4月5日に発売されたレイザーラモンHGによるファーストフォトブック『OVERDRESS / RAZORRAMON HG』(創藝社)。
ヘッドアクセサリーを使った「誰だかわからない(笑)」(HG)表紙に始まり、鍛え抜かれた肉体美と研ぎ澄まされたファッションが堪能できる写真や自身のアートワーク、さらには浅野忠信さん、セレクトショプ「GR8」オーナーの久保光博さん、相方・レイザーラモンRGとの対談といったコンテンツで、好評を得ています。
2013年にモデル業宣言をしたHGにとって、モデルとしての実績を重ね、ひとつの集大成とも言える本書。
そこにお笑い芸人、漫才師としての姿は微塵もなく、「ボケゼロというボケ」とまで言い切るHGに、上梓までの経緯や狙い、お笑いとモデル業との兼ね合いなどについて訊きました。
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――まず、『OVERDRESS / RAZORRAMON HG』が発売に至った経緯からお聞かせください。
はい。一番いい時を撮ってもらいと言って、ヌードになる女優さんがいますけど、その感覚に近いですかね。僕は若さとかではなくて、芸歴と同じくらいいろんなトレーニングをやってきて、今が筋肉的に一番いい状態なので、そこを撮ってもらいたいという考えです。
あとは、芸人が主戦場としているバラエティー番組に、いわゆるグラビアの方とかモデルさんとかが進出し、実際に活躍しているので、逆にこっちが乗り込んでやろうという感もちょっとあります(笑)。
――出版社側からオファーがあったんですか?
いえ、逆に企画を持ち込んだ形ですね。『PRODISM』(創藝社)というファッション誌の世界観が好きで、愛読しているんですが、そこの編集長にフォトブックを作ってもらいたいと思って、創藝社さんにたまたま奥さん(住谷杏奈さん)の知り合いがいて、その方に編集長を紹介してもらいました。そうして編集長に僕のアツい思いを聞いていただいて、「面白いですね」と二つ返事でOKをいただきました。
――出来栄えはどうですか?
満足しています。表紙も、パッと見、誰かわからないじゃないですか? 単なるタレント本にしたくない、おしゃれな人に手に取ってもらいたいという思いがあって、文字も減らし、帯にも芸人の推薦文とかなくしてもらって、とにかくおしゃれのために余計なものを削ぎ落とした感じです。
――表紙から裏表紙まで、芸人の顔が全くと言っていいほどありませんものね。
そうですね。『OVERDRESS』は、厚着とか着飾るみたいな意味なんですけど、僕は服に着られない、服を超えるだったり、「服を着てても主役は中身だぞ」という意味で使わせていただきました。なので、最初は実際のトレーニング風景で、次のファッションページでは、自分が好きなブランドさんとかセレクトショプさんの服を着させてもらっています。HGの衣装の写真でも、明るく楽しい部分は封印して、あとは僕のアートワークを載せているので、僕のお笑い以外を煮詰めた感じですね。カメラマンさんもファッション業界で有名な方でして、非常にやりやすく、撮っていただきました。
――ちなみに表紙にもつけている顔のアクセサリーというのは...。
ヘッドアクセサリーなので、頭の後ろ側に流してかぶるものなんですが、あえて前に被ってみました。チャレンジですね(笑)。
――そうでしたか(笑)。それと対談ページも豪華ですね。
はい、浅野忠信さんが対談を受けていただけたのは、奇跡に近いと思います。浅野さん主演のドラマにチョイ役で一度だけ出演させてもらったことがあるだけなので。役柄のせいもあって、気難しい方と思われがちだそうですが、フランクでお話しやすい印象ですね。ご自身でブランドもやっているし、お笑いも好きらしく、ルミネtheよしもとにも見に来ることがあるらしいので、憧れの存在でもあり、知り合い以上の関係になれたかなと勝手に思っています。
久保光博さんは、僕が上京した頃から通っているセレクトショプ「GR8」のオーナーさんなんですが、同い年で誕生日が近くて、共感する部分が多いんですよ。世界中を飛び回っている方なので、こうやってゆっくり話したのは初めてでした。
――これから一緒に漫才をするような締めくくりでしたね。
バイタリティにあふれている方なんですよね。実際、僕らスニーカー同好会でイベントやった時は、スニーカー好きにしかウケないようなスニーカー漫才を作ってやったし、プロレス漫才、モデル漫才も作りましたから、そういう意味ではファッション業界のネタを盛り込んだ、ファッション業界の人がウケる漫才も出来るかなと本気で思いますよ。
――そして相方のRGさんとは、結成20周年を振り返るような対談内容でした。
スニーカー好きは有名だと思いますが、おしゃれが大好きで、楽屋に入ったら、私服のファッションチェックをしあったり、空き時間、一緒に買物に行くこともある仲です(笑)。学生の頃は、バイク好きでもあるので、革ジャンにワイルドなジーンズとブーツを履いたりだとか、バイカーファッションのようなかっこいいファッションをしていて、後輩からも憧れられる存在でしたね。今はおっさん体型になりましたけど(笑)、ぽっちゃりでも似合うファッションをしているかなと思います。
――『OVERDRESS』について、RGさんからの反応は?
聞いてないですけど、どう思っているんですかね(笑)。ちゃんと聞いてみたいです。
――次の機会までにお願いします(笑)。HGさんは、子供の頃から着るものにこだわりがあったんですか?
そうでもないですね。高校生までは、お母ちゃんが買ってきたのをそのまま着ている感じで、大学に入って一人暮らしとアルバイトをし始めてから、大学デビューというかモテたいという一心で、おしゃれに興味を持ち出しました。
――当時、ハマったファッションは?
アメ村(大阪アメリカ村)へは行ってましたね。当時は古着ブームで、ボロボロの汚いジーパンを全財産の2万円くらいを出して買った思い出があります(笑)。
――それから現在、モデル業とお笑い業とのバランスはどのくらいですか?
モデル業は全体の数%で、お笑いがメインですよ。それでも撮られることがあると、肉体を調整しなくちゃならないので、トレーニングや体調管理のいいモチベーションになりますし、好きな服もいっぱい着られるので、今後もモデルは続けていきたいですね。
――現在のHGさんは、モデルも含めて、お好きなことを上手く仕事に組み込んで、充実しているように伺えますが、実感はありますか?
相方と奥さんが2人とも行動派なので、その影響はありますね。相方はすぐに飛びつくし、奥さんも起業してますけど、とりあえずなんでもやってみるんですよね。僕は結構慎重派で、ハードゲイをやるのでも、キャラクター設定や衣装とか、公に出すまで時間かけて練るタイプでした。でも、ある時、人の意見も聞いた方がいいと思うようになり、相方や奥さんの行動を見習うようになって、思いついたこと、好きなことを形にしていこうと考えるようになりましたね。そういう意味では、仕事は順調です。
我々、売れ方が特殊というか、ピン芸人2人みたいな状態がしばらくあって、フラフラしていたんですけど、漫才というひとつの芯を見つけられたので、漫才中心に動けていけていますしね。その漫才も好きなことをネタにするタイプなので、スニーカー漫才とかモデル漫才、あとプロレス漫才とか、他の活動が全部お笑いに昇華している感じで、非常にいいスタンスでいられますね。
――漫才と言えば、HGさんは、ザ・ぼんちの里見まさとさんから「お前めちゃくちゃ男前や」と絶賛されたことがあるんですよね。
そうですね(笑)。ザ・ぼんち師匠のお二人は、僕らをかわいがってくれまして、お二人ともおしゃれなんですよね。今もただのスーツじゃなくて、自分たちのおしゃれを楽しみながら漫才している感じで。僕は、まさと師匠がよしもと一の男前だと思っているんですけど、そのまさと師匠から男前って言われたことは、自信がつきましたね。
――モデル業進出は、まさとさんから背中を押されたのが一因だと。
確かに、それはありますね。
――モデルとしての目標はありますか?
ミラノコレクションのモデルですね。パリコレクションは細身の男性が好まれるらしいんでけど、ミラノコレクションはゴツい系のモデルが好まれるらしくて、僕にもチャンスがあるのかなと思います。
――ご活躍を楽しみにしております。最後に読者へのメッセージをお願いします。
『OVERDRESS』は、あえてボケ0%、おしゃれ100%で撮ってもらいました。ボケゼロというボケに、「何してんねん!」っていうツッコミをしていただけたらと思っています。わかりやすく言うと、オリラジの『PERFECT HUMAN』(RADIOFISH)のような、そういう楽しみ方をしていただきたいですね。
――となると、ますますRGさんの反応を知りたいですね。
「何してんねん!」って思っているのか、羨ましいと思っているのかわからないですけど、最近はあいつも走ったり、トレーニングを始めたらしく、体をアピールしてくるので、RGフォトブックを考えているかもしれないですね(笑)。
『OVERDRESS / RAZORRAMON HG』
A4サイズ・96ページ・並製
定価:本体2,800円+税
創藝社より発売中
【レイザーラモン】【HG】