結成25周年!海原やすよ ともこによる2度目のなんばグランド花月単独ライブ『YASUTOMO live 2017』が開催決定!
9月22日(金)になんばグランド花月で2回目の単独ライブ『YASUTOMO live 2017』を開催する海原やすよ ともこ。結成25周年を迎えた今年は、女性漫才師としては史上初となる2度目の「上方漫才大賞」受賞という快挙を成し遂げ、ますますパワーアップ! 今年の単独ライブは"ナチュラル"がテーマ。自分たちなりに"自然"をイメージしたポスターにも注目の二人に、上方漫才大賞やNGK単独ライブ、そして新たな試みについても聞きました!
●「上方漫才大賞」2度目の大賞受賞
--「上方漫才大賞」受賞、おめでとうございます。受賞会見で「1回目(2012年)は狙いに行ったけど、今回は自分たちの活動を見てくれていたことが嬉しかった」とおっしゃっていましたね。
やすよ 1回目は賞が欲しくて意識していたので受賞も嬉しかったんですけど、今回は1回目よりも意識していなかったですし、1回目をもらってから早めにいただいて。芸人とか、漫才をやっている人に「今の時代、2回目をもらうことはしんどい中で、こうやって獲れるなんて」といろいろ言ってもらえたことが自分の中で大きかったですね。いいタイミングというか、テレビの仕事もさせてもらって、漫才もやりながら、自分たちの中でバランスよく楽しくやっている時にこの賞をもらったので、それは思いますね。
ともこ 1回目は結構「獲りにいったろう!」っていうのがあって。その「獲りにいったろう」っていう年はブラックマヨネーズが獲ったんです。私たちは次の年にいただいて、ちょっとほっとしたんです。そこから楽しく漫才ができるようになって、こっちが楽しくなると余裕が出て、テレビの仕事も楽しくなって。今回はほんまにいいバランスの時に賞をもらえたなという感じでした。
やすよ 後輩とかに「もう1回、漫才頑張ります」って言ってもらったりして、それも嬉しかったです。漫才師仲間の刺激になったのは何よりも嬉しいことやなと思って。後輩とかからメールで「かっこよかったです」とか言ってもらえるというのは、何よりも嬉しいですね。
--それは後姿を見てもらえたようで嬉しいですね。
やすよ 意外にこういう仕事って評価が難しいじゃないですか。点数があるわけでもないし。あとは、受賞発表の会場の雰囲気も嬉しかったですね。関西テレビの方にも「すごく会場が沸いたねって」って言ってもらえて。私たちの名前が出るまでプレッシャーというか、お客さんがどう思うんやろうって一番、不安だったというか。「うわ~!」って言ってもらえて、それで泣きそうになったっていうのもあります。会場の雰囲気が温かい感じで。
ともこ 会見の時も言ったけど、関西のお笑いが好きな人が観に来てくれはって、うわ~ってなって。あと、インスタの書き込みとかで「最後にあんなサプライズがあって嬉しかったです」とか書いてあって。娘さんが若手の誰かのファンで、お母さんと一緒に見に来てくれて、「お母さんが一番、興奮してました」とか書いてくれたりとか。あれも嬉しかったなぁ。でも正直、漫才はめちゃくちゃやりにくい(笑)。「大賞もらった人でーす!」っていう感じで紹介されるので(笑)。
やすよ やりにくいよな(笑)。
ともこ そんな重みのある漫才してないしって(笑)。そういう緊張とか、いろんな思いがありましたね。
やすよ 今くるよ師匠も「2回はすごいね」って言ってくれて。
ともこ 「どやさ~!」って言ってくれて。
--2012年に1回目を獲られて。この5年間でテレビと舞台の仕事が相乗効果を見せていった感じですね。
ともこ 1回目に受賞した時も、商店街のロケをしてたら「よかったわ~!」って大阪の人がすごい言ってくれて。ブラックマヨネーズのこっすー(小杉)とロケしてて、「大阪の人で賞を獲ったらこんなに言ってもらえるんですね。僕ら全然言ってもらわれへんかった」って。私らは「この子らはずっと大阪におる」って思われているところがあると思うんですよね。
--前回の『YASUTOMO live 2016』でも、この上方漫才大賞の会見でもおっしゃっていたんですけど、「関西で漫才師を育ててください」というお二人の言葉すごく印象的だったんです。そうやって率直におっしゃったのが、意外でした。
やすよ 今、あまりにもお笑いの方向性がいろんなものに変わってきているというのがあったんですよね。今までは「自分らはこうやっていこう、テレビはこうや」っていうのがあったんですけど、あまりにも漫才師というものの方向性が変わってきているような気がしたので。今までは声に出して言うつもりはなくて、自分たちが気持ちでもってやっていればいいことだったんですが、ちょっと未来が怖いというか。そういうものをすごく感じるようになったのがここ何年かだったので、やっぱり発信をしたいというか、我慢ができない状況になっているのが漏れたと思うんですよね。自分らの間ではそう思っていたんです。
--「漫才師」へのこだわりというか。最近は漫才のスタイルもいろいろありますよね。
やすよ 漫才師は簡単にできるものじゃないと思うんです。10年目までにできる漫才、20年経って風格が出てきてできる漫才っていう、時代によってできるものがあって、漫才師はすぐに作れるものじゃないと思っているんです。タレントさんは1年、2年で出てこれると思っているんですけど。漫才師は年数を積み上げて作られていくものだと思っているので...。漫才師であることが薄れてしまうのが寂しいですね、みんなタレント、全部が「芸人」という括りになっちゃっているのが。歌をやったり、お芝居やったり、芸人さんもいろんなことやっていいと思うんですけど、面白いことをやりたいと思って入ってきたことをみんな忘れていってしまうのかなって思うんですよね。
--そんな中で後輩の方からメッセージが届いたというのは嬉しいことですね。
やすよ やっぱりしんどいから辞めていくんですよね、漫才を。テレビとかでフリートークをする方が作業的には楽なので。地味な作業なんですよね、漫才って。
--お二人の漫才は、フリートークのようでもあり、ネタとして聞かせるものでもありますよね。
やすよ 私らのスタンスとして、やっぱり嘘が嫌なので、『どこいこ』(テレビ大阪『やすとものどこいこ!?』)も自分たちだし、漫才も自分たちだから。大賞の会見で言わせてもらったんですけど、テレビの仕事ももちろん大事で。テレビを見てくれて、ライブに来てくれはったりとか、知ってくれはったりする人もいるじゃないですか。だからテレビも大事なんですけど、もっとより身近に、リアルな状況を観てもらえるのが生のライブだと思って。
ともこ 今の時代の人は、漫才も大事にしてるけど、テレビも大事にしている。ただ、出方ですよね。劇場のお客さんも大事ですけど、やっぱりテレビに出て、自分たちを分かってもらって、それでやすよが言ったみたいに「生で観てみたい」と思ってもらう。
--大阪は漫才がすごく近い存在だと思うんですけど、「生で観たい」と思ってもらうには、漫才が身近な大阪であっても力の要ることですか?
ともこ 昔ってテレビに出ている人が遠かったじゃないですか。今はめちゃくちゃ近いし、自分たちでもいろんなことを発信できるから、正直興味がなくてすごいと思わなくなっていると思うんです。憧れとかも。だからちょっとでも「観たいな」って思ってもらう部分を残さないとって思います。
--キャリア25年の間に、漫才師の世界が変わってきたことを実感されますか。
やすよ ここ5年くらいで一気に変わったなって思いますね。若手の人の意識がちょっと普通になり過ぎているというか。私らはスタートした時から5年スパンで自分らのシナリオを決めてきたんです。二人で話し合って。「5年目でこれをやる、10年経ったときにこう、15年目で自分らがこう」って。そうスムーズにはいかないですけどね。でも、自分らの中でテーマを決めて、「今年はこうやっていく」とか、5年後にどうなっているかを話し合ってやっていって。で、最終的に見せていくのは漫才。漫才のために何をしていくかという25年だったんです。今の若手の人はちょっと怖いなって思うのは、自分らの中で10年後を見据えていない人が多いことですね。この仕事で食べていこうなんて思っていないと思います。
ともこ 相方のことも大事に思っていないでしょうしね。そうなると漫才が薄れてしまうんですよね。駆け出しの10年はいろんなところに出て覚えてもらうことが1番なので、それもいいと思うんですけど、ほんまにそっちに乗っかって漫才を忘れてしまう人が多いから...。
--5年スパンで活動を考えられてきたとのことですが、1回目の受賞が2012年で20周年。今年、2回目の受賞が25周年ですよね。これも"5年計画"の結果なんですか?
ともこ これに関しては、マネージャーが変わったことがやっぱり大きいと思います。自分らだけで考えると、自分たちは無理してるつもりでも全然無理していないんですよ。ある程度年齢もいったら、だんだん冒険をしなくなって安全圏に行ってしまう。そういう時に東京からマネージャーが来て。それは、やっぱり「しんどいことをしろ」ってことなんやろうなって思いました。基本、二人はすごく人見知りやし、あんまり人を信用するタイプじゃないから。やすよなんか最初は、すっごい怖がってて(笑)。ずっと「あの人、どんな人やろ...」って。
やすよ ノリノリのマネージャーさんが来たんでめちゃくちゃ怖くなったんですよ(笑)。でも、これも私らにとってありがたいことやったんかなって思いました。なあなあになっている自分らに対して、このマネージャーさんが担当になった意味があったのかなって。去年のNGKでの単独ライブも何となく避けてきてたというか。女の人って男の人と違ってファンがつきにくいというか。女の人って固定のファンがつかないので、NGKを満員にするハードルは男の人より高いと思うんです。それで「ちょっとNGKはなぁ」って避けていたんです。1回目の「上方漫才大賞」は賞を獲りにいったって言ったじゃないですか。あの時に「獲りに行くんやったらNGKでやれ」って言われてたんですけど、京橋花月かどこかでやったんです。NGKがめちゃくちゃ怖くて。ずっとやっていなかったんですよね。
--そうだったんですね。
やすよ 自分らの中では、NGKという舞台のハードルは高いんです。ほんまに苦労して出番をもらえていた時代のNGKを知っていたので、NGKで簡単に単独ライブをするというのが...。
ともこ 若手の頃は、NGKに出ることが大変で。「後ろまで声が聞こえてない」ってめっちゃ怒られたり、10分の出番ができなくて5分くらいで下りてきて、後の出番の人に迷惑かけたりとか、いろんなことがNGKであって。でも、後ろの出番の先輩が「大丈夫、5分でもいいから思いっきりやっておいで。俺らが残りの5分とってあげるから」って言ってくれたりとか。いろんな思いがありすぎて、NGKでやる怖さもあるんですよね。前はもっと怖かったんですよ。めちゃくちゃ怒られたもんな? 「お前らの漫才、聞いている客おらへんねんから、せめて大きな声でやれや」とか、「しょうもないもん聞かされてる客の身にもなれ」って袖で怒られたりとか、めっちゃありました。
--それは支配人に、ですか?
ともこ 舞台の監督。
--そうなんですね。今となってはありがたい助言ですが...。
ともこ その時はめっちゃくちゃ腹立ちましたよ(笑)。
やすよ ほんまに腹立ったよな?(笑)
ともこ 自分らではその年、その年、一生懸命がんばってましたけど、NGKに出たらこんなに言われんねやって。だからもう、へこんで帰ってました。
やすよ すごく怖くなりましたよ。出番をもらっても。
ともこ だからNGKに対して特に思うところがあったんですけど、去年「どうですか?」って聞かれて。それでもすぐに返事はしなかったです。「うーん」って何回も言ったよね。
やすよ 私の中では、多分やらへんって決めてた。
ともこ やすよは「話は聞くけど多分私はやらへん」ってずっと言ってましたね。
--でもなぜやろうと。
やすよ マネージャーが何とかしてくれようとしている気持ちもすごく分かって。ただ単に「やったらいいじゃないですか」って言っている感じでもなかったので、じゃあ任せてみようって思いました。
ともこ 今のマネージャーはシュッとしてるから、最初はうそ臭い人と思ってたんです(笑)。みんな、「いい子ついたな~」ってめっちゃ言うんですよ。でも私らは分からへんから、どういう人なんやろうって。ブラマヨを担当していたこともあるので、小杉くんが家に来て「内藤(マネージャー)は吉田も信用していて、絶対に大丈夫です」って言ってくれて。それをやすよに伝えても、「いやそれ、こっすーたちはさ~」って(笑)。私は、こっすーは私の性格も分かってくれてるし、任せても大丈夫なんかな?って思ってたんですけど、やすよがそう言うから、またやすよの方に引き込まれて(笑)。そういう格闘もいっぱいあって。......普通にやればいいんでしょうけど、自分らの中でちゃんと思いを入れてできるかどうか、すごく考えました。でも、マネージャーのことは信用してますから...。
やすよ 若いし、いろんな意見を持ってはるんです。
--なるほど。受賞された時、「マネージャーに感謝します」とおっしゃっていましたが、その重みが伝わってきますね。
ともこ ほんまにそうでしたよ。去年のNGK単独ライブは、今のマネージャーがついてなかったらやってなかったかもしれないですね。
やすよ そうやろうな。何となく延ばし延ばしにしてたかもしれない。
●2017年9月22日(金)『YASUTOMO live 2017』開催決定!
--そして今年、2回目が決まりました。
ともこ 今年、年明け早々にマネージャーが言ってきたら、やすよが「へぇ!?」って言ったんですよ(笑)。やすよは去年で終わったと思ってて、「もう1回やんの? え~!!」って。
やすよ また「ちょっと返事待ってもらいます?」って。
ともこ また待たせたんですよ。でもここで「やらへん」って言うと、マネージャーに「あ~、やっぱりやらないんですね~」って思われるのもいやで。なんだかんだ言って、うまいこと操縦されていると思うんです、やすよの性格も分かってるから。
やすよ ほんまそうですよ。
ともこ 私は、去年、お客さんも喜んでくれたし、あの緊張感は気持ちいいから、やりたい気持ちもあったんですけど、やすよは去年で終わった感じだったので。やすよは負けず嫌いなところがあるから、「1回しんどいことをやったら、もうやれへんねや」って思われるかもっていう部分で、ちょっと火が着いたのかもしれないですね。
やすよ 「やれへんねや、この人ら」っていう目で見るやろうから、それもいややなって。だから「やります」って。
--昨年の初めての単独ライブはいかがでしたか?
やすよ 久しぶりの単独ライブだったので、めっちゃくちゃ怖かったです。ほんまに怖かったな? お客さんが集まってくれるのか、楽しみにして来てくれるのか、どういうふうに私らを見てくれるのか、いろんなことを考えて、怖さしかなかったですね。
ともこ チケットがすごい勢いよく売れたみたいで、それもまた怖くなって。それだけのものをほんまに見せられるどうか分からない。金額も、「この前売り料金でどれだけのものを自分たちだけで見せられるか」って考えて。いろんな事情があった上で4000円(前売り)を出してくれているわけやから。「ゲストを呼ばず二人だけで見せられるものを」というのがマネージャーの意向だったので、二人だけを見るのに4000円って高くないかって何回も言いました。イベントでも言いましたけど、途中で頭がおかしくなって、太鼓やるだの、ちょっと違う自分たちを見せたらいいんじゃないかとかなって。
やすよ 太鼓とか見せたら金返せって言われるわ(笑)。
ともこ いやほんまに。(銀シャリ)鰻くんから「若手の、行き詰って何やろうってなるのと一緒ですよ」って言われました。
やすよ 25年目で太鼓とかやめてくれって(笑)。
ともこ それでもう1回ちゃんと詰めていこうって。
--単独ライブでは、コンセプトがはっきりしていましたよね。スタッフ全員、おそろいのTシャツを着ていて、NGKに一歩足を踏み入れたら広がる"やすともワールド"という感じでした。
ともこ もぎりのお姉さん、グッズを売ってくれはるお姉さんたちも、全員が協力してくれたんですよ。
やすよ 自分らが行き届かない部分を全部やってくれていて。緊張しいで、プレッシャーもかかっていることが分かっているから、マネージャーも「ネタのことだけやってください。後のことは自分たちが全部やります」って言ってくれたのがよかったですね。
--衣装も3種類あって、きれいでしたね。
ともこ ネタを変えると同時に衣装を変えると、お客さんも気分が変わると思うんですよね。毎回、同じ人しか出てこないから、何かで切り替えるとなったら衣装しか。自分たちも結構、気持ちが変わりますしね。
--最初が赤いドレスで。全体がモノトーンだったので、お二人が出た瞬間、ぱっと華やかになりました。
ともこ こういうところは女性漫才師やから、衣装とかでハッとできるじゃないですか。
やすよ 攻撃的で行こうっていうコンセプトで最初は赤にして。自分らもテンション上げられるように。
ともこ 私はパンツも赤はいてきました。
やすよ 2本目は、ネタの後にコーナーもあるので、目が痛くならない青。最後、3本目は自分たちらしいネタだったので、通常の色にして。
ともこ 一応、テレビでネタやったりするときは黒が多いので、ここは通常の黒にしました。
--そして今年のビジュアルは、がらりと変わりましたね。コンセプトは?
やすよ 生まれ変わり(笑)
ともこ 去年の末にやすよが病気したのもあったので。去年は楽しいこともあったんですけど、最後にそんなこともあったから、生まれ変わった感じなんですって。やすよとマネージャーが、ふたり揃って「緑」って言い出したんですよ。
やすよ 外のイメージというか。
ともこ ただ、私らがナチュラルなテイストを持ち合わせていなくて。正直、今、すごく困ってます(笑)。好きなんですよ、カフェとか、働いているお姉さんとかもかわいいなぁって思うけど、何しろ自分たちがそれを持ち合わせてない。私に関してはやすよが「幽霊やん」って。モンスターエンジンの「神々の遊び」にも見えてきたって言い出して(笑)。
--このポスターのコンセプトから、会場全体も作りこんでいかれるんですか?
ともこ そうですね。そう思ってるんですけどね。テーマは「ナチュラル」にしたいんですけど......ナチュラルって難しいですね。
やすよ ナチュラルじゃないから、人間性が(笑)。
ともこ 癖が強い(笑)。
やすよ 癖が強いし。
ともこ 濃いからな~。
--そして漫才は新作ということで。お二人は年齢と一緒に漫才も変わっていっている印象があります。女性って年齢を重ねることに抵抗あるじゃないですか。でも年齢と一緒に漫才が変わっているのを拝見すると、嬉しくなるんです。
ともこ それこそやすよが中川家に「いいよな、男の人は。出てきただけで何となく重みが出るから。女の人は重み出しすぎたら老けて見られるし、かといってギャーギャー言ってたら"いい年こいて"ってなるし」って言ってて。
やすよ 男の人って40歳、50歳で厚みが出てきて、すごくかっこよくなっていくんですけど、女の人はすごく難しい年齢に入っていくから、それを自分らでどう見せていくのか。
ともこ ただ、男の人は重みを出そうとし過ぎて、人生絶対おもんないと思う。おばちゃんとか見てたら楽しそうなんですよ。NGKに来てるおっちゃんって笑ってないんですよ。でもおばちゃんは楽しもう!!って思ってくれてる。どっちが人生楽しいかって言ったら、絶対女の人やから、それをどう見せるかですよね。重みのない漫才かもしれないですけど、楽しそうにしゃべってるって思ってもらえるのが一番と思ってるから。
--本当、お二人の漫才は楽しそうなので、そこに親近感が沸いて。楽しい時は楽しいって素直に笑ってる方が自然でいいなと思いますね。
やすよ なんか、笑っていたいって思えるようになったよな? そういう、笑っている感じが(漫才に)自然と出ているかもしれない。笑っていたいっていうのは大きく変わったな? 笑うようになった、いっぱい。
--それは何かきっかけがあったんですか?
やすよ 本当に楽しめるようになったというか。仕事を仕事と思い過ぎているというか、私は若い頃、ほとんど笑ってなかったんですよね。
ともこ 卑屈やったんです。あと、どっかに不満があったりとか。
やすよ 12、3年目ぐらいは全然笑ってなくて。テレビ局のプロデューサーの人とかに「本当に笑ってなかったよね」って言われたりとか。すごいとんがってたって。「いつも納得してない顔してたよね~」とか言われて。確かに、納得してなかったんですよ。楽しくなかったし。でも今は、なんか笑えるようになったよな?
ともこ そうやな。
--それは何かお仕事に対しても、こだわり続けてきたものを手放すとか、そういうこともあったんですか?
ともこ 漫才漫才って大事にしてたのを、その大事にする仕方を変えたのはあります。「他の仕事より漫才!」みたいな感じやったけど、今は他の仕事をやることによって、ある意味、漫才がストレスを抜くところでもあるんです。二人で向き合って漫才の話をする時とか。ガチガチじゃない感じですかね。だからこそ、見てくれる人も楽しんでもらえるようになったんじゃないかと思うんです。いきり立ってたから、「漫才やってます!」みたいな。
やすよ そんな見せ方をしていたのが間違いだったと思うんですけど。
ともこ 自分で首を絞めてたかもしれんな。
--関西の人に「漫才を育ててください」とおっしゃったのも、ちょっと委ねる余裕がでてきたのかもしれないですね。
ともこ そうですね。「私らの漫才を見てください」じゃなくて、一緒に楽しんでもらったりとか、「なんか笑えるわ、あんたら二人見てたら」っていうのが嬉しくなってきて。余裕ができたっていうのはあるかもですね。
やすよ もう何をしてもいい。そこは変わったよな?
ともこ 私は(やすよに)「あれしてこれして」ってめちゃくちゃ言われてたんですよ。操り人形でした(笑)。
やすよ 私が「あれやめて、これやめて、こうやって」ってずっと言っていて。それを「分かった、分かった」ってずっと聞いてくれてたんですけど、これは私が決めたことを勝手に押し付けていただけで...。
ともこ あの時はストレスでした(笑)。
やすよ すごく我慢してくれてるなと思って。何も言わなくて、よく我慢してくれたって思います。
ともこ そういう時期だったと思います。めちゃくちゃいきり立ってたし。
やすよ 「なんであんなにしゃべんの? やめて」とか、ずっと言ってました。よく我慢してくれたって思うんですけど、でもそれを聞いておかないと私が(漫才を)辞めると思ってたと思うんです。
ともこ そうなんですよ。漫才したかったし、他の人じゃ無理やなって思ってたから、とりあえずやすよの言うことを「うんうん」って聞いてたらええかなって。
やすよ 私は辞める辞めるって常に言っていたので。何となく聞いている振りをしていた方が、二人の関係性がうまくいってたと思うんです。
ともこ やすよは人とのお付き合いもほんまにしなくて、打ち合わせも私が全部やってたし。
やすよ 「いやや」って。「帰りたい、辞めたい」。
ともこ すぐ「帰りたい」って言ってた! それこそテンダラーとか、昔のやすよを知ってる人が、やすよがすぐ「タクシー呼んで!」って言うのを真似するくらい、仕事終わったらすぐ「タクシー呼んで!」って。むちゃくちゃ帰りたがってたんですよ。
やすよ (笑)本当にいややったんですよ。でも本当に、よく聞いてくれていたなと思いますね。
ともこ でも何かのきっかけで「なんかごめんね」って。「全部任してくれて」って言ってくれて。
やすよ もう好きにやってくれていいし、どう(掛け合いが)行こうが何とかできるように努力するからっていう話し合いをしましたね。それくらいからですかね、漫才が楽しくなってきたのは。
--それはいつ頃ですか?
やすよ 15、6年目かな。
ともこ そうやな、それくらい。何かやすよが変わってくれて。
--やすよさん、なぜ変わったのでしょうか?
やすよ うーん...お互いの結婚のタイミングもあったかもしれないですね。相手のことを考えるというか、結婚したタイミングでお姉ちゃんのことも考えられるようになったというか。気持ちに余裕が出てきて、"すごく申し訳ないことをしてたな"って、"よく我慢してくれてた"って考えた時期だったのかもしれないですね。
--相方であり、姉妹でありというその関係性は?
ともこ ここは変わらないかな。
やすよ (ともこが)いなかったらどうしようとは常に考えます。友達でもあるし、お姉ちゃんでもあるし、すべての相談をできる相手やし。困りますね、いなかったら。
ともこ ......そうでしょうね。(笑)
やすよ 当たり前すぎるから大事さも分からへん...。
ともこ 「うんうん」って聞いてたときは、どっか嫌いでしたもん、やすよのこと。めっちゃ嫌ってたもん(笑)。だからたまに大喧嘩してました。たまりかねて。今はそれもないですね。
やすよ そうですね、思いやりと周りの人の感謝が見えてきて考え方が変わりました。それまでは自分で何でもできるって思ってたから。でも、一人でできへんっていうことが分かったし、1つの番組でも「これだけの人が動いてくれてんねや」とか、「近くにいてくれる人がやってくれるからこれができるんや」とか、本当に心から思えるようになったというか。思ってなかったですもん、ほんまに(笑)。「何やねん、こいつ」とか、「あいつきらいやわ」とか常に思ってて(笑)。ほんと最悪やったと思います。
--そういうことに気づいたら、見える景色も変わってきますよね。
やすよ 変わりますね。
ともこ そこくらいから「妹、変わったね、漫才うまなったね」って言われるようになったんです。だから漫才が怖いっていうのがあると思うんです。全部見えるから。常に楽しい生活をしてないと、聞いてもらう人に楽しんでもらえないっていうのもあると思うんです。
やすよ それまでは鬼みたいな顔してたと思います(笑)。
ともこ ネタやってる時も「顔怖いな」ってめっちゃ言われてましたもん。
やすよ 考え方とか、自分の見えるものが変わったというか。
ともこ ああして、こうしてって言いながらも、自分で自分を追い込んでいってたと思うんです。それが他人やったら、こんなに続かなかったと思いますね。
--そういうところは姉妹の強みでしょうね。
ともこ お互いに思ってるのは、「他の人とはできんよな」って(笑)。
やすよ ほんま思う(笑)。無理やろうな、迷惑かける。
●2017年11月10日(金)『YASUTOMO presents フォトライブ』も開催!
--そして最後に、この『YASUTOMO presents フォトライブ』ですが、どんなものをお考えですか?
ともこ 芸人さんって誰かが面白い写真を送ると、絶対面白い写真が返ってくるんですよ。みんなストックを持っていて。それって一般の人も持ってるんですよ。イケてる、お気に入りの写真もあると思うから、テーマを決めたりして、写真を見せ合って、トークしてということをやろうと思います。
--ダイアンさん、藤崎マーケット・田崎さん、ゆりやんレトリィバァさん、その他の若手芸人の皆さんも多数もお呼びして。
ともこ 最近、若い芸人さんと劇場で会う機会があんまりなくて。昔やったら先輩と後輩が一緒に出て、お客さんもそこで若い人を知ったりしていたんですけど、今はそれがないので、このライブを機に私らも若い芸人さんを知りたいなと思って。写真があったら人となりが見えるかなと思って。
--漫才をせず、トークのライブをされるのも珍しいような。
ともこ 昔はネタのイベントとトークのイベントを月々、やっていたんですよ。そこからかなり過ぎましたし、漫才をしないイベントは久しぶりですね。
--会場はなんばグランド花月の下のYES THEATERです。
やすよ 初めてなんですよね。どんなところかなっていう楽しみもあります。
ともこ お客さんも一緒に楽しんでもらいたいですね。
やすよ 私は、へらへらしてるだけやと思います(笑)。
--前はいつも怒ってたけど、今はへらへらしているんですね(笑)。
やすよ めちゃくちゃへらへらしてます。どうなってんねやろって思います、自分でも(笑)。
【海原やすよ ともこ】
a
『YASUTOMO live 2017』
日時: 2017年9月22日(金) 18:30開場 19:30開演
前売:4000円 当日4,500円
場所: なんばグランド花月
出演者: 海原やすよ ともこ
チケットよしもと Yコード:990-010
チケットぴあ Pコード:459-886
ローソンチケットLコード:56382
先行:7月3日(月)11時~
一般発売日:7/10(月)
チケット情報:チケットよしもと
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『YASUTOMO presents フォトライブ』
日時:11月10日(金)19:00開場 19:30開演
前売:2,800円 当日3,000円
場所:YES THEATER(なんばグランド花月 地下)
出演者:海原やすよ ともこ/ダイアン/藤崎マーケット・田崎/ゆりやんレトリィバァ/その他若手芸人多数
チケットよしもと Yコード:504973
先行:7月3日(月)11時~
一般発売日:7/10(月)
チケット情報:チケットよしもと