なだぎ武、ウーマンラッシュアワー、コトブキツカサが映画を生解説!「おしゃべり映画大学」
9月21日(木)、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて「おしゃべり映画大学」が開催され、映画パーソナリティのコトブキツカサさん、なだぎ武、ウーマンラッシュアワーが出演しました。
「おしゃべり映画大学」とは、生コメンタリー付映画上映会のこと。『島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭』の恒例企画「桜坂映画大学」の東京版であり、記念すべき初回でもあるこの日の「おしゃべり映画大学」では、2010年公開のアクション映画『キック・アス』を観賞しながら、コトブキツカサさん、なだぎ武、ウーマンラッシュアワーの3組が同作品について語り尽くします!
まずは3組が舞台に登場。「『おもろない』というクレームはやめてください(笑)」という前振りで笑いを誘う3組。元芸人でもあるコトブキさんは、「好きな映画を3本挙げてもらうとその人の心理分析ができる」そうで、さっそくお客さんのひとりを心理分析していました。
『キック・アス』はマーク・ミラーとジョン・ロミータ・Jrによる同名のコミック『キック・アス』を原作としたスーパーヒーロー映画。アメリカン・コミックのスーパーヒーローに憧れるデイヴ(アーロン・ジョンソン)がネットで購入したスーツを購入してヒーロー活動を開始しますが、特殊能力はゼロ、おまけになんの訓練もしていないため、まったく活躍できないでいるところ、同じくヒーローコスチュームに身を包んだヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)と、その父であるビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)に出会うことで変わっていくーーという、アクション映画でありながらひとりの男の子の成長物語でもある作品です。
こういった企画のイベントの場合、通常は(イベントの予習として)すでに映画を一度見た上で来場し、あくまでも映画本編はサブ的に、コメンタリーをメインで聞くのが基本のスタイルなのですが、「『キック・アス』見たことあるという方は?」という質問には半数程度しか手が挙がらず、若干先行きが不安になる4人。また、この日はお客さんが少なめだったということもあり、「これからこのイベントが続いたら、みなさんは伝説の目撃者ですよ!」とコトブキさんが盛り上げると、「そうそう! AKBも最初はお客さん7人でしたからね」とAKBを引き合いに出し、あおっていました。
4人が客席後方に移動し、映画本編がスタートすると、さっそく「『キック・アス』は奇跡の映画なんですよ」と豆知識を披露するコトブキさん。なんでも、バイオレンス描写の過激さから映画製作会社と契約ができず、監督のマシュー・ヴォーンが自主映画として映画を製作することになったところ、本作の脚本に惚れ込んだブラッド・ピットがプロデューサーとして参加することになったそう。またニコラス・ケイジの出演についても「ニコラス・ケイジは『ハリウッド一人望があると言われている』」と話し、そんな人物が出演しているということも全米ナンバーワンになった一因であると解説します。
なだぎが「マシュー・ヴォーンは音楽の入れ方がいいね」と言うと、コトブキさんが「マシュー・ヴォーンはガイ・リッチー監督の作品のプロデュースをしていたから、ガイ・リッチーの影響を強く受けてるんですよね」と、2人の音楽のセンスや入れ方の類似性について補足し、観客をうならせます。
「『キック・アス』はアメコミムービーへのカウンターなんですよね」と、アメコミムービーでありながらヒーローが決定的に弱いことや、他のヒーロー作品のパロディのようなコスチュームが登場することなどを例に挙げ、解説するコトブキさん。また、『キック・アス』には、直訳以外にも「サイテーでサイコー」という意味もあるそうで、「どちらかというとそちらの意味で使われているんじゃないかな」と推測していました。
ニコラス・ケイジ扮するビッグ・ダディが登場すると、「AV男優になったんでしたっけ?」と、別のビッグ・ダディの話を始める村本に、客席からは笑いが起こります。また、「色がオシャレですよね。ずっと見てられる......」と、映画の"色"にも注目する村本。
しかし、途中で会話についていけなくなり「そんなシーンあったっけ?」とパラダイスに聞いて「あったやん、さっき! アニメのシーンで」と言われると、「あぁ......。横でしゃべられるからよくわからんかった」と言い訳する場面も。するとパラダイスに「そういうイベントやから!」ともっともなツッコミをされ、客席から笑いが起こります。
結構スプラッタなシーンになると思わず「うわぁ......」と、見ながら引き気味の村本に対し、「僕、スプラッタムービー好きなんですよ」とニコニコしているパラダイス。するとなだぎが「意外とこんなシーンで村本がビビって、パラダイスの方が嬉しそうに見てんなぁ」と、ふだんの2人の印象とは真逆な映画への反応を意外そうにつぶやいていました。
その後も、自動車スクラップ工場のような場所で車に人が乗ったままプレス機に押しつぶされるシーンを「このシーン好き! 殺しの美学ですね」と発言したパラダイスに「おまえ、変態やな。村本が普通に見えてきたわ」となだぎが呆れてツッコむなど、なかなかサイコな発言を続けるパラダイス。コトブキさんも、「僕ずーっとパラダイスさんに引いてましたもん」と、横で楽しそうにしているパラダイスに何やら狂気を感じたよう。
「村本さんはどんな映画が好きなんですか?」とコトブキさんに聞かれると、「僕は山田洋次監督が大好きで」と意外な監督の名前を挙げる村本。なんでも、たまたま夜中にテレビで見た『虹をつかむ男』に心を奪われたそうで、「『家族はつらいよ』とか、ああいう人情ものが好きなんです。だから、人が殺されるシーンを見ると思わず『ああっ』とか言うてしまうんですよ」と、残虐なシーンには慣れていないことを告白し、パラダイスには「ほんま、スーパード変態やな、おまえ」と軽蔑の目を向けていました。
アクションシーンのカッコよさも本作の魅力のひとつなのですが、アクションについても「ガイ・リッチーの影響を強く受けている」と、ガイ・リッチーの作品名を例に挙げ、解説するコトブキさん。そんな専門的な解説をしているコトブキさんの横で、「ニコラス・ケイジを見てるとモト冬樹さんを思い出す」という話題で盛り上がる芸人たちでしたが、コトブキさんが「ニコラス・ケイジが来日した際、『似てるから』っていう理由でよくモト冬樹さんが共演してたんですけど、実はそのあとニコラス・ケイジ側から共演NGが出たそうです」というミニ知識も披露し、笑わせていました。
「最初ムチャクチャ弱くて、で、最後すごく強くなるんじゃなくて、ちょっとだけ強くなる。それがリアルですよね」と、スーパーヒーローものなのに、主人公がそんなに強くないままのこの映画のリアルさをほめるパラダイスに、コトブキさんも「この映画自体がアメコミムービーなんだけど、同時にアメコミムービーへのカウンターでもあることがわかればより面白いんですよ」と付け加えます。
映画が終わると、「あ~、面白かったぁ!」と、まるでコメンテーターではなくフツーに映画を見ていた人であるかのような感想を言い、映画を楽しんでいた村本。コトブキさんも、「この映画はテレビではフルで見れない(カットされるシーンがあるため)ので、劇場で見る意味がある映画です」と話していました。
映画パーソナリティの豊富な知識による解説と、芸人の映画へのおもしろツッコミが同時に楽しめる「おしゃべり映画大学」。次回の開催が楽しみです!
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