青森が多いです。
五明 わかる! 青森と長野が多い。長野はCDショップにほとんど置いてないらしいんですよ。

――じゃあ、長野にも行けたらいいですよね。

五明 そうですね。で、行きたいって言ってるだけで終わらせないようにしないといけないなって。
大 そうそう、やらないといけないよね? 俺、囲碁将棋の神奈川県全市町村ツアーがいいモデルケースだと思っているんですよ。あれ、公民館とか駅前でやってたじゃないですか。車とかで各地をまわれないかなぁ。
五明 まぁ、3人とも免許持ってないんで、車が動くことはないけど。
大 そこはスタッフに運転してもらおうよ。

――確かに、そういう挑戦が観たいですね。

大 でしょう? 当初、どさ回りをやるつもりでこの企画を始めたはずなんですけど、割と企画自体がスマートな感じになっちゃってますよね?

――そうなんです。グランジさんにあるダイナミックで大胆不敵なイメージと、このプロジェクトの企画が若干合ってないような気もするというか。言い方は間違っているかもしれませんが、必死になっているグランジさんが観たいのにそういう骨頂的な頑張りが観られていないのは少し残念です。

五明 やっぱり、そうですよね。
大 だから、どさ回りしたいんですよ。そうしたほうが芸の腕も上がるでしょうね。DVDを売るために、変則的なお客さんの前でネタをやることもあるわけですから。……そういう次のステップを考えなきゃいけない時期にさしかかってるってことかもしれないですね。

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――そういう中で、以前との変化も感じているんじゃないですか? 例えば、このプロジェクトを始めて、街中で声をかけられることが多くなったとか。

大 それはあります。知名度が上がってるとは感じないですけど、街で声をかけられる機会は増えました。協力してくれるCDショップも方もいるので、挨拶へ行ったりもして。
遠山 タワーレコードさんとかね。僕らのことを宣伝してくれるショップ店員さんと、Twitterでやり取りもしています。
五明 タワーレコード旭川店のスタッフさんが、すごく宣伝してくれてるんですよ。有り難いんで「コメント送りますよ」ってTwitterで連絡したら、ダイレクトショッピングをやっている最中にも、連絡をくれたんですよ。「ちゃんとご挨拶したかったんです」って。そういう人とのつながりも感じられますよね。
大 有り難い話ですよ。さっきも(ガリガリ)ガリクソンが電話くれて、1枚買ってくれましたしね。

――人の優しさをひしひしと感じている日々なんですね。

大 いいことしか感じないです。俺、東南アジアで有名な日本の自動車メーカーのCMつくってる人と知り合いなんですよ。その方もDVDを買ってくれたんですけど、面白かったからって新しく東南アジアで流すCM制作会議で、僕らのことを推してくれたんですって。結局ダメだったらしいですけど。
遠山 すごいじゃん!
大 まぁ、僕らとアイドルでプラン出したっていうから、その人自体、かなりトチ狂ってるなとは思うけど……。でも本当に有り難かったし、うれしかったですね。

――応援してくれる人たちへの恩返しをするためにも、また1万枚売った先のグランジさんの未来をより良いものにするためにも、ツアーの成功っていうのは絶対不可欠ですよね?

遠山 もちろん! DVDで初めて僕らを観たという方もいらっしゃるみたいですし、そういう方の中には近くに来るならツアーにも行ってみようって思ってくれている方も結構いるっぽいんですよ。そういうことを訊くと、より気合いも入ります。
大 ツアーにはDVDを買ってライブにも足を運んでくれるっていう人が半分以上観に来てくれるでしょうし、DVD以上のパフォーマンスをしなきゃいけないですよね。

――ちなみに、『豚で終わるか狼で死ぬか』っていうツアータイトルはどうやって決めたんですか?

遠山 「DVD1万枚プロジェクト」をどうするのか、8〜10時間くらいぶっ通しで話し合う会議っていうのを回数重ねてやっていまして。最初の頃に「会議全体のプロジェクトタイトルを決めよう」っていうことになって、みんなでいいと思ったものを出して、ホワイトボードに書き出して多数決で決めたんです。そこで、決まったプロジェクトタイトルそのものですね。大が考えたんですけど。

――やっぱり。大さんっぽいなと思いました。

大 これ、実は『カメレオン』っていう、俺らが中学生くらいのときにあったマンガからいただいた台詞なんですよ。乱鬼龍っていう暴走族にいる久米くんっていう登場人物が血だらけの特攻服着て、自分を裏切った主人公の矢沢に向かって「おい、矢沢。豚で終わるか狼で死ぬか選べ」って言うんです。そこからいただきました。
遠山 そうだったんだ。初めて知ったわ!

――いい台詞ですね。

大 そうなんですよ。誇りを持って死ぬのか、そのまま死ぬのかっていうね。
五明 俺らっぽくていいよね。
遠山 いいよね。で、全国ツアーのタイトルもあれでいいんじゃないっていう感じで決まったんですけど……よくよく考えたら、どっちも死んでるんだよね? いや、そこがいいなとも思うんだけど。
大 久米くんは矢沢にどちらかを選んで死ねって言ったけど、俺らの場合はいま死ねってことじゃないから。いずれ死ぬならどうありたいか、だから。だったら、狼で死ぬほうが崇高だよな?
五明 確かに、狼で死ぬほうを選びたいよ。
大 そういうことだよ。あと、狼っていうとシベリアンハスキータイプを思い浮かべると思うけど、俺が思ってるのは中央アジアタイプの狼だから。
遠山 ……そう言われても、全然イメージが出てこないんだけど。
大 このインタビューを読んでる皆さんも、あとで画像検索してください。細いタイプの狼ですから。とにかく現状維持は退化でしかないから、進化していこうっていう意味が込められています。
遠山 本当にすごくいいタイトルだと思うけど、マンガから拝借したっていうのを聞いたいま、作者からクレームが来ないことを祈ります(笑)。
大 いや、大丈夫だよ。加瀬あつし先生はきっと「よく覚えていてくれたね」って喜んでくれてるよ、きっと!

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――では、グランジさんの今後を左右するツアーへの熱い意気込みを、ニュースセンターを読んでくださっている皆さんにぜひ伝えてください。

遠山 “食べてみたら意外とおいしかったじゃん”ってこと、あるじゃないですか。お笑いも同じで、劇場に足を運べば“生のライブってこんなに面白いんじゃん”って必ず思ってもらえるはずなんです。僕たちも最大限の力で面白いことを見せたいので、これを機会にお笑い、そして僕らにハマっていただけたらうれしいなと。そういう心づもりで、全国をまわらせていただきます! よろしくお願いします。
大 そうだね。生で観てほしいし、僕らグランジの舞台はわくわくできる要素が強いはず。そのわくわくを、肌で感じ取ってもらえたら幸いなり!
五明 もちろん各地、来ていただきたいんですけど、ひとまず1月25日(土)、劇場に来る来ないは別として、イオンモール幕張新都心には遊びに来ていただけたらと。で、ぜひ僕らのライブも観てもらえたら、なおうれしいですね。幕張、すごくいい劇場ですから。
遠山 そうだね、
五明 ただ、最寄りの海浜幕張駅からイオンモールまでは遠いので、開演1時間前には最寄り駅まで来てください。建物がとにかく広いので、劇場までたどり着くにも時間かかりますから。
遠山 バスに乗ったら豊砂公園っていうところで降りて、歩道橋を渡って公園を突っ切って、車に気を付けながら横断歩道を渡ってください。それが駅からいちばんの近道です。バスターミナルまで行っちゃうと、劇場だと思ったところがペットモールだっていう可能性もあるので。
大 俺もこの前、バスが変なところで停まって、迷って大変だった。ただ、観るところはたくさんあります。イオンモール自体、家族で楽しめるところばかりですから。
遠山 1月25日、ご家族をお誘い合わせの上、ぜひいらしてください!


●ツアー情報
1月25日(土) 
グランジDVDプロジェクト「豚で終わるか狼で死ぬか全国ツアー~
あなたの街まで届けにいきます~in幕張」
場所:よしもと幕張イオンモール(千葉)
時間:18:00開場 19:00開演 
チケット:前売2000円/当日2300円
チケット発売中

2月1日(土) 
グランジDVDプロジェクト
「豚で終わるか狼で死ぬか全国ツアー~あなたの街まで届けにいきます~in大阪」
場所:5upよしもと(大阪)
時間:20:15開場 20:30開演 
チケット:前売2000円/当日2500円
チケット発売中

2月15日(土) 
グランジDVDプロジェクト
「豚で終わるか狼で死ぬか全国ツアー~あなたの街まで届けにいきます~in札幌」
場所:札幌スクールオブミュージック(北海道)
時間:18:30開演 
チケット:前売2000円

3月1日(土) 
グランジDVDプロジェクト
「豚で終わるか狼で死ぬか全国ツアー~あなたの街まで届けにいきます~in名古屋」
場所:今池ガスホール(名古屋)
※時間は追ってご案内します
チケット:前売2000円

3月9日(日)
グランジDVDプロジェクト
「豚で終わるか狼で死ぬか全国ツアー~あなたの街まで届けにいきます~in福岡」 
場所:あるあるYY劇場(福岡)
時間:18:00開演 
チケット:前売2000円

3月
グランジDVDプロジェクト「豚で終わるか狼で死ぬか全国ツアー~
あなたの街まで届けにいきます~in広島」 
日程・場所・時間は追ってご案内します
チケット:前売2000円

●DVD情報
グランジ BEST NETA LIVE
価格:2000円(税込)
よしもとネットショップplus Yahoo!店
http://store.shopping.yahoo.co.jp/shop-yoshimoto/yrbn90634.html
よしもとネットショップplus 楽天市場店
http://item.rakuten.co.jp/yoshimoto-shop/yrbn90634/


グランジTV 
http://www.youtube.com/user/grungetv100

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