最新ニュースインタビューライブレポート

インタビュー

2018年12月 3日 (月)

RGが平成最後の大晦日にぼんちおさむ、平和ラッパ・梅乃ハッパと「あるある」カウントダウンライブ開催! ライブの見どころをRGに直撃!

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レイザーラモンRGが12月31日(月)に、カウントダウンライブ『RGがプロのミュージシャンをバックに今までの集大成的ベストな選曲で大迫力のあるあるを90分歌い続けザ・ぼんち おさむ師匠が本格的なジャズを歌ってくれる会~ギタリストはラッパ・ハッパ師匠!~』を開催します!

これまでさまざまな「あるある」の会やツアーを開催してきたRGですが、平成最後の大晦日を締めくくる「あるある」カウントダウンライブは、ぼんちおさむ、平和ラッパ・梅乃ハッパという吉本が誇る大御所たちとの共演。しかも生バンドによる演奏にのせての「あるある」が聴けるとあって、これまでにない「あるある」の世界を楽しませてくれること間違いなしです!

ほかに類を見ないカウントダウンライブに対する意気込みを伺いました。

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――これまでにない「あるある」の会になりそうですが、この内容にしようと思った理由を教えてください。

「全国的な『カウントダウンあるある』の傾向として、若手芸人や若者のバンド、いわゆる"フェス"に出がちな人たちが『夏にやったこと、カウントダウンでもう一回やるんかい!』って感じるところがあって。他の人と同じことをやってもしかたないですし。

あともうひとつ、年末のカウントダウンライブに向けて、この時期は芸人争奪戦のような状態になっているんですけど、実は吉本にはものすごい石油がまだまだ埋まっているんです。それは、師匠です。師匠がカウントダウンライブに出ることなんて、これまでなかったんじゃないかな?

平成も最後ですから、昭和・平成というふたつの元号を生き抜いてきた師匠に感謝と畏敬の念を込めて、やらせていただきます」

――いわゆる師匠と呼ばれる方々と「あるある」をやろうと思ったきっかけは?

「12月23日によしもと祇園花月でパンチみつお師匠と一緒にやるんですが、(『オウミ住宅presents RGが120分あるある歌い続け、パンチみつお師匠が120分オウミ住宅のCMを踊り続ける会』)、これを知った芸人さんからの反響がものすごかったんです。まるむし商店・東村さんも『師匠、すごい気合入ってたで!』とうれしそうに教えてくれたり。そういう反響を見て、親孝行じゃないけど、師匠たちへの恩返しになっているのかな、と感じました」

――数多くの師匠がたの中で、ぼんちおさむさん、平和ラッパ・梅乃ハッパさんに声をかけたのはなぜですか?

「おさむ師匠は、実はジャズやブルースといったブラックミュージックがめちゃくちゃお好きなんです。YouTubeでも、おさむ師匠がジャズバーみたいなところでルイ・アームストロングとか熱唱されている動画がいっぱい出てきますよ。普段も、ニューオリンズの人かな? っていうくらい、スーツの着こなしもファンキー。そういう、おさむ師匠のおしゃれな一面を皆さんに見ていただきたいなと思って。

平和ラッパ・梅乃ハッパ師匠は、実はギターのテクニックがとんでもなくスゴイ、ということを皆さんに知ってもらいたい。ジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)ばりに頭の後ろでギターを弾いたり歯で弾いたり、しかも日本に数台しかないというギターをお持ちだと聞いてますので、関西のブルースがお好きな方や、シブい音楽ファンにはたまらないと思いますよ。

こうしたスゴイ師匠たちの技を寄席で見るだけじゃなくて、本当にでっかいホールで音楽として聴ける、これまでにない機会になると思います」

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――タイトルに「集大成的ベストな選曲」とあるように、セットリストもかなりのこだわりが?

「そうですね。『あるある』は、僕が考えるベスト、80〜90年代くらいが中心になると思います。おさむ師匠には、このあいだ『曲はどうしますか?』と訊ねたとき、『この中から選んで』って6曲分の譜面を渡されました。めちゃくちゃカッコいいでしょ? 『○○(曲名)』っていう曲がやりたい」とかじゃなくて、譜面ごと。ほんまにニューオリンズのミュージシャンちゃうかな...。あと、『恋のぼんちシート』を武道館ばりに歌っていただきたいと思ってます。あの曲もめちゃくちゃカッコいい曲だから。かつて、おさむ師匠に『キャー!』と黄色い声を上げていた方々にもぜひ来ていただきたいです。ただ、急におさむ師匠の"クセ"が出て歌えなくなるかもしれませんので、そこも含めて包み込めたらと思っています」

――しかも今回は、プロのバンドの生演奏をバックに「あるある」を歌われるんですよね。

「以前、京都大学西部講堂や『音魂』で『あるある』をバンドでやらせてもらったんですが、生演奏と『あるある』ってすごく合うなと感じたんです。いつもはカラオケでやるんですけど、カラオケだとお笑いの比重が高くなりがちで。でも、生演奏だと『あるある言いたい』と歌っている時間も皆さんに音楽を楽しんでもらえるんですよね。もう、『あるある』が聴こえなくてもどうでもよくなるというか(笑)。曲とバンドの演奏がとにかくいいので、それだけでも楽しんでもらえると思います」

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――『あるある』は大人気イベントですが、今回はかなり攻めた『あるある』カウントダウンライブになりそうです。

「そうなんです。実は今回は、『あるある』ファンへの問いかけでもあるんです。『あるある』は共演する人によってチケットの売れ行きに波があるし、僕としては『みんな、いったい何が好きなん!?』という思いがあるんです。みんなは『RGのあるある』が好きなのか? 『RGとその(共演する)芸人』が好きなのか? ひいては『お笑い全般』が好きなのか? と。自分のお客さんとは何なのかっていう、ふるいにかけるライブでもあるかもしれないですね」

――師匠がたとの共演となれば、お客さんの年齢層もかなり広がるのでは?

「『あるある』ファンの方々はもちろんですが、これまで大晦日は紅白歌合戦を観てしっとり過ごしていた人たちも外に連れ出したいです。今、おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばれている、いわゆる第一次ベビーブームの方々の人数ってめちゃくちゃ多いしまだまだお元気。『京都花月、行ってたわ〜』と、若い頃に寄席に来ていた方々にも楽しんでいただきたいです。カウントダウンライブの帰りにそのまま初詣にも行っていただけますしね。これは『新規顧客層開拓イベント』といってもいいかもしれません。僕自身、細川師匠(細川たかしさん)のおかげで演歌ファンの方々など新規顧客開拓に成功しましたし、例えばさだまさしさんは60〜70代の方から絶大な人気があるから安泰なんだと思うんです。だから僕は、さだまさしさんを目指します。今回も60〜70代の方々を楽しませるエンターテインメントを作るきっかけにしたいです」

――最後に、「行きたい!」と感じた皆さんにメッセージを!

「他のカウントダウンライブとは一線を画しまくっているんですが、逆に『まだそういう、ベタなカウントダウンライブがいいですか? オレは師匠とやります!』という感じでしょうか。僕自身、吉本のレガシーである師匠に恩返ししたいし、大切にしていかないといけない時期かなという思いもあって。師匠たちがお元気なうちにいろんなことを吸収しておきたいし、皆さんにも観ていただきたい。そして、かつての劇場のように、若手から師匠までの芸をいろんな客層の方々が楽しめる、まるで喫茶店にでも行くような気持ちで気軽に劇場に来ていただいていた昔の劇場文化をもう一度盛り上げたいという思いもあります。こんな高尚な意志の元、カウントダウンライブをやる芸人、ほかにいますか? いないと思います!」

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大晦日当日、サンケイホールブリーゼでは『RGがプロのミュージシャンをバックに今までの集大成的ベストな選曲で大迫力のあるあるを90分歌い続けザ・ぼんち おさむ師匠が本格的なジャズを歌ってくれる会~ギタリストはラッパ・ハッパ師匠!~』以外にも、大晦日特別イベントが盛り沢山!

大晦日はぜひサンケイホールブリーゼにお越しくださいね。

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【レイザーラモンRG】

2018年11月29日 (木)

第1期メンバー募集中!「少女歌劇団プロジェクト」総合演出・広井王子氏インタビュー

先日吉本興業が発表した「少女歌劇団プロジェクト」。"清く・明るく・麗しく"をテーマに、「和の美意識を体現する少女たち」のライブを、関西の専用劇場から発信していく成長型のライブ・エンターテインメントである本プロジェクトを総合演出するのが、ゲーム『サクラ大戦』シリーズなどを手掛け、多岐にわたる分野で活躍するマルチクリエイター・広井王子さん。成長していく少女たちの姿を見守り、応援していく新しいライブ・エンターテインメントの形を目指すという本プロジェクトを、広井さんはどうプロデュースしていこうと思っているのでしょうか。

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ーーそもそも「少女歌劇団」はどういった経緯で始まったんですか?

今年の8月に、大﨑社長と大阪から京都に遊びに行く機会があったんですけど、その車中でいろんな話をしていまして。僕がこれまでどんなことをやってきたのか聞かれて、話したら「あんた、面白いなぁ」って言われて。で、突然パッと手を握られて「俺と一緒にやろう!」って(笑)。そのあとは週1くらいで会って、社長から「あんなことがやりたい、こんなことがやりたい」という話を聞いているうちに「だったらこうしたい」っていうプランが自分の中で出てきました。で、提案すると、みんな「面白い! やろう!」って言ってくれるんです。

ーー本プロジェクトでいちばん大事にしていることはなんですか?

それはやっぱり、ステージングをどうするかですね。いいスタッフを集めて、いいショーを展開する、ということがまずは大事です。その上で、観に来られたお客様に「見てよかった」とか「応援していこう!」と思ってもらえないといけないので、今後はそこをみんなでがんばろうと思います。劇場は専用劇場なので、演目を変えるだとか「これがウケたから長くやろう」とか、そういうことを自由自在にできるということは素晴らしいと思います。あと、大阪チームと大阪以外のチームに分かれます。東京と大阪の両方に稽古場を作って、大阪以外のチームは劇場のある大阪に土日に来る感じです。平日夜は大阪チームの年上の子たちが公演を行って、土日は小学生も来る感じを考えています。
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ーー「和の美意識を体現する少女たち」のライブを発信していかれるということですが。

ステージも和風なところはあると思いますけど、とにかく女の子たちに日本人であってほしいというか、日本文化を背負ってほしいと思っています。もちろん、外国の子でも日本文化に興味があるんだったらかまいません。それはもう「一緒に勉強していこうよ」という感じ。そういうものをたっぷり入れてショーを展開できたらいいなぁと思っています。大事なことは「たっぷり日本人である」ということ。だからまだ若い、まっさらの状態の子たちに、歌舞伎や能、狂言なんかの日本の伝統芸能を見てもらいたいし、茶道なんかも経験してもらいたいし、合宿みたいなことをやって、その中でそういったことをみんなが経験できたらいいなと。そういうものを体験していく中で、彼女たちが何を感じるかが大事だと思っています。

ーーでは、学校ではないけど、レッスンの中にいろんな勉強ができるようなプログラムを組まれるんですか?

そうですね、そのあたりはまだ固まっていないので、僕らも悩んだり迷ったりするところもあるだろうし、その戸惑いの中で一緒にやっていくという感覚だと思います。でも、もしかしたら5期生、6期生の頃には"歌劇学園"になってるかもしれない。

ーー学校化の可能性があるんですか?

ありますし、そこはわりと目指しているところです。宝塚は、"宝塚音楽学校"になったから残ってると、僕はそう思ってるんです。他(の歌劇団)はないんですよ。宝塚だけが学校を作ったの。学校のシステムがないと長くは残れないと思うんです。
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ーーやっぱり「ちゃんと教育する」ことが大事ということなんですね。

そう。宝塚の命はここだと思っているので、もし僕らも長くやるんだったら学校が必要かな、と思ってます。

ーー現在、歌劇団のメンバーを募集中ですが、どんな方に来てもらいたいですか?

特に"来てもらいたい人"というのはないですね。「君に出会いたい」、それだけ。応募しようとすることだけで勇気がいると思うし、面接を受けるというのもハードルが高い。さらに課題曲があり、ダンスを踊るというところでまたハードルが上がるし。そんな中でやって来られる子っていうのは、本当に舞台をやりたい子なんだろうと思うし、その夢を持っている子は尊重したい。すべての子に出会えてよかったと僕は思いたいですね。ただその中でやっぱり自分が思うところはあるので、最終的には選ばざるをえないですけど。だから、いろんな子たちにチャンスがあると思います。芝居がうまい子はダンスを勉強すればいいし、ダンスがうまい子は違うことを勉強すればいい。総合芸術なので、芝居だけというわけにはいかないし、ダンスだけ、歌だけというわけにもいかない。一人ひとり、得手不得手の凸凹はあるだろうけど、いろんなことを学んでほしいですね。

ーー現時点でお話ししていただける具体的な活動内容はありますか? 

専用劇場を作ることと、CGのチームを作るということは決まっていますけど、あとはまだそんなに具体的には決まってないですね。基本は劇場が活動の中心になると思います。
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ーー広井さんは以前、「このプロジェクトはきっと、ぼくも含めスタッフの成長物語でもある」とおっしゃっていましたが......。

そうですね。スタッフというのは子どもたちの指針になるから、そこがグズグズになれば子どもたちもグズグズになっちゃう。なので、そこはすごく気をつけて、スタッフにもきちんと対応してもらいたいと思っているので、スタッフ教育も含めてやらなきゃいけないかなと思ってます。

ーーそこは本当に肝ですね。スタッフ教育をちゃんとすることが、子どもをちゃんと教育することにもにもつながる。

そう思います。子どもだけ教育してもダメなんです。

ーーちなみに、オーディションでは何名程度の採用を予定してるんですか?

30名くらいは採用したいと思ってます。ただ、お子さんがやりたいと言っても、ご両親が反対される場合もあるだろうから、そういうことも含めてスタッフを見てもらいたいと思います。

ーー大切な子どもをちゃんと任せられる大人かどうかを......。

そうそう。大切なお子さんをお預かりするわけだから、スタッフがきちんとしてないと預けられないじゃないですか。

ーー確かに。では、最後に意気込みをお聞かせください。

すごく楽しみなんですけど、同時に怖いです。楽しみの後ろ側に怖さがすごくある。でも、ものづくりって怖さを持ってるかどうかなんですよ。「こんなの簡単にできる」なんて思ったらたぶんダメなんです。だから「怖い」という気持ちもすごく持っていて、そこに関しては毎日ドキドキしていますし、僕自身、もっと勉強しなきゃと思ってます。

ーートータルすると「楽しい」ということですよね?

もちろん! こんな楽しいことはないです(笑)。
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2018年11月26日 (月)

チーモン・菊地とテゴネ・松村が火花を散らす!? 12月13日より『アルセーヌ・ルパン対シャーロック・ホームズ~青いダイヤモンド~』が上演!!

12月13日(木)~16日(日)まで、東京・神保町花月で『アルセーヌ・ルパン対シャーロック・ホームズ~青いダイヤモンド~』が上演されます(注:15日は休演)。

本作は、希代の怪盗ルパンと名探偵ホームズの対決を描いた華麗なるミステリー。初めての本読みを終えたばかりのホームズ役のチーモンチョーチュウ・菊地浩輔とルパン役のテゴネハンバーグ・松村惇史に、舞台の見どころなどを尋ねました。
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(向かって左:チーモンチョーチュウ・菊地浩輔/右:テゴネハンバーグ・松村惇史)

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――この企画についてお聞きになったときはどう思われましたか?

菊地:僕は、神保町花月でのしっかりしたお芝居は久しぶりなんですよ。もう10年近くは出ていないと思います。(※2010年4月ぶり、日替わり出演では2013年8月ぶり)
松村:えっ、そうなんですか。
菊地:そう。だからワクワクしていますね。僕は、今までこういうシュッとした知的でインテリな役をやったことがなかったんですよ。普段はどちらかというと体力バカじゃないですけど、そういうイメージが強いみたいで。明るい元気な役が多いので、こういう憧れに近い役をやれることになって嬉しかったです。
松村:僕は、アルセーヌ・ルパンという人物を知らなくて、アニメの『ルパン三世』しか知らなかったんです。だから、「あの『ルパン三世』が僕にできるのかな、モノマネしてしゃべるのかな」と思っていて。
菊地:(アルセーヌ・ルパンは)あのルパン三世のおじいちゃんってことだからね。
松村:っていうことですよね。ただ、今日の本読みで感じたのは、血を引いているだけあって、『ルパン三世』の雰囲気も少しあるなって。アニメはずっと見ていましたし、思い入れを持ってできるのかなと思いました。

――台本を読むと翻訳劇のようなセリフ回しで、現代を舞台にしたお芝居とは少し違うような感じを受けました。

菊地:普段、使わないような言い回しなので、やりにくいのかやりやすいのか、どっちに転ぶのかなって。ぜんぜん違う分、逆に役に入っていきやすいのかなと思いました。

――読み合わせてみていかがでしたか?

松村:もうすでにここふたりの間に緊張感が出ているように感じましたね。僕は普通に読んでいるんですけど、菊地さんが引っ張ってくれていました。
菊地:ははは! ちょっとかっこつけてました。

松村:(笑)乗せられる感じがあって、ありがたかったです。ただ、対等に向き合っている役なので、負けないぞという気持ちでこの先やっていきたいですね。

――おふたりが衣装で写っているチラシができていましたが、実際に扮装してみての感触はどうでしたか?

菊地:僕はテンションが上がりましたね。かっこいいなぁって。
松村:似合ってましたよね!
菊地:ほんと? あれ着て舞台立ってしゃべりだしたら、めっちゃ頭いいんじゃないかと勘違いしてもらえそうだなって。でも松村くんも似合ってるじゃない。こういう顔だから変装うまそうだし。
松村:ああ、のぺっとしてるから(笑)。
菊地:スッと何にでも化けられそう。
松村:僕はね、まだ衣装に着られている感があるんですよ。衣装に負けないように、これから頑張ります。
菊地:役が入ってくればね。
松村:はい。そのうち私服みたいな感じになるんじゃないかなと。
菊地:これ私服ってすごいな。ルパンですら、私服じゃないでしょ。
松村:いざ行くときの格好ですよね。

――改めて、それぞれの役柄について教えてください。まずはシャーロック・ホームズ役の菊地さんから。


菊地:読み合わせしてみて思ったのは、立場が違うだけでルパンと性格は似ているのかなと思いました。知的好奇心が強くて、負けず嫌いでっていう。敵対しているけど通じ合うところがあって、でもライバル心もあって......というところが見ている方に伝わればいいなと思います。

――ルパンとの違いはどこだと思われますか?

菊地:ルパンのほうが色男感がありますね。ホームズのほうはちょっと変わった人で、女子にもあんまり興味がないっていうイメージがあって。『ガリレオ』の福山雅治さんみたいな感じなのかなって。

松村:あー、似てますねぇ。
菊地:あまりにも福山雅治さんに寄りすぎないように、参考にするくらいにしたいと思います。
松村:立ち稽古で、バリバリにモノマネするのやめてくださいよ?
菊地:気づいたら同じ感じになっていないように、オリジナリティが出せたらいいなと思います。
松村:さっき、読み合わせが終わってみんなが一息ついているとき、菊地さんはもう1回セリフを見直していて。そんな綿密さがホームズっぽいなと思いました。
菊地:本読みで追いつけなかっただけだって! 

――では、アルセーヌ・ルパン役の松村さんは?

松村:ルパンは、どんなときでも表情を崩さず余裕な雰囲気がありますね。
菊地:色気あるおしゃれ感を、声から感じるなと思いました。
松村:ありがとうございます。で、余裕ぶっていたルパンが後半追い込まれるんですけど、そんなときでもポーカーフェイスでいないとな、と。そこはしっかり演じないといけないなと感じました。
菊地:その辺はお互いの助手にかかっていたりしますね。うちの助手はものすごく頼りないんで(笑)。ワトソンを演じる(ラフ・コントロールの)森木さんが大変だろうなと思います。セリフ量がたぶん一番なんですよ。もう本番は、手にびっしりカンペ書いてくるんじゃないかなって。
松村:ははは! 僕のほうは相棒が相方(テゴネハンバーグ・弓場)なので、そういう意味ではやりやすいですね。弓場演じるモーリスは『ルパン三世』で言えば、次元大介みたいな感じで。あの関係性って、中学から同級生の僕ら自身にも重なるところがあるので、自然にできるんじゃないかと思っています。

――共演者のお話で言いますと、ルパンを追い続けているガニマール警部はラフ・コントロールの重岡さんが演じられます。

菊地:めっちゃハマり役だと思います。今日はおとなしく本読みしていましたけど、稽古になったらだいぶ入れてくるんじゃないかなと楽しみです。

――今日は皆さんさらっと読まれていたんですか?

菊地:それでも重岡さんはポロポロと出てはいましたね。
松村:「ルパァ~ン!」みたいな感じでした。

菊地:ラフ・コントロールさんは1年目からお世話になってる先輩なので、気心知れていますし、一緒にやれるのが楽しみです。

――アドリブなどで弾けられるような場面はありそうですか?

菊地:どうなんですかね!? 僕と森木さんのところはイメージできますけど、逸れだしたらがーっといっちゃって、どこで戻そうみたいな感じにもなりかねないかなって思います。特にガニマールさんとの絡みでは。
松村:逸れていっちゃいそうですね。
菊地:だから、ちゃんと戻せるようにしておかないと。
松村:僕は菊地さんと何かできそうやなって思ったんです。おしゃれなやりとりがあるじゃないですか。外国映画とかでたまに見る"ほんまにそんなこと言ってたんかな"っていうようなやりとり。
菊地:フランス映画みたいなね。
松村:そういうのをやり合えたらいいなとは思っています。

――客観的に見て、ルパンとホームズ、どちらのタイプに憧れますか?

菊地:ルパンのほうがかっこいいですね。色気ある感じとか、おしゃれな感じとか。ホームズはちょっと不器用そうなので。
松村:僕は憧れは完全にホームズです。いいじゃないですか、真面目一徹みたいな感じで。
菊地:まぁ、確かに。それぞれを主人公にしてラブストーリーを作るとしたら、どっちも違う方向でいい話になりそう。
松村:確かに。そんなスピンオフもいいですね。

――おふたりはお芝居で共演されるのは初めてですか?

菊地:そう、初めてなんです。ライブでの共演っていうのはあるけどね。
松村:でも、役柄的にその距離感がちょうどよかったんちゃうかなと思ったりもするんですよね。
菊地:今回で距離感が縮まるかもしれないね。
松村:楽屋でおしゃべりさせていただいたくことはよくありますね。菊地さんはとにかく優しいし、面白い人やし、観に来てよかったと思わせようっていう姿勢、勉強になってます。何事にも手を抜かないっていうのは尊敬でしかないですね。
菊地:嬉しいですね。こういう話をしてもらいながら2時間、ただ呑みたい。絶対呑みにいこうな!(笑)
松村:2時間ずっと、僕が褒めるんですか?
菊地:そうしてほしい! 僕から見た松村くんは真面目だなっていうイメージ。あと、ネタを見ていてもいろんなことができるので器用な人だなと思います。静かな人かと思っていたら、いきなりトップギアに入れたりとかもできたりするので。
松村:ありがとうございます!
菊地:じゃあ、そういう褒め合う会しましょう。
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――では最後に、よしもとニュースセンターをご覧になっている皆さんへメッセージをお願いします。

菊地:僕は久しぶりの神保町の舞台で、しかもやったことない役柄で。新しいチーモンチョーチュウ菊地を見たければ、ぜひこの舞台に足を運んでください。頑張ります。
松村:台本を読んだだけでワクワクドキドキしたので、これはみんなが気持ちを入れてやったら、すごいことになると思いますね。ちょっとした仕掛けがあったり、変装があったりもします。その辺も見どころだと思います。よろしくお願いします。

『アルセーヌ・ルパン対シャーロック・ホームズ~青いダイヤモンド~』
【日程】
13日(木)19:00開演
14日(金)19:00開演
15日(土)休演日
16日(日)14:00開演/17:00開演

【会場】神保町花月
【チケット】前売3000円 当日3500円
【Yコード】999-070

▼詳細ページ
http://www.yoshimoto.co.jp/jimbocho/kouen_schedule/pc/2018/12/post-86.php

▼神保町花月ホームページ
http://www.yoshimoto.co.jp/jimbocho/sp/

▼チケットは【チケットよしもと】にて発売中!
http://yoshimoto.funity.jp


【チーモンチョーチュウ】【菊地浩輔】【テゴネハンバーグ】【松村惇史】

2018年11月13日 (火)

犬の心・押見が演出『解放』がいよいよ11月16日開演!押見×ヒラノショウダイ×いまさらジャンプ山田座談会

11月16日(金)~18日(日)まで、東京・神保町花月にて犬の心・押見泰憲が演出する『解放』が上演されます。

本作は、登場人物6人だけの、密室で繰り広げられる会話劇。いったいどんな舞台になりそうなのでしょうか? 稽古真っ最中の押見と、出演のいまさらジャンプ・山田裕磨、ヒラノショウダイを直撃し、公演の見どころなどについて語ってもらいました。

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(向かって左から:犬の心・押見泰憲/ヒラノショウダイ/いまさらジャンプ・山田裕磨)

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――物語の内容について、脚本のたぐちプラスさんと押見さんで作っていかれたんですか?

押見:そうですね。プロット段階から相談して。なんなら稽古中も相談しながらやっていますね。

――この作品のアイデアというのは、どのようなところから?

押見:脚本のたぐちさんは、「締め切りに追われすぎて、"解放されたい"っていう気持ちをタイトルにしたんだ」っておっしゃっていました(笑)。なので、セリフの端々に「たぐちさんって日頃こういうこと思ってるんだ」っていうのは感じますね。

――演出される上で注意されている点は、どんなところでしょうか。

押見:ふざけてはいます(笑)。台本を壊さない程度に、できるだけ笑いを増やす作業をしていますね。

――出演者のおふたりはいかがですか?

押見:このふたりはよく一緒にやっているのである程度信頼感がありますね。ほかに初めての子もいますけど、稽古しながら「こんな子なんだ」ってわかったり。「この子、この役合わないから配役変えないとな」とか。
ヒラノ:ありましたね(笑)。
押見:配役、変えました。初日の本読みの段階で「あ!」と思って。
山田:僕がやることになった松葉役は、元々ぺんとはうすヤマトがやるはずだったんです。でも、本読みの段階で交代になりました。

――松葉は重要な役ですよね。

押見:そうなんですよ。だから、重要な役をあいつが背負えなかったってことですよね。まぁ、人数が少ないので全員がキーパーソンではあるんですけどね。合う合わないがあるので、変えてよかったです。

――ではヒラノさん、山田さんはお稽古してみての感触はいかがですか?

ヒラノ:本読みを1回して、配役が変わって。次にまた本読みして、押見さんが体調崩して稽古がなくなり......(笑)。
押見:だから、昨日が稽古初日みたいなもんだよね。
ヒラノ:稽古がなくなったのでセリフ覚えておいてくださいって言われて、稽古が再開したら今度は台本が少し変わっていて。
押見:ごっそり変えたとかじゃなくて、パズルを組み替えたみたいな感じだよね。僕は芸人をやっていて、自分が出ることも多々あるのでそう思うんですけど、芸人だったら対処できるんじゃないかなって。役者さん相手だったらこんなことしないと思います。

――じゃあ、それに対しておふたりも見事に対応されて?

押見:本番どうなるか、まだわかんないけどね。
ヒラノ:ハハハッ! 僕らもまだ全容が見えていないので。

――ほぼ出ずっぱりで、大変そうですね。

山田:そうですね。出たらずっとハケずに舞台にいるので、そこはみんなでの助け合いになるのかなと。だから台本通りに覚えていると進まないだろうなとは思います。誰かがセリフを飛ばしたりすることも絶対にあると思うので、そういうときにうまく汲み取れたらいいなと思います。

――では、それぞれの役柄について教えてください。

ヒラノ:僕は高嶺凌というシナリオライターの役です。先ほどの押見さんの話で、いろんなセリフが「これはたぐちさん自身の言葉だったんだ」と初めて知ったんですけど(笑)。どういう人物かというと......内容に触れずに説明するのは難しいな。......一見ちゃんとした人に見えますけど、ダメなところは自分に近いような気がしますね。僕も遅刻の言い訳とかしちゃうほうなんで。
押見:一番よくいるような人かもしれない。善良な人なんだけど、ダメな部分もあるっていう。で、山田の演じる松葉海良という役は、稽古でがらっと変わったんだよね。
山田:僕は、みんなより一日遅れて稽古に参加したんですけど、その時点でまったく変わっていました。最初の本読みでは闇を抱えたような人だったんですけど、稽古していくうちにバカ正直な部分が前面に出されて、どっちかといえば天然な感じになっていました。
押見:キャラクターを変えたっていうより話のシステムをちょっと変えたので、それに伴って変わりましたね。なんていうか......すげーバカになっちゃった。
ヒラノ:シンプルにいえばそうですね。
押見:バカが頭いいことしようとしてるやつになりました。

――おふたりのキャラクターは、少し因縁のある間柄で。

ヒラノ:そうですね、一悶着ありますね。
押見:僕は俯瞰で全部を見るじゃないですか。そうすると「全員、大したことねーことを大ごとにしちゃってるよな」って(笑)。
ヒラノ:最初の台本では、このふたりのやりとりがすっごくシリアスな、人生を揺るがすような大問題として描かれていたんですよ。でも、稽古を重ねてみると、多分そんなことにならないだろうなって。改札前の痴話喧嘩ぐらいに見える、でも真剣、ぐらいの見え方になってきそうだなと思いますね。
押見:ワンシチュエーションの会話劇ってよく言われるけど、会話劇なのかなってだんだん思ってきて。
ヒラノ:バカ6人の......。
押見:ふざけ合いみたいな感じになりそうです。

――アドリブもけっこうありそうなんですか?

山田:日替わりで変えて、演者を笑わせたいなって思ってます。アドリブって本来お客さんを笑わせるものなので、本当はいけないことだと思うんですけど、今回、僕がキャストの中で一番芸歴が上なので、そこの部分をちょっと楽しもうかなと思っています。
押見:自由度は高いからね。
ヒラノ:普段、山田さんはクールだったりクレバーな役が多いから、あんまり遊べないですもんね。こういう役、珍しいですよね。
山田:そう。神保町花月のお芝居にはもう20何本出てるんですけど、多分こんなにふざけた役は初めてじゃないかと思います。
押見:ふざけた役だよねぇ。確かにこのふたりって、見た目とか声のトーンとかからして、話を進める柱のキャラクターにしやすいんですよ。だから、今回みたいなのは珍しい。コンビではボケだっけ?
山田:ツッコミです。
押見:あ、そうか。でも意外とこういうのもやらせたら楽しそうだなって。ネタでツッコミの人でも、普段は天然だったりすることってあるじゃないですか。ツッコミの人って基本的にはちゃんとしてそうに見えるけど、そういう"ちゃんとした人"がヘンだったりするほうが面白いと思うんですよ。

――そんな演出家・押見さんは、おふたりにとってどんな存在となっていますか?

山田:ボケなし、ヨイショもなしで率直に言うと、出演依頼のメールが来たときに「演出 犬の心押見」って書いてあった時点で「出る」という返事をしました。僕、最初に神保町花月のお芝居に出演したときの作品で、押見さんと共演したんですよ。『ナツテール』っていう......。
押見:ああ!
山田:キャストが犬の心さん、シューレスジョーさん、ピクニックさん......。そこに芸歴3ヶ月ぐらいの僕がポンと入れられて。そのとき、押見さんからいろいろ教わったりお話してもらったりして、それ以来ずっと尊敬しています。
押見:いやぁ、恥ずかしいっすね......。芸人の演者は、芸人の演出家で助かるって思う人が多いと思うんですよ。ゴリゴリの演劇畑の人のすごさっていうのもあるけど、稽古の気楽さは芸人演出家ならではだと思う。本番がいいか悪いかは別としてね。
ヒラノ:僕も、今回「演出 犬の心押見」を見て、即返信しました。押見さんには去年の11月に初めて演出つけてもらったんですけど、そのときも最初の本読みと本番の雰囲気ががらっと変わって、すごいなと思いました。台本を読んだ段階で「ここ絶対、真剣なシーンだからマジメにやらなきゃ」と思っていたところを、笑いの箇所にしちゃったりするんですよ。でも、それで話がブレたりしないっていう演出の仕方で。それまでは、シリアスなところはシリアスに、面白いところは面白く、っていうのが普通だと思っていたので、「こんなことできるんだ!?」って新鮮な感動がありました。なので、押見さんの演出なら絶対出たいなと。まぁまぁ、神保町からの依頼を僕が断ることはないんですけどね。
山田:俺が感じ悪いやつみたいじゃん。
ヒラノ:ハハハッ! ほんと神保町花月にはお世話になっているので。で、去年は押見さん演出の作品のあとに、家城(啓之)さん演出の作品で、演者として押見さんと共演もしていて。
押見:そうだね。今、名前が出たから言うけど、僕は家城さんが演出された作品に出たときに、今ヒラノが言ったのとまったく同じことを思ったの。捕らわれの身だった僕が、脱出するチャンスをもらってみんなで走って逃げるっていうシーンを、緊迫感ある音楽の中でやるんだけど、家城さんが「これ、押見足遅いやつってことにしようか」って。で、脱走しているときにどんどんみんなから遅れて最終的にはジョギングぐらいになるっていうのをやったんだよね。そうしたら、確かに笑いになるけど緊迫感も削がれず面白いシーンになった。それで「こういうことやっていいんだ」ってわかったんだよ。それから、僕が演出させてもらうときは、そういうことをやっちゃいます。シリアスなシーンほどちょっと崩したら笑いになりますし。マジメに見てるのに急にヘンなことになるから、お客さんとしては「これ笑っていいのかな」となるかもしれないですけど、「笑っていいんだよ」と言いたいです。

――台本を読んだだけだと、密室劇だから緊張感を持って見てしまいそうな感じがしましたが......。

押見:絶対ないです。緊張する空気を作らせません。笑って見ていただければと思います。

――では、タイトルにちなんでお三方が「解放されたい」と思うものは?

押見:稽古ですね。早く本番始まってくんねーかなと思ってます。本番が楽しいからやってるだけで、ネタとかでも打ち合わせはそんなに楽しいもんじゃないですよ。本番を楽しむために苦労しているっていうだけですね。
山田:僕はバイトですかね。今日もバイト終わってからここに来ているので。バイトから解放されてお笑いだけで生きていきたいですね。
ヒラノ:僕はほんとにないかもしれない。バイトも楽しんじゃってるし......。居酒屋のバイトなんですけど。
押見:ホール出てるの?
ヒラノ:ホールもキッチンも。
山田:居酒屋のバイトで楽しいと思ってるやつなんて、この世にいるの?
ヒラノ:いないですかね......? 周りが同期の芸人ばっかりなんで、ずっと楽屋にいるみたいな感じなんですよ。
押見:すげーな。じゃあぬるま湯から解放されないと。
ヒラノ:その通りですね。
押見:新しいことをしたいとかは?
ヒラノ:あ、車の免許持ってないんですよ。27にもなって。なので無免許から解放されたい。
押見:俺、41で免許ないけど。
山田:えっ、新潟出身ですよね?
押見:高校卒業してすぐ、こっち来たんで。......恥ずかしいね。パスポートもないから、身分を証明するものがなくて困ってるんだよ。(山田に)免許ある?
山田:持ってます。僕、群馬の田舎なので、車ないと生活が厳しかったんです。
ヒラノ:じゃあ、いつか押見さんと一緒に免許取りにいきます。

――では、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

山田:6人出ずっぱりで、人数は少ないんですけど、その人数の少なさを感じさせないような笑いの量になっていると思います。笑いたいと思っているお客さんには満足していただける公演になっていますので、ぜひお待ちしています。
ヒラノ:神保町花月の公演の良さって、笑えて、若手の芸人が頑張ってて最後ちょっとほっこりするというところだと思うんですけど、それが全部詰まっている作品です。そして押見さんがいかに天才であるかということがありありと舞台上に出ている公演になっていると思います。
押見:若手の劇場なので、お客さんが入らない公演もありますけど、毎回面白いは面白いんです。今回も面白いことは間違いないと思いますので、ぜひ足を運んで、笑ってください。


【犬の心】【押見泰憲】【ヒラノショウダイ】【いまさらジャンプ】【山田裕磨】

2018年11月12日 (月)

『黒猫ダイアリー ―僕とぼくの家族のカラフルな毎日。―』が好評発売中のミキにインタビュー! 亜生「表紙は奇跡的に撮れた1枚です」

ミキ・亜生と彼が保護した個性的な猫たち(助六、銀次郎、千太郎)による日常的な触れ合いをカラフルに切り取った日めくりカレンダー『黒猫ダイアリー ―僕とぼくの家族のカラフルな毎日。―』が現在、絶賛発売中です。

亜生と黒猫たちによるカワイらしい写真と、黒猫と生活することによって思いが31日分のメッセージとなって綴られている本作。兄・昴生もときどき登場しています。
今回、ミキの2人へインタビュー。ダイアリーができあがっての心境、保護猫への思いを愛情たっぷりに語る亜生と、猫と同等の扱いにちょっぴりすねる昴生。2人のほのぼのする掛け合いを楽しんでください!
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(向かって左:亜生/右:昴生)

 *  *  *  *  *  *

――出来上がりをご覧になった感想を、まず聞かせてください。

亜生 すーーーっごくカワイイです! 表紙には2匹の猫が写ってるんですけど、このあと2匹とも機嫌が悪くなったので、奇跡的に撮れた1枚なんです。裏の写真が撮り出して2枚目のものなんですけど、ここから言うこと聞かへんくなって、めちゃくちゃになっちゃいました。最初、マネージャーがお兄ちゃんに内緒で僕だけに「ちょっと亜生さん、いいですか?」って言ってきたのが、このダイアリーのことで。
昴生 内緒っていうても、楽屋の隅で話してるんでバレバレなんですけどね。
亜生 『世界の果てまでイッテQ!』の特番で、初めて伝えたんですよ。その時のお兄ちゃんの衝撃!(笑)
昴生 こそこそ喋ってるから、また1人で仕事すんねやろなと思ってたんですけど、まさかダイアリーを出すとは。1人やったらまだしも黒猫とっていう謎のやつで......。ミキでええやん、それやったら! ほんまにわけわからへん!
亜生 最初はお兄ちゃん、入ってなかったんですけど、僕の優しさから入れるようになったんですよね。
昴生 優しないよ、こんなん。もっと大々的にミキでええやん。ミキと亜生家族のカラフルな生活でよかったやん! 僕、千太郎と同じ扱いですよ?
亜生 なんやったら、千太郎のほうがページ数多いからね。猫たちにも見せましたよ。なんの反応もなかったですけど(笑)。最近、家を空けることが多いんで、千太郎の面倒を看てくれてる隣のおばちゃんに助六も銀次郎も懐いてしまって。昨日まで3連休で宮古島に行かせてもろうてたんですけど、帰って来てもまったく見向きもせぇへんし、触らしもしぃひん! 薄情なもんです。でも、好きなんで結局、一緒に寝ましたけどね。
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――先ほど表紙の写真が奇跡の1枚だと話してましたけど、撮影は大変でしたか?

亜生 大変でした! 助六は銀次郎と千太郎が知らん部屋(撮影スタジオ)にいるのがイヤなんで、助六を撮る時は2匹をゲージに入れて、1ショットにして。
昴生 ふふふ......亜生の笑顔、全体的におかしいもんな。
亜生 今今今!って感じやったからね。
昴生 僕も現場におったんですけど、助六は猛獣かのごとく、ずっとフーフー言うてて怖かったです。
亜生 ははは! でも後半、1匹にしたらスタッフさん全員、撫でさせるほど落ち着いてて......ほんまにようわからんかった。結局、助六がいちばんキレイな写真も撮れました。

――3匹の見分け方は?

亜生 いっちばん小顔なのが、助六。女の子なんですけど。

――女の子なのに助六!?

亜生 間違えちゃったんです(笑)。生まれて15~20センチくらいの頃、病院に連れて行ったら、男の子ですって言われて。その時、僕の家のテーブルに助六寿司が置いてあったんで、助六っていう名前にして治療してもらったんですけど、2週間後、女の子でしたって言われて。けど、すでに名前で呼んでたんで、そのままにしたんです。で、銀次郎は顔も体も大きくて、ほかの猫よりちょっとだけブスです。仙太郎は撮影の時、ちいさかったんですけど、今は大きくなって男の子やのに助六みたいな顔立ちの男前になってきました。
昴生 僕は千太郎を連れて帰りたかった。撮影の時、猫じゃらしでずっと遊んでくれててカワイかったです。

――亜生さん、昴生さんとの撮影はいかがでしたか。

亜生 助六と撮影してる時、千太郎の子守をしてくれてたのがありがたかったですけど。
昴生 ふぅ......子守担当ですわ、僕は。
亜生 ふはは! まぁ、お兄ちゃんとの写真もステキですよね。
昴生 僕はあえてジェルを使わない髪型にしたんです。たぶん、気づいてくれてる人もいると思うんですけど。
亜生 朝早かったから付けてないだけ!
昴生 違う! 基本、前髪をあげてるんですけど、落としているところがポイントです。僕のファンならたまらんと思う。
亜生 マジで聞くけど、前髪ある?
昴生 あったり、なかったり(笑)。......それにしても、僕の寝癖、もうちょっとなんとかならんかったんかな?
亜生 さっき違うふうに言うてたのに、寝癖って言うてもうたやん! お兄ちゃんとの撮影はすぐ終わったんですよ。早かったよな?
昴生 15分くらいで、大丈夫ですって言われて。僕的によくはなかったんですけど、いざできあがったものを見たら案の定でした。昴生っていう名前もちゃんと入ってないでしょ? それに、僕が一言添えたってよかったわけじゃないですか。"弟と猫がありがとうございます。全員、僕の弟みたいなもん。弟が増えた感覚です"って。どうっすか? いいでしょ!
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――昴生さんの紹介、ちゃんと載ってるらしいですよ。表紙の裏のところに。

昴生 えっ!(と言いながらダイアリーを見て)猫と同じくくりで紹介されてる! ケバブ大好き人間ってなんやそれ!......嬉しいんですけどね。

――(笑)。それにしても亜生さん、猫を保護したこともすごいことですけど、自分で飼うことをよく決意しましたね。

亜生 助六を拾った時、最初は飼うつもりはなくて里親とか貰い手がいたらいいなと思ってたんです。けど。見つからなくて。銀次郎は3兄弟やったんですけど、この子だけ残ってしまったので飼うことに......。
昴生 (話を遮って)あのね、僕らの漫才の出囃子『魔女の宅急便』なんです。ジジって黒猫でしょ? このダイアリーが売れたら、コンビの危機です!
亜生 ......なんでそうやってお茶を濁すん?
昴生 思いついて、言わずにはおれんかった! どこかに残したかった!(笑)......いや、僕もね、助六と銀次郎はちっちゃい頃から知ってるんです。けど、あんな子たちじゃなかった。昔は実家の犬と寝てたりしたのに、大人になったら反抗期になっててびっくりですよ。
亜生 人が嫌いになってん。銀次郎は優しいんですけど、助六はたぶん初めて拾って、扱い方がわからなかったんで甘やかしたら凶暴になってしまいました。触ろうとしたら、わー!ってやられるんですよ。まぁ、それでもカワイイんですけど。
昴生 亜生は動物がめっちゃ好きなんです。ちっちゃい頃の夢は、ムツゴロウ王国に入りたいやったもんな? 仲よかった友達と2人でワンルームの部屋を借りて、いっぱい動物を飼うんやって言うてた。当時、ワンルーム?って思ってたけど。
亜生 うわぁ! してたなぁ、そんな話。その友達、獣医みたいになったって聞いたで。
昴生 目指すところは2人とも叶えたんかなぁ。その子は獣医で、亜生は猫の保護。この3匹のほかにもたくさんの猫を保護してるんですよ。
亜生 芸人が見つけると、僕のところに連絡がくれるんです。家の中には助六たちがおるから、浴槽で育てたりして、多い時に7匹くらいいました。その間はたとえ冬でもちょろちょろのシャワーを浴びながら猫の邪魔しないように、お風呂に入ってましたね。
昴生 僕も保護してもらったことがありますし、子猫を見かけると亜生!って思います。
亜生 鳴き声が聞こえたら、元気かだと確認するまでは探し続けることをモットーとしてます。で、ガリガリに痩せてたり、足を引きずってたりしたら保護します。
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――何がきっかけで、そこまでの使命感を持ってしまったんですか?

亜生 助六と銀次郎を拾ったあと、もしかしたら今、大阪で命がなくなりそうな猫がいるかもしれないって思ったらいてもたってもいられなくなって。頭にライトをつけて、ずーっと自転車で探してました。後輩に見つかって写真を撮られた時は、めちゃめちゃ恥ずかしかったですけど。
昴生 僕が高熱出した時はなんにも言うてこうへん。生死の境をさまよってたのに......!
亜生 (笑)生きられるから、お兄ちゃんは!
昴生 ははは! 亜生は今後も猫を保護していくでしょうから、ダイアリーも第2弾、第3弾とできるはずです。あっ、亜生 in 猫島とか野良猫探検隊っていうのを定期的にどこかで連載してもらって、1年に1冊作るっていうのはどうですか? 亜生が撮影して。
亜生 それいいかも! やってもいい? 1ヵ月くらい休ませてもらうけど。
昴生 うん、いいよ。
亜生 え、いいの? 絶対にあかんって言うと思ってた。僕が休んでる間、何すんの?
昴生 吉本新喜劇に出させてもらう。うどん食うてるわ。
亜生 最初に出て来る人かぁ(笑)。
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――その企画、面白そうですね。実現することを祈りつつ、最後によしもとニュースセンターを読んでくれているみなさんへ、改めてダイアリーのアピールをお願いします。

昴生 ウォーリーを探せ!的な感じで、僕・昴生を探してください。
亜生 お兄ちゃんを探してください。黒猫はインスタ映えしないとか言われてますけど、このダイアリーを見て一気にファンが増えたらいいなと思います。ほんまに黒猫ってカワイイんです! 猫って毛の色や柄によって性格が違うって言われてますけど、黒猫は静かで優しくて飼いやすい。一人暮らしで猫を飼ってみたい人がいたら、ぜひ。あと、猫の保護っていう意味でも、このダイアリーが少しでも力になればいいなと思います!
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【ミキ】

2018年11月 1日 (木)

ルミネとNGKでの25周年ライブが迫る! COWCOWが語る試行錯誤の25年間

高校の同級生、NSC同期を経て、1993年に結成したCOWCOWの2人。
今年で結成25周年を迎えるにあたり、『COWCOW 25th LIVE ~あのひとはFinally ぼくらはAnniversary~』と題した単独ライブが、11月17日(土)に東京・ルミネtheよしもと、12月9日(日)に大阪・なんばグランド花月でそれぞれ開催されます。


今回は、決して平坦ではなかったその足跡を振り返りつつ、25周年ライブへの意気込みを伺いました。

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《COWCOW》
左:多田健二(ただけんじ)、右:善し(よし)


     *           *            *


――25周年の記念ライブということですが、この25年を振り返り、転機は?


善し 細かく言うといろいろあったんですけど、最初に大きいのは、2001年の上京になりますね。大阪で、舞台とかテレビに出させていただいたんですが、大阪とか地方の芸人ってみんなそうやと思うんですけど、東京へ行くのは大きな転機やったと思います。
多田 そうですね。


――2001年に東京進出するというのは、何かタイミングがあったんですか?


多田 2001年にルミネtheよしもとが出来て、当時のルミネtheよしもとの支配人の方から「東京に来るなら今やぞ」って言われたのもありました。それと、大阪では新人賞を3ついただいたんですが、2001年に『M-1グランプリ』が始まったんです。こんなデカい漫才の大会が出来たんやから、上京して結果を出すんだと思い描いていたんですね。でも2001年の『M-1』では準決勝どまりで、決勝へは進めず、2002年も準決勝どまり。2003年が芸歴的にラストイヤーだったんですけど、そこでもいけなくて、自分たちが得意と思っていた漫才で結果を出せなかったのは、すごいショックでしたね。
善し 結局、東京に来たのは、テレビに出たりだとか東京で活躍するっていう意味だと思うんです。でも、ネタ番組が少ない時代でもあったので、年に1回の『M-1』があって、あとは深夜にちょっとあるくらいで...。
多田 『M-1』で活躍した人をテレビや劇場で使い出すので、どんどん僕らの仕事がなくなっていき。
善し 悪循環ですよね。
多田 ルミネの楽屋で、一ヶ月のスケジュールを見た相方(善し)が、「こりゃあかん!」って言ったのを覚えてますね。
善し 僕も覚えてますね(笑)。
多田 僕ら漫才に自信を持っていたので、それ以外のお笑いのオーディションは適当じゃないですけど、全力でやってなかった感じなんですよ。だけど、東京来たからには、いろんなオーディションを全力でやらなと思って、そこからものまねとかコント、ショートネタとかいろんなジャンルのお笑いに取り組みましたね。その頃は(芸歴制限のないピン芸のコンテスト)『R-1ぐらんぷり』しか出るコンテストがなかったので、お互いが『R-1』の予選を受けて、ピンネタを作ったり。劇場では漫才をやるんですけど、漫才以外のことにも力を入れよう...力を入れざるえないといいますか(笑)。

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善し 『秒殺』っていうギャグのイベントも2004年くらいから?
多田 そう。当時、いろんな芸人とユニットコントをやっていたんですけど、その時のマネージャーから「そんな仲良しライブをやっていてもしょうがないじゃないですか」「多田さんがギャグをやって、どんどん後輩を負かせていく、そんなストロングスタイルのイベントをやったらどうですか」って言われて。テレビとかで「何かやって」と言われた時、ギャグは非常に重宝するので、東京に来たての頃は、よりギャグを考えるようになり、ギャグだけのイベントをやるようになって、それが最終的には日比谷野外音楽堂で開催するまでになりましたね。


――2008年開催の『大秒殺』ですね。


多田 そうです。『M-1』に出られなくなって、ちょっと沈んでいた時、ライブでいい感じになった瞬間でしたね。


――上京後の模索期間があったからこそ、今のCOWCOWさんのいろんなネタが生まれたとも言えますよね。


多田 そうですね。自然とそうなっていったというか。
善し やるしかなかったですね(笑)。『ジャングルTV』(『ジャングルTV~タモリの法則~』)とか仕事はあったんですけどね。
多田 「ネタいっぱいあっていいね」って褒めていただけることはあるんですけど、僕らはネタを作るしかなかったです(笑)。そこからちょっとお笑いブームが起きて、『エンタの神様』(2003年)、『爆笑レッドカーペット』(2007年)、『あらびき団』(2007年)とかが始まり、そういう番組に対応していくネタを作って、ちょこちょこ番組に出させていただくようになり、2007年くらいからちょっと上向きに。
善し お笑いのDVDもちょうどこのあたりから、どんどん出だすんですよ。ダウンタウンさんはずっと出ていますけど、若手芸人も、後輩のDVDもどんどん出だして、ちょっとやばいな、DVDを出していないのが恥ずかしくなってきて、お笑いDVDのコーナーを通らなくなりました(笑)。でも、2008年にはDVDが出せて、それから毎年DVDに残すために単独ライブをやるようになりました。
多田 単独ライブを毎年やるようになり、お客さんも来てくれるようになって、ホンマにいい感じでしたね。2007、8、9年あたりは。


――それからネタ番組で活躍されて、それぞれ『R-1ぐらんぷり』でも結果を残すわけですね。


多田 2004年から『R-1ぐらんぷり』にコンビで挑戦していますが、相方は4年連続決勝進出。僕はコンビでネタ番組には出させてもらっているんですけど、『R-1』決勝へは全然行けず、コンビとしては複雑な時期ですよね。


――当時のコンビ仲は?


多田 テレビを見て、相方があんまりウケてへんかったら、「もっとがんばれよ」となるんですけど、めっちゃウケたら、「もうちょっとおさえろ」みたいな(笑)。
善し コンビでもちょいちょい出させてもらうんですけど、まだ確信的なものは何もないんですよね。『爆笑レッドカーペット』にちょっとは出られますけど、かと言って、お笑いブームに乗っかっているだけ、みたいな。


――地に足がつかない感じですか?


善し そうですね。その頃、僕らより若手が多く売れていましたからね。
多田 (『爆笑レッドシアター』の)レッドシアター軍団の、はんにゃ、フルーツポンチ、しずる...そいつらと一緒に出ると、おこぼれ「キャー!」があるので、やりやすい時期ではあったんですけど、コンビ格差はありましたね。


――コンビ格差が埋まったのは、多田さんが『R-1』で優勝された時ですか?


多田 そうですね。『R-1』に優勝させてもらったのが2012年だったんですけど、2011年なんて、拗ねてエントリーしませんでした(笑)。「もうええわ」って。


――不参加の翌年に、五十音BOXという五十音で始まるギャグで優勝したんですね。


多田 はい。爆笑問題さんがMCのネタ番組に出演した時、ネタ以外で爆笑問題さんとの絡みで、特技みたいなのを披露するんですけど、僕はギャグしかないと思って。でも「ギャグやります」ってやっても、絶対すべるんですよ。ほんで、これはどうしようってなり、爆笑さんから好きな五十音を言ってもらって、五十音から始まるギャグが出来たら、MCと絡むことも出来るし、自分もおいしい...この方式めっちゃいいわってなったんですね。最初の頃は、そうやって五十音を募ってやっていたんですけど、五十個もギャグあると、いいギャグとそうでもないギャグの波があるんです。それを見た相方から、「自分の得意なギャグの五十音だけボールに書いて、それをボックスに入れて引いてやったらええんちゃう?」とアドバイスを受けました。


――お二人の合作だったんですね!


多田 そういうことになってしまうんです(笑)。


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――善しさんの当時の心境は?


善し そもそも『M-1』は出られなくなったけど、『R-1』でもコンビの名前は出せるし、コンビで決勝に行けたらいいやんというつもりで挑戦したので、それはホンマにいいなと思いましたね。後輩と一緒にお酒飲みながら見て、感慨深かったですね。
多田 優勝出来てよかったんですけど、よかったのは優勝出来た瞬間だけ。なぜなら、準優勝がスギちゃんやったんですよ。そこから、スギちゃん、スギちゃんとなっていき、「アイツは優勝したのに、全部スギちゃんに持っていかれた」とか、それこそ爆笑問題の太田さんとかに会うたびに言われたり(笑)。もちろん、太田さんなりにいじってくれはったんですけど、「確かになあ」みたいな、ちょっとネガティブになりましたね。スギちゃんの勢いはすごいし。


――でもそこから『あたりまえ体操』で大人気を得ることとなりますよね。


多田 2011年あたりから『あたりまえ体操』の伏線を張っていたんですが、我々を救ってくれました(笑)。
善し ケンドー・コバヤシさんはひとつ先輩で、大阪時代からかわいがってもらっているんですけど、「漫才とかギャグとかものまねとかいろんなネタやって、お前らホンマ『あたりまえ』なことで売れたなあ」って言ってくれました(笑)。


――確かに(笑)。


多田 ケンコバさんは、「K点、超えたな」って言って楽屋から出ていったのもすごく覚えています(笑)。


――超えましたか(笑)。『あたりまえ体操』は『あらびき団』用に作ったネタだったんですか?


多田 いいえ、最初は『S-1バトル』(ソフトバンクモバイル主催の映像作品コンテスト)用に作ったんです。『S-1』は東日本大震災の影響で休止となり、せっかく作ったのに出すところがなくなって、『あらびき団』でやらせてもらったんですよね。で、東野幸治さん(ライト東野)が、「うわ、COWCOW売れたんとちゃう?」って言ってくれたり、当時、ボストン・レッドソックス所属の松坂大輔投手がツイッターで「『あたりまえ体操』大好きです」とかつぶやきをもらって、ブワーって来たんですよ。でも、すぐ『あらびき団』が終わるんです(笑)。
善し 1ヶ月、4回くらい出て終わり(笑)。
多田 眼の前が真っ暗になるって、このことやなって思ったんですが、韓国のお笑い日韓戦っていうテレビの特番に日本代表で呼ばれて、「『あたりまえ体操』を韓国語でやってください」と言われました。うちら客前で『あたりまえ体操』をやったことがないし、しかも韓国で、韓国語でやるのってなりますよね。でも、どうにかやってみたら、すごいお客さんの反応がよかったんです。逆輸入という感じで、2012年に『笑っていいとも!』やゴールデンの番組に呼んでいただくようになって、そこからいろんなところでやらせていただきましたね。そのちょっと前に、ゲッターズ飯田が、「2012年はすごくいい年になる」って言っていたんですよ。それからずっと、ゲッターズ飯田が教祖で、ライブの字画まで聞いたりしています(笑)。


――ライブのタイトルの字画まで(笑)。


多田 あれだけ出させてもらうと、反動はもちろんあったんですが、でも2016年に『歌ネタ王決定戦』で優勝させてもらったのはデカかったですね。『あたりまえ体操』で、いろんな人に知ってもらいましたが、自分らには漫才はもちろん、いろんなネタがあるぞというなかで、コンビとして結果が出せましたからね。


――芸の幅を見せつけましたね。それから2年が経ち、今年は25周年。


多田 ゲッターズ飯田によると、いい年だそうです(笑)。本当に、今年に入って、25周年ライブのことをやってきたので、これだけを目標にやってきたという感じですね。
善し 単独ライブを初めて11年間の集大成です。時代の変化で、予算は減っているんですが、お金をかけないスタイルでの集大成(笑)。
多田 厳選したネタをやりつつ、お互い思い出に残るいいライブにしたいですね。


――25周年、COWCOWを続けられた理由はなんでしょうか?


善し 僕ら幸いにも、大阪時代にも賞をいただいたり、ちょこちょこですけど、いけるかもって思っていたんですよね。どん底の時も、ナインティナインの岡村さんや東野幸治さん、今田耕司さんたちがすごいあたたかくて、「面白いのにどうして売れないの」って言ってくださったりしたことですかね。


――ピンでネタをやっていた時も、そうした気持ちにズレはなかったわけですね。


善し ピンでネタをやっていただけで、ピン芸でいこうなんて気持ちはさらさらなかったですね。底辺とはいえ、COWCOWとしての出番は、毎月ルミネにすごい数出させてもらっていたんですよ。吉本新喜劇もありましたし、ほぼほぼ毎日、劇場にいるっていう感じでした。

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――劇場番長たる所以ですね。最後に、これからの展望を聞かせてください。


多田 『CDTV』が25周年を迎え、安室奈美恵さんが25年で引退...ある意味区切りですが、僕らは新しいCOWCOWを見せていくことが主体となっていくと思います。新しい僕らを見てください...って言って、新ネタがなかったら、後戻りしてるって、笑けてくるんですけど(笑)。いやでも、『あたりまえ体操』をやらせてもらい、『歌ネタ王』を獲らせてもらったので、新しいリズムネタと言いますか、「あいつら何やってんねん」っていう感じのネタはやるつもりです。
善し 50、60、70代も面白い先輩方がいるので、その年齢まで続けたいですね。続けることが面白くなるとは思うんです。8月のトークライブのゲストに来てくれた笑福亭鶴瓶さんやよしもとの師匠方もそうですけど、年齢を重ねて、より面白味が出ていますよね。


――さらに50周年とかイメージ出来ますか?


多田 単独公演をやられている大先輩もおられますし、それが目標ですよね。そういう方になりたいですよね。そして、がんばって将来はハワイに住みたいな(笑)。
善し ハワイに住みたいっていうのはないですけど(笑)、40歳すぎると、いろいろ見えてくるじゃないですか。人生の折返しは終わっているぞとか、芸能界だけ見ても、この人、歳取ったなあとか、亡くなりはったとか。そういう意味でも、続けたいですよね。隠居もいいですけど、漫才師の先輩、師匠を見ていると、続けているってすごいと思います。


――生涯芸人ということですね。


善し それしかないでしょうね。芸人さんで「引退です」っていう方も少ないですし。


――多田さんがハワイに行っちゃったら、どうするんですか?


善し ハワイでギャグやっているでしょうね。
多田 COWCOWのハワイ公演とかね。


――50周年はハワイ公演って、いいですね。


多田 適当なライブになりそう(笑)。
善し ぜひ、取材に来てください(笑)。


――ぜひ、よろしくお願いします!(笑)


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2018年10月30日 (火)

いよいよ11月1日開演! 東京コミコンコラボ公演 劇団アメコミリーグVol.1『アメコミリーグ ビギンズ』修士×なだぎ×竹若×ますもとたくや座談会

111日(木)~4日(日)まで神保町花月にて上演される、劇団アメコミリーグの旗揚げ公演、『アメコミリーグ ビギンズ』。これまでトークイベントを中心に行ってきた、アメコミ好き芸人ユニット「アメコミリーグ」の彼らが、今なぜ劇団を立ち上げることになったのでしょうか? おもしろ佐藤がフィリピンに行っていていまだ不在の中、修士、なだぎ、竹若の3名と、脚本・演出を手がけるますもと氏に、稽古前の貴重な時間にお邪魔し、お話を伺ってきました!

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(左より、竹若元博、ますもとたくや、川谷修士、なだぎ武)

ーーもともとアメコミ好き芸人のユニット・アメコミリーグとして、2014年からトークイベントなどをされていたと思うのですが、今回、「アメコミリーグ芝居」という新たなコンテンツを立ち上げられたのはなぜですか?

修士 もともと、アメコミリーグというイベントに、ますもとさんにレギュラーゲストみたいな感じで出ていただいてたんです。

ますもと 一度マーベル(アメコミ出版社のマーベル・コミック)でお仕事させていただいたのがきっかけでイベントに呼んでいただきまして。

修士 僕は昔、ますもとさんの劇団のお芝居に出たりもしていたので「いつかお芝居したいなぁ」ということは言っていて。

ーーじゃあ、なんとなく「そのうちお芝居を......」というのは以前から考えていた?

竹若 できたらいいなぁというのは思ってました。ただ、ますもとさんがベシャリが立つんで、普通にイベントでおしゃべり要員として活躍されてたんですよね。しゃべれへんかったらもっと早く「書いてもらおうか」ってなってたと思うんですけど。なんやったら「この人、書ける人やったんや」っていうのを忘れてました(笑)。

全員(笑)。

ますもと でも結構みなさんも舞台やられてたんで、これはできるんやないかなというのは僕も思ってました。

ーーアメリカのコミックを日本で芝居にするというのが少しイメージしづらいんですが、ズバリ、アメコミのお芝居とはどんなものなのでしょうか?

ますもと これ、いい機会やと思うんで言いたいんですけど、僕、以前に「アメコミシアター」っていう自分の劇団をやってた時も悩んでて。結局アメコミーーマーベルとかDCコミックのマニアックなネタをぶっ込んでも、観客は"シーン"なんです。だからやっぱり、アメコミテイストというか、イメージをうまく使って「こういうモチーフよくあるよね」っていうのを使うのがいちばん正しいやり方だなっていうのを2014年にやらせていただいた舞台で思ったんですよね。マニアックなことはいつも「アメコミリーグ」でお話しさせてもらってるんで、とりあえずとっつきやすいとこからというか。

竹若 詳しくない人も持ってるイメージですよね。いいヒーローがいたり、悪い敵がいたり。そういうところはしっかり押さえているので、あまり知らない人でも大丈夫ですよね。

ますもと だから、詳しくないと見れないなんてことは全然ないです。

ーーじゃあ、お芝居から興味を持つ、というのもあり?

なだぎ それはありがたいですね。そもそも、ふだんのアメコミリーグのイベントの感じもそうなんです。持ってる知識を出すとかじゃなくて、とにかく笑えるようにアメコミを紹介して、ちょっとでも興味を持った人が「じゃあ映画を観てみようかな」とか「原作読んでみよう」みたいなことを思ってくれたらいいな、みたいな感じのイベントなんですよ。だから、今回のお芝居もそんなテイストになればいいかなって。

ーー全然マニアックなものではないんですね。

竹若 全然。むしろ、マニアックさはできるだけ排除しようと思ってますし、僕らもマニアっていうよりはただ「アメコミが好き」っていうポジションなので。

なだぎ マニアな人はいっぱいいて、マニアックなイベントもその人たちがやってるんですよ。だから、我々の方はとにかく笑える感じが基本にあって、その中で興味を持ってくれたらいいな、というコンセプトですね。

竹若 "アメコミ新喜劇"やと思ってます。

修士 (笑)。いいですね。いろんな新喜劇ありますやん、ラグビー新喜劇とか。

なだぎ そんなん知らんて、誰も。NSCで一回やっただけやん、それ。......だから、のちのちロバート・ダウニーJr.が出てくれたらいいな、みたいな。

一同 (爆笑)。

ますもと 僕、毎回アメコミリーグ出てて楽しいんですよ。「アメコミをイジってもいいんだ」っていうのが楽しくて。

なだぎ そうですね。そういうコンセプトが反映されたお芝居になれば。でも本当に笑えるお芝居になってると思います。
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ーーアメコミといえば「コスプレをする人が多い」イメージがあるんですけど、今回のお芝居も衣装にはこだわっているのでしょうか?

ますもと そうですね。実は「アメコミリーグ」という架空のヒーローのコスチュームがありまして、それをみなさん着ることになると思います。

ーーみなさん、同じ衣装なんですか?

ますもと カラーが分かれてまして、この人はこういう能力、この人はこういう能力と、『X-MEN』的な感じのものを考えてます。

修士 チラシにもちょっと書かれてるんですけど(と、左上に書かれたイラストを指差し)僕は赤なんです。

なだぎ ただおもしろ佐藤に関しては、これ全然違います(と、チラシ左下に書かれたおもしろ佐藤を指差す)。

ーーえ!? これおもしろ佐藤さんですか?......色黒すぎません(笑)?

なだぎ でも今フィリピンに行ってるので、もしかしたらこれより黒くなって帰ってくるかもしれないです。(注*現在は帰国しています)

ーーじゃあ、日焼けを見越しての......(笑)。それにしても佐藤さん、稽古にはいつから参加されるんですか?

竹若 そうなんですよ! 本番だけ空いてるんです。

なだぎ だから、本番一発ぐらいです、こいつに関しては。

ーーということは、出番的にはそんなにない感じ?

なだぎ いや、ずっと出てもらいます。

全員 (爆笑)。

修士 困らしてやろうと思ってます。

竹若 一応台本は送って「覚えとかなしばくぞ」とは言ってるんですけど、本番では(台本と)全然違うことをやるかもしれません。

なだぎ でも、練習させへん方がもしかしたら跳ねるかもわからないです。変に練習するよりも。

ーーそんなの、ドッキリじゃないですか(笑)。じゃあ、練習の時は代役の方が?

竹若 そうですね。代役の方が今面白くてね。出来上がってきてます。あんまり達者なんでね。

なだぎ 今、パソコンいじってる彼(とスタッフを指差し)にも別の人の代役をやってもらってるんですけど、あの子がね、ビックリするぐらい棒読みなんですよ。でも逆にその棒読み感がクセになってきて。昨日の稽古にはいなかったんですけど、だいぶ寂しかったです(笑)。本役(演じる本人)は役者なんでバリバリ芝居するんですけど、なんか、全然面白くない......(笑)。普通なんですよ。一個超えてきてほしいんですよね~、いろんな意味で。

修士 うまいんですけどね。

なだぎ でも、うまいやつなんていっぱいいるんで。あれほど棒読みなんはあいつだけやと思うんです。むちゃくちゃ面白いんですよ。ラスボスおまえかい、みたいな。それこそ新喜劇のノリですよね。

ーー(笑)。とにかく佐藤さんに関しては、どうなるか、本番までのお楽しみ......!?

なだぎ 英語勉強して帰ってくるんで、もしかしたら、台本は日本語で書いてますけど「オレ、全部英語で言いたい」とか言うかもわかんないし。そうなったら全部英語でやらせます。もしかしたら我が強くなって帰ってくるかもしれないんで。

ーー色が黒くなるだけでなく......(笑)。

なだぎ 我も強くなって(笑)。

修士 でも、ちょっとでも偉そうなこと言ったらしばき回しますけど。

なだぎ 気が大きくなって帰ってくるかもわからないので、こっちが身構えとかんと。

ますもと なんかでも、将来的にこのお芝居の一部分をコントにしたやつを英訳版とかにしてみんなで海外でやれたらいいですね。まずは佐藤さんの知り合いを呼んでもらって、フィリピン公演でもいいですし。
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ーーそういえば、今作は東京コミコン(日米の映画・コミック・アニメ・ゲームなどのポップカルチャーを扱ったイベント)とコラボしているそうですが、将来的にはコミコンの会場でも何かやれると面白そうですね。

竹若 ねぇ。コミコンの舞台で上演できたらいいですね。

なだぎ 最高やな。

修士 あと、コミコンにはコスプレイヤーの方も多くて、すごいんですよ。クオリティも高いし、その人たちのファンもいたりして。その人たちともいつかコラボできたらいいですね。

竹若 最高峰の人たちが来てる感じするもんね、あそこに。

修士 だから、その場合は"コスプレ新喜劇"ですよね。

なだぎ 自前の衣装を持って来てもらったら、衣装代もかからんしね。だってもう、衣装が映画さながらの仕上がりなんですよ、こだわって作ってはるから。

ーー今回旗揚げ公演ですけど、どんどんクロスオーバーしていくといいですね。

竹若 コミコンはアメリカにもインドネシアにも......世界中にあるんで、実際、ちょっと前に「インドネシアのコミコンに行きたいな」みたいなことも言ってたんですけど、これ(『アメコミリーグ ビギンズ』)が仕上がったら、これを英語に直したりとか。

ーー海外で「アメコミ新喜劇」を上演できたら、同時に日本のお笑いも紹介できますし、いいですね!

なだぎ ぜひ挑戦してみたいです。ただ1時間半ずっとスベってるかもわかりませんけど。

全員 (爆笑)。

竹若 変な顔とか動きした時だけウケるとか。

ーー稽古場の雰囲気は現在どんな感じですか?

ますもと 深夜に稽古することが多いので、その稽古でめちゃくちゃ笑ったなと思って家に帰って、起きると何もかも忘れてる時あります。「何がおもろいんやったっけ?」って。

修士 深夜のノリでね。

なだぎ もう、作ってる側も演じてる側もだいぶ老化が入ってるんで。

全員 (笑)。

なだぎ 23時過ぎたらもう何やってるかわからへん、自分で(笑)。ただ僕、ビックリしたのが、初回の本読みの時、台本が1/3しかできてなかったんですよ。それが10月の半ばなんですよ? だいぶ心配したんですけど、稽古が始まったらテンポよくできてきたんで、すごく安心しました。でも稽古したのに、次の日また変わってるんですよ(笑)。

修士 どんどんアイデアが出る方なんで。

竹若 稽古を見て、思いついたことをまた次に活かすみたいな。

なだぎ アップデートアップデートなんですよね。

修士 ただ、見てすぐ飽きるんですよ(笑)。

なだぎ 昨日も青木(俊輔)くんに「声を高くしろ」って言って、3回ぐらい見てもう飽きて、「おまえいつまでやってんねん」て言うてましたよ。

修士 (笑)。僕、怖いのが、本番の前日に台本がめっちゃ増えてたらどうしようって......

なだぎ あるみたいなんです、この人は。

ますもと (笑)。じゃあ、逆にもう稽古せんときましょうか。

ーーますもとさんはいろんな作品を手がけていらっしゃいますが、「アメコミリーグ」だからということで気をつけられた点などはありますか?

ますもと いや、でもホントに自由にさせてもらって、すごく楽しいです、僕自身は。もう、普段はストレスフルな仕事ばっかりで......。

修士 (笑)。いや、そんなことないでしょ。

ますもと (脚本に)書いた通りのイメージかそれ以上にみなさんやってくれるので楽しいですね、やりがいがあるというか。
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ーー今作の見どころを教えてください。

修士 今回、二葉兄弟という双子のイケメンに出てもらってるんですけど、すごい好青年で。

ますもと 僕、以前お兄ちゃんの方と一緒にお芝居したんですけど、関西人ということもあって、芸人さんとの芝居のカンがすごくいいなと思って。「これは絶対ハマるぞ」ということで今回お願いしました。

なだぎ 今回この舞台の主題歌も歌ってもらってるんですけど、カッコいいんですよ、この曲が。

ーー双子ということを活かした役柄、ということですよね?

修士 あっ! ありがとうございます。

なだぎ それはそうですね。逆に活かしてない方が......(笑)。全然活かしてへんやん!ってなるから。今回はガッツリ活かさせていただいてます。

ますもと 築田(行子)ちゃんも天然なキャラなんですけど、結構面白い方なんで。

修士 だから、芸人芸人してる舞台ではないですよね。

竹若 全員の見せ場というか、特徴がすごく出てるシーンがたっぷりあるっていうのはいいですね。なんか、この4人だけが目立ってる舞台では絶対ないし、みんながそれぞれ刺激を受けあっていい味出し合っている舞台なので。

修士 どこを切り取っても楽しいと思います。

ーー築田さんはいわゆるヒロイン役なのでしょうか?

竹若 ヒロイン、というのではないかなぁ。アメコミリーグメンバーが、もう愛だ恋だという年齢じゃないんでね......(笑)。

なだぎ クソジジイばっかりですから。お父さん世代というか。

竹若 見てて無理が出てくるんで、ますもとさんも「これ、ちょっと恋人関係とか無理やな......」って思わはったと思うんで(笑)。

ますもと いやいや......

修士 だってこんなん、恋とかしたらただの『黄昏流星群』ですやん!

全員 (爆笑)。

なだぎ 中年の恋物語なんて、誰もたぶん見たくないと思いますんで。それがイケメンやったらいいですけど、クソみたいな顔ばっかりなんで。

ーーそんな(笑)。でも舞台のお芝居って、わりと何歳にでもなれるじゃないですか。

竹若 そこまでの演技力がないんで......。

全員 (笑)。

ますもと よかれと思って言うてくれてはんのに(笑)。

ーーでは最後に、読者にメッセージをお願いします!

修士 今作はいろんな人に見てもらって、ああだこうだ言っていただきたいので、ひとりで来られる方ももちろんありがたいんですけど、それについて友達と話したいはずなので、絶対友達を誘ってほしいなと。この記事を読んでる最中に、すぐに友達にラインを送ってください。

なだぎ 今年もあと2カ月で終わるくらいの時期になってきてるんで、「ちょっと一発面白そうなの見に行こか」みたいな。「アメコミそんなに知らんけど、どんな感じなんやろ?」って興味のある方はぜひとも見にきていただいて、どんどんSNSで拡散していただいて、『カメラを止めるな』ぐらいまで広がったらいいなと思ってます。

竹若 いろんな要素が、ちょっと詰め込みすぎちゃうの?っていうぐらい詰め込まれてて、アメコミをあまり知らない方でも楽しめると思いますし、楽しいと感じる部分が人それぞれあると思うので、みなさんの反応でアメコミリーグはその人気ある方に向かって行くと思います。実際に観にきていただいて、「あそこの部分が楽しかった」とか言うてもらえれば、すぐそっちの方になびいていきますので、みなさんに準ずる劇団として、今後もいろんなところでやっていきたいなと思ってるんで、将来を見越して観ていただければと思います。

ますもと 今回、"少年心"というのがテーマになってまして、みなさんが一回忘れてるんじゃないかな?っていう、大人になって、日々を過ごすうちに忘れているものを取り戻せるようなお芝居になってると思いますので、お楽しみに。
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【2丁拳銃】【川谷修士】【なだぎ武】【バッファロー吾郎】【竹若元博】

2018年10月27日 (土)

いよいよ10月27日(土)公開! 映画『サクらんぼの恋』桜井ユキさんインタビュー 

宮川大輔が初主演を務める映画『サクらんぼの恋』。お人好しな性格のせいで周囲からバカにされ、冴えない日々を送っていた45歳の童貞男が、大ファンだったAV女優・恩田リナと出会い、ピュアな恋に落ちる姿をハートウォーミングに、そしてリアルに描いた恋物語である本作のヒロインを演じるのは、今最も勢いのある女優として注目されている桜井ユキさん。そんな桜井さんに、本作についてお話を伺ってきました。

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ーー最初に今作のオファーがあった時はどう思いましたか?

台本を読む前は、宮川大輔さんが主人公だということと、ざっくりとしたストーリーを教えていただいたので、どちらかというとコメディ要素が大きい作品なのかなという印象を受けたんですけど、台本を読むとその印象は変わり、現場に入ってさらに変わり......という感じでしたね。

ーー主演の宮川大輔さんについてはどんな印象を持たれていましたか?

もともとすごく好きな芸人さんだったので、いろんな番組を拝見させていただいてたんですけど、テレビの印象のまんまってことはないだろうなと思っていて。「どういう方なんだろう?」って、お会いするのがすごく楽しみでした。

ーー実際にお会いしてみていかがでしたか?

静かな方でした、最初は。初日にキスシーンの撮影があるということもあり、お互い緊張していたので、初めてあいさつした時はお互いよそよそしい感じで。でもすごくこう......あんなに面白い話をたくさんお持ちで、いろんなことをされている方なのに、地に足が着いてる方だなって(笑)。本当に真面目な方だなという印象でした。

ーー宮川さんが「クランクインしていきなりラブシーンで、本当に好きになってしまった」とおっしゃっていましたが、クランクイン初日にいきなりラブシーンの撮影をするのは難しかったのでは?

難しかったですし、撮影スケジュールを見たときは「えっ!?」ってビックリしたんですけど、あとになってラブシーンを初日に撮れたのはありがたかったなって思いました。あれで距離を近づけられたというか。お互いの気持ちがくっつきそうでくっつかない、絶妙な距離感があのシーンのよさだと思うんですけど、仲よくなりすぎてしまうとその距離感って生まれないと思うんです。初対面の、お互いをまだ探り合っている感じの中であのキスシーンができるっていうのは、出そうと思って出せる雰囲気ではないので、それを初日に撮らせていただいたのはすごくよかったなって後々になって思いました。

ーー宮川大輔さんと共演してみて、いかがでしたか?

いやもう、大好きです! 

ーー大輔さんの方も好意を持たれていらっしゃる感じでしたが......(笑)。

(笑)。でも、公の場ではそう言ってくださるんですけど、宣伝のお仕事なんかでいろんなところに一緒に行った時に、キャストやスタッフさんと食事に行くんですけど、ちょっとお酒が入ってきて、フランクな雰囲気になった時でも「ユキちゃん、まだ大丈夫?」「ホント、もう帰っていいからね」って、気を遣ってくださって。すごく紳士な方なんです。そこも含めて、ただ面白いとか優しいだけじゃなくて、人間的にも素晴らしい方だなって......本当に大好きなんです(笑)。
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ーー大輔さんが演じている山川則夫という人物は、実際の大輔さんとはかなり違うキャラクターですよね。

そうですね。則夫と大輔さんは真逆なんですけど、根っ子には通ずる部分があると思います。意外とちゃんとドギマギというかアワアワしたり......。則夫はよくアワアワしてるんですけど(笑)、大輔さんも慣れてないことはちゃんと慣れてない感じが残ってて、たぶんそこが魅力的なんだと思います。全部をちゃんとこなせて、さばけて、割り切れる人に見えるじゃないですか、大輔さんって。私もそういうイメージがあったんですけど、ちゃんとそうじゃないところが残ってる感じがするというか。

ーー映画を拝見して、大輔さんとは全然違うキャラクターなのに、違和感を感じるどころか本当はこんな人なんじゃないかとさえ思ってしまいました。

だから、根本の部分は......3mmくらいは大輔さんなのかもしれないですよね(笑)。

ーー則夫のような人って実際にもいるんじゃないかと思いますが、桜井さん自身は則夫のような人のことをどう思いますか?

すごく素敵だと思います。ただ、あのまんまだとあのまんま終わっちゃう人なので、たとえば則夫のように、美咲(恩田リナの本名)のようなきっかけになる人と出会えれば、今まで閉じていたものが開く素直さをお持ちだと思います。いろんな人と出会うことが大切になってくるんだろうなって思いますけど。ただ、則夫に限って言えば、美咲に出会うまでの則夫はちょっとイヤですね(笑)。ウジウジしてる感じが。

ーーただ、あんなドラマチックな出会いってなかなか起きないですよね。

でも、聞いてるとたまにあるんです、本当に。「そんな映画みたいな出会いあるの!?」っていうこともあるので、必ずしもないとは言い切れないと思うし、ああいうことが現実でもあるかもと思うとちょっと夢があるなと思います。
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ーー演じられた恩田リナ(本名・相馬美咲)という役はAV女優という設定でしたが、どんな役作りをされたのでしょうか?

とりあえずAVは見ましたね。自分で借りるのは恥ずかしいので、男友達に「ねぇねぇ、ホントは持ってるでしょ? ちょっと貸してよ」って言って(笑)。インタビューシーンが見たかったんですよね。

ーーインタビューシーンって、絶対あるものなんですか?

あるみたいですよ。たぶん、その段階が男性は楽しいんでしょうね。服を着ている普通の状態を見ることで、さらに興奮する......みたいな。もちろんないものもあると思うんですけど、私が貸してもらったのはもれなく全部ありました(笑)。見たことがなかったので、どんなテンションかもわからなかったんですけど、やっぱりみなさんちょっと作っている感じはしましたね。受け答えなんかも、美咲もそうでしたけど、もちろん全部が全部本当のことを言ってるわけじゃないだろうから。なので、すごく勉強になりました。

ーーAV女優役というだけでなく、美咲はこれまでいろんな辛い経験をしてきた女性でもありますが、そういった女性を演じる上で心がけたことはありますか?

私自身、普段からあまり役作りというものをどうしていいかわからないタイプなので、そこはもう、いかにリアルにその出来事を自分の中に落とし込むかというか......。もちろん経験したことのある感情が知らずに結びついていたりということはあると思うんですけど「自分とリンクさせる」とかではないというか。特に「美咲はこういう過去を持ってるからこうしよう」みたいなことはなかったです。ただ、美咲はいつもコタツのある部屋にいて、あそこに置いてあるものだったり、そこでずっと暮らしている感じだったり、美咲をイメージする要素があの空間につまっていたので、あまり悩んだりはしなかったですね。あとはひたすら妄想妄想妄想で。

ーー自分まで役の気持ちに引っ張られたりしそうですが......。

あ、ありますね。でも、基本的にメイクを落として「お疲れさまでした!」って言って帰る時は比較的大丈夫なんです。撮影期間中は結構引きずってますし、終わってからも少し引きずってる感じはあるんですけど、しんどい役をやってる時にずっと辛いかって言ったらそうじゃないですし、切り替えないともたないと思います(笑)。服を着替えてメイクを落とすとか、そういうことってすごくありがたいスイッチというか、それでだいぶ(役の気持ちを)削ぎ落とす、みたいな。だから、服とメイクって大きいですし、私にとってはすごくいいスイッチになってます。
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ーーなるほど。ところで、古厩監督から「こう演じてほしい」などの注文はありましたか?

なかったですね。古厩さんは全体を優しく見守ってくださる方で、すごく素敵な演出だなって思います。「こういう風にして」じゃなくて「こういうのはどうかなぁ?」って、提案として演出をしてくださるんです。私たちは私たちで、役の思いを「こうだろうな」って解釈しながら演じているんですけど、決してそれを否定するのではなく「僕はこう思うんだけど、桜井さんはどう思う?」とか、そういう演出の仕方をしてくださるので、どちらかの意見を取るんじゃなくて、お互いの意見を織り交ぜながら、結果2人とも納得した着地点でやれるという環境でした。とても素敵な監督でした。

ーー特にお気に入りのシーンはありますか?

いっぱいあるんですけど、特に好きなのが、則夫と会ったばかりの頃、則夫が自転車を押しながら美咲と一本道を歩いていくところをワンカットで撮っている夜のシーン。2人の空気感が、2人の間に大きなボールが1個あるかのような、でもお互い近づきたいっていう、絶妙な感じがすごく......シーンとしても好きですし、撮影しているときの雰囲気もなんともいえなくて。お芝居をやっていて、たまになんともいえない気持ちになることがあるんです。まれなんですけど、芝居してるのかなんなのか、どっちかわからなくなる瞬間があって。それはすごく幸せなんですけど、あのシーンがそれに近い感じでしたね。

ーー逆に苦労した、大変だったシーンはありますか?


(フェリーのシーンでの)飛んでくるカモメが怖かったぐらいですね(笑)。噛まれると血も出るし、ツバがつくと感染するとか言われて。「エサをあげて」って言われたんですけど「絶対そんなのあげれないじゃん!」って思って(笑)。私は役のキャラクターをいいことに「いや~、私できないからあげて」って則夫に渡して、全部あげてもらっちゃいました(笑)。

ーーでは最後に、今作を観る方へメッセージをお願いします。

とにかく、則夫のピュアさに触れていただきたいですね。人と触れ合うっていいことだけじゃないし、リスキーなこともあったりすると思うんです。でも、この作品を観ることで「もうちょっと人に歩み寄ってみてもいいのかな」って思ったり、積極的に人とかかわっていくことをプラスに捉えられるきっかけになったらいいなと思います。
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2018年10月26日 (金)

メッセンジャー・黒田による初のエッセイ集『黒田目線』が発売!

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10月26日(金)に『黒田目線』をリリースするメッセンジャー・黒田有。本書は、「毎日新聞」大阪版に2014年12月から2018年3月まで約3年半にわたって掲載された人気連載「黒田めせんじゃ~!!」に、新たに加筆修正や書き下ろしを加えた、自身初著書となるエッセイ集です。エッセイのテーマは、初恋、大阪への愛着、芸人の矜恃、独身男の本音――など。笑いのウラに著者の文筆家としての意外な顔を覗かせる内容となっています。また、オビには、小説家の湊かなえさんより、「貧乏だったあの頃に、家族で飲んだインスタントコーヒーのほろ苦さを思い出しました」との一文をいただいています。本作について、黒田にインタビューしました。

--実際、本が出来上がってみて今の率直なご感想は?

子供のころから結構本が好きだったというか、家が貧乏やったんで本しか読むものがなくて。昔から本はずっと読んでいて。自分がまさか出すという考えはなかったんですけど...まあまあ出せたことは素直にうれしいですね。

--子供の頃はどういう本を読まれていたんですか?

次男が本好きで、その影響もあって星新一さんとか、赤川次郎さんとか、ブームやった人を結構読んだりしていましたね。

--ちなみに今、読んでいるものはありますか?

浅田次郎さんの本ですね。『黒田目線』の担当編集者の方が浅田次郎さんを担当されていたみたいで。僕、その前から浅田次郎さんの本を読んでいたんですよ。それもあって読ませてもらっていますね。

--2014年の4月から3年半、連載が始まりましたが、最初にオファーをいただいたときはどんな気持ちでしたか?

ええんかな?と思いましたね。だいぶん昔やったら『ぴあ』で連載持たせてもらったこともあって。僕、『TARU』というお店を紹介する本でずっと連載をしていたんです。その記事をちょうど編集者が見たみたいで、「書きはんねやったら頼んでもらわれへんかな」ってお話が来たとき、毎日新聞というと大手で日本四大新聞ですから、僕が書いていいんですかって話になったんですけど、文字数も決まっていますと。月に1回だけなので、型にはまらず、夕刊紙は読者はご老人の方が多いらしいので、難しい話はほかでするから、社会的なこととかより黒田さんが思っている日常のことを書いてもらったらという話だったので、一度やらせてもらおうかなと。あとがきにも書いているんですけど、すぐ終わると思っていたんですよ。よく続いて半年くらいかなって。そしたら結構書かせてもらって。月1回といえども3年半になると結構なボリュームですね。

--208ページありますね。

連載を全部集めてプラスアルファでちょっと書いてくれと言われて。連載の時は原稿用紙2枚半で収めてくという指示でした。ほなら、もう少し書きたいと思っても、文字数決められると結構難しくて。今回、本を書くにあたっては文字数も関係なく書いてくれって、連載で書いたものに足したりとか、また新たに書き下ろしました。年齢的にも、本を出せた時期が今ぐらいでちょうどよかったですね。

--始めたのは44歳のときですよね。

はい。その間に母親が亡くなったり、もろもろのことがありましたので。まあまあ売れる売れへんというよりかは、書かせていただいた時期がちょうどよかったですね。

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--原稿用紙2枚半は難しいですね。

難しいですね。文字数が多かったらカットしなあかんし、足らなくてもあかんし。でも、その作業を先にやらせていただいたので、勉強にはなったかなと思います。今までの連載は100字くらいオーバーしてもええっていう感じで書かせてもらっていたんですけど、毎日新聞社はきっちりしていて難しかったけど、いろいろプラスになりましたね。

--元原稿は多少、文字数がオーバーしても、編集の方が調整されることが多いんじゃないかと思ったのですが、そうではなかったんですね。

はい。これは完全に自分で書きました。書くプロではないので、文章はつたないかもしれませんが、ストレートには書かせてもらいました。あんまりええかっこして書かんとことって思って。

--参考にされた作家さんはいらっしゃるんですか?

僕、実は武田鉄矢さんの『母に捧げるバラード』という本をずっと持っているんです。たぶん、小学校の6年生のころに読んで。ちょうど『3年B組金八先生』ブームの時に出しはったんやと思うんですけど、包み隠さず書いてはったんです。性的なものとか。それが面白いなと思っていて。描写の仕方とかがすごく斬新やったんです。こういう書き方って面白いなって、小学生の僕でも感化されました。それをまねたというわけではないですが、基本的には、変にええかっこしたりとか、あんまり考えんとこって思いました。

――編集の方と二人三脚だったんですか?

全くです。「原稿待ってますんでとりあえず書いてください」っていうぐらいで。

――赤入れが大幅に入ったというわけではなく?

表記の統一はありましたが、「ここはちょっととがりすぎているからどうでしょう」とかいう程度のものはありました。

――連載が始まった後に、2013年に『ポストへ』という舞台の脚本に始まり、『既読アリ』『つな』など長編のお芝居を手がけられるようになりましたが、舞台の作風に連載の影響はあったのでしょうか?

変わってきたというのもありますし、昔の作品は自分で見ても説教くさいんですよね。かっこつけてる気ぃないんやけど、かっこつけてるところがあったので。もっとフラットなものにしようかなと思って...。

――連載を始めて、脚本にも変化があったのかなと思ったのですが...。

それまでは役者に気を遣っていたんですよね。出ていただいているからという思いがあって。セリフの分量とか、目立たせ方とか、それを考えていたんですけど、この前に『ボランチェア』という作品をやったのですが、自分の思った通りに書いた方がよかったということに気づきました。それは、連載をやっていたからと思うんです。それをやっていたから今があると思います。

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――「頭の中の整理をしようと思いました」ということでしたが、実際に整理されましたか?

よしもとに21歳の時に入ったんですけど、20代、30代と闇雲に動いていたような気がするんですよね。でも40になったら老いがほんまに来るんですよ。老眼が来たりとか。まさか自分が老眼になるとは思わへんし、異様に朝早く目が覚めるだとか、6時間以上寝られないとか、体が全く変わってきたんですよ。食べるものも変わってくるし。そのことに対してあれ?って思うけど、認めたくないんですよね、あんまり。頭では分かっているんですけど、認めたくない。多分、僕らぐらいの年齢はそこにがーっと葛藤するんですよね。で、老けだすと一気に老ける。気をつけなあかんけど、どこを気を付けてええのかわからない。これが60歳ぐらいになったらもっと違う考えになっていると思うんです。40代で何かしらの道のりを作っていかないと、たぶん自分の考えていた線路とは違うところに線路ができちゃっているなというのがありました。

――エッセイの中で特に読んでほしいエピソードはありますか?

40年以上生きていたら、いろんな思い出があるのですが、「この1冊に全部詰まってますねん」というものではなく、より鮮明に思い出したものを書き出しているんです。僕の脳の中に残っている1冊ずつの本を出していく感じですかね。他人の脳をのぞき込むような本になっていると思うので、それを楽しんでもらったらいいかなと思います。何がハマるかは読む人の状況によって違うと思うのですが、何となくみんなが通ってきた道、僕らと同じ昭和生まれの人が読んだとき、私にこういうことあった、俺にもこんなんがあったと感じてもらうことが大事だと思いますね。僕がそういうことを先に見せているだけであって。まあまあ、紆余曲折あった人生なので...。

――タイトルが連載の『黒田めせんじゃ~!!』から『黒田目線』になったのは?

編集の方からこれで行きましょうと。その辺はお任せしました。表紙のイラストも見せていただいて、「抽象的な方で」ということになりました。もっと俺に寄せてもらおうとしていたんですが、自分の顔に寄せなくてもいいですよと。このイラストは僕の顔というより、年を取っている人にも見えるし、小学生にも見えるし、30代にも見えるじゃないですか。ぼやっとした感じなんですけど、僕は気に入っています。誰の顔なのかぼやけてますが、そっちの方がいいかなと思ってます。

――子供の頃に似ているというのは?

そう見ようと思ったら似てますが、似てないと言えば似てないですね。エッセイも小学生の頃から現代までを書いていて、時空が飛んでいるんですね。表紙を今の俺の顔にしたら今の俺のままになってしまうから、思い出話に変わるのが嫌だなと思って。

――書いていて急に思い出したこともありましたか?

小学校の時にいじめられっ子の女の子がいて、その子のことは全く忘れていたんです。でも、あるニュースを見てふと思い出して、そのことを書いたり...。僕がふとしたことから神奈川県まで一人で行ったんです。とっさに着いた嘘で行かなあかんくなって、お金をためて行った初めての一人旅でした。そういうことは結構長い文章で書いています。

――オビの推薦文も注目ですね。

湊かなえさんが書いてくださって。湊先生って、絶対にオビの推薦文を書かれないんですけど、一度だけ僕の番組にゲストで出てくださって、関西の方なので気に入ってくださって、「黒田さんが書くんやったら」と初めて書いてくださったんです。そうやって湊先生がオビを書いてくださっているので、売らなあかんなっていう気持ちはあるんですけど、押して売るものでもないから...。

――SNSを使おうというお考えは?

ないですね。1回ツイッターをやっていたんですけど、性に合わんなって。考えが分かってしまうと面白くないなと思ったんですよね。苦手なんですよ。SNSって見知らぬ人とつながっておきたいというものですけど、僕はどっちかというと逆で、そんなにつながりたくない。仲間は増えるかもしれないけど、その分悩みも増えますし。だから、汚い手ですけど、後輩で人気ある子に宣伝してって言ってます(笑)。

――このエッセイが一冊の本になって、また新たに何か挑戦したいなという思いは芽生えましたか?

1回、文芸春秋さんの『オール讀物』で小説を書かせてもらったんです。お世辞やと思いますが、編集長にお褒めの言葉をいただいたんです。で、うれしくてこれはもしかしたら...?と思ったんですけど、発売と同時に又吉が賞を獲ったんです(笑)。それが悔しくて、もう一度小説を書きたいなという思いはありますね。

――それはどういう小説だったんですか?

いろんなジャンルの作家さんをピックアップして、「昭和のエロス」という題名でそれぞれ書いてくださいという特集だったんです。その中で、一人の編集者さんが、俺が脚本を書いていることを知っているから「書いてみませんか」と誘ってくれて。一人称で描いたんです。その小説の元になった女の子の話も『黒田目線』に載っています。小説ではその子がこうなったら面白いなという想像を書かせてもらいました。

――黒田さんは舞台の作品でも昭和の話が多いように思うのですが...。

近代史が好きなんです。明治維新以降の話が好きで。幕末はちょっと勉強しましたけど、戦国時代は武将の名前を言えるくらいであんまり...。どっちの目線で見るかによって政意が変わってくるじゃないですか。でも現代史って間違いなく資料が残っているので。大正時代、昭和初期、戦後の高度成長期とか、そのぐらいの時期の本もたくさん持ってます。1回、テレビで特番をやらせてくれって言うたんですけどね(笑)。

――ちなみに、近代史の中でもどのあたりがお好きですか?

大正時代と戦後直後から昭和を駆け抜けるぐらいですかね。『つな』という舞台も戦後のGHQを相手に売春をやっている人の話でした。その辺の話はずっと見ていますね。

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――では、『黒田目線』を楽しみにしている方に一言お願いします。

本も売れない時代ですし、牛丼が1杯450円くらいの時代に買っていただくのは申し訳ない気がしますが、僕らと同世代の方には、ちょっとタイムスリップしてもらえたらなと思います。

――本当に、本が売れない時代とのことですが、活字離れも著しいとも言われていますが、本そのものに対してはどうお考えですか?

僕は芸人をやって28年になるんですけど、よく後輩に「トークがうまくなるにはどうしたらいいですか」とか「トークライブを一人でやった方がいいんですかね」と言われるんですけど、本を読んでいたらトークもうまくなるんです。本を読んでいたら、相手が何をしゃべるかわかります。「この人、しゃべるの下手やな」と思ったら、必ず本を読んでいません。それはええ大学を出ていようが、高卒であろうが一緒です。会話のクエスチョンにちゃんと答えられる人は、クエスチョンの前にこういうことを聞きそうやなと予想してアンサーを頭の中で考えているから。だから会話がスムースに運ぶんですけど、本を読んでへん人間はそのクエスチョンを頭の中でいったん置き換えるから反応が遅いんですよね。遅いから焦って何を言っているのか分からなくなる。僕は、本離れは、ほんまに日本の国を滅ぼすのと違うかなぐらいに思っています。この人と会話が成り立たへんと思って聞いてみたら、本を読んだことがないと言う人がほとんどです。「お前、本読んでへんやろ」って聞いたら、必ず読んでない。こいつアホちゃうかと思ったら、大体読んでない(笑)。本はコミュニケーションのツールとしても絶対に必要だと思います。本さえ読んでいたら、それが一人称であろうが、二人称であろうが、想像力がつきます。何のジャンルでもいいので活字に慣れていたら会話も成り立つと思います。

2018年10月23日 (火)

「野性爆弾のザ・ワールド チャネリング」シーズン2の配信が開始!野性爆弾にインタビュー!!!

2017年にAmazon Prime Videoで配信された超ハードコア芸人・野性爆弾の冠番組「野性爆弾のザ・ワールド チャネリング」のシーズン2の制作が決定! 10月19日よりAmazon Prime Videoで配信されています。シーズン2では、ドラマ出演権をかけてアイドルがしのぎを削る「くっきーProduceドラマ女優オーディション」、シーズン1に続き、千鳥とバーベキューに繰り出す「真夏をエンジョイ!千鳥とバーベキュー2018」、チュートリアル徳井が女性タレントを一流に指導する「ザ・ワールドチャネリング ダイエットスクール」、旅ロケ番組のパロディ「旅チンパンジー ~プライベートですいません」、くっきーの願望を女性タレント相手に実践する「ガッキーを落とす100の方法」という5つのプログラムを展開。前作よりもさらにパワーアップした、"破壊的"で"ワイルド"な野爆ワールド満載の内容となっています。そこで今回は野性爆弾の二人に、シーズン2の見どころ、裏話を聞いてきました!

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――シーズン2が決まったと聞いていかがでしたか?

くっきー:うれしかったですよね。評判がいいとは聞いていたんですよ。Amazonでの評価も高いと。だから(続編も)やるんだろうなと思っていたんですが、それでも時間がかかってるなとは思っていましたね。

ロッシー:(特別版となる)シーズン1の1/2をやって。(その後に)2をやるよと言われていたのに、なかなか始まらないなとは思っていました。でもこうやって無事に始まったんで、うれしいなと。次はシーズン2の1/2とかをひとつ挟んでやるのかもしれないですが、いいペースでやれているなと思います。

――シーズン2ということで、パワーアップした点はどこになりますか?

くっきー:パワーアップしたところってどこですかね...。もうすでに1の時点でフルマックスでいっていますからね。もちろん2もフルマックスでいってますよ。だいたいバンドのCDとかでも、ファーストが良くて、セカンドは何だかなぁ、というのがあったりするじゃないですか。それで言うと、ファーストとタメをはるくらいには良かったりすると思います。『マッドマックス』とかと一緒かもしれないですね。1は面白かった。2はもっと面白かった。そうすると3はどうなんだというのがありますけど(笑)。だからシーズン3は気を付けないといけないですね。

――アイドルの口に指を突っ込んだりと、コンプライアンスが叫ばれている現代では、かなりチャレンジングな内容だなと思うのですが。

くっきー:やっぱり「アイドル=美しい」、みたいなイメージがあるじゃないですか。でもきれいなお姫様みたいな人って扱いにくいじゃないですか。アイドルの側からしたら、それって損というか。そこの壁を破るのが僕の仕事かなと思っています(笑)。

ロッシー:単純に事務所の人が偉いですよ。(出演者を)現場に預けて、帰りますからね。普通、ギリギリまで見てるじゃないですか。うちの子どうなってしまうんだろうとか。アップフロントさんはすごいですよね。

ロッシー:こっちは心配ですよ。この子大丈夫なの? と心配してしまいますけど、マネジャーさんがはニコニコと笑っていますから。いかつい感じの、ボディガードみたいな人が「ありがとうございます! またお願いします!」と言ってくださっているんでね。

くっきー:(事務所が違う)野呂ちゃんとピンク(彩川ひなの)ちゃんもそうですが、とにかくアップフロントさんのレベルがえげつない(笑)。あそこは本当にすごいですよ。何してもほぼほぼオッケーが出るから。

ロッシー:確かに。「何してもいいですよ」と言いますからね。ノリノリで。

くっきー:あそこは本当にエグいんですよ(笑)。だから演者にも恵まれていましたね。

――シーズン1が配信されてから、まわりの声はいかがでした?

くっきー:出たいと言う人が意外といたんですよね。それこそ芸人はもちろんですが、普通のアイドルの子からも観てますという声があって。(番組内でアイドルに)ムチャクチャするじゃないですか。そうしたら「よう頑張ったな、○○ちゃん」「一生懸命頑張った。すごいじゃん、あの子」と評価が上がるんですって。だからみんな、評価を上げたいんじゃないですか(笑)。

ロッシー:僕の方にも、面白いなという声が届きますし、そう言ってもらえたらうれしいですよね。楽屋とかルミネとかでも「スタジオに呼んでや」とかはよく言われますね。「撮影はどうやってるの」とか、「どこで撮ってるの」とか。そういうことも気になるみたいですね。僕は「来てのお楽しみ」と言っていますけども。

――ところで「ワールドチャネリング」というタイトルはどこから?

くっきー:僕はよく宇宙、宇宙と言っているんで。スタッフさんから、いつも宇宙と言っているから、「交信」という意味でこれはどうですかということで提案されて、これに決まりました。特にタイトルにこだわりがあったわけではなかったんですが、今までは「濡れまんじゅう」とか、気持ち悪いのばかりだったんで。これで良かったです。

ロッシー:イベントでも、変なタイトルにすると、お客さんが全然来ないんですよ。20年くらいやってきて、やっぱりタイトルはスタンダードな方がいいなということにやっと気付きだしたという感じです。それは本当にここ最近の話ですよ。

――ロッシーさんがロケに行く心構えは?

ロッシー:本当に行ってみないと分からないというか、開けてみなければ分からない。今日は何をするんだろうと。ゲストさんと同じ気分で来てますね。

――ゲスト目線だったり、視聴者目線に近い感じであると。

ロッシー:そうですね。現場に来たらTシャツを渡されて、今日は旅に行くぞと言われて「え?」というところから始まりますから。今日は千鳥がゲストで来ているけど、何をするんだろう、とか。そういうスタンスですね。

――その場にいることを楽しむと。

ロッシー:そうですね。ドキドキしながら楽しんでいます。今回で言ったら、急にデヴィ夫人が出てきたりして、えげつないなと思いますし。それも聞いてなかったから、驚きましたよ。誰かおるとも言われていないし。僕は行ってみるしかないんですね。

くっきー:ゲストみたいなもんですね、こいつも(笑)。

――シーズン1は、千原ジュニアさんや東野幸治さんといった芸人さんが「野性爆弾はすごい!」とコメントするオープニングシークエンスから始まったわけですが、シーズン2では斎藤工さんや戸田恵梨香さん、清春さんなどそうそうたる面々による絶賛コメントから始まりました。このメンバーにはどのように声をかけたのでしょうか?

くっきー:あれは、スタッフから(自分たちに)関係ある人います? と言われて。それで名前を挙げた中から、スケジュールが合った方にお願いしてやってくれた方々という感じですね。

――それから大御所相手でもかなり攻めたところまでやっているところも面白いところだと思います。今回はデヴィ夫人が出演していますし、前回だと中尾彬・池波志乃夫妻なども出演されていました。大変だったのではないですか? 

くっきー:めちゃくちゃ大変ですよ。でもいけるギリギリまではいかないといけないなと思っていましたから。(大御所に)折れて、普通のロケになったら駄目じゃないですか。一番つらいですよね、あそこらへんの重鎮系とのロケは。(ゲームで)中尾さんにタメ口を利くとかめっちゃくちゃ怖かったですもん。

ロッシー:でも中尾さんは「いいよ、好きにやれよ!」と言ってくれましたからね。

くっきー:それでもやっぱりデヴィ夫人は怖かったですね。

ロッシー:怒ってましたからね(笑)。「何なのこれ?」と。でも心の底からはキレていないのは分かる。

くっきー:でもほぼ半ギレだったと思います(笑)。でもこいつ(ロッシー)はずっと、「デヴィさんの言うことは正しいです」とか言っているわけですよ。

ロッシー:だって怒ってはるから。

くっきー:なんのロケをやってんねんと。中尾さんの時も一回もタメ口を利いたりしないんですよ。何なのこいつと思って。わけ分からないですよ。

ロッシー:怒ってはんねん。機嫌良く帰ってもらったらいいんです(笑)。

――そしてスタジオゲストとのやりとりも見どころのひとつだと思います。シーズン2の第一話のゲストは藤本敏史(FUJIWARA)さんでした。

くっきー:あそこらへんは楽しくやらせてもらいましたね。VTRの中で瞬発的にボケが繰り広げられるんで、それに対してパンパン突っ込んで、ボケを面白くしてくれる人たちにお願いしています。

――前作の配信以降、ファン層の広がりは感じますか?

くっきー:どうなんですかね。「ワールドチャネリング」ってコアなうちのファンが見る番組だと思うんですよ。むしろ一般の人が見る機会はなかなかないと思うんで。現状ではテレビにちょこちょこ出させてもらっているので。そういう人たちもつられて観てくれたらいいなとは思っているんですけど。だいたいがそうなんですよ。関西でちょっと人気が出ても、リアルにイベントをやったら、フラッと来た人が「気持ち悪い!」と。そこでどんどんふるいにかけられていって、コアなファンだけが残っていく感じなんで。今はその作業の最中かなと。また新たな層を取り入れるタイミングというか。

ロッシー:そういう好き嫌いでも、どういう好きなのか。なんとなく嫌いなのか、なんとなく好きなのかって分かるじゃないですか。これを観てくれる人はちゃんと素直に好きになってくれているんだなと思うし。逆に観ていない人というは、それほどでもなくて、劇場だけで楽しんでくれているんだろうなと。そういう違いを見つけるのは面白いです。

――かなり振り切った内容だと思うのですが、配信だからこそ、という意識はありますか?

くっきー:Amazonの配信だから無茶しているという感覚は別になくて。常に思いつきでやっているだけなんです。でも、Amazonでやっているものを10とするならば、他の民放でやっているロケなんかは1~2でやらなければいけない。でも、10まで振り切ったものを観た人が、地上波ではここまで抑えてくれているのかと思っていたら、それは実際は5くらいのネタだった、みたいな。そういうところにまで持っていけるのは理想ですね。だから配信はフル満タンで、10でやろうと思っていますけどね。そこから地上波の基準をあげていけたらと思っているんですけどね。

ロッシー:昔からなんですけど、これはやめてくださいね。これは駄目ですよ言われ続けてきたんですよ。でも今は、「これやってもらっていいですか」「こんな感じでお願いします」と言われるようになってきて。話が逆転しているんですよね。このAmazonの番組をきっかけに、そういう風に変わったんで、すごくいいなと思っているんですけども。

――野性爆弾さんのトリセツじゃないですが、ある種の基準がここにあると。

くっきー:民放さんでやれることの基準を変えたいですよね。最低でも、深夜レベルのネタをゴールデンに持っていけるくらいにはしたいですよね。それでAmazonレベルを深夜でやれるようにしたら最高ですね。

――それでは、これからご覧になる方にメッセージを、

くっきー:これは汚い言い方になるかもしれないですけど、「ワールドチャネリング」は、AV業界における「××××」みたいなものだと思うんですよ。急にそこにいくのはキツいじゃないですか。マニアでもなかなか。だから段階を踏んで観てほしいんですけど、でも「××××」はそんなに汚いものじゃないんだよということを分かってほしいですね。

ロッシー:だとすると、部屋の明るさとか、ボリュームも気にしながら観てほしいですね。お子さんがいるかどうか、左右を確認して。前はイメージカラーは緑だったんですけど、今回はピンクなんで。どうでしょう、という感じですね。