最新ニュースインタビューライブレポート

インタビュー

2016年7月28日 (木)

ゆりやんレトリィバァが8/13に神保町花月でライブ2本を開催! 「落ち着いて来てや~!!」と呼びかけも

『R-1ぐらんぷり』2年連続ファイナル進出、『金曜★ロンドンハーツ』出演など、今勢いに乗っている女性ピン芸人・ゆりやんレトリィバァ。


現在は大阪を拠点に活動していますが、8月13日(土)、東京・神保町花月にて、単独ライブ『神保やんレトリィバァ』(19時開演)、ゲストにアイロンヘッド、ななまがり、8.6秒バズーカー、コロコロチキチキペッパーズを迎えた『東京に染まるやんレトリィバァ』(21時30分開演)の2本のライブを開催します。


知名度を全国区に広げつつあるゆりやんに、ライブへの意気込みや東京と大阪の違い、女芸人ならではの心情を尋ねました。


20160728213332-53bf7ad2cdf44d28634dd4757d4bbe7d9addbb65.jpg


     *     *     *     *


――8月13日(土)に神保町花月で開催する『神保やんレトリィバァ』、『東京に染まるやんレトリィバァ』は、どんなライブですか?


はい、『神保やんレトリィバァ』は、90分間、私だけが出てやるネタのライブですね。その後の『東京に染まるやんレトリィバァ』は、ゲストの方を迎えたトークです。


――『神保やんレトリィバァ』は単独ライブということですね。内容は固まってきましたか?


東京での単独ライブは、3回目なんですけど、まだ東京の方に見ていただいてないネタがたくさんあるので、そういうのをピックアップしてやりたいと思います。もうやるネタも決まっているんですよ。


――早いですね! では、今は稽古をしている段階ですか?


稽古というよりは、フィーリング、ここでやってますので(胸部を叩く)。自分が楽しいと思わないとお客さんも楽しいと思ってもらえないので、常に単独ライブの前は楽しみという状態ですね。


――これまでの単独ライブを通して、東京と大阪のお客さんの違いを感じたことは?


前に思っていたイメージは、大阪はあったかくて、東京はクールに笑う、「ふ~ん」みたいな感じがあったんですけど、東京も大阪も笑い方とか一緒でした(笑)。あと、前回はルミネtheよしもとだったんですけど、思った以上に来てくださっていたので、それにはビックリしました。

20160728213300-86b271bfa17eeeb56e5a1f6a01f6c2cf21c067d9.jpg


――一方の『東京に染まるやんレトリィバァ』は、アイロンヘッドさん、ななまがりさんをゲストに迎えたトークライブですね。
(※註:インタビュー後に、8.6秒バズーカー、コロコロチキチキペッパーズの2組が追加ゲストとして決定しました!)


もともと大阪よしもとに所属されていて、大阪でお世話になっていた先輩2組です。『東京に染まるやんレトリィバァ』っていうタイトルは、アイロンヘッドさんもななまがりさんも、上京して、染まっているんじゃないかなあ...って。私も東京ってどんなとこかなっていうのをまだ知らないんで、そういうトークを繰り広げて、お楽しみいただけたらと思います。


――アイロンヘッドさんは、今年4月からの東京進出なので、3ヶ月ほどで東京に染まったということですか?


はい。私の勝手なイメージですが(笑)。


――そうでしたか(笑)。数多い大阪からの東京進出組のなかで、どうしてこの2組なんですか?


めちゃくちゃお世話になっているんです。私、NSCの在学生の時代に、ななまがりさんのイベントに呼んでいただいたんですよ。その後、NSCで首席を取りまして...歯石を取ったんちゃいますよ?


――あ、ありがとうございます(笑)。


どういたしまして(笑)。ほんで、首席のご褒美で単独ライブをさせていただいたんですけど、その時のゲストでもななまがりさんに出ていただり、そこから交流させていただいてます。アイロンヘッドさんは5年先輩なんですけど、ずっと劇場で一緒にやらせてもらって、いろんな舞台のことを教えていただきましたし、辻井さんがルームシェアをしていて、後輩芸人たちが集まって鍋をしたり、劇場で朝までしゃべったりさせていただきましたね。


――ちょっと青春の香りが漂いますね。


確かに、言われてみたら青春ですね(笑)。


――その先輩2組に、恋心のようなものは?


残念ながら、一回も抱いたことないですね。期待に答えられず、すいません...。先輩方から私へはわかりませんよ(笑)。


――確かに、秘めているかもしれませんからね。ネタの話に戻って、どうやってネタ作りされているんですか。


私の場合、じーっと考えるというよりは、こうやっておしゃべりしていて、今言ったようなしょうもないこととかが面白いと思ったら、それを派生させたり、映画とかを見ていて、このシーン面白いと思ったら、そのシーンをやってみたりですね。例えば、女優になりたい、歌手になりたいって思っても、なかなかなれないじゃないですか。「好きな人と付き合いたい!」も。でも、それをコントにしてしまったら、なれたも同然みたいなので、「やりたいことをやる」っていうのがありますね。


20160728213300-953e7cd6189d8d26aa49772d282c6253d7e27a2f.jpg


――コントで願望を満たしているわけですね。現在、芸人さんとの交流は、やはり大阪が中心ですか?


特に女芸人さんは、お世話になってますね。尼神インターさんやシンクロックの吉田さんとか面倒見てくれてはって、ハイヒールのリンゴねえさんは、大阪の若手女芸人を集めたイベントをしてくださっていたり。ハイヒールさんはお二人とも、特に大阪の女芸人のことを気にかけてくれていますね。


――最近は東京での仕事も増えているので、東京での交流も増えつつあると思いますが、やはり刺激を受けますか?


特に女芸人さんから影響を受けますね。ネタもそうなんですけど、いつもしている会話とかもめっちゃ面白くて。テレビとかを見てたら、男芸人さんの方が面白いって感じがするじゃないですか。実は女芸人さんが考えていること、話すことってめっちゃ面白いんやなあって思って。パワーがすごいんですよ。


20160728213259-27b1897633b011d2e9e515a52340442f1a81e5db.jpg


――そんなパワーを受けて臨む今回のライブ、どんな方に観ていただきたいですか?


お子さんから大人まで、見ていただける舞台かなとは思いますけど、同世代の女の子ですね。映画だと、レディースデーで1100円、当日で1800円くらいじゃないですか。お笑いライブも同じくらいの料金で、楽しく一緒に過ごせますので、一回見に来て欲しいですね。


――アイロンヘッドさん、ななまがりさんのファンの方にとっては、ゆりやんさんからいろんな話を聞き出して欲しいですね。


そうですね。普段の私なら、マイクを持ったMCさんのまわりでゴチャゴチャ言ってる役割なんですけど、今回は私がMCでゴリゴリにまわして、先輩方にゴチャゴチャと接してもらうので、普段とは違う感じが楽しめると思います。


――では最後に、よしもとニュースセンター読者へ、お馴染みのフレーズを踏まえたメッセージをいただけますでしょうか。


はい。普段、疲れた時とかー、ズンズチャズンズチャー、ストレスを感じている時ー、ズンズチャズンズチャー、どうしたらいいかわからへんようになった人はー、ズンズチャズンズチャー、『神保やんレトリィバァ』、『東京に染まるやんレトリィバァ』にきー! ほんなら一緒に楽しんでもらえるので......落ち着いて来てや~!! これで大丈夫ですか?


――ありがとうございます、バッチリです(笑)。本番も楽しみにしております!


20160728213301-ce43034fe7ef70e5de40ee9d07c0e722033ec284.jpg

【ゆりやんレトリィバァ】

2016年7月25日 (月)

8月20日より全国ツアーをスタートさせるトータルテンボスへインタビュー! 大村「1年に1回、恒例の予定にしてもらえれば」と来場を呼びかけ!!

毎年、夏にオール新ネタで挑む全国ツアーを開催し続けているトータルテンボス。今年のツアー『トータルテンボス全国漫才ツアー2016「脱帽」』は、8月20日(土)、沖縄・よしもと沖縄花月での公演を皮切りに、全国15ヵ所で16公演開催されます!

ホームグラウンドである東京・ルミネtheよしもとでは今年も2daysで、また千秋楽は笑いの殿堂、大阪・なんばグランド花月! 7月31日(日)までは、昨年のツアーの様子を収めたDVD『トータルテンボス全国漫才ツアー2015「餡密」』付きチケットも発売中です。
毎年、新ネタを引っさげて全国を回る彼らに、ツアーの楽しみ方やネタづくり、また最近、芸人達の間で囁かれている"トータルテンボス真の勝ち組説"についてなど、さまざまな話を訊きました。

20160725205636-a0877c0117caba2a838bc5809f12185d3210af62.jpg
(向かって左:藤田憲右/大村朋宏)

 *  *  *  *  *

――今年のツアーは例年通りの暑い時期に、また暑い沖縄からスタートとなりますね。

藤田 そうですね。本来、最南端からツアーすべきだって、いろんな方に言われていて。
大村 ......言われてないですね。

――(笑)。

大村 芸人の中には初日を重要視する人もいるんですけど、僕らは千秋楽に合わせているというか。例年、初日は地元ということで静岡が多いんですよ。今年も静岡でもよかったんですけど、ゴールである千秋楽からいちばん離れている初日は出来的にそこまでブラッシュアップされていないものをお届けすることになるので、どこが支障ないか。............沖縄だね、ということになりまして。
藤田 おいっ!! 怒られるぞ、沖縄の人に。
大村 ふはははは! まぁ、毎年、初日の(会場の)お客さんには言っちゃってるんですけどね。「つたないものをお届けすることになりますが、今日のつたなさが後々のいい結果につながります。無駄はないんです、みなさん」って。
藤田 初日は台本通りっていう感じで、面白味もなんにもない漫才なんですよ。
大村 そんなことはないだろう?(笑)まぁ、1~3ヵ所目くらいまでは、どうしてもウケない箇所が如実に出てしまうんですよね。
藤田 何がウケるかウケないかは、どれだけ年数を重ねてもお客さんの前に立ってみないとわからないですからね。
大村 だから、ツアーの複数箇所に来てくれる人が多いんですよ。

――それは漫才がどんどん進化していくから、ということですよね。

藤田 そうです。お客さんもシミュレーションゲームをしているような感じなのかもしれないですね。だから、俺らのツアーは育成ツアーです! ビフォーアフターみたいな感じというかな?「あんなにボロボロだったネタが、こんなに素晴らしく! なんということでしょう!」(と言って、『大改造!! 劇的ビフォーアフター』で流れる音楽を口ずさみ始める)」
大村 ふふふ。いや、それはもちろん、言い過ぎですけどね。

――ブレインである大村さんとしては、初日から面白い漫才をつくっているという自負はある訳ですよね。

大村 もちろん、胸を張ってお見せしてますよ。
藤田 でも、初日は大村の台本力の面白さだけで。掛け合いとかっていうプレイヤーとしての面白さはゼロです。
大村 やめろよ、そうなら! 初日からプレイヤーとしての面白さを6くらい出せないなら芸人やめようぜ!
藤田 ふふふふふ。

――(笑)初日まで1ヵ月を切っていますが、今はどんな感じですか?

藤田 7月の初めくらいからネタづくりに取りかかったんだっけ? 
大村 うん。今は地獄の時期というか、今年は6本やりたいなと思ってるんですよ。で、今できている3本のネタを藤田と合わせていて、8割できている4本目のネタともう1本を今月中につくっちゃえば、来月は練習に集中できるかなという計算ですね。もう1本は、1回だけテレビでやった漫才もやっちゃおうと思ってます。ただ、いくら日にちがあってもね......。
藤田 客前に出ないとわかんないもんなんですよ、こればっかりは。どんだけきっちり暗記して憶えていても、客前で実際にやってみないとかたちにならないんです。
大村 そう。"あれはいらねぇな"とか、"あそこは意外とハマったから広げよう"とかは、お客さんに観てもらわないとわからない。だから、ツアーっていいんですよ。若手とか1回こっきりのね?
藤田 単発で単独ライブが終わっちゃうもんね。
大村 まぁ、しょうがなくそうなっちゃってるんでしょうけど、ツアーを毎年やらせてもらえる僕らのは恵まれてるので、そのチャンスを活かし切らないと。14ヵ所回るなら、回るごとに進化しないといけないんです。
藤田 まぁ、台本を憶えるのは年々早くなってるしなぁ?
大村 ......それは僕の中で一度、痛い思いをしちゃったから、というか。藤田をネタの軸にしちゃうと、まぁ憶えないんですよ。それで苦労した年があったんで基本、僕が軸を取っている構図にして藤田の負担を減らしました。
藤田 大体、漫才ってツッコミがネタ振りしてボケがボケるとツッコミがツッコむんですけど、俺が憶えられないんで大村がネタ振りしてボケて、俺がツッコんでるっていう......結構な気持ち悪いかたちの漫才なんですよ(笑)。
大村 そういうかたちでしか無理なんです。それくらい、藤田の記憶力はポンコツなので。『THE MANZAI』の予選に、藤田がネタ振りするネタを持っていったときは地獄だったもんなぁ?
藤田 うん、あれは地獄だった。
大村 たださえ緊張してるのに、自分の台詞も憶えてなくて。芸歴17年目くらいだったけど、台詞飛んでましたからね。やってる年数って関係ねぇんだなと思いました。

――そうやっていろんな作り方を試しつつ、しっくり来るかたちを生み出していくんですね。

藤田 そうですね。最終的には、俺たちの漫才のフォームになります。
大村 2年くらい前、漫才のかたちを変革したんですよ。藤田もボケて俺もボケて、お互いにツッコみ合うみたいなかたちを試したんですけど......まぁ、不評で!(笑)
藤田 俺らとしては新しいものに挑戦しただけなんですけど、"あ、おかしな方向にいってる"って思われちゃって。「終わってんな、こいつら」って言われたよね?
大村 よく観たよね、その意見。「ガッカリした」っていう感想をよく観るんですけど、DVDを観てくれた人なんですかねぇ? 
藤田 1本だけ、そういうかたちを試せばよかったんですけど、全部の漫才そうしちゃったからね。......ふふふ。
大村 ははは! で、昨年は元のかたちに戻して。
藤田 そうしたら、「これこれこれ!」ってなったんだよね?
大村 だから、今年も多少、実験的なものはありますけど、単独ならではというか単独でしかできないこともやっていきたいなと思ってるんです。今までは、あわよくば"賞レース狙っていこうぜ"みたいな肩に力を入れたネタをつくっていた傾向があって。
藤田 でも、今の俺らはどこの賞レースにも出場する権利がないですから、そんなことする必要はないんですよ。
大村 そうやってつくったネタのほうが後々、残る本数の確率も上がるのは上がるんですけど、お客さんもそればっかりだと飽きちゃうでしょうからね。せっかく2時間あるんだから、いろんなパターンの漫才をやりたいなと。ただでさえセンターマイク1本の前でやる漫才ですから、バラエティに富んだものをやったほうがいいかなとは思ってます。

――賞レースへの出場権はなくなったとのことですけど、それでもネタづくりへのモチベーションは変わらないですか?

藤田 今は、ツアーがモチベーションですね。そのためのネタづくり、ネタ合わせで......ツアーやんないと、俺らはずっとネタつくんないもんね?
大村 自分達で枷を付けないとやらない2人なので、毎年ツアーをやって奮起させてるというのが正直なところです。ルミネの本公演でも新しいネタをやっていきたいから、今はいいネタができることを考えるだけというか。まぁ、モチベーションがなくなることはないですね。

――また、これまでのツアーはルミネが千秋楽でしたが、今年は大阪・なんばグランド花月(NGK)ですね。

藤田 毎年、NGKが終わった時点で、やり遂げた感がちょっと出ちゃうところがあるんですよ。800人と劇場も広いですし、"あぁ、終わったな。このあとはDVDの収録があるルミネだけだな"っていう感覚で、「実は千秋楽、NGKじゃねぇか?」みたいなところがあったんですよ。
大村 ルミネ2daysは、気持ち的にウィニングランというか。まぁ、今までの日程でもよかったんですけど、たまたま日にち的にルミネのあとにNGKが取れたので"じゃあ、名実ともにNGKを千秋楽にしちゃおうか"っていうことになっただけですね。
20160725205709-8538d1f734f407add8cc9901dba36afc19adb949.jpg
――各会場限定で、昨年のツアーの様子を収めたDVD『トータルテンボス全国漫才ツアー2015「餡密」』付きチケットも販売されています。こちらは7月31日(日)までで締め切りとなってしまいますが、DVDで改めて昨年のツアーを振り返ってみていかがでしたか。

藤田 どうだったっけ? 本編はまだ観れてないんですよね。
大村 そうだな。(DVDのジャケットの裏表紙を観て)本数はちょっと少なめの5本だったんですよね。本当は6本やろうと思っていて1本ストックもあったんですけど、ネタ合わせできないまま初日を迎えちゃって。「(初日の)静岡だけ、ごめんなさいだな」みたいなことを話していたら、5本で十分な時間になったので、そのままいっちゃったんです。
藤田 (DVDのジャケットの裏表紙をまじまじと見つめて)......5本中3本はもう憶えてないですねぇ。
大村 (笑)。俺は一応つくってるから1回観れば思い出せますけど、藤田は「これやろう」って言っても「そんなネタやったっけ?」ってよく言いますからね。そのシーズンだけやってたネタってことなんでしょうね。

――じゃあ、ツアーやDVDでしか観られない漫才もあるということですね。

大村 実際、そういうもののほうが多いですよ。毎年、多くて3本、大体は2本、下手すりゃ1本しか残らないっていう感じですから。さっきも言ったようにいろんなパターンをやっちゃうので、ルミネの本公演でやるには不適合なネタも多くなっちゃうからなんですけどね。
藤田 うん。ルミネだとウケないっていうか。
大村 俺たちのファンだから面白い、みたいなものももちろんあるでしょうし。

――そういう意味では、ツアーやDVDのほうがトータルテンボスさんらしさ溢れるネタがより楽しめそうですね。DVDの見どころとしては特典映像も、ですよね? アジア住みます芸人としてタイで活動している、あっぱれコイズミさんが相変わらずにいじられっぷりで。

藤田 久しぶりに会ったら、あいつ、腕がなまってました。
大村 温いことやってるんでしょうね、タイで。よくやってたノリみたいなものを繰り出しても、最初はキレが悪かったりしたんですよ。で、「本当にあっぱれか?」って疑って、あることに繋がっていくんですけど。
藤田 あれやってから目覚めたよな?"あぁ、この感覚だ"って、あいつも気付いて。久しぶりにムチャくらって本当は嫌なはずなんですけど、その後はずっと笑顔でしたね。

――その辺りも注目して観ていただきたいんですが、個人的には公園でのお2人が好きでした(笑)。

藤田 あぁ! あれはロケの副産物だよな? なんにもなくて、どうすんだよってなってたときに見つけたから。
大村 うん。あの特典映像は、夢の企画というか。あのメンバーでぶらぶらする番組が、日本でもやれたら......。「ハンパねぇ!」とかいじり倒すだけの番組、深夜2時くらいにやりたいです。

――そういうことと繋がるかもしれませんが、ここ数年、トータルテンボスさんはいろんな芸人さんから"真の勝ち組"と言われてますよね。

大村 (笑)まぁ、こんなふうにふざけて適当にやってるからじゃないですか? 徒党を組まず、決まったポンコツ達と好きなことをやってるイメージがあるからなんでしょう。

――お2人とも、好きなことをやれているなという実感はあるんですか?

藤田 あります、あります。
大村 ただ、今の俺たちの立ち位置に違うコンビ2人が立っていたら、もしかしたらですけど焦るヤツらもいると思うんですよね。例えば今、千鳥なんかは最近、地上波のレギュラー番組も始まったりして、むちゃくちゃ調子いいじゃないですか。一緒にやって来た仲間である千鳥が調子いいのを観て、"なんで俺たちは深夜番組のMCをできないんだ?"とかフンガフンガしてるかもしれない。けど、俺らはそれはそれで羨ましいという思いや"いつかはやりたい"という思いを持ちつつ、今の環境を楽しむことが大事だと思っているというか。俺たちのテイストであり、生き方がこうだとやっているところが、(周りからは)いいように写るんじゃないですかね。
藤田 うん、ストイックの真逆っていうかね?
大村 そこももちろん目指してるけどね? 今、残念ながらそういうオファーがないだけで、ツアーだとかラジオだとか地方番組だとかを楽しくやっていればいいんじゃない?っていうことです。
藤田 そんなに"しゃちほこばって"もダメだなっていうのがあって。最近、若いヤツらとライブをよくやってるんですけど、みんな、すごく"しゃちほこばって"るなって。まぁ、俺らも若い頃は"しゃちほこばって"た......。
大村 "しゃちほこばってる"が気に入ったのか、お前は急に!

――(笑)。

大村 今のは、"しゃちほこばってる"が言いたかっただけですから。いや、俺らは"しゃちほこばって"なかったですしね?

――あぁ、そうですか。ネタに関しては、若手の頃から熱くギラギラするものを持っているなと思ってましたけど。

大村 あぁ、賞レースとかはそうでしたね。
藤田 若手の頃の大村は、イタいくらいギラギラしてました。
大村 いやいや!(笑)まぁ、今でもそういう気持ちはありますよ。でも、当時も楽しくっていう気持ちが根底にはありましたからね。未だにその辺は何も変わってないです。

――トータルテンボスさんは、ずっとオリジナリティを追求している感じがありますよね。漫才のかたちにしてもそうですけど、お2人にしかできないことをずっと生み出して、やり続けている印象があります。

藤田 あぁ、それはよく言われますね。
大村 「トータルっぽいね」って言われることはあるので、1つのスタイルは何かしら確立できているのかなとは思います。若手から「トータルさんっぽいですね」とか言われたら嬉しいですし。

――その"っぽい"っていうのは、意識しなくても自然と生まれてくるんですか。

藤田 敢えて、"っぽく"っていうのはしてないよね?
大村 まぁ、そうだね。でも、意識してないってことでもない。ネタをつくるなかで藤田が言いそうな言葉とかは、やっぱり意識してますよ。でも、それ通りに藤田がやっているかと言えば、やってないところもありますから......。まぁ、そこにとらわれてはいないということですね。

――今年のツアーでも、トータルテンボスさんらしい漫才がたくさん観られることを楽しみにしています! では、最後によしもとニュースセンターを読んでくださっている方々へ意気込みをお願いします。

藤田 我々、19年やって来てまして、来年20年目なんです。普通の会社では転職も増えてきているなか、1つのことを19年やるのは本当に大変なことで......。ましてや、芸人っていう生存競争の高いなかでやってきました。まぁ最前線ではないですけど、ある程度の前線でやっているっていうことは、それなりに何かあるんですよ、で、その何かっていうのは(笑いの)技術だったり、人間性もあるからずっとやれてきてるんですね。そんな2人の19年の集大成を出せるのはこのツアーだけなので、重みも感じながら観ていただければありがたいですね。
大村 ふっ......(笑)。ボケなのか、ガチなのか、全くわからないよ! おそらくボケなんだろうけど!
藤田 ボケのつもりで言ってたんだけど、これっていうのがなくて、もんやりと終わっちゃった(笑)。
大村 ふはっ、出口がわかんなくなっちゃったのか。
藤田。うん、わからなくなっちゃった。

――ははは!

藤田 今のコメントを聞いてもわかるように、未だ迷走してるので、その迷走っぷりをぜひ観に来て欲しいですね。
大村 僕らは毎年、ツアーが本当に楽しみなんですよね。会場に来てくれるみなさんにも毎年行ってますけど、同じ場所に行ってるから"あぁ、トータルテンボスのツアーの季節か"って思ってもらえるような1つのイベントになりつつあるのかなと思ってます。だから、僕らのツアーを観に行くということを1年に1回の恒例スケジュールにしてもらえたらいいなって。それに、若手には出せない渋みみたいなものも出てるんじゃないかなと思うんです。2人とも41歳ですよ? ネタにしろVTRにしろ、こんなオッチャン2人のバカな姿を観に来るのは一見の価値アリなんじゃないかなと。41歳の男2人の世界観、関係性ってなかなか観られないので、楽しみに観に来ていただけたら嬉しいですね。
藤田 しかも、昨年からもう1つ楽しみが増えたもんね?
大村 なんですか?
藤田 石川公演! 一昨年は日帰りだったんで食べられなかったんですけど、(公演後の打ち上げで食べる)のどくろがとにかく楽しみなんですよ。あれはめちゃくちゃ美味い! 全公演中でいちばんの楽しみです。今回のツアーは、のどぐろライブです。
大村 ......ではないです(笑)。

――(笑)今年も美味しいのどぐろ、食べてください。ツアーの成功を祈っています!

大村 はい、頑張ります!
20160725205739-35a7a62db0e41788a46166d4b6fb4e56a3508ad7.jpg


【トータルテンボス】

単独ライブのタイトル『一人フット』に込めた思いとは? フットボールアワー・岩尾インタビュー!

来る8月21日(日)、フットボールアワーの岩尾望による単独ライブ『一人フット』が、東京・神保町花月にて開催されます。


岩尾にとってピンでの単独ライブは、昨年の『のんちゃんのセンス炸裂単独ライブ』以来、1年ぶり2回目。
一人でライブを行う経緯や心境を始め、タイトルに込められた思い、そして「のん」ちゃん改名の話題も、伺いました。

20160725130233-e05b8f8fc6222c346a6a37028fda71cc6b5650d2.jpg


     *     *     *     *

――岩尾さんお一人での単独ライブは2回目ですが、一人でライブをしようと思ったきっかけは?


2008年から2009年、2010年に、『ドレキグラム』というフットボールアワーでコントライブをやったんです。基本、僕らは2人揃ってネタを作るので、次は全部一人で考えてやろうかなって、どこかしら思ってたんですけど、それで実際にやったのが2015年なんで、めちゃめちゃ腰が重いっていうのはわかってもらえるかと(笑)。その後に次長課長の河本さんとNON STYLEの井上と3人(プラス毎回ゲストが数名)で、ユニットコント『CONTS』もやりましたし、一回、前から思っていた一人でやるっていうのをやろうって、思って、やっと動いたというか...その間、熟成していたわけでもなく、構想5年じゃないんですよ。


――披露されるのは、一人コントでしょうか?


いわゆるピンネタとか一人コントっていう感じではないです。去年やったのは、例えば野球選手なら野球選手、霊媒師なら霊媒師として、キャラクター名つけて、衣装もその格好して、その人が喋っているというか、こんなことあって本人として喋ってる。


――憑依しているようなことですか?


というか、ほぼ僕なんですけど(笑)。形式的にはフリートーク、エピソードトークみたいな形をとったコントというか。というのを何本か統一して去年はやったんですけど、今回はもうちょい、その形にとらわれず、いわゆる一人コントというものもやろうかなという感じです。


――あまり岩尾さんの一人コントのイメージがないんですけど、ご経験は?


いやあ、それこそNSCの授業でやったくらいじゃないですかね。前のコンビを組む前、一人でネタをNSCの授業で発表していて、そこ以来かなと思うんですけど。


――ピンネタに苦手意識があったんですか?


そもそも一人で作って、一人で演じてっていう発想があんまりなかったんです。コンビでずっとやっているので。そんなに演技とかが上手にやれる方ではないと自分で思っていないし、この形なら見やすいかなと。変に世界を作って、演じて、雰囲気を作ってということじゃないので。


――でも、最近はドラマ出演の機会も増えて、演技力の評価も上がってきたんじゃないですか?


ちょっと出ただけです(笑)。ドラマ『トットてれび』に出させてもらったんですけど、自分で見たら、満島ひかりさんは黒柳徹子さんを演じていて、他の女優さんもその時代のその人なんですけど、その画面の中に岩尾がおるんです(笑)。すごい異物感を感じて。


20160725130210-3687459e43bdcb9f4ff9c303089e1d974e9ec66a.jpg


――そうでしたか(笑)。今回のライブのテーマみたいなものはありますか?


去年はそうやって、統一感を持ってやったんですけど、今回はもうちょい、おもろかったらなんでもええやんというか、『一人フット』っていう響きから、なんとなく思い浮かべるものが、僕らの世代の人たちにはあると思うんです。フットボールアワーが一人で笑いに向き合い、笑いを追求するので、『一人フット』ってタイトルをつけたって、別に怒られへんしみたいな(笑)。でもこっち的には、どこかテーマがあるというか。


――となると、タオル巻いて、作務衣を着て...みたいな光景も浮かびますが。


同じことをすることは出来ないですし、恐れ多いので。でもそうやって一人で笑いに向き合うんだっていう精神は、同じでやりたいなと思ってますね。だからといって、いわゆる大喜利だとかは予定にしてないんですけど、あの番組でも形にとらわれずいろんなことやってはったじゃないですか。おもろいなと思ったことをいろんな形で、詰め込んでやろうかなという感じですね。


――そのことは、ご本人にはお伝えしてあるんですか?


いや、全然言ってないです(笑)。そんなに伝わりもしないでしょうし、伝わったら困るわけではないですよ。


20160725130209-f1b90a65ccdbb43c830327847c82d769241aac26.jpg


――ちなみに、能年玲奈さんが「のん」に改名を発表された際、「のんちゃんはのんちゃんを応援しています!」という岩尾さんのツイートも話題になった件についても伺いたいのですが。


前回の『のんちゃんのセンス炸裂単独ライブ』っていうタイトルは、「どこがやねん」とか言ってもらえるかと思って、あえてそうつけたんですけど、あんまり言うほどいじってくれなかったんですよ(笑)。「確かにセンスでやるタイプやもんな」みたいに言ってくれはった先輩もいて、意外とすんなりいっちゃったんで、今回、自分的にそういうスピリットで『一人フット』ってしたんですけど、今回の「のん」さんの改名があるなら、『のんちゃんのセンス炸裂単独ライブ』にしておけばよかったなあって(笑)。


――タイミング的に、少し悔やんだわけですね(笑)。では、最後に読者へメッセージをお願いします。


お笑いがずっと好きなんで、こんなんやりたいなといって入ってきて、こんなんやりたいなと思ってたようなことをやるつもりで、今回こんなタイトルをつけました。お笑い好きな人に一回見てもらいたいというのもありますし、別に間口が狭いものをやるつもりはないので、一回見て欲しいなというのがありますね。

【フットボールアワー】【岩尾望】

2016年7月23日 (土)

『THE EMPTY STAGE』今夏公演迫る! 竹若元博、梶原雄太、三秋里歩、高野祐衣の異色(?)出演者座談会

『即興』をテーマに、空っぽのステージ(EMPTY STAGE)を芸人たちのパフォーマンスだけで埋める新しい飲食型エンタテインメントショー『THE EMPTY STAGE』(ジ・エンプティ・ステージ)。


回を重ねるごとに評判を呼び、スケールアップしてきましたが、8月1日(月)~14日(日)の期間には、『THE EMPTY STAGE 2016 SUMMER』と題した公演がBENOA銀座店にて行われます。


今回は、初期より『THE EMPTY STAGE』の舞台に立ち、牽引してきた竹若元博(バッファロー吾郎)、梶原雄太(キングコング)に加え、前回に引き続き2度目の出演となる三秋里歩、初出演の高野祐衣という元NMB48コンビの計4人に、それぞれのチームについての印象や意気込みを伺いました。


20160723003326-7db9e44bafac150d906c8c78c777c05521503ee7.jpg

(※写真左より、竹若元博、高野祐衣、三秋里歩、梶原雄太)


     *     *     *     *


――まずは、『THE EMPTY STAGE』について、"Mr. THE EMPTY STAGE"こと、竹若さんからご説明いただけますか。


竹若 歳いって、小言が多いだけでミスターでもなんでもないです(笑)。『THE EMPTY STAGE』は、何も用意していない、台本もないところから作り上げる舞台なので、演者もドキドキ、お客さんもハラハラしながら楽しんでいただいています。途中、「どうなるんやろうな」みたいな時もあるんですけど、出演者はトレーニングを行って、お客様にいいものを見せようとしていますし、ホントに見終わった後は、すごいなという感想をいただいています。


――三秋さんは、前回(今年5月『THE EMPTY STAGE ~SEVEN COLORS~』)初出演してみて、いかがでしたか?


三秋 お客さんの期待されている顔がプレッシャーになって、「どうしよう」ってなって、本番はあんまりちゃんとできてなかったんじゃないかなって思っていたんです。でも、今回も呼んでいただいて、すでに毎日緊張してます(笑)。楽しかったんですけど、それが内輪ネタだけにならないように気をつけて、楽しさを伝えられるようにしたいですね。


――そして高野さんは、今回が『THE EMPTY STAGE』初出演。稽古はまだ始めていないそうですが、どんなイメージを持っていますか?(※インタビューは6月末に行いました)


高野 映像でも見たことがなくて、想像ができません(笑)。でも本場シカゴの雰囲気は、衣装でも感じますね。私、台本覚えるのが苦手で、即興だから覚えなくていいんだ...ていう考えは甘いですよね(笑)。生のドキドキは嫌いじゃないので、楽しみです。


――お集まりの4人は、全員別々のチームですが、それぞれのチームのメンバーについて、簡単に紹介してください。


梶原 僕はチームCです。インポッシブルとは離れたことがないくらい一緒で熟知してますね。(ニブンノゴ!)森本さんとはこの間、やらせていただいて、(2丁拳銃)修士さんとも何度もやってるんですけど、シューレスジョーだけがちょっと(笑)。彼は気い使いで、この舞台って気使いは不要なんです。前回、公演が終わった後に全員で飲みに行ったんですけど、これすげー大事やったなって思いましたね。今回は早めに集まって、シューレスジョーを柔らかくするっていう作業から始めたいと思います。
竹若 ここは、すごく意識が高いチームで、まわりが「いいやん、いいやん」って言ってても、自分らが納得しないで話し合ってますね。高校出たての若手のように熱い(笑)。
梶原 練習前でも後でもいいから、とりあえず、チームみんなでご飯に行った方がいいです。絶対大事。祐衣ちゃんとは、以前レギュラーだったんですけど(ABC『熱血!人情派コメディ しゃかりき駐在さん』)、すごく人見知りで、人嫌いだと思うんですよ。
結衣 嫌いではないです(笑)。
梶原 まだ溶け込めてないのに「ああ、本番来ちゃう」っていうのはダメな舞台なので、話す時間を増やした方がええよ。
高野 そうですね。コミュニケーションを大事にします。


――そして竹若さんは、チームAですね。


竹若 新しくロング即興ショーにチャレンジしているセブンbyセブンとサンシャイン。他のロングのチームに比べると経験不足ですが、持っているものはみんな素晴らしいので、ここからどうやって食事して、話し合っていくかですね。


――ゆりやんレトリィバァさんにも注目ですね。


竹若 ゆりやんは大阪で舞台に立ってますけども、東京のメンバーと絡むのは、ほぼほぼ初ですね。器用なので、変に器用にこなそうせず、頭空っぽにして、そのままのゆりやんを出してもらったら、楽しい舞台になるんじゃないかなと思っております。


――三秋さんはチームEです。


三秋 私も人見知り気味なので、みなさん初めて共演に緊張してるんですけど、スパイクさんは、前回、出番が前後して、ちょっとだけお話したら、松浦さんが面白い方で。松浦さんともっと喋りたいなと思っていたので、今回、同じチームになれて、すごく楽しみです。私、何も考えずに適当なことを言ってしまい、前回も適当なことを言って、後は芸人さんに放り投げていたので、今回もちゃんとキャッチしていただける方がいたらいいですね。
梶原 それはすごく正しい。でもこのチームは、個性が強いな。
竹若 (ニブンノゴ!)大川先生も散らかすし、(スパイク)小川ちゃんも結構好き勝手言うから、負けないように散らかすつもりでいかないと。
三秋 埋もれちゃわないようにしなきゃならないですね。


――高野さんはチームIですね。


高野 サルゴリラさんとは、まだお会いしたことがないんですが、GAG少年楽団さんとは、私がNMB48に入って、1年目くらいにお仕事させてもらいました。多分、覚えていただいてないと思うので、まずその話題で仲良くなれたらいいですね。
梶原 三秋さんは、同じチームに女の子がいるけど、祐衣ちゃんは男にまみれて大変やな。でも才能がある子ばかりだからね。
高野 私、あんまりボケではないので、どちらかというとボケてくれる人がいて、ツッコんでいけたらいいですね。
梶原 ツッコんだらアカン(笑)。
竹若 あんまりボケとかツッコミとかなく、普通のことをどんどん積み重ねて、おかしな方向に持って行こうという舞台なので。
高野 私、趣旨わかってないですね(笑)。
竹若 まだ練習始まってないからね。『THE EMPTY STAGE』は、チームになったら先輩後輩とか関係なくなるので、好き勝手動いてもらった方がいいよ。
梶原 そのくせ、公演終わった後の飯は先輩払うっていう、そこは先輩後輩あんのかい。
一同 (爆笑!)


20160723003224-e1dd058c6a454e3259c1fb4cbd62030b161e7265.jpg


――NMB48では三秋さんが一期生で、高野さんが二期生という先輩後輩ですが、お二人の仲は?


三秋 あんまり何期生とか気にしないですし、ゆいぽん(高野)の方が、いつも「りぽちゃん、りぽちゃん」ってかまってくれて、しっかりしてて、おねえちゃんって感じですね。


――今回の『THE EMPTY STAGE』について、お二人で話しましたか?


高野 「大丈夫やで」って言ってくれてました。
三秋 ずっと「不安、不安」っていうから、練習を重ねても、本番は毎回違うので、「不安になっても仕方ない」「大丈夫やで」って。
高野 そこは、さすが先輩ですね。


――一方、毎公演ごとに「ONE-MAN TALK SHOW」(1人喋りショー)もございますが、気になる方はいらっしゃいますか?


竹若 今まで千原ジュニアが支配人みたいな感じだったんですけど、今回、千原せいじも出るのは目玉ですね。あと、当初は通常のトークイベントみたいな、決め打ちの内容でトークしている人が多かったんですけど、ジュニアがお客さんからもらったお題で話すっていうのを始めて、(ピース)綾部も続いて、ほぼ全員がその即興形式でやっているんですね。どんどん進化しているので、お客さんも困らせてあげるようなお題を言って欲しいですね。
梶原 僕は、初参戦の村上ショージさんを尊敬しています。いまだにワンコインライブとかやってるんですよ。僕らも一回、ゲストで行かせてもらったことがあるんですけど、あの年齢で、その努力をしている人ってなかなかいないと思うんですよね。
三秋 私はNMBのお兄さん的な方々、ケンコバさんとか、陣内さん、綾部さんとか出られるので、私も緊張します。
梶原 え、安心するんじゃなくて?(笑)
三秋 はい。いつもメンバーがワチャワチャしているのを「よしよし」みたいな感じでまとめてくださって、一人で喋るのを見たことがないので、ちゃんと喋れるかなあって。
梶原 「お兄ちゃん、ちゃんと喋れるのかなあ?」って(笑)。
竹若 そいつらは堂々としたもんですよ(笑)。
高野 私はめっちゃ個人的に、ロバートの秋山さんが好きなんですが、いつも3人でコントやられているので、秋山さんの一人喋りがどんな感じか、見に行きたいですね。


――『THE EMPTY STAGE』を経験されてから、自分たちのネタなどに変化が生まれたりは?


梶原 ネタもありますけど、単純に人が好きになりましたね。祐衣ちゃんにさんざん言ってましたけど、僕もまったく一緒で、人見知りやったんですよ。このステージを経験して、人に興味を持つようになり、後輩に優しくなれたり、人と絡みたくなりましたね。
竹若 カジのこういう姿を見るのは、なかなかなかったんですね。スタッフもめっちゃ喜んでますし、それくらいにまっすぐ取り組める、やりがいのある舞台です。
梶原 最初は絶対自分に向いてないって決めつけてました(笑)。すごく新しいものなので、興味持って、自分も変われました。


――かなり積極的に取り組んでますね。


梶原 積極的に取り組まないと、ええ舞台にならないんですよ。でもね、大概のお笑い芸人はハマってしまうと思いますよ。芸人冥利に尽きるなあと思うこと、何回もありましたから。お客さんの反応もそうですし、気持ちいい時あるんですよ。うまくいったのを一回経験すると、次も同じようにって気持ちにもなりますし。
竹若 りぽぽ(三秋)も、さっき「本番はあんまりちゃんとできてなかった」って、納得いかないような発言してたけど、それはみんなが思っていることなんですね。お客さんが見たら十分楽しいのに、練習でいいのがスパンって出たイメージがあるので。そういう前向きな気持ちを全員が持てるステージでもあります。
高野 私は、人に興味がないわけじゃないんですけども、自分からいくのが苦手なんです。例えば、「連絡先交換しぃひん?」みたいなのも言えないタイプなので、梶原さんがそこまで言ってくれたので、これをきっかけに変われればいいなって思うようになりました。
梶原 番組の楽屋で、ほとんど喋ってなかったんですよ。
高野 その時は、梶原さん、西野さんだったら、梶原さんの方が私に似てるなって思ってました(笑)。
梶原 だから『THE EMPTY STAGE』に合ってると思うねん。成功させて変わってよ。
高野 はい、がんばります。


――最後に、読者へのメッセージをお願いします。


梶原 来たことない人は、一度来て観て欲しいですね。来たことある人は、お題を考えてどんどん言って欲しい。「こんなセンス無いお題なんて...」とか考えずに、僕らはどんなお題でも大歓迎やし、自分も舞台に参加した気持ちにもなれますよ。
竹若 蓋開けてみての勝負でもあるんですけども、チーム作りという面では、いい感じで臨めていると思うので、そのチームワークの良さを観ていただけたらいいですね。そしてカジと一緒なんですけど、チームをぶっこわすようなつもりで、どんどんお題を言っていただいて、最後は少し感動して帰っていただけたらと思います。


――事前にツイッターで募ったり、開場時間帯でのアンケート記入するお題もあるので、ぜひとも積極的にお題を出して欲しいですね。本番も楽しみにしております!


20160723003220-22631059ca8138367dd2ada427fe16efd462c390.jpg

20160723003223-c18625d78465a5abf4c9f3f08c1439299f045062.jpg

【バッファロー吾郎】【竹若元博】【キングコング】【梶原雄太】【三秋里歩】【高野祐衣】

2016年7月22日 (金)

恋愛シェアを描いた『昨日の君は、僕だけの君だった』 出演者、原作者にインタビュー

幻冬舎文庫にて展開されているキャラクターノベルのなかでも、「胸キュン度が高い!」と評判の『昨日の君は、僕だけの君だった』(藤石波矢著)が、8月11日(祝・木)~8月14日(日)、神保町花月にて舞台化されます。


大学2年生の樫井佐奈と「シェア恋愛」する3人の男性による恋模様が描かれており、今回の舞台では元NMB48の三秋里歩、高野祐衣を始め、山添寛(相席スタート)、ランパンプス、倉田あみといったキャスティングでも注目を集めています。


そんな『昨日の君は、僕だけの君だった』の稽古初日となったこの日、演出の白坂英晃さんや脚本の福田晶平さん、原作の藤石波矢さんが見守るなか、本読みとして初めてセリフを交わす面々。
ハラハラの展開に緊張感が張り詰める一方で、読み間違いを芸人ならでは機転で笑いに換えるなど、アットホームな一幕もありました。


その後、三秋里歩、高野祐衣、山添寛(相席スタート)、寺内ゆうき(ランパンプス)、小林良行(ランパンプス)、山田裕磨(いまさらジャンプ)、和田僥倖(衝撃デリバリー)、そして藤石さんを含めた座談会形式のインタビューを行いました。


20160721174125-7d837855654a5c8ea6b556049a1cd1b349f64a9d.jpg

※写真前列左より、三秋里歩、高野祐衣、
後列左より、山田裕磨(いまさらジャンプ)、山添寛(相席スタート)、寺内ゆうき(ランパンプス)、小林良行(ランパンプス)、和田僥倖(衝撃デリバリー)、原作者の藤石波矢さん


     *     *     *     *


――まず、藤石さん。本読みをご覧になったご感想はいかがですか?


藤石 自分で書いたものが元になったものをみなさんが読んでくれているのを見れて、単純にうれしかったのと、面白かったのもあるし、随分恥ずかしいものを書いてたっていう...。
山添 そんなことないですよ。
藤石 これまで舞台化、映像化もなく、今回初めてこういうお話をいただき、豪華なキャストでやっていただくということで、うれしく思っています。


――キャスティングに関してはいかがですか?


藤石 キャスティングをいただいてから現代っ子っぽく検索して、ツイッターとか見て、「ああ、すごい有名な方たちだ」って。


(ここで立てかけてあったパイプ椅子がずり落ちる)


山添 有名ではないみたいですね。椅子がツッコんでます。


一同 (爆笑!)


藤石 みなさんのコントとかを動画で見たり。友達にランパンプスさんの同期にいて、神保町花月や渋谷のヨシモト∞ホールにも行きました。
ランパンプス えー!?
藤石 職場の知り合いに元NMB48のお二人のすごくファンの人もいて、原作に興味なかった人が「観に行こうかな」って言ってくれたり。

20160721173516-492249d8326f0232715a812d5d3f6b0187902e43.jpg


――いろんなご縁がありますね。では、出演者のみなさんはお一人ずつ、自己紹介と役柄についてひとことお願いします。


三秋 樫井佐奈(カシイサナ)役の三秋里歩です。(台本の人物紹介を読みながら)「抜群に可愛いわけではないが、何故か魅力的な女性」です。


――その紹介は、ご自身でどう思われますか?


三秋 うれしいですね。友達の(高野扮する)鶴谷風香ちゃんは、「モデルのような容姿を持つ」ってあるから、あ、よかったって。
高野 なんでや?(笑)
三秋 佐奈は「3人の男性とシェア恋愛をしている」っていう文字だけ見たら、すごい悪い女の子なのかなって思ってたんですけど、ちゃんと考えていて、気持ちもあってそうしてるんだなってすごくわかったので、それを伝えられたらと思います。
高野 鶴谷風香(ツルタニフウカ)役の高野祐衣です。高校生の時からNMB48に入っていて大学に行けず、大学生ライフをしてこなかったので、ここで大学生役が出来て、素直にうれしいですね。風香ちゃんの大人なところが好きです。
小林 平沼泰貴(ヒラヌマタイキ)役のランパンプス・小林です。一番最初にみなさんの共感を得る役というか、一番まっとうな人だと思うんですけど、僕のゆらぎをどう伝えるかというのが、最初の方にかかっていると思うので、そこはがんばりたいです。


20160721173514-4bace1ee4192276cab9722dce3cba523c8707d2f.jpg


寺内 小山田翔(オヤマダカケル)役のランパンプス・寺内です。原作を読ませていただいたんですけど、誰になったら一番ドキドキするかなと思って、それが翔だったので、翔ですごくうれしいです。
山添 まだ稽古次第では、変わる可能性はあるからな。
寺内 ないです(笑)。8月終わるまでは、何があっても死ねないなとは思っています。
山添 三倉春仁(サクラハルヒト)役の相席スタート・山添です。他の男性陣が、(樫井佐奈を)100%で受け入れられへんのに比べて、ちゃんと受け入れた上で楽しんでいるのが、三倉です。ちょっとうらやましがっていただいたり、そういったところを楽しんでいただけたらと思います。
山田 浜野弘樹(ハマノヒロキ)役のいまさらジャンプ・山田です。多分、一番近くで恋愛シェアを観ている友達役で、最終的には...という感じの役です。
和田 宇野役の衝撃デリバリーの和田です。芸歴1年目で、こんな舞台に出られてホントうれしいですし、憧れていた先輩方と一緒に出来るのがすごいうれしいので、一生懸命がんばりたいと思います。


――憧れの先輩がいらっしゃるんですか?


和田 相席スタートさん、山添さんですね。NSCの授業で一回お会いした時に、コンビの名前を覚えてくださって、またこれで一緒になれると思って、うれしかったです。
山添 よかったら記事に書いてください。


――承知しました(笑)。


藤石 出番が短いのに、すごい印象に残りました。
和田 ありがとうございます。犯人とか得意なので、完璧役作りしてました(笑)。


――実際に、佐奈のような女性から恋愛シェアを提案されたら、男性陣は受け入れますか?


山添 多分、僕は受け入れると思いますね。
寺内 僕は一人を大切にした方がいいと思います。
山添 こいつズルっ! 浜野は?
山田 実際そうなってみないとわからないですね。
山添 お前、そんな役ちゃうねん。かっこええ声色したけど。


一同 (爆笑!)


――様々な教員資格を持つ寺内さんにお聞きしたいのですが、教育者としてこうした恋愛はどう思いますか?


寺内 はい。恋愛や性の低年齢化が進んでいる昨今...。
山添 無理すんなよ。
寺内 (笑)。いやでも、誰が見ちゃダメっていう話ではないと思って、人のそういう不思議っぽいことには、過去に理由があったりとか人間としての背景が納得できるお話なので、これを見たからこういう人が増えるというわけでもないと思いますし、これを読んでこそ、そういう価値観がある人を受け入れられる、人の幅の広がるような素敵な作品であると、教育者としては考えます。
小林 よう言うた!

20160721173517-8facbf4b81e1eef2192e5643a68ba010f6e6205b.jpg


――ありがとうございます(笑)。三秋さんは今回の共演者との面識はあったんですか?


三秋 ほぼみんな初対面な感じです。でも、山添さんのライブを観に行ったことがあるんです。音楽の...。
山添 おかしいですよ(苦笑)。
小林 SALTY's!?(※註:ソルティーズは、ヨシモト∞ホールの塩顔芸人によるエアバンド)
三秋 その時、NMB48とAKB48のメンバーと行ったんですけど、みんな山添さん面白いって言っていました。
一同 おー!
山添 そういう意見もあるみたいです。
小林 ぜひ記事にしてください。
山添 これは止めてください(笑)。


――今回の舞台の件で、山添さんの相方の山﨑ケイさんは何かおっしゃってましたか?


山添 ワクワクしていましたね。僕が神保町花月に出ると、ワクワクするんですよ。それは斜めから見てなんですけど、多分、観に来ると思います。「花を出そうかな」っていうのをニヤニヤしながら言ってたくらいですから。


――女性に感情移入しながら観劇するんでしょうかね。


山添 どうですかね。ケイさんは、結構、作品を見るのが好きな方なので、佐奈ちゃんに重ねて、風香ちゃんに重ねて、結局、友達ならこっち、実際私がなるならこっちみたいに、ニコニコしながらワイン飲みながら言うと思います。
寺内 イメージできますね(笑)。


20160721173513-31307b24ea580dba9dc1d7129c598011c28c2498.jpg


――山添さん、三秋さん、高野さんは、『THE EMPTY STAGE 2016 SUMMER』(8/1~8/14)と同時期で、出演日も重なる日もありますね。大変じゃないですか?


三秋 8月に私のお誕生日があるので、その前に、神様が与えた試練かなと思って、『EMPTY』もこっちもがんばって、楽しくお誕生日を迎えたいです。
高野 私は7月も後半に舞台があって(7/26~29『グリムド』)、7月、8月と3つの舞台があるんですが、全然まるで違う舞台なので、大変だと思うんですけど、楽しめたらなと思っています。ファンの人にとっても自分自身にとっても大きな夏になるんじゃないかなと思います。


――では最後に出演者を代表して、山添さんから読者へメッセージをお願いします。


山添 顔合わせ初日にして、脚本、メンバー、全部うまいこと言ってる作品ってあるんやなって実感してます。あとはお客さんが来てくれたら、全部が揃いますね。以上です。


――ありがとうございました!(笑) 本番も楽しみにしております!


20160721173444-7a5a7b5cb1164541035af930ec2450b3832d7193.jpg


【三秋里歩】【高野祐衣】【相席スタート】【山添寛】【ランパンプス】【いまさらジャンプ】【山田裕磨】【衝撃デリバリー】【和田僥倖】【倉田あみ】

2016年7月21日 (木)

東京進出後、初めてルミネで単独ライブを開催するGAG少年楽団をインタビュー! 福井「ようやく足並みと前髪が揃いました」

8月3日(水)、東京・ルミネtheよしもとにて、『GAG少年楽団ルミネ単独ライブ【GAG少年楽団 2016】』を開催するGAG少年楽団。ルミネでの単独は初めて......ということでしたが、実は数年前、DVD収録ライブとして単独を行なったことがあるんだとか。とは言え、東京へ進出して2年、これまでコンスタントに情熱を持って単独ライブをやり続けてきた彼らにとって、今回は集大成とも言える大事なライブになりそうです。
物語性の高い重厚なコントで、各方面から注目されているGAG少年楽団に、今回の単独についての意気込み、さらに福井による"あのキャラ"のことまで、いろんな話を訊きました!

20160720225934-0f7e4d94b066d72e50b7705dd1dffb41babaa6a7.jpg
(向かって左から:坂本純一、福井俊太郎、宮戸洋行)

*  *  *  *  *

――東京進出して以来、単独ライブを定期的に開催されていますよね。上京後初めてルミネで行われるということで、今までとまた違った意気込みがあるかなと思うんですけど。

坂本 どういう思いで挑みたいか、ということですよね?......言わんよっ!
宮戸 いや、言えや!

――お約束ごと、ありがとうございます!(笑)今まで定期的に単独ライブを重ねていますが、手応えみたいなものは感じていますか?

福井 正直、お客さんが増えているという状況ではないんですけど、僕らの熱量というか、ネタをつくる姿勢はだいぶ上がって来ています。
宮戸 今までずっとコントをやってきて、ネタを書くのは福井くんにずっとお任せしていたんです。けど、前回の単独ではほぼほぼ福井くんがつくってくれた台本から、僕ら3人と手伝ってもらっている作家さんとで"このネタのここはどうする?"みたいなネタ合わせみたいなんを朝6時まで、しかも3日連続くらいやったんです。最初はそういうこともやってたんですけど、久しぶりに話し合って練った分、みんなでつくりあげた感もあったし、いいネタがたくさんできたことにも繋がったのかな、と個人的には思ってます。なので、今回もそうやって一緒につくっていけたらなって。
福井 そうですね。今回の単独は集大成くらいに思ってます。

――前回の単独でいいコントができたということですけど、昨年の『キングオブコント』準決勝で、ものすごくウケたとお聞きしました。

坂本 自覚もあります!
宮戸 (笑)あんまり言わんといて! 人から言われるのはええけど、自覚はちょっと......。

――SNS上でも「GAG、決勝いったんじゃないか」とかなり騒がれてましたよね。昨年行けなかった分、今年の『キングオブコント2016』に懸ける思いもまた強いのかなと思いますけど。

福井 もちろん"今年こそは"っていう思いはあるんです。けど、昨年も"今年こそは"と思っていましたし、周りからも準決勝が終わったあとで「いったんちゃう?」みたいなんを言われたのに、ダメやったときのショックがデカ過ぎて。3人とも昨年と思いは一緒なんですけど、"キングオブコント"っていうものを口にする回数は激減してます。
宮戸 ははは! 確かに。
福井 あとあとのことを考えて、ですよ?『キングオブコント』への熱は昨年のままなんですけど、あの怖さは......。ほんまにちょっとショックでした。

――どちらかと言えば、今年は賞レース云々よりもいいネタであり、面白いネタをつくるという気持ちが強いと。

福井 そうですね。それだけに集中しています。
坂本 あれって開催が続く限り、ずっと出られるというか、リミットがないじゃないですか。やっぱり優勝したいんで、それに向けてめっちゃ頑張ると(1つのコントの)尺が4~5分になってきて。そればっかりやってるんで、来てくれるお客さんから「しんどい」って言われたこともありますし(笑)。
宮戸 ふはははは!
坂本 いや、こっちもしんどいわ!って思うんですけど、僕らとしては面白いものを頑張ってやろうということに今も変わりないですね。
20160720230033-f8e7ae809e9e54e8fdda0b81cd0ade4ea2df25b8.jpg
――今回の単独ライブではネタ時間にこだわらず、いろんなネタを披露されるんですか?

福井 そうですね。『キングオブコント』でやろうと思っているネタはほぼ決まっていて。まだ迷ってるんですけど、そのネタも(単独で)やろうかなとは思ってるんですよ。あとは、大阪時代に1回やってるけど東京でやるのは初めてのネタとか......。まぁ、これは自分らでも憶えてないのでほぼ新ネタに近いんですけど、そういうのをやろうかなと。今までにつくったものから面白いなと思うものを集めてやる感じになるんじゃないかなと思ってます。

――先ほども話していたように、まさに集大成的な単独ライブになりそうだということですね。これまでにつくった台本の管理は、ネタをつくっている福井さんがやられてるんですか。

福井 いえ、管理は宮戸くんがやってくれてるんですよ。
宮戸 福井くんがワードで打った台本を、2人でデータ化して共有してます。大阪での1回目の単独、単独をやる前からのコントも取ってあるので、今回、福井くんが先にチェックして。で、この前、全員で打ち合わせのようなものをしたときに"これええんちゃう?"っていう話し合いをしました。
福井 昔は技術とかが低かった分、今やるとだいぶ変わると思うんですよね。台詞もだいぶ変えて結局ほぼ新ネタのようになるんでしょうけど、今それをやったら面白くなるんちゃうかなと。もし観に来てくれる方で"このネタ、なんとなく観たことある"ってなる人がいたら、相当、僕らのことを観てくれてる人やと思いますね。

――掘り起こされたネタが、どんなふうに蘇るのか楽しみにしています。東京進出して2年、大阪時代とは活動的なところに変化は感じていますか?

福井 関西にいたときとやってること自体は変わらないんですけど、宮戸くんの髪型はだいぶ変わって来たなと思っていて。
宮戸 えっ、そこ!?
福井 東京に来て2年、僕らで言うたら結成して11~12年目にして今ようやく、バチッと髪型が決まった感じがするんです。今まで横に並んでいて、宮ちゃんのほうをスッと観ると"髪型、変やなぁ。合ってないよな"ってずっと不安やったんですよ。その不安要素がきちんと固まった今、これでようやく上を狙えるぞ!っていう。
坂本 だって、この前は金髪でしたからね。あれはヤバかった〜。みんなに「絶対悩んでるやん!」って言われてましたもん(笑)。
宮戸 先輩とかみなさん優しい方ばかりなんで、ほんまに悩んでると思って僕には言わずに、相方2人に「あいつ大丈夫か?」って言ってたみたいで。僕はただ自由に生きていただけなんですけどね。
坂本 東京に来てってことですけど、僕はむちゃくちゃ楽しいんです。福井も奥さんがこっち来てくれたから大丈夫やと思うんですけど、宮戸は初めて一人暮らししてるんですよ。で、顔を良く観てもらったらわかるんですけど、(こっちに来てから)目の周りが荒れ出して。ワセリンみたいな薬をめっちゃ塗ってくるんですけど、ビショビショに塗り過ぎてクローンなんかな?と思うときもあったりして。
宮戸 なんなん、その感想! ネタ合わせに行ったら「宮ちゃんのクローン?」って言いながら、鼻押してくる謎の行動してたけど!
福井 上京後、いちばん悩んでいた宮ちゃんが良くなってきた感じがあるんですよね。髪型も然り、目の周りの引っ掻き具合も弱くなってきて。
宮戸 あぁ、それはいい病院が見つかったから。
福井 えっ、気持ちの問題じゃないんですか!?
宮戸 現代の医療ってすごいのよ。ビショビショじゃない薬を処方してもらってから良くなったから、病院のおかげです。まぁ、東京にも慣れて来て、精神面ではだいぶ安定したとは思います。

――(笑)その髪型には、どうやって行き着いたんでしたっけ?

福井 前回の単独で、ですね。宮ちゃんの髪型があまりにも変わり過ぎているっていう幕間のVTRを作ったんです。11年間の髪型を振り返ったら8パターンくらいあったんですけど、時期とともにどこがダメかを説明した上で、僕と坂本くんが似合う髪型を考えてきたのでどっちかにしてくださいってお願いして、次の漫才でその髪型にして登場してもらったんです。で、僕が選んだ台湾の歌手の方の髪型をそのまましてきてくれたんですけど......ビックリしました。

――何に、ですか。

福井 普通、こういう時って出て行った瞬間、お客さんから笑いが起きるんです。けど、僕らを応援してくれている人も、宮ちゃんの髪型を心配してたんでしょうね。あまりにも似合い過ぎてて、大拍手!「カワイイ~!」「似合ってる~!」って......笑いとかじゃなく、声援が上がったんです。そこから、宮ちゃんの漫才の声も大きくなって。
坂本 客観的に似合うと思ったものがハマったかたちですね。

――宮戸さん、ご自身的にも今の髪型はしっくり来てますか?

宮戸 そうですね。正直、相方のムチャぶりというか罰ゲーム的な企画やと思ってたんで、単独が終わってたら元に戻そうと思ってたんです。けど、美容室で切り終わって鏡を観たとき、客席に初めて出たとき、金髪になって心配してくれてた芸人さんの前に出たとき......本当にみなさんが大絶賛やったんで、今では本当に感謝してます。
福井 ようやく足並みと前髪が揃ったということです。
宮戸 上手い感じで言うてるなぁ! 足並みを乱してたんは、僕の髪型やったんですね(笑)。

――足並みが揃った今後に期待ですね。上京して福井さんからはヨイショマンというキャラクターが生まれたわけですが、千鳥さんは「大丈夫か?」「どうしたんや、福井!」「もうやめぃ!」などと、かなり心配されてますよね。

福井 (笑)千鳥さんには「やめたほうがいい」ってアドバイスを受けてるんですけど、言うこと聞かずに続けています。
坂本 昨日も千鳥さんとライブで一緒で。1時間イベントの最後3分くらいでヨイショマンと絡むっていうのがあったんですよ。出て来て喋ってむっちゃスベって、2発目もスベって、3発目に後輩が助けに行ってウケたのにヨイショマンはスベって。で、僕がむりやり行く流れになってスベって......ヨイショマン出てこんかったら、盛り上がったまま終われたのに!と思いました(笑)。
宮戸 そのイベントの合間、ノブさんにご飯へ連れて行っていただいたんです。で、「お前ら、東京に出て来て良かったなぁ」って言っていただいて。「久しぶりに絡んだけど、福井が特に一皮むけてめちゃくちゃオモロなってる。坂本も相変わらず面白いし、このままやればいけるんちゃうか。......ヨイショマン以外は」って言うてはりました。ノブさんもだいぶ気になってはるみたいです。

――福井さんは続けたいんですか。

福井 ヨイショマンを辞めたいって思うときもあるんです。......でも、な~んかわからないんですけど、辞められないんですよね。気付いたらやりたくなっちゃうんです。
宮戸 ......今言うたこと全部、自分で解決できることなんですけどね。

――(笑)どういうときに、ヨイショマンは発動するんですか?

福井 周りからしたら「違うやろ」って言われるかもしれないんですけど、個人的には"求められたとき"と思ってるんです。はい、なぜかわからないですけど。
宮戸 ははは! ヒーローやから、誰かに呼ばれたら出ていくっていうこと?
福井 うん、そういう感覚でやってます。
宮戸 確かに昨日のイベントも、前半のトークコーナーにヨイショマンの話が出たから、福井くんはこっそり変身して最後に出たんです。出た瞬間は、お客さんもおぉーー!ってなったんですけど、以下はさっき坂本くんが喋った状態で(笑)。
福井 ほぼほぼ期待には応えてないんですよね。言ってしまえば、期待もされてないんですよ。必殺技が増えてるわけでもないですしね。
宮戸 まぁ、ヨイショマンを取り巻く環境は、いろいろと流動してるってことはありますけどね。

――今回のルミネにヨイショマンは......。

福井 間違いなく出ないです! 一度、単独に出たことがあるんですけど、全然求められてなかった。お客さんとの距離をすごく感じました。
坂本 まぁ、いつものことやけどなっ!
宮戸 (笑)単独ライブのアンケートで「コントは面白いので、あの変なキャラをいち早くやめてください」っていうのを観たことがあります。
福井 厳しいですよねぇ。舞台上で見せるのはリスク高いんで、終わってすぐ着替えて、ヨイショマンとしてロビーでお見送りしましょうかね。それくらいが、ちょうど良さそうです。

――(笑)GAGさんの全てが詰まった単独になりそうですね。では、最後によしもとニュースセンターを読んでくださっている方々へメッセージを。意気込みをお願いできますか?

坂本 あぁ、意気込みですか。良かった! メッセージっていうから、「クーラー付けっぱなしで寝たら風邪引きますよ」って言うとこでした~。
宮戸 そういうことちゃうやろ! アドバイス的なヤツ!
坂本 ふふふ......できるだけ、いっぱいの人を連れて来てくださーい。お願いしまーす!
福井 今できる僕らの全力を尽くさせてもらいます。
宮戸 『GAG少年楽団2016』っていうタイトルは、2016年までのGAG少年楽団ということです。初めての方も、これまで応援してくださった方もぜひ観に来てください!


【GAG少年楽団】

2016年7月15日 (金)

『ピラミッドだぁ!』脚本、出演のキングコング・西野へ単独インタビュー! ダイノジの魅力から肩書き変更までを語る

8月26日(金)~29日(月)、東京・草月ホールにて上演される『ピラミッドだぁ!』。


本作は、昨年の「ダイノジ活動20周年記念公演『テイラー・バートン~奪われた秘宝~』」の流れを組み、それと同様、公演日によって演出とキャストが替わります。
脚本はキングコングの西野亮廣が務めており、今回の『ピラミッドだぁ!』には、「TEAM ナイスなやつら」のメンバーとして、NON STYLEの石田明らとともに出演も。


そんな本作の鍵を握る西野に、ダイノジとの関係を中心に、演出、キャスト陣の印象や見どころ、そしてワイドショーまで賑わせた"肩書き変更"の件まで、たっぷり話を伺いました。
(※編集部註:インタビューは7月初旬に敢行)

20160715002837-8e47921b98bf67da0d4d72084b8e8283548e49c8.jpg

 
   *   *   *   *
 

――『ピラミッドだぁ!』の初演は、2014年2月の神保町花月でした。この話を書こうと思ったきっかけなどはありましたか?


どうやったっけなあ...。でもね、町おこしの話なんですよ。今もそうなんですけど、町おこしの話が自分の中でワーっとなっていた時だったので、地域創生、町おこしの話をひとつ作りたいなあというところだったと思いますよ。


――昨年の『テイラー・バートン~奪われた秘宝~』は、ダイノジさんから脚本をお願いされたそうですね。


そうです。お2人揃って、僕の仕事場までわざわざ来てくださいました。大先輩からコンビでお願いされるなんてなかなかのことじゃないですか。ダイノジさんの20周年記念公演だし、ちゃんとしようと思って書いたんですが、「西野、今年も20周年記念やりたい」って言い出してきて(笑)、「じゃあやりましょう」と。


――書き下ろしという選択肢もあったかと思いますが、どうして『ピラミッドだぁ!』に?


ダイノジさんが今、DJダイノジとして、地域をまわって、町おこしみたいなことをされていて、まさにぴったりなテーマだなと思い、『ピラミッドだぁ!』を提案したんですね。そしたら「いいね」ってなって、最終的にはダイノジさんが決めていただきました。


――ダイノジさんは、『テイラー・バートン』にすごく手応えを感じたようで、喜劇をやっていくという気概も出来たようですね。


今でもそうですけど、もともと僕が20歳から、自分の師匠みたいに立ち振る舞ってくれたのが、劇作家の後藤ひろひとさんでして、ダイノジさんも後藤さんのファンなんですよね。そういう経緯もあって、馬が合ったのかもしれないです。僕はもろに後藤さんから影響を受けて、人生がだいぶ変わっちゃったんですけど。


――それまでダイノジさんとの接点は?


大谷さんとは、"嫌われ芸人"みたいなくくりで(笑)、ライブで一緒になるくらいでしたかね。でもDJダイノジを見た時に、めちゃくちゃ面白いなって思っていたんですね。その当時は、ほとんどの芸人が、「芸人のくせにDJやりやがって」とか馬鹿にしていたんですが、僕はそういうやり方があっていいんじゃないかなって思ったんです。盛り上げ方が見事で、これは一流の芸だなと、すごいリスペクトしました。


――生でご覧になられたんですか?


客として何回か見に行きましたけど、見事ですよ。そういう芸人さんがいてもいいと思うし、僕はダイノジさんに「肩書き、変えろ」とは言ってるんですよ。


――そんな話を(笑)。


「DJの方がいい。漫才師がDJやるより、漫才の上手いDJの方が引きがある」って。そして大地さんは天才コメディアンで、大地さん自身も、ポスト西田敏行を狙ってるらしいですが(笑)。このチラシだって、ホントだったら梅田彩佳ちゃんや山田菜々ちゃんにした方が引きがあるのに、きったないおっちゃんのワンショットで(笑)。


20160715002808-a6766a96faab8fc1bc73e36711b7a6cb2a6f427a.jpg


――YouTubeの『毎日キングコング』で、西野さんがチラシのデザインされていましたよね。


デザインっていうほどのものじゃないですけど、でも大地さんの顔があった方がいいっては言いました。コメディアンとしての才能と魅力が、よしもとの中でも突出してるからです。バレるのは時間の問題だと思いますよ。一流コメディアン、役者さんとして、世の中にバレるのは時間の問題。勘の悪い奴はわかんないかもしれないですけど、抜けてる感じはしますね。


――そして、演出の一人、山口トンボさんとの付き合いは長いですね。


もう10年くらい、自分のまわりにずっといてくれてる優秀なスタッフですね。


――何かそうなるきっかけはあったんですか?


今や売れっ子作家なんですけど、10年前、僕が飲んでいる時に、ブロードキャスト!!の房野くんが、山口トンボを連れてきたんですよ。それまで芸人をやってたんですけど、「明日から名古屋に帰って作家をします」って言うから、「ダメダメ。作家はいいけど、東京来たんだから、東京で一回やれ」って言って、その翌日から今までずっと一緒にいますね。明るかったんですよね。明るくて、よく笑うし、いいなと思って。


――その山口さん演出の「TEAM ナイスなやつら」の一人として西野さんも出演されますが、座組を見ての感想は?


素晴らしいですよ。キャスティングは、基本的に各演出の方が決められたんですけど、梅ちゃん(梅田彩佳)は、去年の『テイラー・バートン』をお客さんとして見に来てくれていて、終演後に「こういうの演りたいんです」って言って来てくれてたんですね。番組でも一緒になるんですけど、もともと舞台とかミュージカルに力を入れているので、楽しみです。あとエハラ、ブロードキャスト!!も古い付き合いですし、さらば(青春の光)も仲いいですし、面白そうですね。


――GO!皆川さんは、西野さんとは対極の芸人、ギャガーといった印象ですが。


僕も山口トンボもアニメの『タイムボカン』シリーズが好きで、それに出てくるような顔の奴がすごい好きで、皆川や(さらば青春の光)森田はそれなんです。THE 抱きしめるズというバンドでドラムを担当しているサンライズ太陽も、いい顔していて明るい。演技とかしたことないだろけど、声が大きいし、なんとかなるやろうって感じですね(笑)。


――一方の「TEAM ダイノジ」で気になる方はいますか?


演出の川尻恵太くんが結構仲良くて、川ちゃんがどういう演出するのか楽しみですね。僕と同い年なんですけど、同い年のトップだと思います。


――ダイノジさんに川尻さんを紹介したのが西野さんだとか。


そうでしたね。川ちゃんは、ずっとラーメンズさんとかとやってて、舞台のことは熟知しているし、ダイノジさんがずっと喜劇をやっていくのであれば、川ちゃんと組んだらいいだろうなと思って、お薦めしました。面白い人はどんどん世に出て行った方が、いいなと思うので、川ちゃんは楽しみですね。


20160715002806-964e5014f08587a4d752d8ea0b009c8797c0186d.jpg

――近況的なお話もお聞きたいのですが、肩書き変更を宣言されたこの一週間くらいはいかがでしたか?
(※編集部註:6月28日放送のテレビ朝日『EXD44』にて肩書きを"芸人"から"絵本作家"へと変更した)


もうバタバタですよ! 肩書き変えると、こんなバタバタするんや。『ワイドナショー』でも松本さんがコメントしてくださったり...、バタバタしましたね。また先に言っておきますけど、2週間後くらい、番組とは無関係にまた肩書きが変わるんですよ。肩書きって、前からすごく興味がなくて、でもみんなすごく肩書きのことやたら言うじゃないですか。僕自身が「芸人とは肩書きではなく生き様だ」とか言ってるくせに、芸人の肩書きをずっと大事に持ってて、説得力がないと思って、一回捨てちゃおうかみたいな感じで。今はパインアメの「特命配布主任」なんですけど(笑)。


――それも斬新ですよね(笑)。


肩書きを変えたら、世間の人がみんな怒るんですよね。それは勉強になりました。最初、フジテレビの夕方のニュースで紹介されたんですけど、アナウンサーの方が、まじめな口調で「今後、"おもしろ絵本作家"として活動されます」って言ってて、それはすごくいいなと思いましたね。変な響きの肩書きで、アナウンサーさんをやんわりすべらせるって(笑)。


――あと、テレビ東京『ゴッドタン』の反響はどうですか?


面白いって言ってもらえるんですけど、あれで評判がいいっていうのはどうなんでしょう(笑)。前回は、僕と劇団ひとりさんが、ただ服を破りあってるだけの泥仕合で、これまでも血を吐くほどすべらされていますね。最近、『ゴッドタン』で処刑されるために、鼻を伸ばしているような感じがしてきました。3、4ヶ月に1回くらいのサイクルで呼ばれて、ボロカスにされて、落ち込んで帰ってくるんですけど、それでちょうどいいのかもしれないですね。『ゴッドタン』がないと調子に乗りすぎちゃうから。


20160715002804-2271fe844f81ce5fb8dbf0c4eee9c60c44e50c33.jpg


――次回出演も楽しみにしております。では、最後に読者へメッセージをお願いします。


はい。『ピラミッドだぁ!』は、月並みで申し訳ないですけど、石田くんもダイノジの2人も、出演者のみなさん、ホントに面白い人たちしか出てないですし、演出の2人も素晴らしい才能をお持ちですから、来て損はないです。来なかった後悔するように、ほめまくっているリツイートしまくりますからね(笑)。


――脚本についてもひとことお願いします。


さびれた鉱山の町でたまたま見つかった炭鉱が、正四角錐ということがわかって、日本初のピラミッドとウソをついて、もう一回町を活性化させちゃおうぜ...みたいな話なんですけど、そんなウソがうまくいくわけがなくて、結局、加害者ゼロ人、全員被害者っていうお話になってます。これは自分がもの作りする際に決めてるんですけど、今回に限らず、ハッピーエンドですので、親子でも楽しめます。


――「TEAM ナイスなやつら」と「TEAM ダイノジ」の両方を見て、見比べる楽しみもありそうですね。


そうですね。多分、「TEAM ナイスなやつら」の方が台本や演出に従って、キッチリやると思うんですよ。ダイノジさんはそこを壊しにいくと思うので、おそらく全然違うものになって、両方楽しめると思いますよ。

2016年7月 6日 (水)

初共演の2人がお贈りする、落語初心者大歓迎の『さる・ごりら~落語会~』 柳亭小痴楽×桂三語インタビュー!

7月17日(日)東京・神保町花月、8月21日(日)大阪・朝日劇場で『さる・ごりら~落語会~』 を開催する柳亭小痴楽さんと桂三語。ともに落語界若手のホープとして活躍中ですが、実はほとんど面識がなく、会って話すのはほとんどこの日が初めてだという2人に、今回の落語会への意気込みやお互いの印象など、気になることを聞いてきちゃいました!
20160706175533-be4c76d7149cd2ebccceaffe3969da3a68ebdcc8.jpg
柳亭小痴楽(写真左)、桂三語(写真右)

――お2人は今日がほぼ初対面なんですよね。

桂三語(以下、三語) ちゃんと会ったのは今日が初めてですね。

――今回、『さる・ごりら~落語会~』ということで、チラシにはお2人の似顔絵(?)っぽいさる(小痴楽)とごりら(三語)のイラストが描かれてますね。

三語 僕はほんまに大阪でも先輩方から「ゴリラ」って言われてますんで......自分では自覚ないですけど。でもお兄さん(小痴楽)は......、
柳亭小痴楽(以下、小痴楽) オレ、ねずみってよく言われる。学生の頃は「さる」って言われてたんだけどね。
三語 そしたら今日から「さる」にしてもらってもいいですか?......あ、でもねずみ、似てますわ。
小痴楽 やだよ。やめて(笑)!
三語 いや、でも今回のチラシが落語会っぽくないじゃないですか、なんかポップで。僕はこういうの慣れてるんですけど、東京の方ってやっぱりイメージを大事にしはるんかなと思って、気になってたんです。
小痴楽 僕結構チラシ凝るタイプなんですけど、『トレインスポッティング』とか『シャイニング』なんかの映画のチラシをまるっきりパロディにしたりとか、一切落語会のチラシってわからないようなものを遊びで作ったりしてるんです(と言って、チラシの映像を見せてくれる)。なるべくわかりにくいのが好きなんです。「何コレ?」って目を引くので。
三語 それはありますね。

――このチラシ、神保町花月で目立ってましたよ。

小痴楽 ホントですか!? ありがたい。

――この落語会を2人でやろうと思ったのはどんないきさつがあったんでしょうか。

三語 僕は前々からお兄さんのことは知ってましたし、「すごい方だな」と思ってたんです。でもお会いするきっかけがなくて......片思いみたいなもんですよ、「いつか会えるやろ」って。そしたらうちのマネージャーが「三語さんに合う人見つけました」と。それが小痴楽さんで。

小痴楽 光栄でございます。

――そんな片思いの相手に今日初めて会われて、第一印象はいかがでしたか?

三語 想像通りの方でしたね。あんまりハズすことないんです、僕。人と会って、思ってたのとイメージが違うってこと、あんまりなくて。師匠(桂文枝)だけはイメージと違いましたけど。

小痴楽 (笑)。

三語 ホンマに、これはいい意味で。最初、むちゃくちゃ怖い人やと思ってたんですよ。弟子に入ったときは「怒られっぱなしの日々を送るんやろな」と思ってたんですけど、めちゃめちゃお茶目な人なんです、うちの師匠は。

――へえ~! 私もなんとなく、ちょっと怖い方なのかと思ってました。

三語 そうでしょ? 僕もそう思ってたんですけど、めっちゃお茶目ですよ。ギャグもかましてきますし、プロレス技もかけてきますし。

小痴楽 マジですか!?

――じゃあ、修行の辛さはあまりなかったんですか?

三語 修行中は、よその一門はみんな「しんどい」って言うてましたけど、僕は修行中は楽しかったですね、どっちかというと。もちろん自分の時間はないですし、遊べないですから、そういう意味ではイヤな部分もありますけど、トータルで見たらものすごい得してるし、いい思いをさせてもらってたなって。忙しい師匠でしたから、その分他の噺家さんに会う機会もなく、ずっと師匠のことしか見てなかったですけど、今になって考えたら、ものすごくいい時間をすごさせてもらってたなって思います。

――小痴楽さんは三語さんの第一印象はどうでしたか?

小痴楽 僕、どういう人か一切わからなかったので......。正直声をかけてもらうまで知らなかったんです。一応1回会ってるんですよね。でもそのときは自分の高座で新作をやるっていうのでいっぱいいっぱいで、正直挨拶をした人も覚えてないぐらいだったんで......。名前は聞いたことあるんですけど会ったことなかったんで、今日も「新作やるんだよね?」って聞いたら「違う」って言われて、「基本は古典が多いです」って。こういう会では新作2本対古典2本だろうな~と思ってたんですけど、古典をやるっぽいんで楽しみですね。僕は新作の人だと思ってたんで、イメージと逆でした。
20160706175721-7120fed6711e637009060e647fba462be15e2f78.jpg
――今って、落語にあまり馴染みがない人が多いと思うんですけど、初心者の方でも落語を楽しめるコツってありますか?

三語 あんまり構えん方がいいと思いますね。

小痴楽 それですね(笑)。いうほど敷居高くないよ、みたいな。

三語 たとえば、めっちゃ話題の映画があって、期待して行ったら「わちゃ~!」みたいなことって多いじゃないですか。ハードルが上がってるから。もちろん、人間初めてっていうのは期待値上がると思うんで、難しいんですけど......そのギャップをいかに崩していくかですね。

小痴楽 だから、2000円(チケット代)を落っことしたって思えば......、面白かったら「1800円戻ってきたな」とか思えるし。それでも200円損してますけど(笑)。「古典落語を観に行くぞ!」って思って来てくれた人のことはいい意味で裏切れると思うし、先入観をあまり持たずにまっさらの状態で来てもらえれば、新しい落語のイメージを与えることができると思うんですけど......、それがいいか悪いかはひとりひとりの好みで。ただひとつだけ言っておきたいことは、落語会を見てふたりとも面白いと思わなかったとしても、落語を嫌いにならないでほしい、っていうことですね(笑)。たまたまこの2人がダメだっただけで、他にもいるからね、って。それだけは忘れないでくださいって。「今日がダメでも、明日また来てごらん?」って(笑)、初めての人にはよく言うんですけど。僕はお金を払って寄席に通った経験が今まで一回もないんで、お客さんというものになったことがなくて......感覚がわからないところもあるんですよね。

――三語さんは、弟子入りされる前から落語が好きだったんですか?

三語 いや、落語聞いたことなかったですよ? 弟子入りするまでは。うちの師匠の落語をたまたま見て、「やりたい!」って思って。ふだんやったらやりたいって思ってもそこで止まってると思うんですけど、1歩踏み出して、手紙を書いたんですよね。そこで人生変わったみたいなもんですから。うちの師匠は忙しい人ですし、弟子もずっと付いてますから、タイミングってあるんですよね。たまたまタイミングが合って、ちょうど入れたっていう。

――でも、手紙を書いて、それですぐ弟子入りできたってすごいですよね。

三語 これはマジの話ですけど、手紙を書いたとき、めっちゃがんばって丁寧に書いたんですよ。喫茶店で一字一字時間をかけて。で、送って。師匠に届いたんでしょうね。初めて会ったときに、「君な、字きれいやけどな、桂が柱になってたで」って。

小痴楽 (爆笑)。

三語 僕、「柱三枝さま」って書いてたんですよ。

――いちばんダメなやつじゃないですか(笑)!

三語 そうそう(笑)。わざとじゃないですよ!? でもたぶん、まったく気づかなかったのがよかったんでしょうね。面白いやつだと思ってもらえたみたいで。
20160706175802-84698d786e5cae53af3aa54e76dd31a3856a2d19.jpg
――いい話ですね(笑)。ところで、お2人は落語家の中では若手だと思うんですけど、若い人に落語に興味を持ってもらうための工夫はされてるんでしょうか?

三語 上方はあんまりそんな風が吹いてないんですよね、僕の勝手な解釈ですけど。で、東京の方を見ると、今ちょっとブームというか、メディアなんかにも落語が取りあげられてますし、それを上方にも持ってこなあかんなっていうのはうちの師匠も言ってますし、どうにかせんとなっていう空気はありますけど。これ(落語会)をやることによって、そういうのを学ぶきっかけになったら......っていう気持ちもあるんですよね、僕は。どういうふうに東京のお兄さんたちはやってはるんやろうっていう。もちろんルックスとかもあると思いますけど、ただそれだけではないじゃないですか。何か他に魅力があるからお客さんも付いてるわけであって。そういうのを盗みたいですね。

小痴楽 YouTubeに落語を上げたりとか、やってる人はやってますけど、僕はそういうのはやってないんですよね。ただ、ありがたいことに今、若い子たちが見に来てくれてるんで、来た人たちに「面白かった」って思ってもらう工夫はしてますけど。昔はそれこそ、落語がボケで、お客さんがツッコミで成立してたんですよね。でも今の、20~40代くらいのお客さんは、ボケとツッコミの1セットを見せてやっと笑うんで、そういう意味でいうと、落語の笑わせ方をちょっと変えたりだとか、フレーズで笑わせるシーンがあったりとか、そういう工夫はしてます。昔からの常連のお客さんの中には、そういうのを無粋だと思っていやがる人もいると思いますけど......。ただ「ここだけは守ります」っていう部分はあって、それは僕の場合「口調」なんですね。落語の本質のよさの部分というか、核だけはちゃんと壊さないようにっていうのは心がけてますけど、その兼ね合いはやっぱり難しいです。でも、そこがやってて楽しい部分でもありますね。あとは、来やすいパッケージというか......、毎週金曜日、同じ場所で、このメンバーが1000円で見られますよっていうのが今うちの協会では当たって、若いお客さんがよく来てくれるようになりましたね。もう3年くらいやってて、30人程度でいっぱいになる会場ではあるんですけど、最近は毎回席が埋まるようになって。

三語 やっぱりやり続けるのって大事ですよね。お客さんも育つし、やり手も研鑽して上達していくわけですから。

――なるほど。小痴楽さんは「ボケとツッコミの1セット見せないとお客さんが笑ってくれない」って話されてましたけど、大阪でもそうなんですか?

三語 常連のお客さんとかはツッコんでくる人もいますけど、やっぱりそれはその場の空気ですね。「この子にツッコんだら面白そうやな」って思うと、ツッコんで来る人多いですね、大阪は。
20160706175837-ea8590674c10e6625116f6dc7f5195778015adad.jpg
――落語のいちばんの魅力って?

三語 普遍性じゃないですかね、やっぱり。古典落語は300年前からありますけど、現代社会に置き換えても「そんなヤツおるなぁ」とか「アホやなぁ」って共感できるところがいっぱいあると思うんですよ。これはやっぱりみなさんが研鑽して創りあげたというか、伝え続けてきたものがあると思うんで、それはすごいと思うし、それを伝えられる幸せがあります。

小痴楽 僕は「愛情」ですね。出てくるキャラクターがみんな好き合ってて、ただの一日の話なだけなんですけど、その一日が面白いんですよね、愛情にあふれてて。それをいかに伝えるか。出てくる人みんな「バカだなぁ」なんですよね。くだらない、バカなことやってて。やってるこっちもバカなことやってるから、来てくれるお客さんにも「この2時間だけバカになって」って思いますね。そしたらたぶん面白いから、落語は。

三語 基本的に悪いヤツ出てきませんもんね、落語って。

小痴楽 出て来ないですね~。 

三語 『サザエさん』みたいなもんですよ。あんな感じの世界観なんですよね。

――今回の「落語会」には、どんな人に来てほしいですか?

三語 若い人に来てほしいですね。僕らもまだまだ若いですし、新しいお客さんを作り上げる......っていうんじゃないですけど、これをきっかけに「落語って面白いんやな、身近なもんやねんな」って思われるような落語をしたいと思ってるんで。もちろん、常連さんに来んとってくれって思ってるわけじゃないんですけど(笑)。「来るもの拒まず」じゃないですけど、来てくれたお客さんを楽しませたい気持ちはあるんで。

小痴楽 欲をいえば、ふだんから落語を聞いてて、僕らのことも知ってるよ、っていうお客さんたちがちゃんと来てくれて、それでその人たちが笑いを引っ張ってくれて、僕らのことをあまり知りませんっていうお客さんがそれにつられてくれるといいなって......まぁそこまでお客さんに頼っちゃいけないですけど。でもそれが理想ですね。

――最後に一言メッセージをお願いします。

三語 落語を初めて聞く人も、聞いたことある人もぜひ来てもらいたいんですけど、この2人が出てるからとかじゃなく、落語を聞くきっかけのひとつの扉になれればいいなと思ってます。

小痴楽 バカがバカやるんで、バカになりに来てください!
20160706175919-b8007dc5d5160cf170ff2ab9d46047a42d95ffe5.jpg
20160706180018-b9d3591247c8685587c06ac2fcf0b152a014dad0.jpg


【桂三語】

2016年6月30日 (木)

ノブコブ・徳井「観たら度肝抜かれる!」と太鼓判!!『スラバのスノーショー』クラウンのヴァーニャ・ポルニンさん&アレクサンドル・フリッシュさんとインタビューを敢行!

7月15日(金)から26日(火)まで大阪・森ノ宮ピロティホールで、7月30日(土)から8月14日(日)まで東京・シアター1010(センジュ)にて、『SLAVA'S SNOWSHOW スラバのスノーショー』が2年ぶりに開催されます!

本ショーは、世界的に著名なクラウン(道化師)であるスラバ・ポルニンが創作・演出する"体感型ファンタジーショー"。世界7ヵ国15以上の国際演劇賞を受賞し、世界30ヵ国以上120を超える都市で500万人を動員。日本では2014年に初めて上演されました。
もうすぐ始まる大阪公演を前に、クラウンを務めるヴァーニャ・ポルニンさん、アレクサンドル・フリッシュさんが来日! 2015年2月に行われたイタリア公演にクラウンとして参加した平成ノブシコブシ・徳井健太とともに、取材に応じました。
ちなみに、公演中は一切会話をしないクラウンですが、鼻の装着有無がプライベートとの境目になっている様子。鼻を取って行なったインタビューでは、いろいろなお話を聞くことができました(以下、敬称略)。

20160630171150-48388791af65d5a7442b8ebd379bda06f12e1b93.jpg
(向かって左から:ポルニンさん/徳井健太/フリッシュさん)

*  *  *  * *

――お2人とも、ようこそ日本へ!

フリッシュ ワタシタチハ、ニホンノミ~ナサンニ、シアワセトホホエミトヨコロビヲ、オ~~~トドケスルタメニ、SLAVA'S SNOWSHOW! ヤッテキマシタ! ハイッ!!!
徳井 この日本語だけ、覚えて来たんですって。

――ありがたいですね。

フリッシュ 日本に来るのを、本当に楽しみにしていました。『スラバのスノーショー』は移動距離でいうと、地球を3周していて。
徳井 うわぁ、すごい!
フリッシュ パプアニューギニア、アラスカなど至るところへ行ったのですが、2年前まで日本にだけ行ったことがなかった。そして、昨年1年間は日本に来られなかったのですが、その間、私は不思議な謎の国・日本ってどういうところなんだろう?と思い、いろいろ調査しました。例えば、日本人は「公演のとき、どれくらい雪の結晶を巻くのですか?」とか不思議な質問をするんですよね。
徳井 あぁ......確かに訊くかもなぁ。
フリッシュ 安部公房の小説も読みました。その本に、蝶々は寿命が短いから1日しか生きないと書いてあった。雪も同じです。降って溶けてなくなっていく。で、雪が落ちている間、空想、夢、期待、失望......あらゆるファンタジーを全部働かせることが大事なんです。日本のみなさんには『スラバのスノーショー』を観て幸せになってもらいたいと、心から思っています。

――日本に好意を持ってくださっているようで、嬉しいです。来日しての、日本の印象は?

ポルニン 僕は小さい頃からなぜか日本が大好きで、ずっとファンだったんです。でも、なぜ日本がこんなに好きなのかはわからない。日本人にはそれまで会ったことはそんなになかったし、日本の文化に何か触れていた訳じゃないのに、すごく好きだったんですね。もちろん、2005年に初めて日本へ来たときも、僕の期待は裏切られなかった。だから、また日本に行けると聞いたときは嬉しくてたまらなかったんですし、今回も日本のお客さまと一体になってショーをつくることができればと思っています。僕達のいちばんの目的は、観客の心を開くこと。ショーの中で何が起きるかが大事なのではなく、観客の心を全開にしてファンタジー、謎、空想、夢......そういった世界にお連れすることが大切なことなんです。そういう点では、宮崎駿さんの世界にも通じるものがあるんじゃないかと感じているんですけど。
徳井 へぇ、宮崎駿! 知ってるんだね。
ポルニン アニメーションという手段を通じて、観る人の心の中に空想の世界を広げたり、勇気やメッセージを与えたりされていると思うんです。僕達もそうだと思います。
フリッシュ 僕にとっても、日本は特別な国ですよ。確かソ連時代だったと思うんですけど、初めて訪れた外国が日本でした。服装、空想、人々......全てにオリジナルのものが詰まっている小さな劇場は、いろんなたくさんの発見が詰まっていました。だから、今回も僕達からわぁわぁと働きかけるのではなく、オリジナルな部分を自ら開いていけるように接していけたらなと思ってます。うちのカンパニーのメンバーは、日本でのお土産としてカメラとかの電子機器を買って帰るんですけど、僕はその当時、100円ショップ(註:本人談。おそらくリサイクルショップ)で古い自転車を買って持って帰ったんです。
徳井 自転車!?
フリッシュ そう。日本の自転車技術は発達しているから、ちゃんと真っ直ぐに立つスタンドが付いてたんですよ。他の国のものだと片方しか付いてないでしょう?
徳井 あぁ、斜めになっちゃうよね。
フリッシュ そういうところに、日本人の心配りというかバランス感覚を感じましたね。その自転車は50年経った今も健在で。
徳井 ふふふ......それ、本当?
フリッシュ サドルは変えなければいけなかったけど、まだ使えるよ! あと、ロシアには自転車の前にカゴを付ける文化がなかったんだけど、日本のものには付いている。ロシア人は自転車の後ろへ荷物を適当に付けて、走ってる間に落っことしたりするんだけど、日本人は前に付けたカゴに入れて操縦する。文化が発達していてるよね。あと、日本の自転車は......。
ポルニン ......ふっ!
徳井 自転車の話でインタビューが終わっちゃうよ?

――(笑)話が止まらなくなっちゃいましたね。徳井さん、ローマ公演に参加された感想を教えてもらえますか?

徳井 すっげぇ良かったです。日本にない文化っていうか感覚を持っているから、刺激を受けました。日本のみなさんも何度も観たくなると思います。それにね、クラウン全員のやることが毎日変わるんですよ。僕はいつも舞台袖から観ながら"あぁ、この人は昨日はあれだったけど、今日はあの役をやるんだ"とかいろいろと思っていた訳です。だから、毎日楽しかった。ね? そういうことでしょ?
ポルニン どうなんだろうね。参加した意識として、日本人のためにショーをするのと、ヨーロッパ人......前回はイタリア人だったけど、その前でショーをやるのとで意識の変化はあったの? もし仮に今回、日本公演で舞台に立つことを想像したら、ローマ公演と変わると思う?
徳井 あぁ......イタリア公演のときは日本人としていなかったと思いますよ、あの場に。みんなと同じようにって感じだったかな。
ポルニン いいね!
フリッシュ そこが研修の課題だったんだよ。自分がどこから来て、どこにいるのかっていうことを忘れることが、『スラバのスノーショー』では大事なことなんです。雪の物語に入り込んで、夢中になることが重要なんだ。

――じゃあ、徳井さんは第一段階をクリアしていたということですね。

徳井 そこはね、そこだけだよね?
フリッシュ このショーにはいろんな面白いシーンがあるんです。例えば、スラバが古い旅行カバンを持って出て行くシーンがあるんですけど、旅行カバンは今を表現していて。旅行する人のカバンっていうのは、持つ人によって詰まっているものが違っているでしょう? 歯ブラシを持っていく人もいれば、期待を込める人もいる。で、スラバが旅行カバンを空けた瞬間、あるものが出て来るんですけど......それはぜひ劇場で観ていただければ。

――多くの方に体感いただきたいですね。徳井さん、やはり最大の山場であり、見どころはあのシーンですよね?

徳井 最後の雪でしょう! 日本人が思っている5倍くらいの体感ができるので思わず拍手してしまうでしょうし、度肝抜かれるはず。あれを観るだけでも、ものすごく価値があると思います。

――先ほどポルニンさんが「お客様と一体になってショーをつくりたい」と話されていましたけれど、一緒に楽しむのが苦手な日本人って非常に多いと思うんです。映画とかでもそうですけど、観客はただ座って静かに楽しむという興行のスタイルが一般的なんですね。

徳井 そうそう。恥ずかしがっちゃいますからね。

――だから、ポルニンさんとフリッシュさんに『スラバのスノーショー』を一緒に楽しむためのメッセージをいただけたら嬉しいです。

ポルニン そうですね。まったく緊張する必要はないので、そのまま何も考えないで観に来ていただければいいんじゃないでしょうか。つい遠慮して自分の反応を出さないようにする方もいらっしゃるかもしれないですけど、どんどん自分を素直に表現していただければと思います。クラウンは観客の反応を栄養にして元気になっていくので、お客さまが心を開いて反応してもらえればもらえるほど、クラウンも活発になって面白く動くことができる。だから、自由に楽しんでください!
フリッシュ 僕達はみなさんをお客さまとしてだけではなく、同じショーをつくる参加者として歓迎したいと思っています。公演が終わったら、ぜひ雪のかけらを1つずつお持ち帰りください。枕の下に置いて寝ると、雪のお話が出て来ますよ!
20160630171344-3da5ff7cddc4268265184b2c54d872f65e139c14.jpg


【徳井健太】【平成ノブシコブシ】

2016年6月22日 (水)

『ココリコミラクルタイプ』の田中直樹×福田雄一×金子傑が再び集結! 7月9日(土)公開の映画『だCOLOR?~THE脱獄サバイバル』主演・田中直樹インタビュー!

が設立した映画会社KATSU-doと、フジテレビの共同製作によるシチュエーション・コメディ『だCOLOR?~THE脱獄サバイバル』。

物語の舞台はN国。とある部屋に集められた3人の終身刑の政治犯は、新たに制定された政治犯削減法により、本人からは見えないように〈赤・青・黄〉どれかの帽子を被せられ、自分が被っている帽子の色をいちばん最初に正しく言い当てた者だけが釈放され、誤回答すると即死刑という恐ろしいゲームに参加しなければならなくなる。果たしてどの男が生き残れるのか――。

脚本はドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『コドモ警察』、映画『HK 変態仮面』などさまざまな作品で独特な世界観を描いている福田雄一さん、監督はかつて福田さんとバラエティ番組『ココリコミラクルタイプ』でディレクターを務めていた金子傑さん、さらに3人の囚人のひとりをココリコの田中直樹が演じるという、『ココリコミラクルタイプ』のトリオが久々に結集した形となった今回の作品について、主演のココリコ・田中直樹に映画の見どころや撮影時のエピソードなどを聞いてきました!
20160622162959-f8c44ba6b1b606208fbb410be944cc3aed3cfecc.jpg
――最初にこの映画の話を聞いたのはいつ頃ですか?

2014年の年末頃に金子監督から「こういう作品を撮りたいんだけど、すごく楽しい映画になると思うので参加してくれませんか?」っていうお電話をいただいて「ぜひぜひ、お願いします!」って返事したと思います。

――元々『ココリコミラクルタイプ』で一緒にお仕事をされていたトリオでのタッグということですが、以前から「いつかまた一緒にやりたいね」みたいな話はされていたんでしょうか。

そうですね。番組が終わってからも、僕と金子監督とか、僕と福田さんとか、それこそ3人で会うときもちょくちょくありましたし、「なんか面白いことできたらいいですね」みたいなことは話してたんですけど、なかなか具体的な形にはならなくて。で、ちょっとしばらく金子さんとも福田さんとも会えてなかったタイミングでこのお話をいただいたので、すごく嬉しかったことを覚えてます。元々、金子監督にも福田さんにも20年以上お世話になってるんですよ。金子監督はフジテレビの社員さんなんですけど、それこそ僕が23~24の頃からお世話になってるし、福田さんはほとんどデビュー当時からお世話になってて。銀座7丁目劇場に作家さんとしていらっしゃったので、舞台とかコントとかもみてもらったりしていたので。

――じゃあ、撮影現場はやりやすい雰囲気だったんでしょうか?

やりやすかったです。もちろんスタジオコントとは違うと思うんですけど、やっぱり気心しれてるといいますか、何をいちばん大事にしてるのかっていうのが明確にわかりやすいというか――それはもちろん単純に"笑い"なんですけど、どういったものを撮りたいかっていう気持ちは、やっぱり一緒にやらせてもらってたので、わかりあえるところはあるのかなって思います。
20160622163106-0bd0d0fe96762c8cac5701278e1fd80388bc129f.jpg
――田中さんから見て、福田さんはどんな人ですか?

福田さんは脚本自体が面白くて、会話のやりとりやキャラクターも魅力的な作り方をされるなぁと思いますし、その上で「全然自由にしてくださいね」っていう人なので......あくまでも僕の印象ですけど。金子監督とも共通するんですけど、最終的に作品が面白くなればいいっていう。それがすごく明確なんですよね。「どうしてもこれがやりたい。これが面白いでしょ?」っていうのはもちろん伝えてくれるんですけど、それ以上に「もっとアドリブを足してくれていいし、ホン(脚本)を壊してくれてもいいよ」って言ってくれるイメージがありますね。それは昔からずっとそうです。

――じゃあ、ヘンなこだわりがないというか、作品が面白くなるのであればそれは誰のアイデアでもいい、みたいな。

そうですね。とにかく「面白い」っていうのがゴールで、そこにたどりつけるならどんな手段でも......というか、みんなの意見を聞いて進めていくっていう感じですね。

――ふだんはどんな方なんですか?

食欲旺盛で、食べることが大好きな人、みたいな(笑)。ふだんはお笑い論を語るとかそういうイメージはないし、お笑い論みたいなものを語り合ったことはないような気がしますね。一緒に食事に行くことが多いからか、よく食べるなぁ、みたいな。あとはラクな服をよく着てるなぁ、とか(笑)。

――金子さんはどういう方ですか?

金子さんはそれこそADをされてるときからお世話になってて。『ココリコミラクルタイプ』でコントを撮ってたんですけど、僕、同い年なんですよね。だからキャリアもほとんど変わらなくて、お互い思ってることを素直にぶつけ合える関係だと思ってます。あとは、ホントにコントが好きな人だなぁ、っていうイメージですね。
20160622163136-3558be1cbb317bb1e89aae95e737c05cc3386cc3.jpg
――映画はほとんどが部屋の中の会話劇ですが、ワンシチュエーション・コメディならではの難しさはありましたか?

カメラの台数はそんなに多くなかったと思うんですけど、結構しっかり長回しで撮ってたので、その難しさはありました。もっとカットを細かく割っていく撮り方もあると思うんですけど、密室劇ということもあって、舞台に近いライブ感みたいなものをイメージされてたのかなぁ。だからカットを割るよりも、そのときの空気とか温度とかをしっかり伝えるということを優先して長く回していた面もあったと思います。

――ちょっとした間が大事になりそうですもんね。

そうですね。いかに相手をだますかとか、そういう相手の心理を読んでいくようなお話で、相手は何を考えてるんだろう、そしてその間に自分は何を考えるんだろうっていう、互いの心を読み合う間が大事になってくる作品でもあると思うので、なおさらカットを割らずに撮っていったのかなって思います。

――特に田中さんの演じた人物は、振り幅があるというか、途中で矛盾したことを言い出したりするから難しかったのでは?

自分で嘘をついてることに気づいてないんですよね、彼は。「よし、ちょっと嘘ついてやろう」とか、自分が助かるために嘘をつこうというよりは、その場をうまくやりすごしたいというのがこの男の根底にあるんです。

――じゃあ、ズルいとか演技じゃなくて、ナチュラルに嘘をついちゃってる?

そうなんです。とにかくその場を丸く収めたい人なんですよね。怒られたくないからこんなこと言っちゃった、みたいな。その場しのぎで生きてる人なんですよ。だから後になって、「あれ、嘘ついてましたっけ?」って気づくという。そういう意味じゃすごくタチが悪いというか、3人の中でいちばんやっかいな人だなと思います。
20160622163243-3ef0d06b87eb77802f063d4a96fd5e30ed9a74ce.jpg
――撮影中、印象深かったことはありますか?

撮影中はずっと手錠でつながれてるので、ホントに苦しいし、痛くなってくるんですね。で、撮影の間に、カメラ位置を変えますとか、そういうちょっとした休憩時間があったときは、僕とか(佐藤)二朗さんはすぐ手錠を外してもらって一息ついてたんですけど、(渡辺)いっけいさんだけはずっと手錠を外さないんです。手錠ってちょっとでも手を動かすと痛いんですよ。でもいっけいさんはずっと外さなくて。たぶん、どれぐらい動けるかとか、どれぐらいヒジが稼働するかとか、どこまで手が回ってくるのかとかを探ってはったと思うんですよ。そういうところはスゴイなぁって思いましたね。役者魂というか......。あ、これは決して二朗さんが役者魂がないって言ってるんじゃないですよ(笑)?

――(笑)。

二朗さんは二朗さんで、毎回アドリブを変えてきはるんですよね。ホントに面白いし、あれはスゴイなと思いますね。

――笑いすぎちゃってNGなんてことも?

ありましたね。二朗さんにしてもいっけいさんにしても、カメリハと本番で芝居を変えてきはるので、笑ってしまってこっちのカットが使えない、みたいなことはありました。二朗さんのアドリブ力だったり、いっけいさんのお芝居に感動しましたし、そんなお2人と共演させてもらえて嬉しかったですね。

――映画では「人を信じることの難しさ」を描いていますが、田中さんは今まで「人を信じられない!」って思ったことはありますか?

う~ん......あんまりないんですよね。自分が鈍いからなのかなぁ? ちょっと違ってしまいますけど、子どもの大事にしてたお菓子を食べてしまった、みたいなことはあります(笑)。

――それは自分が裏切った側じゃないですか(笑)!

そうですね(笑)。

――本作のエンディング曲を相方の遠藤(章造)さんが歌われてますけど、そのことについてはいかがですか?

これはもう、金子監督が遠藤さんにエンドロールで歌ってもらって、最後にもうひと展開、みたいなことをイメージされてて、どうしてもそれを入れたいって言ってたのは覚えてますね。歌詞も金子監督が書かれてたと思います。撮影のときは、遠藤の歌のシーンはかなりの早朝に撮影したんですけど......、遠藤さん、ノドの調子を心配されてました(笑)。

――本物の歌手の方みたいですね(笑)。では最後に、映画をこれから観る方にメッセージをお願いします。

生き残れるのは誰なのか!?という目線でこの映画を楽しんでもらえたら嬉しいです。あとはやっぱり、いい大人が必死こいて嘘ついて、相手を陥れて自分だけが生き延びようとする姿って滑稽だと思うんですね。命がかかってるから、ある意味そこに嘘はないとも言えるんですけど......。そういう、大人の必死さ、見苦しさみたいなものを笑ってもらえたら嬉しいなぁと思います。
20160622163321-4c3285a2204b72d06e703bfc10e52d225f4d42cf.jpg


【ココリコ】【田中直樹】

20160624040108-026d560ca59a33568044dd218ce96620f0bd6290.jpg