過去にダウンタウンやナインティナイン、中川家、ますだおかだ、フットボールアワーといった、今のお笑い界をけん引するお笑いスターを輩出してきた『第38回ABCお笑いグランプリ』が7月9日(日)に開催され、霜降り明星が優勝を果たしました!
38回を迎える今回、芸歴10年以内(漫才、コント、ピン芸、歌ネタ、落語なんでもあり)の、全国からエントリーした556組から一次審査、最終審査を経て、決勝進出12組が決定。
よしもとからは、からし蓮根、ラフレクラン、ゆりやんレトリィバァ、マルセイユ、ロングコートダディ、田畑藤本、THE GREATEST HITS、ツートライブ、霜降り明星が出場。さらにジャイアントジャイアン(浅井企画)、紺野ブルマ(松竹芸能)、ハナコ(ワタナベエンターテインメント)という、いずれも決勝進出は初めてとなるフレッシュな顔ぶれです。審査員は小沢一敬さん(スピードワゴン)、柴田英嗣さん(アンタッチャブル)、陣内智則、友近、ハイヒールリンゴ、兵動大樹(矢野・兵動)、藤本敏史(FUJIWARA)という豪華な顔ぶれ。MCは藤井隆、川添佳穂ABCアナウンサー、さらにMCと審査員の間をつなぐグランドレポーターを千鳥・ノブが務め、熱気があふれる会場で、激戦が繰り広げられました。
決戦の前に、まずは過去の受賞者らによるネタ披露。第14回(1993年)に優秀新人賞を受賞した矢野・兵動、第24回(2003年)に優秀新人賞を受賞した笑い飯、第34回(2013年)優勝のジャルジャルがネタを披露し、会場のお客さんを大いに沸かせました。
ファーストステージは決勝進出12組が3ブロック4組に分かれてネタを披露。ひとブロックのネタ終了直後、審査員が1位から4位の順位をつけてポイントを集計し、もっともポイントの高かった1組がファイナルステージに進出します。
ファーストステージAブロックは、からし蓮根(漫才)、ラフレクラン(コント)、ゆりやんレトリィバァ(ピン芸)、マルセイユ(漫才)の中から、マルセイユがファイナルステージに進出。学生時代の懐かしい放課後デートをモチーフにしたパワフルな漫才で勝利をもぎ取りました。感想を求められたマルセイユは、別府のギャグ「すーぐそうやって言うやろ〜?」が飛び出すなど喜び全開。審査員の兵動は「テンポがよかった」と絶賛しました。
ファーストステージBブロックは、ロングコートダディ(コント)、ジャイアントジャイアン(漫才)、田畑藤本(漫才)、THE GREATEST HITS(コント)。東京勢、大阪勢入り混じっての個性が光る戦いは、ロングコートダディに決定! 姉と、明日合コンに行くための服を姉にチェックしてほしい弟の絶妙な距離感が審査員の心をつかみました。ハイヒールリンゴは「トップバッターやったけど印象に残った」、陣内と兵動は「田畑藤本と僅差で迷った」とかなり接戦だった様子が伺えたBブロックでした。
ファーストステージCブロックは、紺野ブルマ(ピン芸)、ツートライブ(漫才)、霜降り明星(漫才)、ハナコ(コント)の中から霜降り明星がファイナルステージに。せいやお得意の歌をふんだんにもりこんだ漫才を、友近は「テンポもいいし、ノっているなと思った」と評価。兵動と陣内は、「粗品のツッコミのワードチョイスがうまい」と絶賛。小沢さんは「仲よくなりたいぐらいおもしろかった」と感心しているようでした。
マルセイユ、ロングコートダディ、霜降り明星の3組が出揃ったところで、ついにファイナルステージへ! 直前に行われたネタ順の抽選により、ロングコートダディ、霜降り明星、マルセイユという順番に。
ルールは、ネタ披露後に7人の審査員が採点。持ち点は1人100点で、700点満点で採点。ネタ終了後、そのつど得点を発表する勝ち抜き方式です。トップバッターのロングコートダディは625点を獲得。続く2組目の霜降り明星は668点を獲得して勝ち抜き! ラストのマルセイユは658点となり、第38代王者は霜降り明星に決定しました!
決まった瞬間、せいやは声を上げて号泣。粗品も流れる涙を両手で拭うなど、ふたりとも喜びを爆発させました。続いて優勝賞金100万円が手渡され、粗品は「お母ちゃんに使います」と大号泣。せいやは「お寿司いっぱい食べます!」とせいや。
優勝者会見では、興奮冷めやらぬ様子でステージに再び姿を現した霜降り明星のふたり。粗品は「うれしいんですけど、ほんまに相方と......」と語ったところで言葉につまり、号泣。せいやに「どんだけ泣くねん!」とツッコまれていました。涙をこらえつつ、「相方と漫才ができて、ほんまによかったです。もともと僕はピン芸人だったんですけど、コンビ組んで本当によかった」と繰り返しました。
せいやは「僕も、コンビ組んだ当初、彼が結構ピン芸人で有名やったんです。『R-1ぐらんぷり』でもすごいいいところまで行ってたから、周りから『なんでコンビ組むねん』と言われていました。『せいやって誰やねん?』って。僕は、NSCにも行ってないし、オーディションで一般として入ったから、急に連れてきたわけのわからない奴みたいな感じで、先輩方からも『コンビじゃないほうがいい』って言われながらずっと今までやってきたんですけど、やっと『ABCお笑いグランプリ』で優勝できて、やっとコンビとしての証明というか、『こっちのほうがおもしろいんやぞ』と言える、証明できたと思いました。めちゃくちゃうれしいです」と感無量の様子。
昨日の夜は眠れたか尋ねられた際は、粗品は「やっぱり決勝前夜ということで、いろんな人は眠れない夜で、『決勝戦や』とか『プレッシャーで』とかあると思うんですけど、僕は個人的に昨日、東京で仕事をしていて、夜行バスに乗って今朝8時に到着したんですが、僕は夜行バスで眠れませんでした。狭くて......」と語った後、「ちょっと、ジョークも冴えないんですけど」と涙の余韻が残っている様子。とはいえ、「ずっと緊張していた」と粗品。「ずっと、優勝するイメージを頭の中で繰り返して、『大丈夫や!』と思っていました」と、イメージトレーニングを明かしました。かたやせいやは、「僕はたっぷり寝ました。9時間ぐらい」とケロリ。実はその裏には家族の支えがあったようで、「久しぶりにオカンと妹の部屋で寝たんです。いつもは自分の部屋で寝るんですけど、昨夜はすごくドキドキしてて。オカンは僕が緊張してるのがわかったのかもしれないんですけど、『今日、私の部屋で寝るか?』って言ってくれて、オカンの部屋でぐっすり寝ました。やっぱりオカンは落ち着きます」と家族の絆を感じさせるエピソードを明かしました。
改めて賞金100万円の使い道を尋ねられると、粗品は「僕はお母ちゃんのために使いたいです。大学を...」と語ったところで、またも号泣。粗品は、中学から同志社に進学し、内部進学で大学まで通ったものの、芸人を志すために中退。そのことがずっと心に引っかかっていたといいます。「結構、親不孝といいますか...。大学も中退して迷惑をかけたので、親孝行したいと思います」と、お母様に温泉旅行やマッサージチェアなどの家電、お母様が欲しがっていたというiPadをプレゼントしたいと語りました。
せいやは「僕は自分のために使います」とし、「お寿司をいっぱい食べて、中華もおいしいのをいっぱい食べて。で、僕は今、実家なんで、賞を獲ったらひとり暮らしすると決めてたんです。だからひとり暮らしの資金として使わせていただきます」と明かしました。実家から劇場があるなんばまで、往復21kmの道のりを1時間かけて自転車で通ってたというせいや。しかし「最近は、『優勝する奴はこれぐらいするやろう』と優勝すると踏んで、タクシーを使ってたので、優勝できてよかったです」とも。
コンビを組んだきっかけについて明かす一幕も。ふたりの出会いは、お互いが高校3年生の夏に出場した「ハイスクールマンザイ」大阪決勝戦でのこと。違う高校、違うコンビで出場していたものの、お互いを意識していたという粗品とせいや。とくに、せいやのおもしろさに粗品が一目惚れし、「お前、おもろいな」と喋りかけてきたのが始まりでした。その後、粗品はピン芸人として活動。一方、当時のせいやは芸人になる気はなく、近畿大学でキャンパスライフを満喫。「僕は大学で観光サークルの経理をやってました。先生になろうと思って教職も取っていましたし、笑いに関して、興味ないってなると嘘ですけど、芸人になろうとはしてなかったんです」とせいや。それゆえ、粗品からの誘いを断っていたといいます。しかし粗品は「せいやと組んだら、もっとおもしろいネタができるんじゃないかなと思いました。ピンで1、2年やって、いろんな芸人さんを見てきましたけど、僕はせいやがいちばんおもしろいと思ってるんで、熱心に誘いました」とふり返りました。その後、粗品は19歳の若さで「オールザッツ漫才2012」で優勝。注目を集めましたが、その後も「コンビを組もう」とせいやを誘い続けたという粗品。「オールザッツ漫才2012」での粗品の活躍をテレビで見ていたせいやは、「『オールザッツ漫才』で優勝したのを見て『すげぇ!』ってなったんです。で、こいつ、それでも僕と組みたいって言ってきたから、"これは本物"や、と思って。賞を獲ってもまだ言ってくるってことは、これは行っといたほうがいいんちゃうかな、と」、さらに「この先の人生で、こんなに人から必要とされることはないやろうな」とも感じ、粗品とコンビ結成を決意。大学に通いながら、霜降り明星として活動をスタート。
しかし、ピン芸人として順調だった粗品とコンビを組んだことで、せいやにはさまざまな壁がありました。「Twitterでは『お前は粗品の邪魔をしている』とか、『お前は何も魂を持たない、フリップの代わりだ』とか言われたこともありました」と心ない言葉を投げかけられた時期も。「先輩方もやっぱりね。でも、最初ってそういうものだと思うんです。『こいつ、誰やねん』という状態からこの世界に入ったので、最初におもしろさを伝えるのに時間がかかるので、ネタもふたりで書いてるんですけど、どうしても『お前はがんばってない』と言われがちなんで、なかなか大変でした。だから、やっと賞が獲れてよかった。これで、ふたりで獲れたという。『ほら、組んでよかったやん』と、やっと言えます」とうれしそう。粗品も、せいやとコンビを組んで後悔したことは「ない」と言い切っていました。
粗品は、ハイヒールリンゴから、近頃、芸能ニュースを騒がせたおばたのお兄さんに似ているとツッコまれたことについて、「最近、街で『おばたのお兄さんですよね、握手してください』と何回も間違えられまして。厳密に言うと、おばたのお兄さんは僕の2年後輩なんです。だから僕は、ややこしいんですけど、おばたのお兄さんのお兄さんなんです」と粗品。さらに「これはチャンスかな、と思っています」と前向きにとらえ、「ヘアスタイルを変えて、前髪を上げだしてから『小栗旬やん』みたいな。千日前で、霜降り明星の粗品として顔をさされて、少し行列ができた時に、後ろのほうに並んでいた人はほんまに小栗旬やと思って並んでましたから」と語ると、「小栗旬さん、NGKの前におらんやろ! わなかの横におらんって」とせいやにツッコまれていました。これまで、おばたのお兄さんのようにネタでは小栗旬さんにまつわるネタをやったことがない粗品ですが、「今後、はっきり言ってパクリますね」と答え、記者陣を沸かせていました。
仲の良さがしみじみ伝わるふたりですが、「お互い、直してほしいところ」を尋ねられた際は、「ありますねぇ〜」と声をそろえる一幕も。粗品は「せいやはお笑い芸人じゃなかったら社会で生きていけないぐらい天然。抜けてるというか不器用。そこは直してほしい」と、せいやがバイト先でトイレ掃除を任された時、トイレットペーパーの先を三角に折れず、両角をちぎって三角にしたものの店長に怒られてすぐクビになった話や、また別のバイト先では一気に40枚もの皿を割ったエピソードなどを暴露。かたやせいやは「僕は自分で言うのもなんなんですが、ものごしが柔らかいと思うんです。でも粗品はたまに、ケンカになるような言い方というか、たまに冷たい言い方をすることがある」と訴えましたが、お互い笑顔が絶えず、仲の良さを垣間見せていました。
今後のコンビ像を尋ねられた際は、「ロケのお仕事はまだ一度しかやったことがないので、そういう仕事もしてもらいたいなっていうのがありますし、でもやっぱり『M-1グランプリ』の優勝はさぼらんとやりたいです。ネタは絶対に一生やっていきたい」と粗品。せいやも「お茶の間の人気者になりたいですが、やっぱりネタでもいつまでもおもしろい芸人になりたいです」と同じ決意を明かしました。
「M-1グランプリの頂点は何年後に?」という質問には、「M-1グランプリは半年後に優勝します!」と堂々と答えたふたり。「ABCお笑いグランプリを獲って、M-1グランプリ決勝に行って優勝するって決めていました。まずはABCお笑いグランプリは優勝すると思って、ほんで優勝できたので、M-1グランプリも絶対に獲ります」と宣言。ライバルに和牛の名前を出されると、「めちゃくちゃ尊敬する先輩ですけど、肉としてやっぱり(笑)肉の品質勝負になりますが、"霜降り"としては和牛さんに負けられません。こっちのほうが柔らかいんだぞ! という」と答え、記者陣を沸かせていました。
念願の『ABCお笑いグランプリ』優勝で弾みをつけた霜降り明星から、今後も目が離せませんよ!
■霜降り明星 出演情報
〔ラジオ〕
ABCラジオ『霜降り明星のだましうち』
日時:2017年7月23日(日)22:30〜23:00
出演:霜降り明星
〔公演〕
『よしもと the NEXT』
日時:2017年8月23日(水)18:45開場/19:00開演
会場:よしもと漫才劇場
出演:霜降り明星、ミキ、ゆりやんレトリィバァ
料金:前売1500円/当日1800円
お問い合わせ:チケットよしもと:0570-550-100(10:00~19:00)
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