『KIMODORI』を発刊したレイザーラモン・RGへインタビュー!「オシャレと認識されていない芸人がスタイルブックを出すまでのサクセスストーリーが詰め込まれた1冊です」
12月14日にレイザーラモン・RGによる自身初のスタイルブック『KIMODORI』(リットーミュージック刊)が発売されました。
本著はRGが発明したスニーカー越しの自撮り"キモ撮り"の魅力を余すことなく詰め込んだスタイルブック。これまで自身のインスタグラムに投稿してきた"キモ撮り"の収録ほか、レクチャーやお気に入りのアイテムの紹介、ぁぃぁぃさんとOKAMOTO'S・オカモトレイジさんそれぞれとの対談なども掲載されている、スニーカー&ストリートファッション好きもちろん、流行に敏感な方、インスタグラムの魅力を知りたい方などに必読の1冊となっています。
よしもとニュースセンターでは、著者であるRGにインタビューを敢行。こだわり抜いた本について、のめり込んだスニーカーについてはもちろんのこと、趣味を究めることの素晴らしさなど、大いに語ってもらいました。
(レイザーラモン・RG)
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――まず、できあがった本についての感想を聞かせてください。
「誰かに手に取ったときの紙質がオシャレって言われて、たしかに!と思いました(笑)。この手に取らないとわからないこのオシャレさを、まず実感してもらいたいですね。しかも、おっきめのウィンドブレーカーだとポケットに入っちゃうんですよ。ほら!」
――身軽な人でも持ち運べる軽さと大きさ、いいですね!
「かさばらないっていうのはいいですよね。スタイルブックなので、いつでもどこでも気軽にパラパラとめくれるのも、いいところだなと思います」
――キモ撮りを始めたのは、どういう経緯からだったんですか。
「インスタグラムで、ひっそりとキモ撮りをやってたんですよ。そもそも僕はスティーブ・ジョブズのネタをやってるくせにAndroidのスマートフォンを使っているんですけど(笑)、3~4年前に使っていたISAIっていう機種が下にカメラが付いているタイプだったんです。その頃、又吉(ピース)がオシャレやとか言われて、なんとなくお笑い界にあった"芸人が服装を気にしてるのはイタい"っていう雰囲気が変わりつつあった時期で。後輩たちがWEARに私服をばんばん上げていて、僕もやりたかったんですけど当時Androidではできなかった。カメラは下に付いてるわ、WEARはできないわということで、自分のスマホでできる自撮りを開発していたら、いつの間には靴中心の撮り方になってキモ撮りができちゃったんですよね」
――偶然の産物だったんですね。
「そうですね。元々、世界で流行ってほしいなと思って始めた撮り方だったんですけど、オリエンタルラジオの(藤森)慎吾が真似してくれてちょっとだけバズっただけで流行ることはなかったんです。やから、その後はスニーカーを撮るときの1つのポーズとして時々、提案しているくらいでした。そうしたら、リットーミュージックさんが本を出しませんかと声をかけてくださって。え?と驚いていたら、指原(莉乃)さんが真似してくれて。さらに、『アメトーーク! 』の「スニーカー芸人」が放送で撮り方をレクチャーしたら盛り上がってきたんですよね。ほかにもドレッサー賞をいただいたり、スニーカー関連のお仕事もちょこちょこいただけるようになってきたのも大きかったかもしれないですね」
――スニーカーには元々、興味はあったんですか。
「好きでしたけど、集め始めたのは4年くらい前からです。当時、バイクの大型免許を取っていたとき、教官に『足首を守るために、できればブーツかハイカットのスニーカーを履いてください』って言われたんです。ブーツは重たいから嫌やったんで、ハイカットのスニーカーをいろいろと探してみたらエアジョーダンの復刻版を見つけて。あぁ、そんなに高くないんや。買えるんやなと思ったことをきっかけに集め始めました。バイクの免許を取りに行ったのも、RGツーリングクラブの活動でチュートリアルとかとツーリングしてたとき、僕が250ccのバイクに乗ってて、みんなのバイクを羨ましがってたらチュートリアルとかが『大型免許、取ったほうがいいよ』って背中を押してくれたから。で、教習所に行ったら教官からハイカットのスニーカーを勧められて、興味を持って。ちょうど僕についてたチャラいマネージャーがスニーカー好きでいろいろと教えてくれただけじゃなく、チョコレートプラネットの松尾、シソンヌ・長谷川とか詳しい後輩たちも周りにいたのでスニーカー同好会を作ってライブを始めたら、どんどん広がっていったんです。グループLINEが広まりだした頃やったんで、情報交換が頻繁にできるようになったのも大きかったですね。テクノロジーと人脈に恵まれて、スタイルブックを出すまでにたどり着きました!」
――わらしべ長者感、半端ないですね(笑)。
「まさに、わらしべ長者ですね。この本は、オシャレと認識されていない芸人がスタイルブックを出すまでのサクセスストーリーが詰め込まれた1冊です。もちろん毎日、インスタグラムに写真を上げて、それなりのお金を使ったからできたことでもありますけど、スタイルブックを出すまでのノウハウについては......今流行りのオンラインサロンでも始めて教えましょうかね(笑)。まぁ、元々興味があったんですけど、オシャレやと思われるにはスタイルの良さが必要やったり、全身買い揃えるとすごくお金がかかったりするじゃないですか。髪型にも気をつけないといけないですし。けど、スニーカーにこだわってるだけで、オシャレをしているように見えるんですよ。僕は坊主で美容院代0円、洋服もハイブランドはまったく着ていません。なんやったら3本のズボンを履き回してますが、スタイルブックが作れるくらいのバラエティ豊かな写真が撮れる。それは全て、スニーカーのおかげなんです」
――オシャレは足元からってよく言いますしね。
「そうなんです。しかも、足元が強調される撮り方をしているので、オシャレに気を配っている人だと思われがちなのも大きなポイントです」
――では、今回の本でRGさんが特にこだわった点を教えていただけますか?
「写真を撮影する時点でめちゃくちゃこだわって撮っているのはもちろんなんですけど、スタイルブックを出すと決まった時にいろんなスタイルブックを集めて研究しました。だから、全てにこだわりましたし、スタイルブックあるあるが詰め込まれた1冊でもあります」
――ぁぃぁぃさん、OKAMOTO'S・オカモトレイジさんそれぞれとの対談も読み応えがありました。
「ぁぃぁぃは以前ラジオを一緒にやってたんですけど、すごくノリが合う子ですし、インスタグラムにすごく力を入れていると聞いたのでいろいろと聞いてみたかったんです。で、実際じっくりと話してみたら、インスタグラムに載せる写真1枚1枚に熱いものを持っている女の子だということがわかったので、今では先生と呼んでいます。レイジくんもインスタグラムに狂ってるくらい、バンバンと写真を上げていくという意味では、先生ですね。2人とも20歳くらい年下なんですけど、刺激をもらいたくて登場いただいたんですけど、インスタグラマーどころか、今後、表現者になりたい人は必ず読んでもらいたい対談になっています。僕、44歳ですけど、今回の対談中に何度も頭をぶん殴られるようなカルチャーショックを受けましたから」
――例えば、どういったところが衝撃的だったんですか。
「ぁぃぁぃだと、いつも街中の壁を探しているという言葉ですね。自分がどう映るかじゃなく、トータルでどう映るかを大事にしているからこそ、いい壁を探しているっていうのは衝撃的でした。彼女はインスタをパッと開いた時の、ホーム画面の統一感も大事にしているらしいです。レイジくんに関しては、"フレックス"っていう言葉。僕の細川たかしさん的な髪型を見て『すげぇフレックスっすね』って言い出して。最初どういう意味なのかわからなかったんですけど、"こいつ決まってるぜ"っていうような意味で使う言葉らしいです。レイジくんの"イケてるとかセンセーショナルじゃなくて、フレックスがハマることをしたい"っていうのは名言でした。あと、"かっこいいと思った時点で過去"っていう発言もすごくいい。常になんだろう、これって思われていたいっていう彼の考え方に、その通りだなと思いました。......さっき、取材をしてくれたライターさんが編集部にこの本を持っていったら、本当にかっこいいと思っているのかボケなのかわからないと言われたと話していて。レイジくんの言葉に準ずるなら、『KIMODORI』はすげぇフレックスな本なんだなと実感しました」
――なるほど。では、数多あるスニーカーから、RGさんが大事にしている購入ポイントは?
「かっこいいと思ったから買っているだけですね。店頭からなくなってしまって何度も悔しい思いをしたことがあるので、欲しいと思ったら買います。実は最近、スニーカーコンサルタントもやっていまして。なんかいいのない?って抽象的な言葉を投げかけられたとしたとき、3つくらいの提案した中から好きなタイプを教えてもらって、このタイプが好きなら今、店で売っているのはこのスニーカーですって伝えるというもので、次長課長・河本さんとか野性爆弾・くっきーさんには何度かリピートしてもらいました。スニーカーっていろんなカスタム方法があるんですよ。例えば、デザイン的に難しいものがあったとしたら、この子がいちばん映える履き方は一体なんなんだろうと考えて、洋服を変えたり、紐を変えたりしてバランスを見るんです。なんならサイズを大きくしたり、小さくしたりすることもあるんですよ」
――劇場の福袋とかで「RGさんにスニーカーを選んでもらう権利」とかあれば、興味を持ってくれるお客さまもいそうですね。
「あぁ、そういうことを何かしらのかたちでやれたらいいですね。その場合、この時期にこのお店ではこのスニーカーが必ず置いてありますっていう情報もお伝えできると思います。漁師が毎日、海を見て潮の流れを読んでいるように、僕も靴場を漁場として何が今あるか、常にチェックしてますから。新宿は劇場(ルミネtheよしもと)の近くに有力ショップがいくつかありますし、よしもと本社に来るまでにもいろいろとお店があるので遠目から"あぁ、あれあるな"とか常にチェックしてます」
――RGさんって多趣味ですけど、好きになるとかなり深くのめり込むタイプですよね。
「これが好きって言うといろんな人がいいものを教えてくれるから、そうなっていくんやと思います。SNS、そしていろんな人にすぐ出会える東京にいる恩恵が大いにありますよね。......東京好きやわぁ!」
――(笑)。
「ははは! 人の気持ちに応えたいと強く思っているから、スニーカー業界やスニーカー好きな人が勧めてくれたものは取り入れたくなるというか。この業界に片足を突っ込んだからには、何か為になりたいっていう気持ちになっちゃうんですよね。......あと、芸人としての目標――例えば、『THE MANZAI』の決勝に行くとか『R-1ぐらんぷり』の決勝に行くとか――がひと段落したから、スニーカーとかの趣味により興味を持てるようになったのかもしれないです。やっぱり本業はちゃんとしたいというのがありますから、賞レースの決勝に出ることができたからこそ次の段階に進めたのかもしれないです。......かまいたち・山内もめちゃくちゃスニーカーが好きで、レアものをバンバン買ってるんですよ。普通なら本業をちゃんとしろってツッコまれそうなところですけど、かまいたちはどの賞レースでも勝ち残っているし、テレビに出たら爆笑を取っている。で、そういう趣味も充実させているからかっこいいんですよね。あとね、何か1つのハマるって大事なことなんじゃないかなって思うんですよ」
――趣味は、生活に潤いをもたらしますから。
「楽しいことが生活の中にあると、幸せ細胞が増えますからね。例えば、デスク作業の多い仕事をしているなら、ペンや椅子にこだわってもいい。眼鏡をかけているなら、いろんな眼鏡を買って毎日変えてもいいと思うんです。僕も続かなかった趣味は、いくつかありました。けど、スニーカーは毎日楽しめるし、毎日テンションを上げられるアイテムだから残ったんです。やから、みなさんも自分のテンションを上げられる何かを生活に取り込んでほしいですね」
――スニーカーに興味を持ってみたいなという人には、ぜひこの本を読んでもらいたいですよね。
「私、レアものは持ってないから恥ずかしくて好きだと言えないって思ってる人もいるかもしれないですけど、この本にはレアもの以外も載ってます。だから、自分がかっこいいなと思ったら買ってみてください。で、ピースサインをするくらいの気持ちでキモ撮りに挑戦してもらえると嬉しいです。自分でカッコつけて撮ると恥ずかしいですけど、『RGがやってるから今、みんなの中で流行ってるんですよ』って言えば挑戦できるじゃないですか。これから寒くなりますけど、パーカーとかウィンドブレーカーのポケットに入れて、持ち歩きながらスニーカーと一緒に楽しんでもらえたらいいなと思います」
『KIMODORI』
著書:レイザーラモン RG
価格:1100円(税別)
リットーミュージック刊【レイザーラモン】【RG】